おすすめ度 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
アラン・タムがウォン・フェイフォンを演じ、敵役をレオン・カーファイが演じた（ワン・チャイ）シリーズのパロディアクション！！
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介する作品は、（ワンチャイ）ブームに乗って製作されたアラン・タム主演のパロディアクションです。
それでは、まずはあらすじから、
佛山の地で、少林拳の達人であり、高名な医師としても有名なウォン・フェイフォン。
しかし、世間からのイメージは弟子たちによって作られたもので、本当は、武術のできない気弱な料理好きの青年だった。
そんな、正体をひたすら隠し続けるフェイフォン一派に、叔母であるイーがやって来た事で、事態は思わぬ方向へと進んでいくのだった！？
ジェット・リー主演の（ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ）シリーズの大ヒットによって巻き起こったウォン・フェイフォン映画ブームに乗って、
伝説の英雄は実は弱かった、という奇抜な設定で、アクションも描きつつ、お馴染みのネタを完全に笑い飛ばしてパロディ化してしまう、という非常に香港映画らしいコンセプトで製作られたコメディ作品です。
しかも、本作はハリウッド系の（最終絶叫計画）シリーズのように、それほど知名度の高くないキャストが、
有名スターが演じる本家を茶化すだけ、が見せ場となるようなパロディ作品ではなく、本家と同等か、それ以上に有名なスターが楽しそうに演じている、という点が全く違っていて、
ギャグまみれな作品ではありますが、しっかりとオリジナルのウォン・フェイフォン（ジェット・リー版＋【燃えよデブゴン7】等にも登場したクワン・タッヘン版）へのリスペクトの香る、
しっかりとした（変な表現ですが、、）パロディ作品となっています。
そんな豪華なキャストは、主人公のウォン・フェイフォン役を、伝説の歌手として長年活躍し続け、映画作品では、
ジャッキー・チェン主演の（サンダーアーム龍兄虎弟）や、（魔界天使）（詳しくはこちら）、（特撮・異星人大騒動）（詳しくはこちら）等で活躍している
アラン・タムがとぼけた笑いで、親しみやすいウォン・フェイフォンを演じています。
で、有名な弟子のうち、（燃えよデブゴン7）（詳しくはこちら）の主人公としても描かれている肉屋のウィンことラム・サイウィン役を、
(少林寺破戒大師伝説）や（大福星）以降の福星シリーズ、（インファナルアフェア）シリーズのサム兄貴役等、
長年に渡って活躍し続けているエリック・ツァンが演じ、主人公にカンフーを教える役目という意外性のある役柄を演じています。
さらに、ジェット・リー版でジャッキー・チュンが演じていた武術はできないながらも、医療の知識が豊富な弟子ソウ役を、
（少林サッカー）等のチャウ・シンチー作品でブレイクし、その後もアンディ・ラウ主演の（天空伝説ハンサム・シビリング）（詳しくはこちら）や、
近年でも（妖魔大戦争シーレットマジック）（詳しくはこちら）で、長年活躍しているン・マンタが演じ、お得意のドタバタギャグを全開に振り撒いています。
で、ジェット・リー版ではユン・ピョウやモク・シュウチョンが演じていた一番弟子ですが、本作では一番年下の弟分的な役柄に変更され、
さらにハンサムでプレイボーイ担当、という物凄く変化球なキャラクターに変更された役柄で、（醉拳3）（詳しくはこちら）や、
（刑事ディックキプロスの虎）（詳しくはこちら）、（スリ）（詳しくはこちら）や、（極道統一）（詳しくはこちら）等、
こちらも長年、香港映画界で活躍し続けているサイモン・ヤムが、まだまだ若さを武器にした色気と笑いと、ちょっとしたカンフーアクションを披露して作品を盛り上げています。
で、この最強のウォン・フェイフォン一派に対抗するライバル門派の、つまり悪役道場主役を、（黒豹天下ブラックパンサー）（詳しくはこちら）や、
（香港ばちあたりコップ）（詳しくはこちら）、ジョニー・トー監督の（エレクション）、（天使の眼、野獣の街）等、
こちらも長年、香港映画界で活躍し続けているレオン・カーファイが、憎みきれない悪党役を、爽快に演じています。
で、この主要男性キャストに華を添えるウォン・フェイフォンの恋人となるイー・サンイエ役で、チョウ・ユンファ主演の（ハードボイルド）や、
近年でもドニー・イェン主演の（燃えよデブゴンtokyo mission)（詳しくはこちら）等、こちらも長く活躍しているテレサ・モウが可憐ながらも、ドタバタ全開で、笑いを振りまいています。
さらに、レオン・カーファイの恋人役を、アイドルグループ（開心少女組）の中心メンバーで、映画では（ハッピーキョンシー2）や、
（香港魔界境 死霊の呪文）（詳しくはこちら）等の作品に出演しているチャーリーン・チャンが演じ、出番は少な目ながらも、
かなりの香港映画らしさ全開のお笑いシーンで作品を盛り上げています。
というように、本家以上に豪華メンバーが集結した本作の物語は、伝説の英雄ウォン・ファイフォンは、実は弱かった、という衝撃の事実が、いきなり発覚するところから始まります。
始まって早速に、ライバル道場主、レオン・カーファイとの激突が描かれますが、基本は弟子であるエリック・ツァン達が戦いを担当してくれますので、
師匠は後ろで応援している、という感じで、実は弱い、という部分の笑いを彫り上げていきます。
で、獅子舞合戦なども、同様の手口で、強いフリをするだけで乗り切り、自宅兼医院でもある【宝芝林】に帰るや否や、
実は弱いどころか、立場が逆転し、師匠であるはずのアラン・タムの方が立場が下、という実は弱い、という設定をさらに掘り下げたような人物関係になっています。
で、実は、先代である父親のウォン・ケイインが亡くなる際に、まだ幼かったフェイフォンの世話をラム（エリック・ツァン）とソウ（ン・マンタ）が頼まれ、
フェイフォンと同年代だったフー（サイモン・ヤム）は色恋事を任されたので、それぞれがフェイフォンを立派な人間に育てようとするものの、
フェイフォン自体は争い事を好まない穏やかな性格で、得意な事は料理、という物凄く家庭的な性格だったために、
やむを得ず、他の3人が弟子のフリをして、フェイフォンを英雄に祭り上げる、という面白設定となっています。
（魔界天使）や（異星人大騒動）等も、そうですが、アラン・タムは、この手の奥手の純朴な青年役が非常に似合っていて、
さらに、馴染みの名コンビであるエリック・ツァンが、その純朴から醸し出すズレや笑いを、自分の笑いと共にどんどんと盛り上げながら引き立たせてくれるので、
純朴さが、そのままボケのような役割を果たして全編笑いの渦となっています。
で、そんな実は弱いフェイフォンの所に、ジェット・リー版と同じようにイー（テレサ・モウ）がやってきます。
で、フェイフォンにはラブラブなので、ちょっとラブコメ要素も入って来るのですが、ある時、このテレサ・モウがフェイフォンの弱点だと考えたライバル道場主レオン・カーファイは、
イーを誘拐し、いつも避けられていた決闘を挑んできます。
で、フェイフォンにとって既に大切な人となっているイーを救うため、弱虫フェイフォンが、ついに本気で武術の訓練を開始する、
というのが本筋の流れとなっています。
ただ、大きな流れはありますが、本作のメインの見せ場は、取り留めのないギャグの連続で、香港映画らしく下ネタや繰り返しの笑いの合間に、
しっかりとしたカンフーアクション（勿論武術系のキャストがいないので肝心なところはスタントマン、、というよりほとんどスタントマンのアクションです）が挿入される、
というアクションと笑いの融合で、このアクションが比較的しっかりしているために、ただのパロディではなく、ウォン・フェイフォンものの番外編としての雰囲気を醸し出しています。
しかも、悪役のレオン・カーファイの役名がセッキン（石堅）と、オリジナルシリーズで悪役を演じ、その後（燃えよドラゴン）のハン役や、
（男とたちの挽歌3）、（キョンシー大魔王）（詳しくはこちら）等でも活躍したシー・キエンの名前がそのまま使用され、
しかも、後半にはまさかのご本人登場、というサプライズまで実現する、というオリジナルへのリスペクトに満ちた内容となっています。
という事で、鑑賞中ずっと楽しく、ギャグも今観ても笑えるギャグが多く、茶化すだけではない、豪華キャストの話題作となっていますので、
香港映画好きの方や、コメディアクション好きの方等ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
あと、本作は大ヒットしたため、翌年に同キャストによる続編（黄飞鸿对黄飞鸿）も製作されました。
作品情報
1992年製作 香港製作 アクションコメディ
監督 リー・リクチー 製作 ロニー・ユー、クリフトン・コー 製作総指揮 レイモンド・ウォン
出演 アラン・タム、レオン・カーファイ、エリック・ツァン、サイモン・ヤム、ン・マンタ、テレサ・モウ、シー・キエン、チャーリーン・チャン
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