【推薦!香港映画】キョンシー(彊屍RIGOR MORTIS)101分

投稿者: | 2021年9月19日

お薦め度 ★★★★★★★☆☆☆

伝説的名作(霊幻道士)を、新世代エンターティナージュノ・マック監督が、笑いの要素を一切抜き取った切なすぎる最恐リブート作として映画化!!しかも製作はまさかの(呪怨)の清水崇監督!!

作品紹介

2014年10月25日公開

今回ご紹介するのは、伝説的名作(霊幻道士)を新世代監督によってリブートした完全なホラー作品です。

それでは、まずはあらすじから、

かつて(霊幻道士)の俳優として人気を得た俳優チン・シユウホウだったが、今は落ちぶれ、妻子とも別れ、人生に絶望していた。

自ら命を絶つために、ある寂れた団地にやってきた彼は、やがてそこに巣くう怨霊や、成仏できないキョンシーとの戦いに身を投じて行くことになる!?

かつて(霊幻道士)で有名になった後落ちぶれたチン・シユウホウ役を本人が演じます。

伝説の傑作キョンシー映画(霊幻道士)(詳しくはこちら)を新世代エンターティナー、ジュノ・マックがリブートしたホラー作品です。

本作では、原作にあったファミリー的なコメディ要素を完全に取り除き、人生の終着点のような団地で彷徨う人々を描く、

背筋の凍るダークホラー作品へと生まれ変わっています。

歌手としてアイドル的な活躍をしつつ、自身の製作事務所でアーティストとして活躍してきたジュノ・マックが、自身の主演・脚本作品、(復讐の絆)の続編製作を発端として製作された作品です。

企画は結局、(霊幻道士)のリブートという形で落ち着き、さらに笑いの要素を一切排除して、完全なダークホラーとして描く、

という大胆な発想の世界観となっています。

この世の終着点のような団地

作品的には(霊幻道士)の娯楽感満載の内容とは180度違う作品ですが、キャスティングや、設定など、原作ファンなら感涙のリスペクト要素が多数見受けられる作品となっています。

まずはキャスティングですが、主人公はかつて(霊幻道士)で有名になったものの、その後落ち目になり、人生が上手くいかなくなって、妻と子供とも離ればなれになり、

人生に絶望したチン・シユウホウ、という役柄を実際に同じような人生を歩んできたチン・シユウホウ本人自身が演じています。

この意表を突くキャスティングと役柄が、この世の終わりにたどり着いてしまったようなダークな絶望感を生みだしています。

チン・シユウホウの人生に絶望したような眼差しが切ない、、。

そのチン・シユウホウを助ける事になる道士役にアンソニー・チェン

(霊幻道士)の顔、アンソニー・チェン

一作目では主演のラム・チェンイン道士の弟弟子の道士役で、冒頭とラストで出演、4作目の(霊幻道士完結編/最後の霊戦)では、主演の道士役という(霊幻道士)シリーズの顔の一人となっています。

今回は、少なくなってしまった現代の道士の生き残りとして、作中に登場する団地で食堂を経営しながら、邪悪な存在と戦っているそれなりに頼える存在として登場します。

また、着ている衣装は肌着系のシャツにトランクスという香港の下町っぽい衣装ながらも、上には長い丈の寝巻のような衣装を常に羽織っていますので、

それが道士の衣装のように見えて、常に動くたびにヒラヒラとなっています。

この初登場シーンがかなりカッコ良いです

さらに、ラストバトルでは、この寝巻が、本物の道士服に変わって、カッコ良く決まります。

でも、下は肌着のまま、というところが、また良い感じです。

次に、本作のある意味主役ともいえる、キョンシーになってしまう哀しいお爺さんを演じているリチャード・ンは、(霊幻道士3)で、インチキ道士を笑いたっぷりに演じていました。

霊幻道士3)以外にも、サモ・ハンキンポーの(五福星)シリーズや、(ミスターブー)(詳しくはこちら)など、

80年代の香港映画には欠かせないコメディ作品の常連俳優として活躍していました。

そのリチャード・ンが、本作では、最恐のキョンシーを演じる、という意外性だけでも、観る価値はある作品となっています。

まだ人間だったころのリチャード・ン
最恐キョンシーに、、

そして、最恐キョンシーを作り出す術を施してしまう、道を踏み外した道士役にチュン・ファット

久々の登場チュン・ファット!!

1作目と4作目に出演しています。しかも、どちらもチュン・ファットキョンシー事件を巻き起こす原因を作っています。

本作でもほとんど同じような原因を作る役柄で登場し、チン・シユウホウとのバトルや、双子の怨霊とのバトルもありますので、意外にアクションもこなしています。

70年代、80年代は(霊幻道士)以外にもサモ・ハンキンポー作品の多くで、その個性的な雰囲気を活かして印象深く活躍していました。

チン・シユウホウとのバトルもあります

そして、(霊幻道士)オリジナルキャストから、嫌味な隊長役で活躍していたビリー・ローも出演しています。

オリジナルシリーズでは1作目から3作目まで、同じような嫌味な役で出演していて、その後他の作品でも同じような役柄を演じていました。

近年人気が復活してきたようで、ドニー・イェン主演の(スーパーティーチャー熱血格闘)(詳しくはこちら)等でも、生徒の父親役で出演していて、

親子のドラマを熱演して涙を誘っていました。

嫌味な感じは抜け落ちて、良い感じの味のあるおじさんになりました。

あと、(霊幻道士)シリーズには未出演ですが、70年代80年代の元気だったころの香港映画には欠かせない存在だったレディドラゴン、カラ・ワイも出演しています。

あまりの出来事に精神に異常をきたしてしまった母親という難役

ある事件を原因として、幼い息子と二人で、この団地から抜け出せなくなった哀れな親子を演じています。

後半は、カンフーアクションこそないものの、最恐キョンシーとの対決もありますので、このシーンは非常に盛り上がります。

近年は、ドニー・イェン主演の(捜査官X)以降、再びレディドラゴンとしての人気も吹き替えし(ミセスK)(詳しくはこちら)などの単独主演作も公開されています。

さらに、2010年製作の(心魔)では香港アカデミー賞の主演女優賞を受賞、そして本作では、香港アカデミー賞助演女優賞を受賞しています。

双子の怨霊の存在に常に怯えています。
ラストはキョンシーとのバトル!

他にもリチャード・ンを失いたくないあまりに、道を踏み外してしまう妻役で、ニナ・パウが熟練の演技で、その善と悪の境界線のボーダーラインを越えてしまいます。

特に、中盤リチャード・ンを前に感情の浮き沈みをワンカット長回しで表現する、という物凄くニ面性を持ったキャラクターを感じさせるシーンは圧巻です。

悲しすぎるあまり善悪の区別がつかなくなってしまうニナ・パウ
愛深きゆえに、、
このシーンは悲しくも恐ろしい、、、

そんな原作へのリスペクトをふんだんに盛り込みつつも、新しい映像感覚で再構築された本作ですが、本作は、(呪怨)で世界的に有名な清水崇監督が製作にあたっているという事で、

Jホラーなどからの影響も多々見られ、特にキョンシーと共に登場するもう一つの邪悪な存在、双子の怨霊の恐怖表現にその影響が強く見られます。

ちょっと(シャイニング)の影響もあるかもしれません

キョンシーもの以外の香港ホラーが、邦画の(リング)シリーズの大ヒットよる影響で、ほとんどの作品が、Jホラー的な要素を持っていますが、

本作は本家Jホラーの旗手、清水崇監督が参加した事で、ハリウッド作品などでは感じる事のない、闇に蠢く邪悪な存在を常に感じさせられるような恐怖感を感じる作品となっています。

この伝統のキョンシーホラー要素に、Jホラー要素を加えて、それを新世代のエンターティナーのフィルターを通して描く、

という表現が、近年の香港ホラーになかった映像世界を生みだす結果となっていて香港で大ヒットを記録しました。

Jホラーの影響大

後半の展開は、キョンシーという邪悪な存在に対して呪術に後押しされた、腕力勝負的な要素もあり、カンフーがメインの見せ場ではありませんが、

旧作のアクション要素をほんのり匂わせる、盛り上がる展開となっていきます。

この勝負の行方を、開幕早々に見せてしまう、という大胆で興味を誘う演出方法も含めて、これが初監督作品とは思えないジュノ・マックの才能を証明するような傑作となっています。

悲しい親子を助けるためにもう一度立ち上がる

本作出演を機に、チン・シユウホウの人気も盛り返し、亜流ではありますが、(霊幻道士)の新シリーズも再開され、似たような役柄を演じている(呪術大戦)(詳しくはこちら)なども製作されましたので、

今後も(霊幻道士)のレジェンドたちの活躍に期待したいですね。

最後は独特の映像感覚のバトル!!

という事で、新しい感覚で、名作をリブートした切なすぎる恐怖作品となっていますので、(霊幻道士)ファンの方も、ホラー好きの方も楽しめる作品となっています。

できれば、オリジナルシリーズを全作観返してからの鑑賞をお薦めしますが、4作は大変ですので、1作目だけでも観返してご鑑賞ください。

あと、オリジナルの挿入歌(鬼新娘)が本作でカバーされていますが、涙が出るほどめちゃくちゃ切ないです!!

しかも歌詞と物語がシンクロしてます。

ついに、そのジャンプもやります。少しですが。
お札は廊下一面に呪詛を書いて代用
女幽霊の嫁入りシーンも本作では恐ろしいシーンに、、
道士がキョンシーを操るときに使用していた鈴は形を変えて、カラ・ワイが息子を呼ぶときに使用する鈴として登場

作品紹介

2013年製作 香港製作 ホラー

監督・脚本 ジュノ・マック 制作 清水崇

出演 チン・シユウホウ、アンソニー・チェン、ニナ・パウ、リチャード・ン、カラ・ワイ、チュン・ファット、ビリー・ロー

チン・シユウホウが処分できずに持ち歩いている(霊幻道士)の衣装
ジョニー・トー作品でお馴染み、ロー・ホイパンも出てます

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