おすすめ度 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
豪華スタッフ・キャスト集結のオムニバスホラーシリーズ第二弾は、恐怖、面白さ、豪華さ等、全体的なパワーダウン感が残念な香港版(世にも奇妙な物語)
作品紹介
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今回ご紹介するのは、香港の人気作家リリアン・リーの小説を映画化した短編オムニバスホラー作品の二作目です。
間を開けて製作された二作目ではなく、全部で6編製作された作品を前編と後編に分けて公開された後編部分の作品になります。
ですので、統一感があって、前作の続きを観ている感じ(とは言ってもそれぞれの物語には全く関係性はありませんが)ですので、
全く同じように楽しむことができる作品となっています。
ただ、前作がサイモン・ヤム初監督、リーチー・ガイ、フルーツ・チャンというスター監督で、出演者もサイモン・ヤム、ケリー・チャン、レオン・カーファイ、スーザン・ショウという
それぞれが主演級のスターばかりで固められていましたが、
本作では、監督陣がゴードン・チャン、ローレンス・ラウ、テディ・ロビン、出演者がファラ・チャン、ラム・カートン、テディ・ロビン
という事で、前作と比べると少し、こじんまりとした作品となっています。
第一話 枕《枕妖》(PILLOW)
第一話目の監督は、ゴードン・チャンです。
ゴードン・チャンといえば(ファイナルオプション)などの警察特殊部隊ものや、ジャッキー・チェン主演の(デッドヒート)、
最近では(ドラゴンフォー)シリーズや、(戦神ゴッドオブ・ウォー)等とにかく戦う男たちを描いた男臭い作品が多く、
正直ホラー作品のイメージが全くないので、どんなアクションホラーなのかと思って観てみると、、、
これが、非常にオーソドックスな心霊ホラー作品でした。
ファラ・チェン演じる主婦は結構な癇癪持ちで、夫であるラム・カートンに今日も当たり散らしている、という感じで、
静かな性格のラム・カートンはいつものそのことに悩まされている、といった状況が続いています。
で、ラム・カートンの事は強く想っているようだけれども非常に独占欲が強く、ラム・カートン本人の知らないうちに、個人のメールも自分の携帯に転送されるように設定して監視している、
というぐらいに異常なほどの独占欲と極端な癇癪持ち、という主婦となっています。
で、いよいよとんでもない大癇癪を起してラム・カートンがついに愛想をつかして、出て行ってしまいます。
で、その日以来ラム・カートンは行方をくらましてしまい、夫が帰らないファラ・チェンは不眠症となってしまう、
という状況になって、上司のアドバイスに従って新しい枕を買いにいくと、不思議な魅力を放つ枕に出会ってしまう、という大筋になっています。
この枕で眠ると、ぐっすりと眠れるどころか、いなくなった夫が夢にでてきて、幸せな時間を過ごすことができる、
という不思議な力を持った枕ですが、そんな毎日を過ごしているうちに、だんだんと様子がおかしくなってきて、、、、
という具合にホラー展開へと突入していく、という非常に静かな大人のホラー、といった感じですので、正直これがゴードン・チャン監督作品?
と疑ってしまうぐらいに静かーな(後半結構展開がありますが)雰囲気ホラーといった感じの作品となっています。
有名監督が違う一面を見せた短編、といった感じでしょうか。
因みに主演のファラ・チェンは日本での知名度はそんなに高くありませんが、最近ではハリウッド大作(シャン・チー テンリングスの謎)(詳しくはこちら)なんかにも出演していました。
あと、ついでに前作のフルーツ・チャン監督編に少し出演していたトニー・ホーが本作でも上司役で登場しています。
第二話 かくれんぼ《迷藏》(HIDE AND SEEK)
二話目の物語は、ローレンス・ラウ監督作品です。
ローレンス・ラウ監督は、日本でも劇場公開された1988年の初監督作(ギャングス)で香港のストリートキッズによる社会問題をドキュメンタリータッチで描き、
国内外で話題となった映像作家で、その後アンディ・ラウ主演の(リー・ロック伝)シリーズや、最近では(アンフェタミン)等が日本でもリリースされています。
結構作家性の強めの監督作品が多いですが、そんなローレンス・ラウ監督が意表をついてホラーオムニバスの一篇を監督している、
という事でどんなアートなホラーができあがっているのか?と鑑賞してみると、、、
これがオーソドックスな学校ホラー作品でした。
ノンスターで、基本的にお金をかけずに、ちょっとドキュメンタリーっぽい雰囲気があるのは、流石に(ギャングス)の監督っぽいのですが、、、。
取り壊しになる予定のかつて通った廃校に忍び込んだ中高生の8人が、そこで夜を明かすうちに、SARSで命を落とした同級生や先生たちの報われない霊に襲われていく、
という非常にオーソドックスな物語で、途中までは良い雰囲気でそれなりに盛り上がるものの、出演している年齢層が年齢層だけに、
過激な犠牲になる、という映像表現はなく、肝心な部分は全く描かれずに、結構な目に合う結果だけは描かれる、
という消化不良しか残らない極端な終わり方をする作品となっています。
(ギャングス)のようにもう少し上の年齢か、酷い目にあってもしょうがないような悪さをしている悪ガキ、という設定ならまだ良いのですが、
廃校予定の建物で主人公達がやっている事は、タイトルが示すようにただのかくれんぼで、同級生の霊に襲われる展開になりますが、別に主人公たちが悪い事をして亡くなった霊でもありませんので、
後半の突然の展開の消化不良感が倍増しになってしまいます。
こちらも有名監督が違う一面を見せた短編、という感じでしょうか。
第三話 黒い傘《黑傘》(BLACK UMBRELLA)
いよいよラストの三話目は監督・主演がテディ・ロビンというしめに相応しい作品になっています。
その役どころは、香港の夜の街を黒い傘を持って歩き廻り、道行く人に善行を施して回るおじさんという謎めいた役どころです。
で、多くは語られませんが、善行を行いつつ、持っている黒い傘にその都度印を入れていく、という非常に謎めいたおじさんとなっています。
で、どうも今日中にもっと善行を重ねたい、とう意図があるようで、その理由や、その傘の意味などは語られませんが、
道行く人々に善行を重ねつつも、結局逆に嫌な目にあったりと世知辛い世の中が描かれていきます。
そんな謎の善行おじさんテディ・ロビンが、ふとしたことである若い女性と出会います。
この女性は要するに夜の街で男性相手にお金を稼いでいる女性なのですが、そんな女性がテディ・ロビンの善良そうな風貌を見て、
悪事を思いつき、自宅に連れ込んで、元締めと共に金銭を要求しようと迫ってきます。
で、そこまでの状況になったときに、テディ・ロビンの驚愕の正体が明らかになる、という感じで6編のホラー作品中、群を抜いて血なまぐさい展開に突入していきます。
結構いきなりの展開ですので、もしかすると苦手な人は注意が必要かもしれません。
それぐらいに思い切った展開となっています。
普段明るい雰囲気のテディ・ロビンが、、、という感じの意外性がなかなかに振り切れている作品となっています。
テディ・ロビン以外の出演者では、テディ・ロビンを騙そうとする女性役で、三級片で人気を獲得し、セクシーな役柄を中心に活躍の場を広げているアリザ・モー、
あと、少しの出演ですが、バスの運転手役でユン・ピョウ主演の(チャンピオン鷹)で準主役を演じていたチャン・コッキョンが顔を見せているのも見逃せません。
という事で前編となる前作は、目を引くスター監督とスター俳優が次から次へと登場する娯楽要素の強めの作品群で、
後編となる本作は、有名監督のそれまでのイメージとは違った一面を楽しめる、ちょっとチャレンジングな内容の作品が多いシリーズとなっています。
明らかに面白さでいえば前編で間違いないですが、後編の味のある作品群もちょっと見逃せませんので、
ご鑑賞される機会がありましたら、二本連続でのご鑑賞をお勧めします。
作品情報
2013年製作 香港製作 ホラーオムニバス
監督 ゴードン・チャン、ローレンス・ラウ、テディ・ロビン
出演 ファラ・チャン、ラム・カートン、トニー・ホー、テディ・ロビン、アリザ・モー
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