【香港映画】レスキュー(THE RESCUE)133分

投稿者: | 2021年5月29日

お薦め度 ★★★★★☆☆☆☆☆

ダンテ・ラム監督、エディ・ポン主演のゴールデンコンビが再び組んだ、豪華なシーン連続の人命救助アクション超大作!!

作品紹介

2021年5月21日公開

今回ご紹介するのは、ダンテ・ラム監督、エディ・ポン主演のゴールデンコンビによるディザスターパニック作品です。

それでは、まずはあらすじから、

海難救助隊の隊長ガオ・チェン(エディ・ポン)は、救助すべき人命を最優先させるために、危険度の高い任務にも自身の命を危険に晒してもひるまず猪突猛進する救助活動を行っていた。

そんな隊長を部下の隊員たちも慕っていたが、どうしてもついて行けない部下も存在していた。

そんな中、新任のヘリコプター隊隊長のファン・ユーリン(シン・ジーレイ)は、そんな隊長の部下の命を落としかねない危険な行動に対し、出会って早々に意見が対立するのだった。

そして、また新たな大規模な火災が発生し、隊員たちは選択を迫られることになる!?

命知らずの行動にヘリ隊長との意見も度々わかれる

激戦ハート・オブ・ファイト)、(疾風スプリンター)、(オペレーション・メコン)に次ぐ、ダンテ・ラム監督、エディ・ポン主演によるアクションドラマのコンビ作品です。

ダンテ・ラム監督作品は、毎回のように主要登場人物が置かれている境遇が重く、一筋縄ではいかないような困難が降りかかる展開が多いのが特徴となっています。

ダンテ・ラム監督のこの路線を決定づけた作品は間違いなく2008年に製作されたニコラス・ツェー、ニック・チョン共演の刑事アクション(ビーストストーカー証人)だと思われますが、

刑事と殺し屋という別々の境遇ながらも、どちらのキャラクターもこれでもか、というほどの痛々しい境遇に陥る展開が観ていて辛くもなりますが、

後味が悪くなる、という事でもなく、主演二人の自分たちをあえて追い込んでいるような鬼気迫る演技で、ニック・チョン香港アカデミー賞を受賞し、作品と監督、主演二人の評価も一気に上がる名作となりました。

さらに2010年には主演二人の立場を入れ替えて、刑事役をニック・チョンが、犯罪者側にいる人間をニコラス・ツェーが演じ、今度はニコラス・ツェー香港アカデミー賞を受賞する、という快挙を成し遂げました。

その流れもあり、ダンテ・ラム監督作品の一つの流れである、主人公クラスのキャラクターには、必ず何か重い困難がのしかかる、というのが特徴となっています。

で、本作ですが、本作の場合、海難救助隊の物語という事で、何か物凄い事が起こりそうですが、開幕早々に、本作は、中国系作品のなかでも特に潤沢な予算(120億円)で製作されている超大作である、

という事が、その豪華なCGを使用したバリバリの救助シーン冒頭10分程度ですぐに分かります。

しかも、その冒頭のシーンを見る間切り、どうも本作はリアル感を最優先するようなドラマ的な要素よりも、困難なアクションにヒーローが立ち向かっていく、

というヒーローアクションに近いような雰囲気が漂います。

CGの多様も、そういう面を意識して、少し現実味の薄いシーンでも、カッコ良く見える方を優先して演出しているように見受けられました。

この路線だと、ダンテ・ラム監督のいつもの重い展開も薄めの、海難救助隊を舞台としたヒーローアクションとして鑑賞する事になりそうです。

ダンテ・ラム監督は、生粋の香港映画時代に女性アイドル、ツインズの主演するジャッキー・チェン顔見せ出演作(ツインズエフェクト)なんてヒーローアクションも監督していますので、

それはそれで、十分楽しめる作品でしたので、そっち路線での期待も高まる出だしとなっています。

前半を見る限りは、割とベタ系の展開で、主人公は小学生の一人息子がいるシングルファーザーで、奥さんは亡くなっているようですが、その辺はあまり詳しく掘り下げるところまではいかないようなので、

今回は主人公の境遇的にはそれほど重い状況にはならないそうな展開になっています。

むしろ息子との関係が丁寧に描かれていて、シン・ジーレイとの意見の対立も、後ほど息子との関係を絡めて、ラブロマンス路線に発展していきそうな予感もしますので、その辺も含めてベタな展開になりそうです。

で、海難救助シーンに突入していきます。

出だしのちょっと非現実的な、爆発炎上している海上タンカーにヘリコプターからロープにぶら下がった状態で、かなりの高さから、ターザンのようにロープを揺らしてジャンプして着地する、

というあまりにコミックヒーロー過ぎる出だしを皮切りに、事故で大破したトラックの運転席部分だけが下に流れる大河の急流に落下して、そこに閉じ込められた運転手を飛び込んで救いに行ったり、

制御不能になった航空機が海上に不時着した現場に出向き、多くの犠牲者が出る中で、海底に沈むまでのタイムリミットが迫る中、乗客の多くを救出するも、隊員の中に犠牲者が出てしまったり、

と、配給会社の【10分に1回クライマックス!】は、流石に言い過ぎにしてもかなり濃厚に大事故は起こってしまいます。

後半で犠牲になってしまう隊員は、前半から婚約者と結婚する、しないのエピソードが描かれていますので、流石にダンテ・ラム監督作品でなくても、ベタな流れがありますので、そうなるだろうという定番の展開となっています。

ただ、分かってはいても結構涙腺は緩む描かれ方となっています。

で、この件をきっかけに猪突猛進方だったエディ・ポンも自身のアイデンティティを見失ってしまい、茫然自失、普段は小学生の一人息子と仲睦まじく幸せに暮らすシングルファーザーですので、

息子との時間のみに全てを費やす生活に入ってしまいます。

要するに現場からは一線を置いてしまいます。

ここまで、結構ベタ、と言っても良いぐらいの展開でしたので、ラストの展開に向けて、何かの理由で主人公は現場に復帰して大復活への期待感が高まります。

という事で、ここからがダンテ・ラムらしさが爆発します。

救難現場でも色んな物が爆発していますが、本作のストーリー的にはダンテ・ラムらしさが爆発します。

人命救助に命を懸ける精鋭たち

※↓ここから先はベタではない展開ですので、真っ新な状態で作品をご鑑賞したい、という方はご注意ください↓

突然、主人公の息子の目が見えなくなり、救急車を呼ぶことになります。

で、診察してもらったら、脳に腫瘍ができていて、それが肥大して視神経を圧迫しているために死力を奪われているので、

早急に手術をして腫瘍を取り除く必要があるが、成功確率は30%程度である、事を告げられます。

いや、ダンテ・ラム監督、相変わらずですね!

それまでが、あまりにベタな展開だったので、不意を突かれてしまいましたね。(一応、途中で息子が目が見えにく、という描写はありましたが)

いつもそうですが、正直、そこまでしなくても、、というぐらいの重い、何かがのしかかります。

で、結局手術はしないとどうしようもないので、することになります。

で、ここからさらにダンテ・ラム節が加速します。

悲劇性を高めるため(おそらくですが)に、その手術シーンをしっかり、はっきり見せる、という眼を背けたくなるようなシーンをガッツリ見せていきます

ここでは描写できないぐらいに、はっきりと描かれています。

いや、そこまでしなくても、、。

さらに、手術前直に大規模な火災が起こって、息子は健気にも『お父さんはヒーローだから皆を助けに言って、そして必ず帰ってきて』と言います。

主人公が復活するための理由、、そうくるか、といった感じで、それまでのベタな展開を、急にダンテ・ラム節で大きく味付けされて、急に本線に戻ることになります。

で、エディ・ポンは突如復活し、リュックサックを背負って事故現場に走り出します。

その間、息子の手術も行われていますので、後半の展開は、まさかの息子の手術シーンと主人公の救助活動シーンを同時進行で交互に見せるという、

まるで手術の施術の過程一つ一つが、サスペンス要素の一つとして機能しているような独特の表現方法で、ダンテ・ラムらしさが全開となります。

普通は、手術室に入るシーンだけで、その後は救助シーンになって最後に、手術は成功したのか?という引っ張り方になると思われますが、やはり独特ですね。

という事で、ラストまで書いてしまうと作品としても楽しみが無くなってしまいますので、割愛しますが、一旦終幕になってもスタッフロール時にその後も物語も少し描かれていますので、

ご鑑賞される方は、最後までしっかり見てください。

それと、意見の対立するヘリコプターパイロット隊長役のシン・ジーレイの後半のシーンで物凄い名演技を披露しています。

主人公は爆発炎上する危険地帯に取り残されているが、あまりに危険すぎて、現地までヘリコプターを飛ばす事ができない状況になっていまいます。

シン・ジーレイは離陸許可を本部に求めますが、許可が下りません。

他のヘリコプター隊の隊員が2人乗っているので、パイロット本人を含む、その隊員たちの命も危険にさらる事になるので、本部としては許可を下す事ができない状況です。

そこで、現場で取り残されているエディ・ポンからの無線が入ります。

止めろ、絶対来るな、もう脱出する方法はない

主人公とのやり取りは、この無線回線のみとなっています。

ですので、シン・ジーレン側には主人公がどうしているのかが音声情報でしか分かりません。

主人公が悪戦苦闘している音声と死力を尽くして頑張ってみたけれども、もうどうしようもないとろこまで来てしまっている、という目まぐるしく変わる危機的な状況を音声のみで把握することになります。

そして、ついにエディ・ポンは言います。

息子の事を頼む

この台詞にシン・ジーレンの感情も抑えきれなくなりますが、その後も現場の状況はしっかりと展開していきます。

その展開を含めて、物凄く上下動する極限の感情の動きを、狭いヘリコプター席からのアップのカットのみで全て表現しています。

あまりの名演技に、そこには、本当の海難救助隊の隊長を心配している本当のヘリコプターパイロットが存在しているようにさえ見えます。

アップの表情だけで、全て表現してしまうシン・ジーレイ、逸材ですね。

という事で、基本的な展開としては、ベタベタな展開の豪華なレスキューアクション作品ですが、しっかりとダンテ・ラム印のついた、名演技も堪能できる娯楽作品となっていますので、

アクション好きの方や、香港映画好きの方などご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。

結構、ドキドキハラハラの連続ですよ。

このシーンのシン・ジーレイの演技力の凄さに涙腺かなり緩みます!!顔の表情のアップと音声のみで状況を説明しきる表現力が物凄いです!

作品情報

2020年製作 中国製作 ディザスターパニック

監督 ダンテ・ラム

出演 エディ・ポン、シン・ジーレイ、ワン・イェンリン、ワン・ユイティエン、シュー・ヤン

色々な状況に備えた訓練を日々行う

その他のディザースターパニック作品

ディザスターパニックというよりほとんどヒーローアクションなハリウッド監督サイモン・ウェストの中国製作作品(ボルケーノパーク)はこちら

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