エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(EVERYTHING EVERYWHERE ALL AT ONCE)

投稿者: | 2023年3月12日

おすすめ度 ★★★★☆☆☆☆☆☆

全宇宙にカオスをもたらす悪を倒すため、コインランドリーの経営者、ミシェル・ヨーがカンフーバトルを繰り広げるSFアクションドラマ!!

作品紹介

2023年3月3日公開

今回ご紹介する作品は、

大変評価されているミシェル・ヨーが大活躍するSF仕立てのレディースアクションドラマです。

それでは、まずはあらすじから、

経営するコインランドリーが赤字続きで、頼りにならない夫、介護が必要な父親、反抗期の終わらない娘等の問題に頭を抱えるエブリンの前に、

突如として「別の宇宙(ユニバース)から来た」という夫のウェイモンドが現れる。

「全宇宙にカオスをもたらす強大な悪を倒せるのは君だけだ」とエブリンに詰め寄るウェイモンドに連れられ、エブリンの想像を絶する旅が始まる!?

アカデミー賞11部門10ノミネートという、大変評価されているミシェル・ヨー主演作品です。

赤字経営のコインランドリーの経営者ミシェル・ヨーが、優しいけれども優柔不断な夫、大学を中退し定職に就かずに、

いきなり女性の彼氏を連れてきた反抗的な娘、その娘に全く理解が無い昔気質の父親の介護、と上手くいかない悩める人生を送るなか、

国税庁に税金の申告に行くと、担当者のおばさんに、厳しくはねつけられる、という散々な目に合っている最中に、

いきなり別の次元からやってきた使者が、夫の身体の中に入り、『全宇宙が迎えようとしているカオスを救えるのは君しかいない!』とミシェル・ヨーに言ったかと思うと、

税金担当のおばちゃんが急変して襲い掛かってきて、そのカオスの根源を倒すために、多次元で暮らす他の自分の人生を経験し、

カンフーを使ってバトルを繰り広げる、という作品となっています。

簡単に言ってしまうと、(スパイダーマン ノー・ウェイホーム)のようなマルチバース設定と、

マトリックス)を掛け合わせたような世界観の作品となっています。

実際の内容は、アカデミー賞に散々ノミネートされているような評価されている作品ではありますが、娯楽映画として見てみると、なかなか賛否別れそうな、

見る人を選ぶような内容となっています。

まず、観る人を選ぶ理由の一つに、割と頻繁に入る下ネタ(下品系もエロ系も)に、恐らく不快に感じる人が結構いるのではないでしょうか。

本作、マルチバースをジャンプするきっかけとして、普段は人が厭だと思う事をやってみる、という設定があり、

黒板を爪でキリキリやるような(例え話で実際にはそんなシーンはありませんが)、『うへっ!』となるような事を行うと、他の次元にワープし、力を付けて戻って来る、

という設定がありますので厭な事や、普通は人がやりたくない事を繰り返します。

その中には、やたらと下品系も含まれしてしまうので、結果的にピンチになる度にそういうシーンが頻出します。ずっと、ピンチですが。

設定はユニークですね。

同じダニエルズ監督コンビの傑作、(スイスアーミーマン)(詳しくはこちら)でもダニエル・ラドクリフが放屁で前に進む、

というお下劣ネタを堂々とやっていましたので、恐らく、そういう要素は必ず入れたいコンビだと思われますが、

えぶえぶ💛)という感じで女性向けにアピールされている、アカデミー賞会員大絶賛の作品でも、そういうシーンを入れまくる、という徹底ぶりです。

この下品系の下ネタが何度となく登場し、しかも一瞬ではなく、その下品を引きずったまま展開される内容に、

なんとなくの不快感をずっと感じてしまう人も結構いるのではないでしょうか。

あと、もう一点、下品ネタはクリアできても、個人的に一番受け入れがたかった点は、、、、

とにかく説明が長い!!

例えるなら、マトリックスでいう所の2と3と4 という感じでしょうか。

自分達が思いついた世界観を説明したくてしょうがない。

という感じで、

物語の7割ぐらいが夫役のキー・ホイクァンの台詞の説明と、それに驚き戸惑うミシェル・ヨーのリアクションで、

残りの3割で、アクションと製作者独特のイマジネーションの目くるめく映像世界を繰り返す、という構成となっています。(個人的なイメージです)

マルチバース

そういえば、同じように世界観を説明したくてしょうがなくて、全てを説明するのに長尺作品3本もかかった挙句に、

物凄く年月が経過してからもなお、4本目の続編で補足していた(マトリックス)シリーズの

ウォシャオスキーズも、二人組なので、4人そろって、(マトリックス)シリーズと本作を繋げるような物語なんかも良いのではないでしょうか。

恐らく20本ぐらいまで続編製作できそうです。

世界観の説明も基本的にはかなり台詞がメインで、その説明中に、矢継ぎ早にくるくると変わるマルチバース映像がパンパン挿入されますので、

とにかく説明にも集中できずに、なんとなく物語が進んでいる、という映像を、客観的に観ていく事になります。

要するに、台詞(しかも英語、広東語、中国の普通語が入り乱れます)での説明と映像の転換の速さに、感情移入が追い付きません。(個人的な感想です)

さらに、本作に感情移入できない、という事で言うと、もう一つ根本的な部分があります。

※↓物語展開に少し触れていますので、ご注意下さい↓※

主人公は、赤字続きのコインランドリーを経営しながら、反抗期の娘や、要介護の父親、優柔不断な夫との生活に大忙し、

もし、あの時、夫の誘いを断って、夢に描いていた映画スターへの道を歩いていたら、こんなにうまくいかない人生ではなく、今頃、、、、

というのが、根底にある物語(シンデレラストーリー的な)ですが、この【もし、あの時】の選択肢として、他の世界で別の選択を選んだ自分が凄い存在として登場して、

その別の人生を瞬時に経験する事で、強いカンフーマスターになったり、大女優の経験を積んだり、という感じで、

現実世界が失敗人生、他の世界が成功人生として、物語上描かれるのですが、

コインランドリーを経営している現実世界は、経営が厳しくても常連のお客さんも結構いて、キー・ホイクァンは、優柔不断ながらも優しいですし、

父親もただ単に昔気質気味、というだけで、基本的には優しい父親で、娘も衝突はあっても、そんなに素行不良というわけではありません。

要するに、何をやっても、上手くいっていない人生ではなく、至って普通の人生です。

ですので、やたらと現実世界のキー・ホイクァンが駄目っぽく印象付けられたり、良好な夫婦関係に見えるのに何故か離婚届を持っていたり、コインランドリー自体が駄目、と印象付けられたりしますが、

古めながらも立派なコインランドリーを経営し、家族の関係も、結構良好に見えます。

ただ、良好なのに、良好ではない、という描かれ方をされた上に、後半になってそんな生活でも良い所はある、

というような、ある気付き、に導かれていき、非常に感動的なクライマックスに繋がっていきますが、前半の普通の日々での前振りが、

後半の気付きに見合っていないので、物凄く感動的な演出ながらも、そこまで、、、、という方もいるのではないでしょうか。(個人的な感想です)

でも、やはり凄いのは、そんなに感情移入できなくても、クライマックスの映像と音楽とキャストの名演で、

なんだかんだとグッときてしまうのが、やはり一流の製作者が製作した作品、というところでしょうか。

センス!!

あと、キーホイ・クァン、(炎のマーシャルアーツ)ぐらいで、アクションスターになっていましたので、

アクションを期待したしましたが、それなりに自身でアクションも演じていましたが、難易度の高いアクション込みのシーンでしたので、

スタントマンの活躍が目立ちすぎるアクションとなっていたのは、ちょっと残念でした。

ミシェル・ヨーのアクションは勿論素晴らしいので、ドラマ部分も含めて全部が見所、という感じで、今後は、また違った活躍も期待できそうです。

という事で、恐らく賛否別れそうな内容の作品ですが、恐らくなんらかのアカデミー賞の主要部門は受賞すると思われますので、

もっとアジア系のハリウッド大作の製作本数が増えれば良いですね!

あと、どうでも良いですが、キー・ホイクァン、声変わりの時期を逸しましたね、、。

作品情報

2022年製作 アメリカ製作 SFアクションドラマ

監督 ダニエル・クワン、ダニエル・シャイナート 製作 ジョー・ルッソ、アンソニー・ルッソ

出演 ミシェル・ヨー、キー・ホイクァン、ジィミー・リー・カーティス、ステファニー・スー、ジェームズ・ホン、ブライアン・リー

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