【レア作品!】ベルリン忠臣蔵(SUMMER OF SAMURAI/Der Sommer des Samurai)105分

投稿者: | 2023年9月9日

おすすめ度 ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆

現代のドイツに復活した大石内蔵助率いる四十七士がギャング組織に復讐する、ゆったりサスペンスにちょっとだけアクション作品!!

作品紹介

1987年12月15日公開

今回ご紹介する作品は、ハンブルグの街の有力者を襲う謎の大石内蔵助事件を描くドイツ製のサスペンス作品です。

それでは、まずはあらすじから、

ハンブルグの街で連続強盗事件が発生した。事件の現場には必ず日本語で何者かの苗字が書かれていた。

特ダネ記者クリスティーネは、事件を調べるうちに、事件が発生した建物は、全てある実業家グループの所有だという事実に行き当たる。

そして、さらに調べを進めるうちに、犯人とその実業家グループの関係が浮かび上がってくるのだった!?

カルト映画の代表格とも言える西ドイツ製サスペンス作品です。

監督は、元映画評論家で、(マドンナの秘密を撃て)等の監督作品のあるハンス・クリストフ・ブルーメンベルグで、

独特のゆったりとした流れのサスペンス世界を描いています。

ハンス・クリストフ・ブルーメンベルグ

事件を追う女性記者役には、日本でも大ヒットした(ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア)等に出演しているコーネリア・フロボエスで、

事件の確信に迫り、記者としての本分と事実との間で揺れるヒロインを熱演しています。

コーネリア・フロボエス
コーネリア・フロボエス

そして、事件の鍵を握る重要な資産家役で、アンソニー・パーキンス主演の(わが目の悪魔)等に出演しているハンス・ペーター・ハルヴァッシュが出演し、

奇天烈な日本語で独特な世界観を構築しています。

ハンス・ペーター・ハルヴァッシュ
ハンス・ペーター・ハルヴァッシュ

というスタッフ・キャストが結集した本作は、日本でも長らくキング・オブ・カルト的な扱いを受けていますが、

本作が公開された1987年以降、様々な西洋から観た日本文化を描いた作品も公開されてきましたので、

今鑑賞し直してみると、それほど奇天烈描写が多いわけでもなく、特にB級路線丸出しの内容というわけでもありませんので、

普通に落ち着いて、(何度となく眠気と戦いながら)鑑賞できるサスペンスドラマとして楽しむ事ができる内容となっています。

おそらく邦題の奇抜さと、奇天烈風味の80年代的ハッタリセールス(当時としては良い意味で)も加味されていたために、トンデモ作品の代表格のように認知されるようになったと思われます。

こういう描写も見慣れました

物語は、ベルリン、、、、ではなくハンブルグで、その街を牛耳る実業家(マフィア関係含む)の仲良しグループが所有している土地や建物で、

連続で強盗事件が発生し、その現場には必ず、日本語の漢字で、何者かの苗字が書き記されている、という奇妙な事件が既に発生しているところから始まります。

で、女性記者である主人公が、特ダネを求めて、それぞれの事件を調べ始めるのですが、その間も事件は何度も回数を重ねて、

30件以上、同様の手口で、有力者の金庫が荒らされたりしていきます。

なかなかの手際の良さで、記者の捜査も全然進みませんが、毎回必ず、名前を書き残していく、

という分かり易い手がかりを残していきますので、今現在だとインターネットで検索すれば一発で解決できそうですが、40人以上の苗字が出そろったぐらいで、

初めてその犯行が四十七士と関係しているという事が、警察ではなく記者の捜査によって判明します。

因みに、こんなに手がかりがあるのに、日本からやって来た刑事は、この名前に特別な意味はない、と断定してしまいます。

ただ、それが分かったとしても、犯人の手掛かりには辿り着けませんので、結局捜査は全然進みませんが、

友達と一緒にあるパーティに出席した時に、奇跡の確立で、犯人(と目される資産家)と知り合う事になります。

顔の広い謎のバーテンダー友達
謎のパーティに謎のバーテンダーと出席したら謎の資産家と知り合うヘ特ダネ記者

で、なんとなくその資産家に興味を持ちつつ、事件を調べるうちにいよいよ四十七士事件のあった事件現場を地図に印をし、

その印を線で結んでいくとある文字が浮かび上がり、次の事件の発生地点等が予測できる、という事になっていきます。

で、見張っていると、黒装束の男が現れて、、、、注目していると、反対側から、今度は被害者である仲良し実力者グループの悪党担当が雇った忍者が登場し、

黒装束に襲い掛かろうとしたところを女性記者が、車で突っ込んで黒装束を救う、というちょっとした争い事が起きます。

忍者登場!

で、車で突っ込んでいますので、その衝撃で記者は気絶、しかし、その時、心配して歩み寄った黒装束が、

『なぜ干渉する、、、。』

と思わず独り言をつぶやいてしまいます。

しかし、薄れる意識の中で、その声色を記憶していた記者は、その数日後に、あのパーティで少しだけ言葉を交わした実業家が、

ラジオに出演して弓道について語っている時に、意識の中に刻まれた声色とピタりと一致し、

名前を残す、というはっきりとした証拠を40回以上も残して強盗を成功させてきた天才犯罪者が、まさかの独り言で正体がバレる、

という意外な展開に突入していきます。

で、一旦正体がバレてしまうと、この天才犯罪者は、意外におしゃべりで、悪徳企業グループに復讐をしている理由や、

過去に日本に住んでいた事、そこで起きた悪徳企業グループの過去の悪行等が、事細かに説明されます。

で、全部話してスッキリした天才犯罪者は、ついに、その悪徳企業グループとの決着をつける日がやって来て、諸悪の根源とも言える人物の下を訪れる事になります。

忠臣蔵に例えると吉良義央という感じでしょうか。

と言っても、本編はそれほど忠臣蔵とは関係無いのですが、、、。

諸悪の根源、クラール
知らないうちに忍者に後ろをとられて、、
びっくりする諸悪の根源

ここで、新たな雇われ忍者が再登場し、黒装束に再戦を挑んできます。

今回は横槍が入ることもなくガチンコ勝負となりますので、それまでほどんどアクションシーンは存在しないゆったりサスペンス展開でしたが、

このクライマックスだけは、忍者対黒装束(一応侍でしょうか)のガチンコ対決となります。

ただ、忍術対決や、超絶格闘アクション対決、という感じではなくお互いに日本刀を構えて、【キンキンキン】という感じで刃を交える剣道の対決の練習風景、

といった感じで、薄味な対決が暫く描かれます。

で、一応、本作は基本的に暗めのハードな作品というわけでもありませんので、結構な犯行を47回も繰り返した犯人ではありますが、

割とハッピーエンドな雰囲気で終幕となっていきます。

最後まで鑑賞してみると、奇抜な設定で、物語を掘り下げられる要素は多々あるものの、そこは掘り下げる事なく、終始ゆったりとした展開で、

アクションも少なく、サスペンスも進まず、いつの間にか犯行の数も増えているという、恐らく鑑賞する人の観たい展開の、ことごとく裏を行く流れの作品であはりますが、

日本文化を決して茶化そうという意識は見えず、むしろ日本文化に対するリスペクトや憧れを全体的に感じる作品となっています。

という事で、トンデモ系作品の代表格扱いで、実際に緩い展開ながらも、じっくり観ると意外に心地よく鑑賞できる(眠気も襲ってきますが)作品となっていますので、

変わった作品好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。

作品情報

1985年製作 西ドイツ・ドイツ製作 サスペンス

監督 ハンス・クリストフ・ブルーメンベルグ

出演 ヴォジェックス・ブショナック、コルネリア・フロボエス、ハンス・ペーター・ハルヴァッシュ

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