【修行香港映画】ゴッドギャンブラーツインズ大作戦(賭侠2002 THE CONMAN 2002)98分

投稿者: | 2021年9月12日

修行度 🔥🔥●●●●●●●●

ブレイク前のニック・チョンとスティーブン・フォン主演、本家バリー・ウォン製作ながらも、ギャンブルとはほとんど関係のない、最も運の悪い男を描いた脱力系コメディ作品

作品紹介

日本劇場未公開

今回ご紹介するのは、(ゴッドギャンブラー)のバリー・ウォンが製作したギャンブルコメディのタイトルだけ継承した作品です。

それでは、まずはあらすじから、

世界一運のない男として有名な若者、リー・カーシン(ニック・チョン)は、トラブルの絶えない日々を送っていたが、

ある日病院で知り合った看護師サマーに一目ぼれし、その後二人の仲は進展、付き合うことになる。

サマーにはゴッドギャンブラーと呼ばれる兄、春天がいて、意気投合、リーの悪運を逆に利用して賭場の世界に新風を巻き起こす!?

主演は後に演技派としてブレイクするニック・チョン

一応、(ゴッドギャンブラー)シリーズの中の1作です。

ゴッドギャンブラー)シリーズはチョウ・ユンファ主演、バリー・ウォン監督で記録を塗り替えるほどのヒットを記録した1作目以降、様々な続編、外伝、パロディ、無関係の亜流作品が登場しました。

なかでも(ゴッドギャンブラー賭聖外伝)は、本家(ゴッドギャンブラー)の完全なパロディ作品でしたが、まさかの大ヒットを記録、

それに合わせて主演のチャウ・シンチーも大ブレイクし、その後スター街道を爆進、続く(ゴッドギャンブラーリターンズ)にも主演、

そちらも大ヒットを記録し、なんと本家シリーズ(ゴッドギャンブラー2)に本家のアンディ・ラウが演じるキャラクターのライバルキャラクターとしてパロディの役柄でそのまま出演、

さらにその続編(ゴッドギャンブラー3)では、そのままのキャラクターで今度は主演に抜擢される、というパロディ作品の主演俳優が、いつのまにか本家シリーズの主演を演じている

という人気があればなんでも良い、な香港らしい商売最優先的なアクションコメディシリーズとなっています。

そのシリーズも一旦は下火になりましたが、1999年にアンディ・ラウが再び同じ役で復活したことで、その後また暫く(ゴッドギャンブラー)シリーズが製作されるというブームがありました。

本作はそんな流れの中の2002年に製作された作品となっています。

その後の活躍を考えると豪華すぎる共演

1999年以降のアンディ・ラウ作品からゲストとして顔を出していたニック・チョンが、今度はシリーズの顔となってこの時期のシリーズは牽引していました。

チョウ・ユンファ→アンディ・ラウ→チャウ・シンチー→アンディ・ラウ→ニック・チョン といった感じの流れとなっています。

で、本作の監督は本家の一作目にも出演していたバリー・ウォン作品のミューズ、チョン・マンです。

製作は本家のバリー・ウォンですので、その流れでの監督起用といった感じでしょうか。

いつのまにかシリーズの顔となっていたニック・チョン

本作の原題は(賭博2002)という事でアンデイ・ラウの復活版の続編のようなタイトルになっていますが、実際は共通しているのはタイトルだけで、

登場人物や世界観などの設定のすべてが本家とは無関係の物語で、ニック・チョンが出演しているギャンブルコメディ作品という部分以外には共通点がありません。

なんならギャンブルもの、というカテゴリーで言い切るのもどうかと思うぐらいに、ギャンブルシーンはメインではなく、

世界一運のない男の災難を延々と描く、という部分に徹した作品となっています。

物語は、この運のない男が好みの女性と知り合って、その女性の兄がたまたまゴッドギャンブラーとして有名な存在で、

意気投合、その悪運を逆に利用して、コンビを組んでギャンブルの世界で成功していく、という大筋となっているのですが、

この悪運を利用して逆に常勝する、という部分が何度観ても何故勝てているのか、が全く理解できません

トランプゲーム的なギャンブルならまだなんとなく、分からなくもないですが、ルーレットや、クライマックスでは、クイズのような勝負にも、悪運を利用して勝てている事になっています。

要するに、様々な勝負事に全て負ける事で、勝てているという表現なのですが、どう考えても良く分かりません。

高い所から落ちた時はこんな感じ

おそらく、バリー・ウォン作品という事で、勢い重視なところがありますので、世界一運のない男が、その悪運を利用してギャンブルの世界で成功していく物語、

というプロットのみを先に考えて、それ以外は特に深く考えずに製作開始してしまった結果、こうなった、ぐらいなのではないでしょうか。

それぐらいに、本作を包む脱力感は半端なく、コメディメインの作品とは言え、一応あの(ゴッドギャンブラー)ゆかりのタイトルが付けられるような作品とは到底思えないような作風となっています。

内容的には脱力感がありますが、キャストに関しては、内容に反して豪華(今振り返るとですが)で、その後香港映画で大活躍を見せる演技派が出演しています。

主演のニック・チョンは、このころまでは、比較的コメディ作品への出演が多く、どの作品も似たようなイメージが多かったですが、

徐々に男気作品への出演も増え始め、ついに(ビーストストーカー証人)や、(激戦ハート・オブ・ファイト)での熱演で香港のアカデミー賞を獲得するという快挙を成し遂げました。

ジョニー・トー作品などを鑑賞してから本作を鑑賞すると、そのあまりの演技力のふり幅の広さに、同じ人物とは思えないぐらいに180度違う魅力を堪能できるのでないでしょうか。

後の演技派ニック・チョン

その他にも、主演俳優として(ジェネックスコップ)などに出演したながら、(太極)シリーズなどのフィルムメーカーとしての顔も持つスティーヴン・フォン

相変わらずのイケメン、スティーヴン・フォン

マルチタレントとして活躍していたウォン・ワイマン

本作、唯一の親友として登城するウォン・ワイマン

とぼけた演技が魅力の(少林サッカー)でブレイクしたウォン・ヤッフェイ

その雰囲気が本作に一番マッチしているウォン・ヤッフェイ

近年男気名脇役としてプチブレイクしている(ショック・ウェイブ爆弾処理犯)などのフィリップ・キョン

ぱっと見ると誰か分からない、フィリップ・キョン、若い!

ヒロイン役にマンゴ・ウォンフィリップ・キョンの部下の悪女役でモニカ・ロー

健気な看護師役にマンゴ・ウォン
敵の組織の悪女役でモニカ・ロー

ついでに、後ほどジョニー・トー作品のマフィアのボス役などで、良く見かける事になるバリー・ウォンのお父さんで、

バリー・ウォン作品の制作者としての一面も持つウォン・ティン・ラム

この時期からすっと体型変わりません

という感じで、意外に豪華な顔ぶれが出演している作品となっています。

この辺は、すでに香港映画界の重鎮となっていたバリー・・ウォンのパワーが全開となっている部分でしょうか。

もう少しそのパワーを使って本編の脱力感をなんとかならなかったものかとは思いますが、、。

何故、この作品をチョン・マンが監督しているのかも謎ですが、いろんなバリー・ウォンパワーを感じる作品にはなっています。

ギャグシーンそのものは、香港映画特有の脱力ナンセンス系が多く、さらに製作から時間の経過した今現在の時代に鑑賞するとなかなか厳しいものがあります。

ですが、リリースされた直後に本作を鑑賞した覚えがありますが、その時の感想も今とさほど変わらい印象でしたので、笑いに関してはピンとこない部分は時代に関係なく、不変的なもの、だという事でしょうか。

逆に(ミスターブー)(詳しくはこちら)シリーズなどですと、いつ見ても、笑えますので、やはり笑いの本質は不変性があるのかもしれません。

とはいえ、一応(ゴッドギャンブラー)ではありますので、お約束の賭場に入場する際に両開きの扉が開いて、スローで主人公が登場するシーンや、

ゴッドギャンブラーシリーズお馴染みのシーン

何故か一作目より登場する日本人キャラクターと賭博勝負をするシーンなど、

こちらも何故かいつも登場する日本人賭博師

シリーズのファンの喜ぶ展開もあったりしますので、それなりに見どころのある作品とはなっています。

もう少し、アクションなり、物語展開なり、ギャンブルシーンなりに、どこか目立った見どころがあれば、もっと楽しめる作品になったとは思われますが、やはりちょっと脱力の過ぎる作品になっています。

という事で、あの(ゴッドギャンブラー)シリーズの高揚感を期待して鑑賞すると落差が激しいですが、後のビッグスターが共演しているちょっとしたお宝作品と考えると、

結構楽しめてしまいますので、香港映画好きの方などご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。

それにしても、こういうニック・チョンはもうあまり観れないですね、、。

お助け少林メン。でもカンフーは無し。残念!
運が悪かったのは先祖の墓の上にいつのまにか公衆便所が立てられていたから、という設定はちょっと面白いですね

作品情報

2002年製作 香港製作 コメディ

監督 チョン・マン 制作 バリー・ウォン

出演 ニック・チョン、スティーヴン・フォン、フィリップ・キョン、マンゴ・ウォン、ウォン・ティン・ラム、ウォン・ヤッフェイ、モニカ・ロー、ワイマン・ウォン

包帯も面白く巻く、というギャグ

その他のニック・チョン出演作品

レニー・ハーリンが香港出稼ぎで監督したサスペンスアクション(ハードナイト)はこちら

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