【推薦!香港映画】(花椒)ホアジャオの味(花椒之味FAGARA)118分

投稿者: | 2024年2月16日

おすすめ度 ★★★★★★★★★★

父の葬儀で初めて出会った三人の異母姉妹が、父の火鍋店を継ぎ、父の味を助け合いながら探し求める事で、知らなかった父親の優しさと、家族の大切さに気付き、自分自身と向き合っていく三姉妹の癒しと成長の秀作人間ドラマ!!胸に染みます!!

作品紹介

2021年11月9日公開

今回ご紹介する作品は、サミー・チェン、メーガン・ライ、リー・シャオフォンが主演した人間ドラマです。

それでは、まずはあらすじから、

父が倒れて病院に運ばれた、という知らせを受けたユーシューは、病院に駆けつけるが、既に父親は亡くなっていた。

遺品の携帯を見ると、そこで初めて自分には、母親の違う二人の妹ルージー、ルーグオがいる事が分かる。

父の葬儀で、初めて顔を合わせた三姉妹だったが、父の経営していた火鍋店の賃貸契約がまだ一年間残っているので、火鍋店を継ごうと決心するが、

作り置きのスープの素が直ぐに底をつきてしまい、三姉妹は協力して、父の味の再現を目指すのだった。

監督は、(打開我天空)や(DIVA華麗之後)等のヘイワード・マックで、女性監督ならではの目線で、三人の姉妹のそれぞれのドラマを詳細に描いています。

ヘイワード・マック

主演の長女役には、(ニーディングユー)や(名探偵ゴッドアイ)等、歌手と女優で活躍するサミー・チェンで、

スターとしての華やかさを抑えた名演技で、まとめ役を演じています。

サミー・チェン
サミー・チェン

次女役は、エリック・ツァン出演の(リベンジコード盗まれた正義)や(ゾンビプレジデント)等のメーガン・ライで、

母親と上手く行かなず、仕事であるビリヤード選手としても、悩める女性を好演しています。

メーガン・ライ
メーガン・ライ

奔放そうに見えて、実は家族思いの三女役を、フォン・シャオガン監督の(芳華)や(愛之初體驗)等のリー・シャオフォンが演じ、

祖母をいつも労わり、姉たちとも良好な関係を築く妹を演じています。

リー・シャオフォン
リー・シャオフォン

で、娘たちの父親役で、(バーニングセンセーション)(詳しくはこちら)や(サモ&ケニー 人質に気をつけろ!)(詳しくはこちら)等のケニー・ビーが登場し、温かみのある父親を好演しています。

ケニー・ビー
ケニー・ビー

で、メーガン・ライの母親役で、(バタフライラヴァーズ)や(台北の朝、僕は恋をする)等のリウ・ルイチーが登場し、

娘の幸せを一番に考えながらも、上手く表現できない母親を好演しています。

リウ・ルイチー
リウ・ルイチー

で、サミー・チェンと親しくなる医師役で、(ブレイキングニュース)や(アクシデント意外)(詳しくはこちら)等の

リッチー・レンが登場し、サミー・チェンが前に踏み出すきっかけを作っていきます。

リッチー・レン
リッチー・レン

で、友情出演の元婚約者役で、主演のサミー・チェンと多くの作品で名コンビぶりを披露している(レイダース)(詳しくはこちら)や(インファナルアフェア)等の

アンディ・ラウが登場し、本作でも名コンビぶりを披露しています。

アンディ・ラウ
アンディ・ラウ

そんなスタッフ・キャストで製作された本作の物語は、毎日忙しく働くサミー・チェン演じるユーシューのもとに、

父親が倒れて病院に搬送された知らせが届くシーンから始まります。

残念ながら、ユーシューが病院に到着する前に、父親は亡くなってしまい、付き添ってくれていた父が経営する火鍋店の従業員の男の子と共に、経営していた火鍋店を訪れます。

お店で仕事中に倒れてしまったようで、床には茶碗等が散らばっていますが、そんな現場を見ても、父とは距離のあったユーシューは、

特に涙を流すでもなく、それほど感情が表に出ることも無くかたずけていきます。

そんな中、父のスマホを見てみると、実は父親には自分以外に母親の違う二人の娘、つまりユーシューにとっては妹が台湾と中国にいることが分かります。

衝撃の事実ではありますが、自分の母親意外に、他に恋人がいた、という話は幼少期から知っていたので特に驚く事も無く、

二人の妹、次女のルージーと三女のルーグオに連絡し、父の葬儀で、初めて三姉妹が揃う事になります。

で、初対面時は、なんとなくぎこちないものの、接してみると意外に気が合うようで、以前から知っていた姉妹のように打ち解けていきます。

長女は、あまり明るい性格ではなく感情もあまり表に出さないような性格で、昔から父親とは上手く行かずに疎遠気味、

婚約者とも結婚直前まで行きながら、結局ちょっとしたすれ違いで結婚まで行かずに、そのままの関係を続けていて、

次女はビリヤード選手で、学生の頃から努力を惜しまず頑張ってきたものの、どうしてもあるランクから上に上がることが出来ずに伸び悩み、

プライベートでは母親といつも衝突を繰り返し、母と再婚相手が暮らす高級住宅にも馴染めず、繁華街のアパートで独り暮らしをしている、という悩みを抱え、

三女は、アパレルのネット販売会社を経営しながら、祖母と二人暮らしで幸せに暮らしているものの、祖母は老齢の焦りから、

孫の結婚相手を早く見つけてやろうと、必死に祈願するが、孫は自分の事よりも、祖母が毎日元気に生活して欲しいと願う事で、

お互いを想いながらもすれ違いが生じてしまったり、という感じで、三人が三人とも、それぞれ家族に対する悩みを抱えています。

そんな中出会った三人は、父の経営していた火鍋店の賃貸契約があと一年残っているという事で、期間限定で火鍋店を継ぐことになります。

初めは、自分ひとりと元から勤務している従業員だけで切り盛りできる、と思っていたユーシューですが、

まったく手が足りず、2人の妹たちにも手伝ってもらう事になります。

しかしながら、常連客からは、『以前の味と違う。』と言われ、さらに作り置きのスープの素も底を尽きてしまい、

三人姉妹で、父が創り出したスープの味を探し求める研究が始まります。

しかし、何度やっても、どんな方法を試しても、父の味は再現できません。

そんな時、ある人物が火鍋店を訪ねてきます。

その人物の来店によって、父親が一番想いを寄せていた女性と、火鍋完成までの最後の隠し味に辿り着く事ができます。

そして、その父が創り出した、あの懐かしい味に辿り着いた時、ユーシューは、初めて父の温かみに触れ、

自分が閉ざしていた心の扉を開け、家族の大切さと、想いを伝える事の大切さを知って行く事になります。

という感じで、新たに出会った三姉妹が、一年間に渡って、火鍋店経営を中心に協力して行く事で、お互いを癒し、家族の大切さに気付いていき、

新たな人生の一歩を歩み出す、というヒューマンドラマとなっています。

エイミー・チャンの(我的愛如此麻辣)という小説が原作で、原作のエッセンスはそのままに、女流監督のヘイワード・マックが脚本を執筆していますので、

非常に女性目線の詳細な描写が多く、また主演三人の名演技、脇を固める男性陣の名演技等が重なって、何度も何度も感情を揺さぶられるような名シーン、名演の連続となっています。

特にずっと感情が表に出ないサミー・チェンが、それまでの抑えていた感情が、一気に爆発するようなクライマックスの名演は、号泣必至の名シーンとなっています。

それぞれの名演に、各シーンでの印象的な台詞、しかも、それを恩着せがましく、お涙頂戴的に演出するのではなく、

常に行き過ぎない、落ち着いた優しい目線で表現されていますので、物語をドラマチックにするようなイヤミキャラの存在も無く、

もしかして、イヤミ役?と登場当初は思えるような人物も、実は深い思いやりに溢れていたりします。

さらに、三姉妹も異母姉妹として突然出会っていながらも、特にいがみ合うような事は無く、あっという間に打ち解けてしまいます。

そこだけを抜き出すと、リアル感が薄いかもしれませんが、それでも、本作でケニー・ビーが演じる父親像を見ると、

あの父親の血を受け継いでいる三人なら、いがみ合う事無く、自然に打ち解けられるかも?と思わせてくれるような優しい目線で包まれています。

最終的に観終わってみると、優しい気持ちと、ちょっと寂しい気持ちが入り交ざった、幸せな後味に包まれる作品となっていますので、

香港映画好きの方の方も、そうではない方も、一人でも多くの方に観て頂きたい、お勧め作品となっていますので、

『今日は、ドラマ系のあまり重すぎる事なく、でもしっかりと感情移入はでき、心にしんみり染み入る作品が観たいなぁ。』

と思った時には、是非ご鑑賞してみてください。

作品情報

2019年製作 香港製作 ヒューマンドラマ

監督・脚本 ヘイワード・マック 製作 アン・ホイ、ジュリア・チュー 音楽 波多野裕介

原作 エイミー・チャン

出演 サミー・チェン、メーガン・ライ、リー・シャオフォン、リウ・ルイチー、ウー・イェンシュー、ケニー・ビー、リッチー・レン、アンディ・ラウ

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