おすすめ度 ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
デニス・ホッパー、トム・サイズモア、セガールの3人が、同じ事件に関わる作品ながらも、ほとんど共演シーンはなく、それぞれが単独で撮影したシーンを強引に一つの物語にまとめた、まるでオムニバスのような作品!!
作品紹介
2001年6月23日公開
今回ご紹介する作品は、セガール、デニス・ホッパー、トム・サイズモアと豪華キャスティングが実現した作品です。
それでは、まずはあらすじから、
伝説の爆弾魔スワン(デニス・ホッパー)が、再びサンフランシスコで活動を開始した。
麻薬捜査中にスワンと銃撃戦となった刑事レイ(トム・サイズモア)は、爆弾処理班のフランク(スティーヴン・セガール)と協力し、
スワン逮捕に乗り出すのだった!?
沈黙シリーズの邦題が付いていますが、DVD発売時には実際に起ったテロリスト事件からの影響も考慮して(沈黙シリーズ/TICKER)と改題された作品になります。
今現在の配信などでは、時間の経過とともに(沈黙のテロリスト)と元のタイトルに戻っているようです。
正直、セガール作品の邦題ほど、どうでも良いタイトルは無いですが、、、。
そんな本作ですが、まだセガールが製作者に名を連ねていない時期に製作された作品ではあります(翌年の(撃鉄)から製作に参加)が、
これが後年のセガール作品を彷彿とさせるような登場ぶりを見せる作品となっています。
簡単に言ってしまうと、大して出演していないのに、メインとして大活躍しているように編集で見せかける、
というその後のセガール作品の特徴になったような撮影方法をいち早く取り入れた作品となっています。
もしかすると、本作に手ごたえを感じたセガールが、その翌年以降に多数連発する自身の製作で撮影していく作品群の雛型にしたのかもしれません。
そう考えると、セガール作品の中では意外に重要な作品と言えるかもしれません。
あくまで、セガール作品の中では、という事ですが、、、。
で、そんなセガール、本作では爆弾処理班のリーダーとして連続爆弾魔事件に関わっていくのですが、あくまでセガールは爆弾処理班のリーダーであって、
事件を実際に捜査する刑事ではありませんので、事件を捜査、つまり物語を牽引していく役目は共演者のトム・サイズモアが担っていきます。
という事で、早い話が主役はトム・サイズモアでセガールは脇役です。
これも、後のセガール作品の特徴の一つとなっていますので、そういう点からも本作が、本当の沈黙シリーズの原点と言えるかもしれません。
しかしならが、主役のトム・サイズモアと一緒になるシーンは極めて少ないながらも、数シーンは一緒に映っていますので、
それさえも極力少なく、あわよくば、全く顔を合わせることなく、女優陣とだけ共演してiいく、という後のセガール道の完成には、まだしばらく時間がかかるのですが。
で、ゆっくり前に歩くシーンを、さらにスローで描き、その後のバックショットは全てスタントダブル、という見慣れたシーンを描きつつ、
合間に名優デニス・ホッパーの(スピード)そのままの爆弾魔演技シーンを挿入していきます。
セガール自身は、主人公達とは電話でしか絡まず(つまり共演シーンはほぼ無し)、散々引っ張っていた割には、クライマックスを前にあっさり退場する、
という凄い扱いですが、逆に言うと、デニス・ホッパーのような伝説の名優が出演しているがために、メイン級で出演しているキャストが3人も存在するのに、
スケジュール確保等の理由で、それぞれが一切絡まない(というか絡んでいるような感じがしない)作品が出来上がってしまったのかもしれません。
これが、もし、デニス・ホッパーではなく、もっと無名の(後のセガール作品級の)キャストが演じて入れば、恐らく他の2人とも一緒に画面に映るシーンも多く撮影でき、
結果的には、もっと一つの物語としてまとまったイメージの作品になっていたかもしれません。
ただ、まだまだ(スピード)のイメージの残っていた当時に、デニス・ホッパーが爆弾魔役で出演している、という事は、
それだけでもかなりのセールスポイントではありますので、本作の製作陣はそちらを優先した、という事でしょうか。
おそらく、デニス・ホッパーが途中で離脱してしまう、という不可思議な展開も、そのままクライマックスに突入してしまうと、
他の2人の撮影が必要になってきてしまうので、それを避けるために強引に退場させた、という事ではないでしょうか。
3人が3人とも、ほとんどのシーンを一人で、前(カメラ)に向かって話すだけ、というシーンばかりですので、
それぞれが別な時間に撮影した独り言のような会話シーンを繋ぎ合わせていった結果、オムニバスようなイメージの作品が完成した、という事かと思われます。
因みに、恐らく爆破シーンなどの大掛かりなシーンは、画面のトーンが急に変わってしまいますので、他の作品からの流用か、他の作品の未使用カットの流用などではないでしょうか。
結局その爆破された現場で、キャストが会話するシーンになると、安めのセットに変わってしまいます。
という事で、全編継ぎはぎのような作品、という事で、後のセガール作品の雛型とも言える記念碑的な作品となっていますので、
セガールファンの方や、B級アクション好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
しかし、監督のアルバート・ピュン、(ネメシス)(詳しくはこちら)や、(サイボーグ)等を製作していた時期は、
結構、B級魂溢れる面白活劇を多数製作していたのですが、やはりこれほどの大物達を上手くまとめきるには、また別な才能が必要だったようですね、、、。
作品情報
2001年製作 アメリカ製作 アクション
監督 アルバート・ピュン
出演 デニス・ホッパー、トム・サイズモア、スティーヴン・セガール、アイス・T、ジェイミー・プレスリー
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