おすすめ度 ★★★★★★★☆☆☆
ジョニー・トー製作、ヤウ・ナイホイ脚本、ソイ・チェン監督とジョニー・トー組が集結した、精神的に追い込まれた二人が衝突しながら協力して悪い運命を打破しようと香港中を駆け巡る、(MAD探偵)をさらに攻めたような香港電影金像奨最優秀監督賞・脚本賞・編集賞受賞のクライムサスペンス!!


作品紹介
2026年1月2日公開
今回ご紹介する作品は、ジョニー・トー製作、ソイ・チェン監督、ラム・カートン主演のダークサスペンス作品です。
それでは、まずはあらすじから、
香港のある夜、占った女性の最悪の運気を変えようと奔走する占い師ホウは、自身の力が及ばず、巷を騒がせる連続殺人鬼によって、その女性が殺害されてしまう現場に遭遇する。
しかし、その悪い運気が、現場で偶然出会ったサイコパスの青年シウへと移った事を確信したホイは、協力して運気を変えようとするが、
そんな二人の前に、再び連続殺人犯が姿を現すのだった!!

監督は、(トワイライトウォリアーズ)(詳しくはこちら)や(アクシデント意外)(詳しくはこちら)等のソイ・チェンで、
香港の街と文化に根付いた題材を、かなり攻めた内容で演出しています。


製作は、(スリ)(詳しくはこちら)や(ザ・ミッション非情の掟)等、ノワール系作品の傑作群の監督として知られるジョニー・トーで、
ジョニー・トー製作らしい香港の街と暗部を描いた緊迫感満載の作品に仕上がっています。


脚本は、(天使の眼、野獣の街)や(柔道龍虎房)等、ジョニー・トー監督作品への参加の多いヤウ・ナイホイで、2人の主人公の狂気を描いたドラマを創造しています。


主人公となる占い師ホイ役を演じているのは、(MAD探偵7人の容疑者)(詳しくはこちら)や、(冷たい雨に撃て、約束の銃弾を)等、ジョニー・トー作品の常連俳優ラム・カートンで、
精神的にかなり追い詰められた主人公を鬼気迫る演技で表現しています。



で、主人公が運命的に出会う殺人衝動のある青年シウ役で、12人組のダンスボーカルグループMirrorのメンバーで、映画作品では大阪アジアン映画祭で上映された(狂舞派3)や、
(寒戦コールドウォー)シリーズ最新作(寒戦1994)等に出演しているロックマン・ヨンが登場し、難しい役柄で名演を披露しています。



で、ベテラン刑事役で、(エレクション)や(毒戦ドラッグウォー)等、ジョニー・トー作品に多く出演している、ン・ティンイップが登場し、主人公二人と対峙していきます。



で、殺人鬼に狙われる女性ジョウ役で、(神探大戦)(詳しくはこちら)や(七人楽隊)(詳しくはこちら)等のン・ウィンシーが登場し、可憐な魅力を発揮しています。



で、理学療法士の男役で、(ヒットエンドファン)や(29歳問題)等のピーター・チャンが登場し、主人公達と渡り合っていきます。



そんなスタッフ・キャストが製作した本作の物語は、香港のある夜の墓地近辺で、悪い運勢に悩まされている娼婦ラウ姉さんが、
よく当たる占い師ホイ大師(ラム・カートン)の指示に従い、一度地中に埋まって、死の運命を変えようとする儀式を受けるシーンから始まります。


しかし、この時、運命的に風雨が吹き荒れたため、地中に埋まる事に耐えられなくなったラウ姉さんは、そのまま強引に儀式を中断してしまいます。
元々乗り気ではなかったラウ姉さんは、そのまま帰宅しますが、その時街を恐怖で揺るがす娼婦ばかりを狙った連続殺人鬼の捜査に出向いていたベテラン刑事(ン・ティンイップ)が
付近に聞き込みに来ていたものの、調度刑事たちが帰った直ぐ後に自宅へと辿り着いたラウ姉さんは、身を潜めていた殺人鬼に襲いかかられてしまいます。


しかし、その直後、ラウ姉さんが犯人に刃物を向けられているタイミングで、そのマンションの二階上の部屋に弁当の配達を届けるためにその建物を訪れていた青年シウ(ロックマン・ヨン)が、
部屋を間違えてラウ姉さんの部屋を訪ねてきます。

さらに、その緊迫した状況で、ラウ姉さんの最悪の運気を感じ取ったホウも部屋を訪れてきます。
※↓ここからは、重要な物語展開に触れていますので、真っ新な状態で鑑賞したい方はご注意下さい↓※

ラウ姉さんを救うため、鍵のかかった扉を破壊して部屋に入るホウですが、時すでに遅く、既にラウ姉さんは殺人鬼に刃物で命を奪われ、さらに犯人は二人の隙を突いて逃げてしまいます。
偶然事件現場に遭遇した事で当初は茫然とするシウでしたが、ホウはその現場で血の付いた靴を見て嬉しそうに微笑むシウの異常な姿を見て、
悪い運気は、ラウ姉さんから完全にシウの方に流れたと確信します。

その後、その担当刑事ベテランも現場に駆け付け、現場検証を行いますが、実はベテランとシウは顔なじみで、シウが学生時代に、動物虐待を街中で行い、ベテランが逮捕し投獄させたという過去があり、
それ以来、暴力傾向のあるシウをベテランは常に監視していたのでした。

そんな中、雨を発端とした奇妙な偶然の積み重ねによるシウとの出会いに運命を感じたホウは、事件に巻き込まれるはずのシウを救うために占いを始めます。
しかし、しっかりと占ってみたところ、死の危険がある被害者は、実はシウではなく、シウが今後命を奪ってしまう別の誰かである事が分かります。
その結果、シウは投獄されるという運命で、さらに刑期は運気が変わる20年後になるという運命が分かります。

それというのも、シウは、生まれながらにして他人を殺める衝動を持った最悪の運勢のもとに生まれてきた事が判明します。

そのため、幼少期より非力な動物等を虐待し、成長するにつれてその矛先が人間にも向かってしまう、という危うい毎日で、
これまでも親や兄弟、友人等も傷つけて、母親が倒れても気にも留めないという、異常性に満ちた生活を送って来ていたという事が分かります。

それ以来、なんとか運気を変えようとするホウと行動を共にすることになるシウですが、抗いながらも運気はどんどんと悪い方向に向かい、ホウも段々精神的に追い込まれていきます。


しかし、それでもシウを守ることが自身に課せられた運命だと再び確信したホウは、善行を行う事で、シウの運気を変えようと試み、ついに運気は良い方向に行き始めますが、
そこに、姿を消していたあの殺人鬼が再び二人の前に姿を現し、運気は再び悪い方向へと向かい出す!!!!
、、、、、、、という流れが、大体の大筋となっています。



ジョニー・トー、ヤウ・ナイホイ製作、ソイ・チェン監督、ラム・カートン主演と、久々にジョニー・トー組が結集したダークサスペンス作品です。
監督作や、らしさ全開のプロデュース作が途絶えて久しいジョニー・トーですが、本作は、久々にジョニー・トーの製作会社作品らしさに溢れた、攻めた内容のサスペンス作品となっています。

例えるなら、エキセントリック過ぎる主人公のキャラクターは、(MAD探偵)のラウ・チンワンが演じた神探を、さらに押し進めて、
近寄りがたいような、親しみがわくような、でもなんとなく悲哀もまとっているような独特の雰囲気をまとった主人公像となっていますし、
不穏な雰囲気が押し迫って、やがて良くない最悪の出来事が起こりそうな物語展開は、(アクシデント意外)や(PTU)のクライマックスへの煽り方の雰囲気に似ていますし、
赤の他人が運命に操られるようにそれぞれ交差していく展開は、(奪名金)や(強奪のトライアングル)のようでもありますし、


運命や業の深さ、それに抗おうとする人々の描写等は、(マッスルモンク)にも通じるところがあったり、
さらには、切なさと緊迫感を煽るBGMや光や影の差し方、香港の街中や、夜間の撮影が多いのも(天使の眼、野獣の街)や(柔道龍虎房)、(ザ・ミッション野獣の掟)等、
これまでの多くのジョニー・トー作品での特徴的な要素が、しっかりと盛り込まれたジョニー印な作品となっています。


物語展開がそのまま作品自体の面白さに直結していますので、作品内容の詳細は割愛させて頂きますが、悪い運気を持って生まれ、
自身は異常者だと自ら言い切ってしまうほどの青年を救うため、主人公は自身の身を投げうって、青年を救う事を決意するものの、
そのために後半自身は、どんどんと精神的に追い込まれていき、青年が引いてしまうぐらいに異常とも言える行動を取って行く事になってしまいます。

しかし、そんな献身的な行動があったおかげで、青年にも運命に抗うチャンスは訪れるという、ダークなだけではない展開もあるところが、ダークな世界に満ちた本作の魅力の一つとなっています。

主人公を演じるラム・カートンは、正直ずっと鑑賞していると、観ているこちらも疲労感を感じてしまうぐらいにパワフルな名演を披露していますが、
そこに繊細さと凶暴性を兼ね備えた、危うさ漂だようロックマン・ヨンの名演も重なって、連続殺人鬼の存在をしばらく忘れてしまうぐらいに、目が離せない名演の激突となっています。


ただ、内容的に、今の時代大丈夫?と思ってしまうような攻めた内容ではありますし、直球のグロさは少な目ながらも、厭~な展開もあったり、
そもそも運気や運勢等、風水等の文化が生活にそれほど根付いていない日本人にとっては、ピンとこない部分もある題材であったりと、
観る人を選ぶ作品だとは思われますので、こういうジャンルが苦手な方はあまりハマらない作品かもしれません。
それでも、久しく途切れていたジョニー・トー組のらしさ全開の作品にはなっていますので、香港映画ファンの方や、ジョニー・トー作品好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。






作品情報
2023年製作 香港製作 クライムサスペンス
監督 ソイ・チェン 製作 ジョニー・トー 製作・脚本 ヤウ・ナイホイ
出演 ラム・カートン、ロックマン・ヨン、ン・ティンイップ、ン・ウィンシー、ピーター・チャン


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