おすすめ度 ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
リチャード・C・サラフィアン、リチャード・エドランド、シド・ミード、モーリス・ジャール、多くの名作に携わる巨匠達が多数参加した日本とアメリカ合作のSFアクション!!
作品紹介
1990年7月14日公開
今回ご紹介する作品は、日本とアメリカの製作会社が合作で製作したSF超大作です。
それでは、まずはあらすじから、
2050年、太陽内部の磁力線の変動によって、太陽は膨張し、巨大なフレアによって、地球は滅亡を迎えようとしていた。
この状況に対処するため、人類は反物質爆弾を太陽に打ち込んで、フレアの方向を変える作戦を計画し、実行に移すが、
太陽被害されも利益に還元しようとする悪徳巨大企業IXL社の妨害工作も始まろうとしていた!?
日本のNHKエンタープライズが出資し、アメリカと共同で製作したSF大作です。
残念ながら、本作での一番の話題は、内容そのものではなく、日本で劇場公開し、その後編集を施してアメリカでの公開を準備していたところ、
監督の了承を得ずに勝手に編集を加えた、という事で、裁判沙汰になり、結局日本以外の国際版公開までに3年近くかかってしまう、
という残念な経緯を経た作品という事で、国際版以降は監督名も、携わった監督が自身の名前を出したくないときに使う偽名アラン・スミシー名義となってしまっています。
契約を確認せずに勝手に編集してしまう、という今ではありえ無さそうな出来事ではありますが、そのままの状態で海外で上映するのは、まずいと日本の製作関係者が考えてしまうのもわかるような内容ではありますが、、。
という事で、そんな、ある意味いわくつきの作品に参加しているスタッフ・キャストがバブル期を象徴するような豪華さとなっています。
まずは、監督を担当するのは(バニシングポイント)、(サンバーン)等のリチャード・C・サラフィアンで、
どちらかというとアクション作品の監督作が多いためか、SF大作に地上のアクションシーンを挿入して独特の雰囲気を演出しています。
で、製作、特技監督として参加しているのは、(スターウォーズ)シリーズや(レイダース)、(ゴーストバスターズ)等の特殊効果マンとして多くの賞を受賞しているリチャード・エドランドで、
本作でも、その素晴らしい特撮シーンが作品の重要な魅力となっています。
で、さらに宇宙船等をデザインするスタッフとして(ブレードランナー)(スタートレック)(トロン)(エイリアン2)等のシド・ミードが参加し、
特撮シーンのリアリティを追求しています。
で、主演は(1941)や(キャノンボール新しき挑戦者たち)(詳しくはこちら)、最近では(チャイルドプレイ)のリメイク版に出演しているティム・マシスンで、
命がけの大作戦の隊長役を好演しています。
で、その父親で司令官役を演じているのは、(猿の惑星)や(ベンハー)、(十戒)、(ソイレントグリーン)等、
数々のハリウッド超大作の主演俳優として活躍してきたチャールトン・ヘストンで、作戦と同時進行で描かれる孫探しで緊迫感を盛り上げていきます。
で、そんなチャールトン・ヘストンの孫で、厳しい士官学校を逃げ出してしまう少年兵役で、(ダンボドロップ大作戦)や(ドロップゾーン)等のコーキー・ネメック(コリン・ネメック)が出演し、
初々しい演技で、地上パートを盛り上げていきます。
で、そんなコーキー・ネメックが砂漠の荒野で出会う老人役で、(ヤングガン)や(バグダッドカフェ)、(シティスリッカーズ)等の名優ジャック・パランスが登場し、
地上パートのほとんど主人公ぐらいの勢いで、大活躍を見せていきます。
で、重要な乗組員、アレックス博士役で、(プリンスマルコ地中海の標的)や(ドラゴナード)等のアナベル・スコフィールドが登場し、
後半ほとんど主役かのような大活躍を見せていきます。
で、もう一人の重要な乗組員南博士役で、日本から映画初出演の別所哲也が登場し、物語の鍵ともなる小型宇宙艇や高性能爆弾フレディの設計者として活躍していきます。
で、地球を救おうと決死の覚悟で挑んでいるメンバーに対して、その太陽クライシスさえも儲けに還元しようとする悪徳企業のボス役で、
(タクシードライバー)や(アウトランド)(レッドブル)な祖の名優ピーター・ボイルが登場し、別な意味で主人公達を追い詰めていきます。
あと、出番は少な目ですが、ピーター・ボイルのお抱え博士役で、(ホットショット2)や(暴走特急)(詳しくはこちら)、
そして日本では(ガンヘッド)等が有名なブレンダ・バーキが顔を見せています。
そんな、凄まじくバブリーなスタッフ・キャストが結集した本作の物語は、2050年の未来が舞台で、既に太陽フレアによる異常気象が地球に影響を与えていて、
このままだと、近いうちに、太陽で大爆発(メガフレア)が発生し、地球は大気の影響で人間が住めない環境になってしまう、
という危機的な状況で、それを打開するために、太陽の反対側までいき、そこで反物質爆弾を打ち込む事で、太陽フレアの向きを変える、という大作戦を、
今、まさにスタートさせる、というシーンから始まります。
本作、非常に製作費をかけた超大作で、特撮シーン等魅力的な部分も多いのですが、実際に日本で劇場公開された際にも興行収入が振るわずに、
その結果をみて、日本側の製作者が不安視してアメリカで公開する準備段階で、再編集を施した、という経緯があると思われますが、
そうしてもしょうがない、と思えるほどに、残念ながらツッコミどころも満載な作品となっています。
で、まず、いきなり出だしからですが、太陽の様子が変わって、それが地球に影響を及ぼして、地球の滅亡がかかっている、
という物凄い状況で始まる物語ですが、その重要な部分であるはずの地球へ悪影響を与えているシーンが存在せずに、いきなり主人公のティム・マシスンが
宇宙船に乗り込むシーンから始まってしまいます。
しかも、主人公や乗組員たちは、(スタートレック)のシーズン途中のなにげない1エピソードぐらいに笑顔で乗船し、軽くジョーク交じりに会話を交わしています。
余裕です。
全人類、というより地球の命運を背負って決死の覚悟で、太陽に向かって出航する乗組員たちですが、まるで何かを背負っているような悲壮感はなく、
行き交うクルーたちも、高速バスの待合室ぐらいのまったり感で統一されているので、物語が始まってまだ作品世界や状況がはっきりと説明されてもいない段階ですので、
その緩い雰囲気の出航が、そこまで地球の命運を背負っての出航だとはまるで思えないような、
ぬるっとした出だしとなっています。
というより雰囲気的には、長い準備期間の合間に、いつのまにか出航していた、という感じです。
この出だしの掴み損ねは大きく、さらに、その後も事の重大さを物語る映像が挿入される事はなく、
『危ないよ。』という博士たちの台詞だけで、物語は進んでしまいますので、危機感も一切煽られることも無く、
静かなミッションは続く、、、、と、、思ったら、
おもむろに、地球のどこかの砂漠地帯に一気の一人乗りのセスナが不時着し、中から少年が下りてきます。
この少年こそ太陽ミッションの隊長の息子であり、総司令官の孫でもありコーキー・ネメックで、ひと騒動起こしそうな勢いで、
いきなりその辺に住んでいたジャック・パランスと出会います。
本作は、この地上のネメック・パランスバディによる地上パートと静かな宇宙ミッションパートが同時進行で描かれていきます。
言い換えると、この二つのパートが、どのように繋がっていくのか?というのが物語の一つの見所ともなっていきます。
で、その頃、地上の都市部では、上級市民の会議が開かれていて、そこで太陽異変の災害をも利益追求に還元していく悪徳企業のボスであるピーター・ボイルが、
やたらと自分本位で会議を進めて、結局その太陽異変の状態で利益を上げ続けるために、太陽ミッションを妨害する、という能天気な結論に達します。
で、そんな不穏な空気の中、太陽ミッションでは、色んな問題が続出し始め、乗組員の何者かの妨害工作としか考えられない、という状況になっていきます。
しかし、船長であるティム・マシスンはそんな事を認めたくない、、、。
そんな雰囲気のまま宇宙船は太陽に近づいていきます。
一方、地上でジャック・パランスと出会ったネメックは、自身の身分を打ち明け、あまりの士官学校の厳しい訓練に逃げ出してきてしまったので、基地に帰らなければいけない、
という、逃げてきているのに、戻りたい、という意味の通らない事をずっと言い出します。
この辺の説明も一切無いので、士官学校の厳しさや、何故逃げたけど基地に帰りたいと思ったのか?等行動の理由はわかりませんが、
とにかく基地に戻りたい、という思いが強く、しかも基地までの道を教わるのではなく、基地に連れて行って欲しい、と、
初対面のジャック・パランスにお願いします。
普通は『嫌だ。』で終わるはずですが、終わらないのが本作で、ジャック・パランスは、今出会ったばかりの見ず知らずの少年を、命がけで基地まで連れて行こうとしてくれます。
亡くなった孫に似ていた、とか、昔の自分に似ていた、とか、気の利いた過去の出来事が描かれれば良いのですが、
本作は、そういう部分は全部飛ばしてしまいますので、
とにかく少年は目的地に行きたくて、老人はその少年を盲目的に助けます。
で、途中物凄い巨大トラックにひかれそうになったり、マッドマックスのキャラクターみたいな悪党に襲われたりしながら、なんとか街に着きます。
そこで、悪徳企業に砂漠で捨てられ、なんとか一命を取り留めていた企業の裏の顔を全て知っている悪徳企業の雇れ博士と、
物凄い奇跡的な確率で出会い、ネメックは、その博士から、大企業が太陽ミッションを妨害しようとしている事実を知ります。
で、その数時間前に、孫が脱走している事を知ったヘストンは、孫可愛さに作戦本部を離れて、隊を率いて地上に降り、孫の行方を追い始めます。
いよいよ、父親が隊長を務める太陽ミッション、士官学校から脱出したけれど戻りたい息子とバディの老人、そして孫の行方を追って地球を捜索する祖父、
という親子三代の物語が同時進行で進み、その裏で悪徳企業の影が見え隠れする、という(説明不足が多々ある)壮大な物語が展開していきます。
で、必死の捜索で、なんとか孫と出会う事が出来たヘストン、悪徳企業が太陽ミッションを妨害しようとしている、という地球の命運がかかった重要な情報を得たヘストン、
全ての物語は繋がり、一刻も早く、その重要な妨害工作の情報を太陽ミッション中の息子に伝えなければいけません。
急げ!ヘストン!
ヘストン『宇宙ステーションか!ケルソ提督だ!』
宇宙ステーション職員『はい。』
ヘストン『急いで宇宙船に連絡を取るんだ!緊急連絡がある!』
宇宙ステーション職員『無理です。宇宙船が太陽に近すぎて交信できません。』
ヘストンと孫『、、、、、、、、、、』
繋がらない!!!!
宇宙の話と地上の話が!!!
というか、妨害工作があるのは、宇宙船側は、とっくの昔に分かっている!!
本作、色々な部分で説明不足だったり、行動の理由が分からなかったり、ツッコミどころが存在しますが、
恐らく最大のツッコミどころは、この地上パートの物語が、長い間時間をかけている割には、最終的に本筋に一切影響を及ぼさない、
という豪快な空振り感が、そのままそれまでの色んなツッコミどころと合わせて、何を観ているんだという脱力感となって襲ってきますので、
結構多くの方が、肩透かし感を感じてしまうポイントだと思われます。
ただ、その後、宇宙篇での色んな出来事の後に登場する、太陽内部のシーン等は、なかなかの見ごたえとなっていますので、
途中で萎えてしまった方も、諦めずに最後までご鑑賞して頂きたいと思います。
という事で、残念ながらヒットには恵まれませんでしたが、宇宙パートは素晴らしい特撮シーン等もあり、結構楽しめる部分もある作品となっていますので、
SF好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
作品情報
1990年製作 アメリカ・日本製作 SF
監督 リチャード・C・サラフィアン 製作・特撮監督 リチャード・エドランド 撮影 ラッセル・カーペンター 音楽 モーリス・ジャール 宇宙船デザイン シド・ミード
出演 ティム・マシスン、コーキー・ネメック、チャールトン・ヘストン、ジャック・パランス、別所哲也、ピーター・ボイル、アナベル・スコフィールド、ブレンダ・バーキ
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