『推薦!香港映画』新喜劇王(新喜劇之王THE NEW KING OF COMEDY)90分

投稿者: | 2020年7月23日

お薦め度 ★★★★★★★★☆☆

自身の監督主演作を20年ぶりにチャウ・シンチー自らがリブート!!笑いと感動の怒涛の90分!!

今回ご紹介するのは、(少林サッカー)、(カンフーハッスル)でお馴染みのチャウ・シンチー監督最新作です。

それでは、まずはあらすじから、

アルバイトをしながら女優を夢見て、エキストラを続けるユー・モン(エ・ジンウェン)は、あるオーディションで、かつての有名俳優マー・ホー(ワン・バオチャン)の復活をかけたアクション作品のエキストラのチャンスを得る。

しかし、実際に会ったマー・ホーは演技も性格も最悪の最低人間だった。

その素行の悪さに映画業界を干されてしまったマー・ホーと、底辺から脱出しようとするユー・モン。

やがてこの運命の出会いが、二人の人生を大きく変えていく!?

本当にエキストラ出身のエ・ジンウン

本作はチャウ・シンチー自身の監督・主演作品(喜劇王)の主人公を男性から女性に変えたリブート作品となっています。

基本的には前作との繋がりはないので、前作を鑑賞していなくても物語は分かりますが、一応、前作と同じ主題歌が使われていたり、前作を踏まえたシーンはありますので、鑑賞済みですと、より楽しめるようになっています。

物語は前回の(喜劇王)に沿ったような展開になっていますが、本作では主人公を男性から女性に変更し、さらに年齢が30歳、という設定ですので、よりこの先の人生を、俳優への道のための下積に費やすかどうかの選択を迫られる設定になっています。

そんな、重く地味になりそうな物語展開の中、主演エ・ジンウェンが素晴らしい存在感を発揮しています。

物語冒頭で登場した時は、いかにも地味で、エキストラにしか見えない風貌に、「この人主演でこの作90分間大丈夫?」と正直、この先の本作の出来自体を早くも疑ってしまうくらいにエキストラがしっくりきてしまう存在感の薄さで登場します。

しかし、どんな目に合っても、決して諦める事なく、明るく、前向きに物事に取り組む主人公像には、この最近まで実際エキストラとして活動していたエ・ジンウェン以外に考えられない事にあっという間に気づかされます。

もう、周りから滑稽に見えてしまうぐらいの前向きさです。

というより、言い方を変えると、少し天然的な部分もあったりで、前向きすぎるあまり、周りに対する空気が読めてないぐらいの前向きさです。

その部分をチャウ・シンチーお得意の少しドギツいギャグを挿入する事で小気味よい笑いに変えています。

このギャグが結構声に出して笑ってしまうぐらいの笑いで、ハリウッド製の笑わせようとしているのは分かるけど、声を出して笑うほどではないようなコメディ作品とは違って、実際ベタに笑えます。

おそらく、西洋とアジア圏の文化の違い、といっては大げさかもしれませんが、ベタな中にも独特の間があったりして、思わず笑ってしまいます。

チャウ・シンチー作品の場合、そこにドギツさも入って来るのでその分、余計に笑ってしまうのかもしれません。

個人的はには、ワン・バオチャンが登場するパートのみ若干、笑いが空回りしているような感じもしましたが、、。

ワン・バオチャンの役どころはかつて、チャウ・シンチーが自らよく演じていたタイプの嫌味だけどどこか憎めないキャラクターで、ユー・モンと出会う事で大事な事に気づき、前に向かって行くようになるキャラクターです。

物語上、主人公の人生を動かす最重要キャラクターで、後半なくてはならない存在ですので、しょうがないのですが、そこに行き着くまでが少々長く感じてしまうぐらい、少し笑いが停滞してしまったように感じてしまいました。

また、主人公ユー・モンに厳しくあたっているようで、実は物凄く娘思いの父と、それを支える母の二人の人物設定が凄く微笑ましく、口調は荒っぽいのに登場するたびに癒されていまいます

そういう父と母に愛されて育ったから、ユー・モンのどんなに厳しい目にあっても、笑顔で前向きなキャラクターに説得力が増し、

またその設定が、そのキャラクターを演じるエ・ジンウェンの持っているパーソナルな陽性の雰囲気と重なることで、この物語を唯一無二の魅力的な作品としています。

最終的にはエ・ジンウェン以外だと本作の全体的な優しい雰囲気の作風には仕上がらなかったと思います。

というように、本作は夢を持って生きているすべての人に響く、笑って泣ける秀作コメディとなっています。

観て損のないお薦め作品ですので、機会がありましたら是非ご鑑賞ください。

弾けすぎてるワン・バオチャン

作品情報

2019年 香港・中国製作 コメディ

監督・脚本・製作 チャウ・シンチー 共同監督 ハーマン・ヤウ

出演 エ・ジンウェン、ワン・バオチャン、チャン・チュエンダン

どんな目にあっても、諦めないユー・モン

スタッフ・キャスト

監督・脚本・製作のチャウ・シンチーは91年製作(ゴッドギャンブラー賭聖外伝)で大ブレイク。以降91年製作(ゴッドギャンブラー3)、92年製作(ロイヤルトランプ)、95年製作(チャイニーズオデッセイ)と立て続けに大ヒット。99年には本作のオリジナル(喜劇王)を監督・主演し大ヒットさせる。その後も2001年製作(少林サッカー)、2004年製作(カンフーハッスル)、2008年製作(ミラクル7号)、2013年製作(西遊記はじまりのはじまり)、2016年製作(人魚姫)と監督作品、出演作品は軒並み大ヒットする。

主演のエ・ジンウンは実際本作のようなエキストラ出身で、2017年チャウ・シンチー製作・脚本作品(西遊記2妖怪の逆襲)では村人役のエキストラとして撮影に参加していた。本作で初主演デビューのシンデレラガール。

再起をかける落ち目の俳優マー・ホー役のワン・バオチャンは、ジェット・リーに憧れて嵩山少林寺に入山。その類まれなる身体能力でアクションスタントマンとしての下積みを経験し、やがてアクション俳優として注目を浴びるようになる。その後はドニー・イェン共演の2014年製作(アイスマン超空の戦士)、2014年製作(カンフージャングル)、2015年製作(道士下山)、2018年製作(アイスマン宇宙最強の戦士)など大活躍中。

度重なる苦難に、打ちひしがれそうになるユー・モン

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