おすすめ度 ★★★★★☆☆☆☆☆
中国の人気武侠ドラマ（絶代双驕 〜マーベラス・ツインズ〜）と同じ古龍原作の人気小説を大胆に改変し、アンディ・ラウ、ブリジット・リンで映画化したエリック・ツァン監督の武侠アクション！！
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介するのは、アンディ・ラウとブリジット・リンが共演しエリック・ツァンが監督した武侠アクションです。
それでは、まずはあらすじから、
人里離れた（悪人の谷）と呼ばれる集落で育った青年、小狸（アンディ・ラウ）は、育ての親たちの汚名を晴らすために、
真犯人が出場するという武術大会に出場する。
そこで出場者の一人であるホア（ブリジット・リン）と運命的な出会いを果たし、お互い愛し合うようになっていくが、
その大会の裏側ではある陰謀が張り巡らされていたのだった！？
古装片の大ブームの中で製作されたアンディ・ラウ主演、ブリジット・リン共演、エリック・ツァン監督作品です。
原作は古龍の人気小説（絶代双驕）ではありますが、双子の兄弟がメインで活躍する物語なのに、双子の物語はほとんど関係ない
という大胆過ぎる改変が行われた作品ですので、なんとなくの設定だけ残したほとんどオリジナルストーリーのような作品となっています。
まぁ、香港映画には良くあることですが、、、。
勿論、原作に人気がありますので、これまでにも何度となく映像化が繰り返されてきたのですが、日本で有名な作品ですとニコラス・ツェー主演のテレビシリーズ（プライド）等が人気でしたが、
今現在では、インターネット配信中の中国ドラマシリーズである（絶代双驕 〜マーベラス・ツインズ〜）が一番人気ではないでしょうか。
正直同じ原作（一応）である本作の方よりも、はるかに知名度の高い作品となっているようです。
そちらはまだ未鑑賞ですが、おそらく物語的には、寄り原作に近い内容になっているのではないでしょうか。
個人的に（絶代双驕 ）と聞いて思い出すのは、アンディ・ラウ主演の本作か、ショウブラザース製作、アレクサンダー・フーシェン主演の映画版ですので、
テレビドラマをあまり連想しないのですが、今の時代の流れでは、どう考えてもドラマ版の人気がダントツですね。
その他にもトニー・レオンとミウ・キウワイ主演のドラマ版など多くの作品が製作されてきました。
そんな人気の原作の映像化である本作での見所は、なんといっても当時（スウォーズマン）シリーズで演じた東方不敗のキャラクターで大ブレイク中だったブリジット・リンと
既に大スターとして不動の人気を得ていたアンディ・ラウが本格的に共演した作品だという事が一番の売りとなっています。
しかもそのビッグな二人の共演を大ブーム中の古装片の世界で描いていき、監督を既に香港映画界の重鎮となっていたエリック・ツァンが自ら監督する、
という話題性が重なった作品となっています。
非常にスタッフ・キャスト共に一流が揃っていますが、脇を固めるキャスト人も凄く、アンディの育ての親役で、
当時（少林サッカー）までのチャウ・シンチー作品で絶大な人気を誇っていて、近年も（妖魔大戦争シークレット・マジック）（詳しくはこちら）等で活躍中のン・マンタと
（サイクロンZ）や（燃えよデブゴン4ピックポケット！）（詳しくはこちら）等で大活躍しているディニー・イップが登場し、
二人で夫婦漫才のようなやり取りで笑いを振りまいています。
その他にも、気の良い友人だったキャラクターが中盤以降、急にラスボス級の悪党に変貌を遂げる二面性のある役柄に後にジョニー・トー作品などの
男臭い役柄で大ブレイクしていく事になるフランシス・ンや、
バリー・ウォン映画の常連チョン・マン、（君さえいれば）等のアニタ・ユン、（五福星）シリーズや近年（キョンシー）（詳しくはこちら）等でも活躍しているリチャード・ン、
（香港カンフードラゴン少林寺）等のミウ・キウワイ、（マッドカンフー地獄拳）（詳しくはこちら）などのチャン・ロン、
（燃えよデブゴン7鉄の復讐拳）（詳しくはこちら）等の悪役で有名なフォン・ハックオン、（狼 男たちの挽歌 最終章）等の悪役で有名なシン・フイオン等、
エリック・ツァンの香港映画界への貢献度が伺えるような物凄い豪華なキャストが実現している作品となっています。
ただ、キャストの顔ぶれは凄いですが、本作は有名原作をかなり改変しながら1本の物語に無理やり押し込んだようなストーリーとなっていますので、
豪華キャストが演じたそれぞれのキャラクターは、正直それほど活躍しないのが悔やまれます。
個性的（っぽい）思わせぶりな、色んなキャラクターは登場はするものの、登場するだけで何もしない、という感じでしょうか。
しかも、それぞれが名前の通っているスターなので、何か活躍しそうな感じで登場するので、その都度興味がそっちに向かっていくものの、
活躍しない、というか、その後登場しない、というパターンが多いので、風呂敷を広げっ放し感が常に残る構成となっています。
そいう事なら、主演二人に絞って描いて欲しかったところですが、当時の香港映画は、少しでも観客にアピールできる要素があれば
どんなことでも貪欲に（それがパクりや作品の世界観を崩してしまうような事であっても）取り入れていく、
という風潮がありましたので、色々と貪欲に盛り込んだ末の結果だとと思われます。
そういうところも、当時の香港映画の流れを垣間見れて良いといえば良いのですが、、。
そんな、ちょっとブレのあるストーリーですが、基本はアンディとブリジット・リンの愛は勝つ、といった分かりやすい純愛が中心にある
ロマンティックストーリーという感じで、これまで悲劇的な展開の超人的武芸の達人や、性別を越えたような常人離れした役柄の多かったブリジット・リンが、
本作では前半こそ他の作品のように超人的に強い女性剣士として登場するものの、後半では純愛に目覚めて完全な愛に生きるヒロインとなっていく、
というこれまでの流れとは違った魅力が垣間見える物語となっていきます。
もう完全にヒーローアンディを愛する純愛ヒロイン、といった感じで、守られる側になっていきます。
同じような役柄が多かったので、当時としては結構意外な展開になっていく、と感じた人も多かったのではないでしょうか。
対するアンディの方は、例によってこの時期繰り返し演じてきた、近所の気の良い元気なおにいちゃん的なキャラクターで、
原作ものであり武侠映画でもあるのに、いつものアンディ映画にしてしまう、というアンディワールドを貫く雰囲気で主人公を演じています。
ワンパターンと言えばワンパターンですが、皆が望んでいるアンディは、まさに本作のようなキャラクターだったので、期待通りの役柄となっています。
アクションも超絶アクションという感じではないものの、やはりここまでビッグなスターは、何をやっても人より秀でているもので、
しっかりと武芸が優れている若者をそれらしく演じきっています。
少し悔やまれるのは、武術大会に出場する、というメインの物語があって、その大会に出場する事で物語が展開していく、
というワクワクする本筋部分の肝心の武術大会自体が、かなり総集編的な描かれ型をされてしまいますので、
そういう事なら豪華なゲストスターたちをそこに集結して色んな流派の達人を雰囲気たっぷりに演じて退場していく、
という感じの顔見世だともっと楽しめたと思うのですが、どうでしょうか。
という感じで、物語的にはちょっと難のある作品ではありますが、当時の香港映画の勢いは確実に感じられる作品となっていますので、
香港映画好きの方や、アンディ・ラウファンの方等ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
登場するキャストの顔ぶれを見ているだけでも結構楽しめますよ。
作品情報
1992年製作 香港製作 武侠アクション
監督 エリック・ツァン
出演 アンディ・ラウ、ブリジット・リン、ン・マンタ、フランシス・ン、チョン・マン、ディニー・イップ、アニタ・ムイ、リチャード・ン、ミウ・キウワイ、チャン・ロン、フォン・ハックオン、シン・フイオン
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