おすすめ度 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
醉拳要素と海賊要素を組み合わせ、さらに日本の武士と戦わせる、という盛り込み具合に反して全体的に薄味なシリーズ作の第一弾!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介する作品は、醉拳の師匠でお馴染みの蘇化子が活躍するアクション作品です。
それでは、まずはあらすじから、
清朝末期、広東近郊の海域では、日本人と中国人の海賊が結託し、行き交う商業船を襲う事件が多発していた。
偶然、その船に乗り合わせた醉拳の達人蘇化子は、海賊を撃退する事に成功するが、その功績をきっかけに、
民兵の武術指導に選ばれ、街を守っていく事になるのだった。
そこに、町一番の名家に伝わるお宝を狙う、海賊や日本の武士達が襲い掛かる!?
日本版のDVDジャケットはミスリードが激しいですが、女性主人公の海賊アクション、、、、ではなく、
醉拳の師匠として有名なカンフーの達人蘇化子を主人公にしたアクション作品です。
ですので、女海賊は完全な脇役で、もっと言うと海が舞台ではなく、地上が舞台の物語なので、海賊要素もほんの少しだけとなります。
醉拳要素と海賊要素、そして戦う相手が日本人という事で、外国人の侵略者撃退要素まで盛り込む、という豪華、、、、、
と行きたいところですが、全てが少しづつの要素なので、全体的に薄味なアクション作品となっています。
ただ、本作、好評だったのか2020年に製作されて2年後の2022年に続編となる(武神苏乞儿之红莲虫蛊)が製作されていますので、一応、好評だったと思われます。
で、2022年に最新作が製作されているのに、この時期に2020年製作の1作目がリリースされる、という事は、
恐らく2作目のセールス時に一作目とセット販売で権利が販売されていると思われますので、後日、続編が日本でもリリースされるのではないでしょうか。
完全に個人的な予想ですが、、。
監督は香港出身で、ルイス・ファン主演、ムーン・リー共演のカンフーテレビドラマ(南拳北腿)や、
(欲望の街)シリーズや(九龍の絆)(詳しくはこちら)等のジョーダン・チャン主演のテレビシリーズ(鹿鼎记 )等を監督している香港出身のケン・ヤン監督で、
小気味良い演出で、ドラマを盛り上げていきます。
主演の蘇化子役は(神龍ドラゴンライダー)(詳しくはこちら)や(バトル・オブ・ヘブン邪鬼封印)(詳しくはこちら)などのチェン・シンジェアで、
まさかの蘇化子役を颯爽と演じ、続編の方でも同役を演じています。
で、日本版のDVDジャケットでまるで主人公のように取り上げられている女海賊役は、(シンクロコダイル)(詳しくはこちら)等のダニエラ・ワンが演じ、
悪役として登場しながらも、次第に主人公側につき、セクシーなお姉さん要素全開で、重要人物を演じていきます。
そして、もう一人のヒロインとも呼べる海運会社の社長令嬢役で、(王朝の陰謀)シリーズの一作(狄仁杰之幻涅魔蛾)等に出演しているチャオ・イーハンが登場し、
蘇化子を巡って女海賊と三角関係ボトルを繰り広げます。
で、そんな若手メンバーに加えて、日本人武士役でラストバトルを戦うのは、(中華道士)(詳しくはこちら)等の香港映画の名作カンフー作品から、
近年も(白髪妖魔伝)(詳しくはこちら)等で大活躍中のチョイ・シウキョン(ノーマン・ツイ)で、
ラストバトルではアクションも披露し、迫力の日本人武士を演じています。
そんな、新旧人気のキャストが結集した本作の物語は、大海原を往く商業船に中国人の二つの派閥の海賊が襲い掛かるシーンから始まります。
で、その商船の船長(?)のような立場のヒロインが絶体絶命の危機に陥ったところを、たまたま(多分)乗船していた醉拳の達人、蘇化子が助けに入り、
なんとか無事帰還する、という感じで、舞台は船上から速攻で、陸地に移ります。
で、粗野な海賊(当たり前ですが)と一応、行動を共にしていた女海賊、そして日本の武士(天皇陛下のために宝を集める、と言っているので倭寇ではないようです)、からなる混合チームが、
広東の地にも押し入り、今度は陸上の村人を襲う、という感じで海賊ではなく、普通の強盗団と化し、ヒロインの家に伝わる家宝を求めて、強奪計画を目論展開になっていきます。
で、その強奪計画は、頼み込まれて明兵の武術指導者として活躍する事になる蘇化子によって、阻止されていく、、、というのが大筋の流れとなっていきます。
蘇化子設定としては、昔の(ドランクモンキー酔拳)や(南北醉拳)(詳しくはこちら)等のような純ホームレスチックな雰囲気ではなく、
チャウ・シンチーの(キング・オブ・カンフー)等のように、それなりの身分ながらも、自らホームレスに身をやつしている、
という設定のようで、清潔感に溢れた誰が見てもホームレスには見えない姿で、キング・オブ・べガーの活躍が描かれます。
さらに醉拳の達人という設定も一応継承していますので、争い事になる度に、敵を圧倒していくのですが、
これが例によって、ワイヤーでぶらぶら吊られて、ただただ指示通りに身体を動かしている、という感じのアクションで、
酔ったふりをして、のらりくらりと敵の攻撃を避ける、どころか酔ったふりさえ全くせずに
戦いの合間に、時々思い出したようにあの醉拳のおちょこを持ったポーズをキメる、というまるで醉拳の達人には見えないアクションの連続となっています。
その醉拳とは言い難いアクションがずっと続くわけですが、中盤、民兵を訓練するシーンで、5名ほどがアップになった時だけ急に動きが良くなり、
その後に続く忍者数名と蘇化子のアクションシーン等でも、急にしっかりした武術アクションになりますので、
その数名のスタントマンが共演しているシーンだけが、しっかりとした武術アクションを楽しむことができるようになっています。
という事で、海賊要素も薄く、醉拳要素も皆無、という事で、(ゴールデンパイレーツ 醉拳宗師と黄金の女海賊)という邦題からイメージする要素はほとんど無くなってしまいますが、
そんな物語の後半になって、まさかの日本人を倒すために、多数の武術界の流派に呼び掛けて、皆で協力して、
街を守る、という(イップマン)(詳しくはこちら)等のような武術界全体に範囲を広げたスケールの大きいクライマックスへと展開していきます。
ただ、急に思いついたような展開で、そのクライマックスに登場する各門派の達人たちも、そのシーンが初登場のキャラクターばかりなので、
結構な人数が犠牲になる(全滅ぐらいの勢いです)という悲壮感漂う展開ですが、今登場したばかりのキャラクターにそんなに感情移入できるわけでも無く、
登場するなり散っていくので、雰囲気だけが先行している感じで、それほど何かを感じるようなシーンになっていないのが残念です。
要するに、海賊要素も、醉拳要素も、蘇化子の人間ドラマも、武術アクション要素も、武術界が総出で立ち上がる感動ドラマも、
色々と入ってはいますが、それそれが薄味で、しっかりとした印象の残らない、少々残念な作品となっています。
個人的には思い切って主人公を別人にして醉拳要素を諦めるか、逆に海賊要素を諦めるか、ぐらいの方が良かったと思うのですが、
そうなると本作の趣旨が全くなくなるような気もしますので難しいところです。
ただ、面白くない、というわけではありませんので、もしかすると2作目以降は、入れ込み過ぎた要素が整理されて、
しっかりと楽しみ易い作品へと変貌を遂げているかもしれません。
次回先に期待、というか、とりあえずリリースされる事を期待したいですね。
という事で、カンフー映画好きの方よりも、色んな要素を持った娯楽活劇や冒険アクション好きの方の方が楽しめる作品だと思われますので、
機会がありましたら、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
作品情報
2020年製作 中国製作 海賊時代劇アクション
監督 ケン・ヤン
出演 チェン・シンジェア、ダニエラ・ワン、チャオ・イーハン、チョイ・・シウキョン
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