カンフー映画としてのおすすめ度 ★★★★★★★☆☆☆
(少林サッカー)のチャウ・シンチーによるドラゴン魂がしっかりと注入された笑いとカンフーをCGで融合させたコメディカンフーアクション!!
作品紹介
2005年1月1日公開
今回ご紹介するのは、チャウ・シンチーが監督・主演した、カンフー映画へのリスペクトに満ちたコメディカンフーアクション作品です。
それでは、まずはあらすじから、
1930年代の中国、街を牛耳るマフィア、斧頭会に憧れるシンは、斧頭会の名をかたり、金品をせしめようと貧民街に建つ豚小屋砦を訪れる。
しかし、その住民たちは実はカンフーの達人たちが何人もいて、あっという間に追い返されてしまう。
やがて本物の斧頭会のギャングも訪れ、砦は決戦場へと化していくのだった!?
(少林サッカー)が大ヒットし、世界的に人気の爆発したチャウ・シンチーによるブルー・スリーやカンフー映画に対するリスペクトに満ちたコメディカンフーアクション作品です。
チャウ・シンチー独特のパンチの効いた笑いに本格的なCG満載のカンフーアクションを散りばめる、という他の作品ではなかなかできないような豪華な作品となっています。
その世界観は、下手するとカンフー映画を茶化していると見えてしまう人もいるかもしれませんが、古くからカンフー映画を鑑賞してきた方にとっては、
そのカンフー映画の王道のような分かりやすい展開と燃える設定、CG以外のカンフーアクションの素晴らしさなどで、
新しいカンフー映画の発展型として十分楽しめる作品となっています。
物語の基本は、悪のギャング団に憧れるチャウ・シンチーが、使いっぱしりで訪れた貧民街で、貧しくも逞しく生きる住民達がカンフー技を使ってギャング団に立ち向かていく姿を目の当たりにする事で、
少年の頃から持っていた正義の心に目覚めていく、という大筋で、
その住民達とチャウ・シンチーが協力してギャング団に立ち向かっていく、という展開になっていきます。
そこにチャウ・シンチーの独特のギャグが多数挿入されていくのですが、流石にこの時期の勢いのあるチャウ・シンチーのギャグは破壊力が抜群で、
相棒が敵と想定している大家のおばさんにナイフを投げようとしているのに、間違えて仲間であるチャウ・シンチーに何度も何度もナイフを刺してしまう、
というお馴染みの繰り返しギャグや、そのナイフが刺さった状態で、本来ナイフを投げる対象だったユン・チウ演じる大家のおばさんに追いかけられ、
アニメのキャラクターのような描写で走り回りながら、後ろから追いかけてくるユン・チウの姿を、肩に刺さったナイフを車のサイドミラーのようにして様子を伺う、
という底知れぬ笑いの発想力の深さに驚かされつつ大爆笑してしまいます。
とにかく、チャウ・シンチーのギャグは、(少林サッカー)で世界的な人気を獲得して以降は、
外国人でも観て分かりやすいような笑いをメインに製作しているようで、本作でも細かいドラマよりも観ていて楽しく、そして熱くなれるドラマ展開となっています。
アクションに関しては、正直、そこはCGでなくても表現できるのでは?、、、
と思えるようなシーンも沢山ありますが、本作は完全なカンフー映画、というわけではなく、あくまでカンフー映画をチャウ・シンチー映画の世界観で描いた作品ですので、
普通の表現の1000倍ぐらいの表現方法でバトルが演出されています。
その注目のバトルを演じるキャストですが、
まずは、本作の準主役と言っても良い貧民街の豚小屋砦の大家夫婦を演じるのは、
ハリウッド大作(シャン・チー:テンリングスの伝説)(詳しくはこちら)や、伝説の武侠ファンタジーの秀作リメイク(チャイニーズゴーストストーリー)(詳しくはこちら)などで現在でも大活躍中のユン・ワーと、
ジャッキー・チェン、サモ・ハンキンポー、ユン・ピョウ、そしてユン・ワーも在籍した七小福のメンバーでもあったユン・チウです。
ユン・チウは、1970年代から活躍していて、(ジャッキーチェンのヤングタイガー)や、(五爪十八翔)、
そしてユエン・ウーピン監督、ユン・ピョウ主演の傑作カンフーアクション(ツーフィンガー鷹)(詳しくはこちら)等のカンフー作品等で大活躍していました。
で、そんな最強夫婦が壮絶なバトルを挑むのは、本作のかなりの目玉キャスティングでもあるブルース・リャンです。
かなりの散らかり薄毛にずんぐりむっくりな体型、という到底ラスボスには見えないような外見で登場しますが、
1970年の全盛期の出演作品(帰ってきたドラゴン)や、(無敵のゴッドファーザードラゴン世界を征く)などでの和製ドラゴン倉田保昭との延々と続く大激闘や、
ジャッキー・チェン主演作品(飛龍神拳)などでの打点の高い高速ハイキックの凄まじさは忘れられません。
その後、完全に銀幕から遠ざかっていたようですが、本作で本格的に復帰し、以降(燃えよじじいドラゴン)等で、大活躍しています。
ただ、本作では、そのバトルがほとんどCGでの表現が多かったので、なかなかあのハイキックが観れなかったのが残念ですが、
銀幕復帰のきっかけとはなりましたので、非常に喜ばしい事ではないでしょうか。
さらに、その豚小屋砦の住民で、洋服店のお姉えおじさん役として登場するのはジャッキー・チェンの(スネーキーモンキー蛇拳)などで知られるチウ・チーリンで、
多数のカンフー映画へ出演する俳優でもあり、本物の鉄線拳の達人でもありますので、登場シーンにはかなりの盛り上がりを見せます。
その他にも、ドニー・イェン主演の(カンフージャングル)などで、切れ味の鋭い本格的なアクションで見せ場をさらっていくシン・ユーや、
凄まじい回転キック等の超絶アクションが目立っていた(少林サッカー)から続投のモク・メイラム、
そして、住民を暗殺するために雇われる二人組の殺し屋に(燃えよデブゴン7)(詳しくはこちら)等の多くのカンフー作品の悪役として有名なフォン・ハックオン等、
多くのレジェンドカンフースターが登場する作品になっております。
その住民たちの争いに、幼いころより本当は正義の心を持つチャウ・シンチーと相棒の(少林サッカー)でお馴染みのラム・ジーチョンが、
絡んでくるのですが、このチャウ・シンチーのキャラクターもいつものように意地悪な面もありながらも、
根元には正義の心を宿し、幼いころに出会った本作のヒロインである(レジェンド・オブ・ホワイトウィッチ)(詳しくはこちら)などのクリスタル・ホアンとの涙腺の緩むエピソード等で、
カンフーアクションをドラマ面から盛り上げていきます。
という事で、基本はいつものどぎついギャグが連発するチャウ・シンチーコメディ作品ではありますが、
カンフー映画に対する愛に溢れた傑作コメディカンフー作品となっていますので、
機会がありましたらご鑑賞ください。
それと、本作の武術指導は(ドランクモンキー酔拳)や、(マトリックス)などで世界的に有名になったユエン・ウーピンとサモ・ハンキンポーが担当していますので、
そういう意味でも当時のカンフー映画のレジェンドたちが結集して製作された作品となっています。
作品情報
2004年製作 香港製作 コメディカンフーアクション
監督・製作・脚本 チャウ・シンチー 製作 ジェフ・ラウ 武術指導 ユエン・ウーピン、サモ・ハンキンポー
出演 チャウ・シンチー、ユン・ワー、ユン・チウ、ブルース・リャン、ラム・ジーチョン、クリスタル・ホワン、チャン・クォックワン、シン・ユー、フォン・ハックオン、チウ・チーリン、ドン・ジーホウ、ユエン・チュンヤン、フォン・シャオガン、ラム・シュー、ティン・カイマン
その他のチャウ・シンチー出演作品
時代ものにチャウ・シンチー独特の現代的な笑いを注入したサスペンスコメディ(熱血弁護士)はこちら
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