お薦め度 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
トニー・ジャー、フランク・グリロ、ニコラス・ケイジ共演による2000年に渡るエイリアンとの、謎の格闘技JIU JITSUによる格闘を描いたSFバトルアクション!!
作品紹介
2021年1月15日公開
今回ご紹介するのは、JIU JITSUという謎の格闘技を用いてエイリアンと格闘バトルを繰り広げるアクション作品です。
それでは、まずはあらすじから、
記憶喪失の状態で米諜報部に囚われていた男は、突然現れたケウン(トニー・ジャー)という男に救い出され、自身は6年ごとに執り行われる、
異星人との格闘技試合の戦士である、と知らされる。
にわかに信じられない事だったが、同じ志を持つ仲間の登場もあり、やがて運命を受け入れ、異星人との戦いに目覚めていくのだった!?
6年に一度、宇宙人と人間の間で格闘技試合を行い、人間が負ければ、そのまま地球侵略を開始する、
という漫画チックな設定のSF格闘技アクション作品です。
物語展開は、その大味すぎる設定そのままの進行で、基本的には、ずっと戦っているのみ、の作品と言っても良いぐらいに全体のほとんどが格闘アクションな作品となっています。
その大味な大筋に、主人公が記憶喪失、というそれほど物語に活かされない設定も加わり、主人公がハッキリと記憶を取り戻したのかどうかも、良く分からないままに、
エイリアンとの格闘バトルを展開していきます。
戦闘好きのエイリアンと人間の戦いを描いた作品といえば、明かにSF映画の名作(プレデター)の設定そのままですが、本作はその設定をいただきながら、さらに格闘技対決に絞って描いています。
何故格闘技なのか?などの疑問は当然浮かびますが、エイリアンが格闘好きだから、地球の存亡をかけて格闘技で決着をつける、という説明以外にはありません。
登場するエイリアン自体も姿ごそ、それほど(プレデター)似ではありませんが、体色を変化させて、周りの風景に溶け込む、
という(プレデター)の分かり易い特徴もそのままいただいています。
あまりにB級過ぎで、いただき過ぎている設定ですので、通常ですと魅力に欠ける作品となるところですが、
本作はあえて選んだと思われる、そのスカスカの物語設定を、怒涛の格闘アクションと豪華なキャストで埋めきってしまう、というちょっと他の作品では実現しにくそうな魅力で補っています。
まずは、本作の役柄どうこうよりも、本作出演のために訪れていた日本の滋賀県で、そこで出会った日本人女性と電撃結婚した事の方が話題になったニコラス・ケイジ、
主人公を助けるチームの重要なメンバー役で、前半ワンカット長回し撮影もこなしている(モンスターハンター)や(マッハ!)、(イップマン外伝 マスターZ)(詳しくはこちら)などのトニー・ジャー、
(コンティニュー)や、(ホイールマン)、(スカイライン)など調度良いB級作品でちょい悪オヤジぶりが毎回カッコ良すぎるフランク・グリロ、
そして豪華な共演人に見守られるように主演しているのは、本作の監督のディミトリ・ソゴセティスの監督作(キックボクサー リ・ジェネレーション)と(キックボクサー リベンジ)でも主演しているアラン・ムーシ、
あと地味ですが、ヒロイン的な女ドラゴン役で、元テコンドーチャンピオンで、マックス・チャン主演の(無敵のドラゴン)や、ドニー・イェン主演の(ソード・オブ・デスティニー)にも出演しているジュジュ・チャンなど、
多くのアクション映画で活躍し、しかも実際に動けるキャストを多数そろえた、格闘映画好きのための格闘映画として製作されています。
これだけのプロのアクション野郎が多数集まっていますので見どころとなるシーンも多く、そのアクションの魅せ方、撮り方も色々とチャレンジしているような表現になっています。
特徴的なのは、トニー・ジャーが前半初登場し、記憶喪失の主人公を救出するために、建物を立体的に移動しながら、敵兵士を蹴散らしつつ戦闘(挌闘)を繰り広げるアクションを、
ほとんどワンカットで撮影する、という前半いきなりの見せ場的な、相当気合の入ったアクションシーンが登場します。
最近ではワンカットのアクションシーンも割と流行っているようで、戦争アクション(1917)(詳しくはこちら)や、同じく戦争ものに近い(タイラーレイク)(詳しくはこちら)など、
入念なカメラテストを繰り返し、何度もリハーサルを重ねた上で、やっと奇跡的に成功できる、ような相当な技術力が必要とされる撮影方法で、
そんな努力と技術のおかげで、結果的にリアルで感情を揺さぶられるような名シーンが鑑賞できるわけですが、
本作の場合、アクションを演じているキャストは、超一流で物凄い技を繰り出しているのですが、その素晴らしい技をカメラに収める側の実力がそれに追いついていない、
というか、せっかくワンカットで撮影しているのに、その努力度合いに対して、それほど迫力が伝わってこない、というちょっと残念なシーンとなっています。
トニー・ジャーの凄いアクションも、はっきりと見たい動きが遠すぎて見えなかったり、敵兵が邪魔で見えなかったり、
と積極的に迫力が伝わってきにくい、なんとなくメリハリのない単調なシーンが長めに続く、というイメージなってしまっています。
簡単に言うと、他人のサバイバルゲームの動画をなんとなく見ている、といった感じでしょうか。
あと、格闘をメインにみせるために、銃火器を所持している人間の兵士がいる基地に殴り込みをかけているのに、結局格闘がメイン、
という違和感も、このワンカットシーンをこじんまりとした印象にしてしまっているように感じます。
前半はこのワンカットシーンが短めのシーンも何度か挿入されますので、迫力よりもちょっと単調な感じのアクションが多めですが、
中盤以降、ニコラス・ケイジが登場するぐらいからは、結構カットを割る、アクションをカッコ良く魅せる的確な角度を考慮した格闘シーンも増えていきますので、
この辺りからは観ていて楽しい、テンポの良いアクションが増えていきます。
恐らく、格闘のできないニコラス・ケイジで、ワンカット撮影はできないために、自然にそうなった、といったところだと思われますが、
それは、それで良かったのではないでしょうか。
結果的に、ニコラスもスタントマンの力を借りながらも、カッコ良くソードアクションを演じていました。
で、偽プレデターとの格闘なども繰り広げつつ、後半の怒涛の展開へと突入していきます。
物語展開を書いてしまうと、作品の楽しみが減ってしまいますので、詳しくは割愛しますが、割とシンプルな方向へ整理されていきます。
結局主人公はアラン・ムーシなので、偽プレデターとラストバトル、という事になりますが、このアラン・ムーシ、
見かけは正直地味な印象ですが、その身体能力の高さは、スバ抜けていて、他のアクション作品では、あまり見た事のないような難度の高そうな技を、
いとも簡単にこなしている、というか、こなしているように見せています。
しかもラストバトルなどは、ワンカットではなく、しっかりとアクションを見せるバトルですので、その身体能力の高さに驚かされます。
気づくの遅いですが、、。
流石に周りのスターが濃すぎるので、アラン・ムーシ、後半まで、主役っぽいけど、あまり目立たない、というような立ち位置にずっといますが、
もうちょっとアラン・ムーシを前半から全面に押し出していれば、もっとアドレナリン全開の(スカイライン)シリーズのようなトンデモ傑作B級アクションになっていたかのしれないので、ちょっと残念ですね。
という事で、製作者のやりたい事が前面に出すぎてしまっていて、ちょっと空回り感のある作品ではありますが、ここまでそういう想いが前面にでている作品も珍しいと思われますので、
B級作品好きの方など、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
そういえば、本作登場の偽プレデター、ずっと何かに似ていると思っていたのですが、、
鑑賞し終わって暫くしてから、やっと分かりました。
メフィラス星人!
なんとなく、デザインと配色が似てませんか?
作品情報
2020年製作 アメリカ製作 SFアクション
監督・製作・脚本 ディミトリ・ソゴセティス
出演 ニコラス・ケイジ、トニー・ジャー、フランク・グリロ、アラン・ムーシ、リック・ヨーン、ジュージュー・チャン
その他のフランク・グリロ出演作品
同じ場面を何度も繰り返す男の時間がついに動き出す(コンティニュー)はこちら
↓ランキングに参加しています。宜しければ下記をクリックお願い致します↓