【カンフー映画】五毒拳(五毒DESTROYERS OF THE FIVE DEADLY VENOMS)97分

投稿者: | 2020年7月30日

カンフー映画としてのお薦め度 ★★★★★★☆☆☆☆

怪しすぎるカンフー技が炸裂する、元闇組織の内部派閥抗争!本作で怪しくデビューした五毒の魅力全開の異色カンフー作品!!

作品紹介

日本劇場未公開

今回ご紹介するのは、香港映画界最大手だったショウブラザーズ社の円熟期に生み出された巨匠チャン・チェ監督のカルトカンフー映画です。

それでは、まずはあらすじから、

闇組織として君臨し、数々の利益を得てきた流派五毒門。

その総帥が死の病に伏したとき、流派内に伝わる邪拳封印を決意し、最後の門弟にその任務を言い渡した。

その邪拳とは、蜈蚣(ムカデ)拳、蛇拳、蠍(サソリ)拳、蝦蟇(ガマ)拳、ヤモリ拳だった。

それぞれの邪拳は既に世にでている5人の弟子たちが受け継いでおり、各々は、仮面に素顔を隠していたため、お互いの正体は知らない状態だった。

邪拳封印の任を受けた最後の弟子は、早速街で聞き込みを開始し、邪拳を使用したと思われる怪しい事件に遭遇する。

ヤモリ拳は壁に張り付きます
ヤモリ拳は基本的には重力は無視します

ショウブラザース製作、巨匠チャン・チェ監督、五毒主演の異色カンフー作品です。

チャン・チェ監督が台湾で活躍していたスタントマンたちをスカウトしてきて結成された五毒は見栄えこそ他のショウブラザーススターたちには劣るものの、

その類まれなる身体能力が繰り出すアクロバティックなカンフー技の素晴らしさに目を見張るシーンが本作でも満載となっています。

中でも主人公といっていいロー・マンフィリップ・コクの力強くてキレのある技は非常に爽快感があります。

この二人は五毒作品以外でも、その後も大活躍し、フィリップ・コクチョウ・ユンファ主演の(狼たちの絆)や、(フル・ブラッド)などでの出演やアクション監督などで活躍。

ロー・マンドニー・イェン主演の(イップマン)シリーズの顔となっている他、(燃えよ、じじいドラゴン)でもまだまだ大活躍しています。

そんな五毒がお披露目となった本作は、その後カルト化され、クエンティン・タランティーノ(キル・ビル)でオマージュを捧げ、

日本の特撮ドラマ(ゲキレンジャー)では五毒、という怪しい拳法を使うキャラクターがそのまま登場したりしました。

それほど、怪しく、魅力的な設定となっています。

五毒拳はそれぞれ、サソリ、ムカデ、ヤモリ、ガマ、ヘビの動きを模した技となっていて、特徴的な技となっています。

サソリは俊敏で破壊力のある足技。

サソリ拳

ムカデはまるで手足が多く見えそうになるぐらい早い足技、手技。

ムカデ拳

ヤモリは物凄い脚力で壁を垂直の姿勢で登れる。

ヤモリ拳

ガマは極限まで鍛えた刃物をもはね返す肉体。

ガマ拳

ヘビは地を這うような低めの重心がら、左右の腕で同時に違う攻撃を繰り出す。

蛇拳(ジャッキー版とは雰囲気違います)

という、ちょっとファンタジックなカンフーをそれぞれ、キレのある動きで連発します。

その生き物に、そんな特徴あったっけ?みたいな技もありますが、そこは無視してしまいましょう。

そんな五毒が活躍する本作ですが、物語的には少々ややこしくなっています。

物語の基本設定が悪の組織に属している人々の内部抗争ですので、登場人物は当然悪の世界にいた人々です。

その中で、もう悪事はやめて、今まで悪事で略奪した財産を寄付しようとする派閥と、

いや自分たちの財産として使おうとするもの、に分かれて戦う、という流れが大筋になります。

で、お互いの正体を知らないので街中で、それぞれが顔も知らない、どちら側の考えを持っているのかも分からない状態で、

中心に狂言回し的にすべての五毒門技を軽めに身に着けた最後の弟子が行ったり、来たりしながら物語は進むことになります。

何も分からない上に、兄弟子5人プラス最後の弟子1人が騙し合いをして、さらに全員元悪人なので、

どのキャラクターに感情移入して良いのか戸惑いながら、割とあっさり目に物語は進んでいきます。

五人の奇妙な技を使うカンフーの達人がお互いの正体を知らない状態で、財宝を狙いながら戦う、

という設定は物凄く魅力的で秀逸だと思いますが、正直、上映時間97分で語りつくせるようなストーリーではないので、

もう少し分かりやすいストーリー展開だともっと楽しめる作品になったと思いますので、少し残念です。

3部作ぐらいで大河ドラマみたいな展開で観たかったところです。

それでも、本作は五毒の素晴らしいカンフーアクションが97分というタイトな上映時間に魅力をギュッと詰め込んで、存分に楽しめたうえに、

ダークな世界観が怪しい魅力を放っていますので、世界中でカルト作品としてファンも多い作品となっています。

タランティーノ監督も好きな作品だと、語っているぐらい世界的なカルト人気のある作品で、

DVD、ブルーレイ発売やインターネット配信もされていて、カルト人気なわりに大変見やすい環境にある作品ですので、ご興味ありましたら一度ご鑑賞ください。

怪しい魅力に満ちていますよ。

最後の弟子対蛇拳
ムカデ拳対ヤモリ拳

作品情報

1978年製作 香港製作 カンフーアクション

監督・脚本 チャン・チェ 脚本 ニー・クァン

出演 ジャン・シェン、ルー・フェン、フィリップ・コク、サン・ジェン、ウェイ・パイ、ワン・ロンウェイ、クー・フェン、ディック・ウェイ

宙に浮いているわけではありません
最後の弟子とヤモリ拳対蛇拳

スタッフ・キャスト

監督のチャン・チェは1960年代より香港映画製作最大手ショウブラザース社にて監督作品を手掛け、1967年製作(片腕必殺剣)が記録的大ヒット。その後1968年製作(大女侠)、1972年製作(水滸伝)、1973年製作(ブラッドブラザース刺馬)、1974年製作(嵐を呼ぶドラゴン)、など多くの名作カンフー作品を残している巨匠。

出演の五毒メンバーは台湾で活躍していた元スタントマンたちで、チャン・チェ監督に見いだされ、カンフーユニット【五毒】としてデビューし、人気を博した。その後五毒のメンバーは1978年製作(残酷復讐拳)や、1978年製作(南少林寺VS北少林寺)、1980年製作(少林拳対武当拳)、や1982年製作(少林拳対五遁忍術)などで活躍していく。

五毒作品の出演の多いウェイ・パイはその後ゴールデンハーベスト作品で大活躍

その他の奇妙なカンフー技作品

奇妙なカンフー、カニ拳が炸裂するサモ・ハンキンポー主演作(燃えよデブゴンカエル拳対カニ拳)はこちら

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