PEARL パール (PEARL)102分

投稿者: | 2023年12月13日

おすすめ度 ★★★★★★☆☆☆☆

タイ・ウェスト監督、ミア・ゴス主演でヒットした(X)に登場した殺人鬼老婆にスポットを当てて、狂気に走る過程を絶妙なバランスで描いたミア・ゴスの名演の光るシリーズ第二弾!!

作品紹介

2023年7月7日公開

今回ご紹介する作品は、A24製作の新世代ホラー(X)に登場した殺人鬼老婆パールの若き日にスポットを当てたシリーズ第二弾です。

それでは、まずはあらすじから、

厳格な母親と病気の父親と三人で農場で暮らしている少女パールは、華やかなスターになる事が夢だった。

しかし、母親から一生農場から出る事を禁じられたパールは、それまで抑えていた心の暗部に宿る狂気を一挙に爆発させていくのだった!?

監督は前作(X)(詳しくはこちら)から引き続き、ジョン・トラボルタ主演作(バレー・オブ・バイオレンス)(詳しくはこちら)等のタイ・ウェストで、

ホラージャンルの新世代を担う監督として本作でも後半に掛けて狂気が暴走するゾクゾクする展開を演出しています。

タイ・ウェスト

で、本作の主演であり、製作総指揮、さらにタイ・ウェストと共同で脚本も執筆しているのは、前作から引き続き主人公を演じる、

マローボーン家の掟)(詳しくはこちら)、(キュア禁断の隔離病棟)等のミア・ゴスで、他のキャストでは代用が効かないような印象的な演技を披露しています。

ミア・ゴス
ミア・ゴス

で、主人公パールと恋仲になる映写技師役で、(2つの人生が教えてくれること)等のデビッド・コレンスウェットが登場し、

パールを導いてくれる存在として好演しています。

デビッド・コレンスウェット
デビッド・コレンスウェット

で、主人公パールの厳格な母親役で、羊ゾンビホラー(ブラックシープ)等のタンディ・ライトが登場し、パールを追い詰めて狂気を覚醒させてしまう役柄を好演しています。

タンディ・ライト
タンディ・ライト

で、パールの義姉妹役で、テレビシリーズ(シェパード警部 ブロークンウッドの事件簿)等で活躍しているエマ・ジェンキンス・ブーロが登場し、

後半の重要なシーンで、パールの狂気を知る事になります。

エマ・ジェンキンス・ブーロ
エマ・ジェンキンス・ブーロ

で、パールの父親役で、(ザ・ストレンジャー見知らぬ男)等のマシュー・サンダーランドが登場し、病気で動けない中、

パールの狂気覚醒を目撃する、という緊迫感満載の役柄を演じています。

マシュー・サンダーランド
マシュー・サンダーランド

そんなスタッフ・キャストが結集して製作した本作の物語は、厳格な母を持つ少女パールが、家畜の世話をしながら、

夢である女優となるべく納屋でダンスに興じる日常の日々から始まります。

で、パールは幼い時期から、農場での生活を強いられ、ほとんど他の世界を知らずに育ち、結婚はしていますが、

その夫も出兵のために長く合う事もできず、話し相手は厳格な母親と、病気で体の不自由な父親の二人だけ、というある意味隔離されたような生活が続いています。

で、優しそうなおっとりした性格に見えますが、突然飼っているアヒルを、沼地のワニの餌にしてみたり、という感じで、

温和で牧歌的な雰囲気の影に、ほんのりと、ビクっとするような狂気が見え隠れする、という危うさを感じさせる少女像として物語は進みます。

で、街にお使いに行き、その街の映画館でこっそりと見たい映画を鑑賞し、その映画館の映写技師であるデビッド・コレンスウェットと知り合う事になります。

この辺りは、非常に普通の田舎育ちの少女と、色んな達を転々として経験豊富なイケメン男子、という感じで、

その都会派ぶりに、パールは映写技師に恋心を抱いて行く恋愛ドラマのような雰囲気で物語は進んで行きます。

で、スターへの夢も膨らみ、義姉妹からもうすぐ、全国のステージで講演が催されるミュージカル舞台のダンサーのオーディションが開催されるという情報を聞いていたので、

そのオーディションだけでも受けさせて欲しいと母親に懇願するパールですが、勿論母親はそれを許すはずもなく、

夢を抱くパールを、母親は罵り、この先も一生農場から出す事はない、とどやしつけます。

で、全ての夢も希望も絶たれた時、ついにパールの中の暗部が、静かに爆発し始める、という流れで、殺人鬼パール、ライジングへと繋がっていきます。

既に狂気を爆発させて暴れ廻った前作、というその後の姿がはっきりとした状態で、そこへ至るまでの過程を描いた作品ですので、

悪魔のいけにえ)のようなバリバリのスラッシャー展開だった前作とは見せ方が違う内容ではありますが、

本作の魅力は、スラッシャー展開そのものよりも、このパールというキャラクターが普通の田舎娘状態から、

母親の抑圧や、色んな出来事によって、

少しだけ存在した他人とのズレが、どんどん膨らんでいって、やがて他人が近寄りがたい狂気を自分自身が秘めている事に気付き始める、

という詳細な心の動きの表現に集約されています。

それも、本当に後半の後半、ダンスオーディションから、その後の義姉妹との会話シーンで、製作総指揮と脚本も務めるミア・ゴスの、

凄まじい感情表現が炸裂します。

酷く傷つき、意気消沈している可哀そうな世間知らずの田舎娘の独白から、明らかに他人と違う部分が前面に出始め、

前作の殺人老婆パールへと繋がるような近寄りがたいモンスターへと変貌する様を、

物凄く長台詞の、ワンカットで表現する、

というミア・ゴスの他のキャストでは表現できないような感情表現が、観る者を圧倒します。

恐らく、ほとんどの人が、現実に目の前にいる人が、このような状態になれば、背筋が凍り付いて、その場から一歩も動けなくなってしまうような、

ある意味、人間の怖さを表現した名シーンとなっています。

流石にスタッフとしても名を連ねるだけあって、前作の一人二役同様に、今後の大活躍を期待させてくれるような名演技でとなっています。

という事で、スラッシャー映画として鑑賞すると、残酷度もそれ程高くなく、拍子抜けしてしまうかもしれませんが、

人間の狂気を描いた作品、という面では、しっかりと背筋が凍り着く感覚を味わえる作品ですので、ホラー好きの方や、

サイコサスペンス好きの方、前作をご鑑賞済みの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。

なかなか見ごたえありますよ。

作品情報

2022年製作 アメリカ製作 ホラー

監督・製作・脚本・編集 タイ・ウェスト 製作総指揮・脚本 ミア・ゴス

出演 ミア・ゴス、デビッド・コレンスウェット、タンディ・ライト、マシュー・サンダーランド、エマ・ジェンキンス・ブーロ

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