【香港映画】プロジェクトV(急先蜂VANGUARD)107分

投稿者: | 2021年5月14日

お薦め度 ★★★★☆☆☆☆☆☆

要人警護会社のボス、ジャッキーがクライアントを守るため、世界各地で中東過激派とのバトルを繰り広げる、盟友スタンリー・トン監督とのコラボレーション最新作!!

作品紹介

2021年5月7日公開

今回ご紹介するのは、50年以上アクションスターとして、常に新作を製作し続けているレジェンド、ジャッキー・チェンの最新主演作品です。

それでは、まずはあらすじから、

世界中にクライアントを持つ世界的な要人警護会社(ヴァンガード)を率いるトン(ジャッキー・チェン)は、実業家チョン(ジャクソン・ルー)の誘拐事件解決の依頼を受ける。

その任務にロイ(ヤンヤン)とチョン・ホイシュン(アレン)、ミヤ(ムチミヤ)を派遣するが、任務中にロイとクライアント、チョンの娘を連れされてしまう。

捕まった二人を救出するために(ヴァンガード)は大きなチームを組んでアフリカへと飛ぶことになる!?

アクション引退宣言が嘘のようなアクション全開のジャッキー

今年67歳のジャッキー・チェンが盟友スタンリー・トン監督と再びコラボレーションで見せるド派手アクション最新作です。

この二人のコンビ作は1992年の(ポリスストーリー3)に始まり、1994年には(ポリスストーリー3)に登場したミシェル・ヨー演じるヤン刑事を主人公にしたスピンオフ(プロジェクトS)へのジャッキーのゲスト出演、

1995年には、全米で興行収入1位に輝いた記念すべき(レッドブロンクス)、そして1996年の(ポリスストーリー)シリーズ第4弾(ファイナルプロジェクト)、

2005年にはコンビ作では初挑戦の時代劇ものである(THE MYTH神話)、そして近年に入っても2017年、まだ記憶に新しい(カンフーヨガ)で、ファミリーアドベンチャーに挑戦、

など、派手で大掛かりなアクションを軸としながら、その時代に合った内容の作品を提供し続けてきました。

その良好な関係は、本作本編終了後のジャッキー作品恒例のNGシーン集に、しっかりと収められています。

本作のNGシーン(というよりどちらかと言うとメイキング映像集的な場面が多いですが)には、この二人が演出していたり、

撮影したシーンについて語り合っていたり、多分これからアクションシーンを撮影するであろうタイミングで、二人そろって準備体操をしているシーンなど、

非常に興味深いシーンが多く収録されていますので、本編終了後も楽しめるようになっています。

ジャッキー作品をNGシーン観ずに帰ってしまう人はほとんどいないと思いますが、、。

というわけで、NGシーンの凄さが、そのまま本作のアクションの凄さを物語っていますが、本作はスタンリー・トン監督作品らしく、全編ド派手なアクションの連続となっています。

まずは、冒頭いきなり要人救出に向かったヤン・ヤンアレンの二人組が闇組織とのバトルに突入します。

ここのアクションではっきりとヤン・ヤンは外見とアクション両方でのキャスティング、アレンは演技、というか人気と雰囲気でのキャスティングだという事がはっきり分かります。

この本作のアクションシーンで大活躍しているヤン・ヤン、個人的にはほとんど知りませんでしたが、

舞踏芸術学科を卒業しているようで、その身体能力の高さは、武術を身に着けている人の力強いアクションではなく、舞踏からくるしなやかなアクションメインとなっています。

ただ、結構なトレーニングを積んだのか、しなやかな中にも破壊力のありそうな技が飛び出していましたので、ちゃんと武術に秀でた青年を好演していました。

しかも今現在中国では人気が鰻上りのようで、テレビドラマや映画での露出度が急速に上昇中な状況です。

本作でもしっかりと存在感を残していましたので、今後活躍が期待できそうです。

人気急上昇中のヤン・ヤン。なかなか凛々しいですね。

で、演技というか雰囲気担当のアレンはさておき、本作ではもう一人の若手注目株が登場します。

ヴァンガード)の女性構成員役で登場するムチミヤです。

今後、女ドラゴンとして大活躍してくれそうなムチミヤ

女優をやりつつも、中国にヨガを広めている有名なヨガインストラクターでもあるようで、中国では絶大な支持を得ているようです。

このムチミヤ(失礼ながら、覚えやすそうで、覚えにくい名前ですね、、)、近年、本作以外でもアクション作品で結構活躍していて、

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ英雄復活)や、ジャッキーの(カンフー・ヨガ)、(西遊記 孫悟空VS白骨夫人)などに出演しています。

個人的には3作全て鑑賞しましたが、正直印象に残っていませんでした。

ところが、本作は、その無鉄砲で男勝りなキャラクターで、体の柔軟性を最大限に利用した格闘アクションは、素晴らしく、他の作品では感じられなかった華麗なる【女ドラゴン感】が、全面に押し出されています。

その【女ドラゴン感】を維持しつつ、後半ある作戦を実行するためにセクシーな一面も、ちらほらと垣間見せ、非常に魅力的なキャラクターとなっています。

このムチミヤ主演でレディースバトルアクション作品など、今後登場してくれたら嬉しいですね。

華麗なる技を繰り出すムチミヤ。カッコ良いです。

というような感じで、本作はジャッキー作品ではありますが、アクションの見せ場自体は、結構若手に譲っています。

ジャッキーも撮影当時65歳という事で、なかなか以前のようなアクション出ずっぱり作品というのも難しいとは思いますので、今後も本作のような役柄は増えていくのはしょうがないですが、

正直、やっぱり少し寂しいですね。

で暴れまわっているジャッキーは常にそのままの姿なので、

当たり前ですが、自分たちが普段何度も鑑賞してきた(酔拳)や(蛇拳)、(プロジェクトA)や(ポリスストーリー)など、

不変の名作は、勿論不変ですので、どうしてもそのままのイメージを勝手に想像してしまいますが、

現実のジャッキーは年数も経過して、その分年齢も重ねているので、いつまでも動きっぱなしが不可能なのは当然のことですね。

とは、言いつつも本作でもしっかりとアクションはこなしていますので、非常に楽しめるアクションシーンが盛りだくさんの作品となっています。

今回の格闘系のアクションは関節技など、あまり動きの少なそうな技メインのバトルです。それでも無問題だぜジャッキー。

ただ、本作、ちょっとCGを多用している面もあり、その辺が受け入れにくい人もいるのではないかと思われます。

特にCGを多用した動物とのアクションシーンなどは、正直そこまで動物を絡めなくて描き切れそうな物語でしたので、あえてCGを多用することも無かったような気もします。

それと、後半、本作は民間が経営している警護会社レベルをはるかに越えた、戦争映画並みのバトルシーンに突入していきます。

この割とトンデモな展開と、そこでも多用されるCGに関しても、そこまでCGを多用するまで国家レベルの戦闘を描く必要があるのか?という疑問もちょっと残るぐらいに規模の大きいラストとなっています。

下手したら、そういうやり過ぎる展開をツボにしたコメディシーン?というぐらいのレベルになっています。

(ヴァンガード)の精鋭たち

という物凄い展開の本作ですが、そのCG多用のアクションシーン造りの理由が、本編終了間際に、ある程度分かるようになっています。

物語終了直前に、出演者たちが画面に向かって(観客に向かって)、『新年おめでとう』と皆で叫ぶシーンで幕引きとなります。

これは、どういう事でしょうか。

香港や中国では旧正月という、一年で一番めでたい時期に、家族で出かけて食事や映画などを鑑賞する、という文化があります。

その時期に上映されるような作品は、毎年、その時期に鑑賞するため用の、極端に明るく楽しい作品が公開されます

そのような作品は普段見れないような豪華なキャスト陣が一堂に会して、幕引き前にこちら(観客)に向かって『新年おめでとう!』とあいさつして終わる、

というのが通例となっています。

要するに日本のテレビ番組のお正月特番的な意味合い(勿論映画作品なので、ちゃんとした映画の世界観の中で、描けるレベルですが)のある作品が製作、公開されます。

ですので、そんな文化のない日本で、全く関係ない時期に鑑賞すると、何のことか全くピンときませんが、ご当地では、そういう意味合いで製作された作品という事になります。

そういった時期に公開されるような作品が、香港や中国以外で公開される事自体が少ないので、めったに日本の映画館で上映される事はほとんどありません。

製作の段階で、世界的な公開が約束されているようなジャッキー作品で、この旧正月感を出している作品も、外にはなかったのではないでしょうか。

旧正月時期に公開!(予定)

で、本作も、振り返ってみれば、春節(旧正月)のお祭り時期に起きた要人誘拐事件から物語が始まっていますので、良く考えてみたら、内容自体も完全に旧正月をイメージした物語となっていたわけです。

という公開時期の背景もあり、本作は要するに旧正月向けのド派手な爆竹や花火のような意図があって製作された作品という事になります。

ですので、CGなどを多用してとにかく派手な場面づくりを狙って製作された作品ですので、後半のトンデモ展開や、CGアニマル登場は、

旧正月気分で鑑賞すれば、それほど違和感のあるものでもないのかもしれません

それにしても、、とは思いますが。


そんな意図で製作されている本作ですが、当初は2020年の旧正月公開の予定でしたが、結局コロナの影響で、中国での公開も9月まで延期となってしまいましたので、どちらにせよちょっと時期と内容がづれてしまいましたね、、。

結局9月30日公開!

あと、本作、もう一つ、個人的には非常に注目していたポイントがあります。

それは、ジャッキーの話す言語です。

予告編で見る限りジャッキーが話している言語が広東語になっているんです。

最近のジャッキー作品は中、国に本拠地を移して以来、もう香港時代に話していた広東語ではなく、中国の普通語をメンに使用して台詞を話しています。

さかのぼって観ると、おそらく2006年の(プロジェクトBB)以来の事ですので、10年以上に渡って広東語の作品が無かった事になります。

で、期待に胸を膨らませて鑑賞したのですが、なんとほとんど全編広東語でやり取りをする、香港時代の雰囲気をもった作品となっていました。

とにかく派手!

ん、、?でも、、ですよ。

本作は、ジャッキー以外はほとんど中国側の出演者ばかりで、普段話している言語が広東語の人なんか一人もいません、、。

これは、どういう事でしょうか。

しかも、良く見たら、口の動きと発している言葉が全然あっていませんね、、。

こ、これは、キャスト全員が話しているのは普通語で、後ほど広東語で録音し直した台詞を場面に充てていく、いわば広東語吹き替え版、と言っても過言ではない音声の作品ですね、、。

作品中に流れるジャッキーが歌った挿入歌は、なぜかそこだけ普通語でしたし、

途中出てくる現地の警察官が少しだけ話す中国語は、何故か普通語で、しかもそこだけ同時録音っぽい感じの音声となっていたりしてなんとなく違和感も漂います。

これは、どう考えても中国本国で公開する際に、広東語で公開されたとは考えにくいので、おそらく、本作には普通語バージョンと広東語バージョンが存在するということのではないでしょうか。

ジャッキーの声自体は、ジャッキー本人がそのまま声を充てているようなので違和感はありませんが、要するに音声自体は全てアフレコの作品という事のようです。

何故、本作に限って、広東語吹き替えバージョンが日本で公開されたかは、不明ですが、おそらく、日本公開というより中国地域以外の世界公開バージョンが広東語、という事なのではないかと思われます。

正直、吹替声優(?)がアグレッシブ過ぎて、声とキャストの外見や演技との違和感を感じる配役(?)もあったりで、気になってしょうがない状態でしたが、

それでも、ジャッキーが広東語で台詞を話す作品は今後何回も観れるとは限らないですし、むしろ本作が、もしかしたら最後という可能性もあります。

ですので、そういった香港時代のジャッキー作品の雰囲気を言語という形で感じられる貴重な作品でもありますので、65歳の現在のジャッキーの活躍を是非ご鑑賞してみてください。

でも、個人的にはムチミヤの活躍が一番カッコ良いと思ってしまいましたが、、。

この後、ライオンとのアクションシーンがあります。
激烈アクションは本作でも健在!

作品情報

2020年製作 中国製作 アクション

監督・脚本・製作 スタンリー・トン 制作 バービー・タン アクション監督 スタンリー・トン

カー・スタント ブルース・ロウ

出演 ジャッキー・チェン、ヤン・ヤン、アレン、ムチミヤ、シュ・ルオハン、ジュー・ジャンティン、ジャクソン・ルー

若者に続いて飛び降りようとして、『むこうに階段があるよ』と言われるジャッキー

その他のスタンリー・トン監督作品

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その他のジャッキー出演作品

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