X エックス(X)106分

投稿者: | 2022年7月29日

おすすめ度 ★★★★☆☆☆☆☆☆

若手ホラー作家の注目株、タイ・ウエスト監督の新作は、1970年代をフューチャーした様々なホラー作品にオマージュをささげたA24製作のスラッシャーホラー!!

作品紹介

2022年7月8日公開

今回ご紹介するのは、期待の監督タイ・ウェストが監督したスラッシャーホラー作品です。

それでは、まずはあらすじから、

1979年のテキサス。ハリウッド女優を目指すストリッパー、マキシーン(ミア・ゴス)とポルノ映画撮影隊の一行は、撮影のために、

人里離れた場所にある農家の老夫婦の所有する納屋を訪れる。

しかし、その夫婦は、極度に若者の若さを欲する、狂気の老夫婦だったのだった!?

期待の若手監督、タイ・ウェストの新作スラッシャーホラー作品です。

物凄いキャストが揃いながらも、何故か主要登場人物以外ほとんど誰も登場しない町で展開される2016年製作の西部劇(バレー・オブ・バイオレンス)(詳しくはこちら)以来

6年ぶりの監督作品となります。

元々(VHSシンドローム)や(ABCオブデス)等のホラー作品で注目を浴びていた監督ですので、ちょっと畑違いの西部劇を製作した後に、

しばらく月日が経過してからのホラー復帰作品となります。

という流れですので、今後は得意のホラージャンルでその手腕を発揮してもらいたいところですね。

という事で、満を持しての新作スラッシャーですが、本作は次世代的なホラー作品で人気作を連発している製作会社A24の製作作品です。

近年(ルーム)や(ムーンライト)、(フェアウェル)等の映画賞を賑わすような作品を製作しつつも、

ミッドサマー)や(へレディタリー継承)等のちょっと独特の雰囲気のある次世代ホラーも積極的に製作していく、という製作会社で、

本作は、その中でも次世代的な要素の濃いホラー作品となっています。

内容的にはオーソドックスなスラッシャーホラーではありますが、その描き方、というか作風が非常に特徴的になっています。

若さ溢れる若い世代のポルノ映画撮影隊一行が、ワゴンに乗って田舎にやってきて、ある老夫婦が住み、管理している土地でしばらく寝泊まりしながら撮影を進める、

という感じでゆっくりと物語は進んで行き、若者が調子に乗っていると、老夫婦がとんでもない凶行に及ぶ、

という大筋で、(悪魔のいけにえ)系のスラッシャーホラーの王道展開となっています。

本作の特徴としては、襲いかかる側が、老夫婦という点で、若さを失ってしまった老夫婦と若さが漲りまくっている若者との対比が、

作品の(ホラー映画の魅力としての)不穏な空気を盛り上げていくようになっています。

しかも、主役のハリウッド女優を目指すストリップダンサー、マキシーンと、年老いて若者の若さが羨ましくてしょうがない老婆パール、

という対照的なキャラクターをミア・ゴス一人が二役で演じる、というなかなか凝った配役となっています。

老婆パールの方は、暗がりばかりで、あまりはっきりと映らないシーンが多いので、それを同じキャストが演じることにどれだけの意味があるのかは分かりませんが、

キュア禁断の隔離病棟)やリメイク版の(サスペリア)、(マローボーン家の掟)(詳しくはこちら)等で、

その演技力の高さで、確かな印象を残してきたミア・ゴスの演技力は、この特徴的な配役によって、本作でもじっくり堪能することができるようになっています。

さらに、本作は、シリーズ最新作がアメリカで大ヒットした(スクリーム)(詳しくはこちら)にも出演していたジェナ・オルテガが、

本作でもスクリームクィーンぶりを発揮し、誰にも真似できないような表情と絶叫で、本作のホラー度を盛り上げています。

このシーンの印象は凄まじいです

キャスト面ではホラー系の作品で既に実力を発揮しているキャストが揃っていますが、本作の本気度はその旬なキャスティングのみではなく、

他のホラー作品や、1970年代の文化そのものへのオマージュ的なシーンが、散りばめられている事でも証明されています。

名作(サイコ)の引用を始めとして、(シャイニング)の扉を斧で壊すシーンや、1970年代当時大人気だった(ワンダーウーマン)や、

ポルノ業界で新たに巻き起こっていたホームビデオ作品等の盛衰等、途中登場する小さな販売店の品物にまでこだわって、細部まで1970年代が再現されています。

ですので、衣装だけが1970年代といった感じの薄っぺらさは無く、作品世界がしっかりと構築されていて、そのまま(悪魔のいけにえ)のリメイク、

といっても良いほどに、あのざらついた感覚のある1970年代のスラッシャーホラー独特の雰囲気が味わえるようになっています。

ただ、凄く凝っていて再現度も高く、しかも最近流行りの不安感を煽るようなBGMも流れたり、と雰囲気は盛り上がるのですが、

とにかく、ゆっくり、ゆっくりと雰囲気重視で物語が進行していきますので、スラッシャー展開に突入するまで、かなりたっぷりと時間がかかります。

途中、何の映画を観ているんだ?と自問自答するほどの時間が流れますので、娯楽ホラー要素を突き詰めたテンポの良いホラー作品好きの方ですと、

ちょっと展開が遅い(というか遅すぎる)と感じる方も多いかもしれません。

逆に、そういう独特なリズムを持っている作品ですので、見方によっては、他の作品とは違う、オリジナリティとも言えますので、

結構ハマる人も多いのではないでしょうか。

しかも、本作、まさかの老婆パールの若い時代を描いたプリークエルも公開される、という事ですので、

どのような展開で本作のような人物になっていったのか?詳細に語られていくのではないでしょうか。

という事で、内容自体はオーソドックなスラッシャーホラーですが、独特な味わいの作品となっていますので、

ホラー作品好き、サスペンス好きの方などご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。

因みにタイトルの(X)は、X指定や、エクストリーム、エックスファクター(未知なる才能)等、色んな意味を込めて付けたタイトルのようで、

残念ながら(物体X)的なスペースモンスターが登場するということではありません。

このポスターデザインだと擬態するモンスターが出てきそうです、、

作品情報

2022年製作 アメリカ製作 スラッシャーホラー

監督 タイ・ウェスト

出演 ミア・ゴス、ジェナ・オルテガ、ブリタニー・スノウ、スコット・メスカディ、マーティン・ヘンダーソン、オーウェン・キャンベル

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