修行度 🔥🔥●●●●●●●●
ドニー・イェン監督・製作・武術指導、そして主人公の殺し屋役を演じた、映画の内容自体よりも、ドニーのナルシストぶりと、西村由紀江のBGMだけが印象に残る、一応クールなスタイリッシュガンアクション!!
作品紹介
1999年11月20日公開
今回ご紹介する作品は、ドニー・イエンが監督・製作・武術指導・主演とマルチにこなすスタイリッシュアクション作品です。
それでは、まずはあらすじから、
深夜のDJとの電話が趣味の殺し屋キャットは、凄腕の殺し屋として知られていたが、ある依頼を遂行中に、かつて、自身を裏切り罠にはめた男と偶然再会する。
復讐を決意したキャットは、その男に近づこうとするが、そこへ憧れていた女性刑事キャリーが姿を現すのだった!?
監督・製作・武術指導・主演とマルチに活躍しているのは、(ドラゴン危機一髪`97)や(HEATヒート)(詳しくはこちら)と同時期の
ドニー・イエンで、そのナルシストぶりが全開に出た世界観の作品を創造しています。
ヒロインとなる女性刑事役で、(ゴージャス)や(ファイナルプロジェクト)等のジャッキー作品で知られる
アニー・ウーが登場し、可憐な魅力を放っていきます。
で、ターゲットのボディガード役で、(もういちど逢いたくて)や(地獄第19層)(詳しくはこちら)等の
ジミー・ウォンが登場し、ドニーと対峙して行きます。
で、主人公と電話で繋がるラジオDJ役で、(欲望の街 外伝 ロンリーウルフ)や(幽霊刑事)(詳しくはこちら)等の
サイモン・ルイが登場し、ドニーと親友のような関係を築いていきます。
で、暗殺依頼の仲介人役で、(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ外伝 天地笑覇)(詳しくはこちら)や
(コネクテッド)等のヴィンセント・コクが登場し、主人公を誘います。
役で、組織の暗殺者役で、(天山回廊ザ・シルクロード)(詳しくはこちら)や(武林聖門士)(詳しくはこちら)等の、
ユー・ロングァンが登場し、ドニーと激闘を繰り広げます。
そんなスタッフ・キャストが製作した本作の物語は、あるラジオ番組のDJに電話をかけ、自身の身の上話等を話す孤独な男、キャットが、
本業である殺し屋としての依頼をこなす為に、黒社会組織の本部に乗り込んで行くシーンから始まります。
キャットは、秀でた格闘術とガンアクションスキルを駆使して、黒社会組織の猛者たちを次々と倒し、ターゲットも軽く仕留めていきます。
そんな凄腕の殺し屋キャットのラジオDJとの電話以外のもう一つの楽しみは、密かに恋焦がれる隣の建物に棲む女性キャリーを観察する事で、
ある日、DJの勧めで、バスを待っているキャリーの横に並び、声を掛けてみる事にします。
ちょっとした日常会話を交わし、バスを降りるキャットですが、実は、キャリーは香港警察の刑事で、キャットが依頼をこなした黒社会組織襲撃事件の特捜部のリーダー格である事が分かります。
そんな中、キャットに次の依頼が舞い込みます。
今回の任務は、依頼人が事業を任せたある男が、業績を悪化させた挙句に好き放題し始めたために、全てを清算するために、
ターゲットの男の取り巻きごと全て抹殺せよ、というザクっとした依頼で、承諾したキャットは、一人で部屋でダンスします。
で、プレイボーイで有名なそのターゲットを暗殺するために、建物に忍び込み、あっという間に依頼をこなすキャットですが、
そのターゲットのボディガードと鉢合わせした時に、キャットの人生を変えた過去の出来事がフラッシュバックします。
実は、キャットは、N.Y.P.Dの元刑事で、そのボディガードの男は、刑事時代の元相棒ながらも、キャットを罠にハメ、
濡れ衣を着せさせて刑務所送りにした、という凄まじい因縁のある男であることが(偶然)分かります。
ターゲットを軽く仕留めたキャットですが、周りの取り巻きも抹殺するという指示も受けていますので、
偶然ではありますが、過去の因縁のある宿敵も始末出来て、一石二鳥という感じで、至近距離から4発の弾丸を打ち込んでボディーガードを倒します。
任務もこなし、因縁にもケリをつけて、スッキリしたキャットですが、実はボディガードは防弾チョッキを着ていて命を取り留めている事が分かります。
依頼のターゲット自体は仕留めているものの、因縁の男を取り逃がしたキャットは、再び、元相棒を仕留めようと狙撃の準備をしますが、
襲撃事件の唯一の生き残りであるドニーの元相棒に、捜査のために近づいているキャリーが傍にいるために狙撃できず、
至近距離で仕留めようと、拳銃を手に握って、香港の街中を激走します。
で、キャットの存在に気付いた元相棒が、キャリーを盾にする、という薄汚い防御策を取ったために、
キャットは、キャリーに弾が当たらないように、キャリーの身体を避けようとしているうちに、成り行きで(何故か)キャリーの手を取る事になり、
今度は(何故か)元相棒を含む黒社会組織の組織員から、キャットとキャリーが追われる身となります。
で、ついには(何故か)キャリーのルームメイトが組織に誘拐される事件へと発展してしまいます。
責任を感じたキャットは、キャリーの友人を救出するために、単身組織に戦いむ、、、、、、、、というのが、大体の大筋となっています。
若きドニー・イェンが、(ドラゴン危機一髪`97)に続いて、監督と主演も兼ねて自身の製作会社で製作した現代ガンアクション作品です。
監督と主演を兼ねた作品は、本作と同年に製作された(新・ドラゴン危機一髪)以降は、(シャクラ)(詳しくはこちら)まで製作されませんので、それだけでも貴重な作品となっています。
ただ、この初期の監督・主演3作品で、ドニーも自身の活かし方を理解したのか、それ以降の主演作品では、他の人物に監督を任せる形になっていきますが、
その後のドニー自身のブレイクぶりを考えると、その客観的な判断は決して間違いではなかった事が伺えます。
そんな、アクションスター、ドニー黎明期に製作された本作ですが、自身の製作会社での第一回作品(第二回以降は残念ながら無いのですが、、、)という事で、
前作の荒々しい世界観での高速超絶カンフー路線はスパッと捨てて、
自分自身のカッコ良さを、自分自身だけでトコトン追求したような作品となっています。
物語の大筋としては、元刑事の殺し屋が、女性刑事と色々ありながら、刑事時代に裏切られ、濡れ衣を着せられた元相棒と激闘を繰り広げる、
という、至ってシンプルな、ありがちなストーリーなのですが、そんな殺し屋の王道物語を、まだまだブレイクには程遠い時期のドニーがワンマンで製作した事で、
他の監督が製作した殺し屋アクションとは、一風変わった作風の作品となっています。
簡単に言い換えると、ツッコミどころ満載です。
まずは、シンプルに誰もが一番苦戦するところだと思われる
画面の暗さ
です。
予算の都合も大きいと思われますが、とにかく夜間に撮影されたシーンが物凄く多く、見せ場となるアクションシーンも暗すぎて何をやっているか判別できないシーンが連続し、
さらに、どうも、(当時の)ドニーセンスでは、
暗がりでちょっとだけ人物にライトが当たる、間接照明のような表現がカッコ良い
という判断だったのか、ライトが当たるシーンも、分かり易く映し出す感じではなく、あえて薄暗い程度のライトしか当たりませんので、
暗くて何をやっているか分からないアクションの合間に、ちょっとだけ光が当たった登場人物が姿を現す、
というシーンの連続で、この暗さが、第一の強敵、修行要素となっていきます。
で、さらに第二の強敵は、暗さにも絡んできますが、とにかくカット割りを頻繁に行えば、カッコ良く見える、という判断なのか、
アクションシーンになる度に、色んな角度から撮影したカットが高速で切り替わりますので、
とにかく、アクションを落ち着いて観れるシーンが少なく、何をやっているのか判断できません。
時々ドニーの大開脚キック等の大技が炸裂しますが、基本はガンアクションがメインで、格闘アクションは、ほとんど存在しませんので、
頻繁に切り替わって何をやっているのか分からない暗闇でのガンアクションをずっと観続ける事になります。
そこに加えて、ドラマ部分(アクション部分もですが)でのアップの多様によって、キャラクターの顔面大写しが頻繁に入り、
逆に、その分登場人物たちの全身が映る、引いたシーンが少ないので、
とにかく、
どういうシチュエーション(場所)で、登場人物達が何をやっているのか判断できない
という状況が、かなり長めに続きます。
こういう状態が続くと、当然前のめりで鑑賞していても、作品世界への没入度は低くなっていき、結果的に興味がどんどん薄れていってしまいます。
そこに加えて、前作の荒々しさとは違ったスタイリッシュな魅力を追求する目的があったのか、邦題で(COOL)と付けられてしまうぐらいに
陰影を意識したスタイリッシュで大胆な構図のカットや、モノトーンの映像、頻繁に入るスローモーション、
そして、
思春期の中学生が考えたような詩的な台詞の数々
という感じで、全てのカッコ良いと思われる要素が、逆方向に作用してしまったような作品となっています。
鑑賞してみると、結果的に、
炸裂するドニーのナルシストぶりと、何故参加したのか分からない西村由紀江の素晴らし過ぎるBGMだけしか印象に残らない
という、ある意味珍しい作品となっています。
ただ、個人的には、本作、初見時は前売り券を購入して映画館で鑑賞したのですが、その当時も、BGMが素晴らしいとは感じたのですが、
今鑑賞し直して感じる程に、修行要素を感じずに、むしろ、(ドラゴン危機一髪`97)は、インディーズ色が強くて自主映画みたいだったけれども、
本作では、ついに(ドラゴン醉太極拳)のドニーが、香港映画の王道路線で活躍し始めた!と感じて、心躍ったのを記憶しています。
これは、恐らくその後ブレイクし、完成度の高い傑作をどんどん創り出していく事になるドニーの傑作群を鑑賞した今だからこそ、
振り返って鑑賞してみると、『あれっ?』という、最近の作品との差にびっくりしてしまうのかもしれません。
ですので、もし当時の心境に戻ってブログを書いていたとしたら、、、、
おすすめ度 ★★★★★☆☆☆☆☆
ぐらいだったように思います。
という事で、ドニーのやる気が、空回りしている面も大きいですが、本作のような作品があるからこそ、近年の傑作群に繋がっているとも言えますので、
香港映画好きの方や、ドニー・イェンファンの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
作品情報
1998年製作 香港製作 アクション
監督・製作・武術指導 ドニー・イェン 音楽 西村由紀江 脚本 べイ・ローガン
出演 ドニー・イェン、アニー・ウー、ジミー・ウォン、ヴィンセント・コク、カレン・トン、サイモン・ルイ、マイケル・ウッズ、ユー・ロングァン、谷垣健治
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