おすすめ度 ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
台風によって家族を失った主人公が、妻と娘を救うため四駆に乗って激走するツッコミ所満載のディザスターアクション!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介する作品は、現在の中国映画界大人気ジャンル、ディザスターパニック作品です。
それでは、まずはあらすじから、
台風が接近するある嵐の日に、悲劇的な事故に見舞われた災害救助隊のイーファンは、台風に備え過ぎるあまり、
娘に対して極度に過保護になり、それが理由で妻にも愛想をつかされ、娘とも上手くいかなくなっていた。
そんなある日、その地域では、観測史上最大級の巨大な台風がその猛威を振るい出していた!?
調度1年前の同じ時期(台風時期)に同様の題材を扱った作品、(ハリケーンマックス)(詳しくはこちら)をリリースした同じメーカーから、
本年も似た様な内容のディザスターパニック作品がリリースされました。
例によって本作もツッコミ所満載となっていて、本気か?というような描写も次々と登場する作品となっています。
まず最初のツッコミ所は、作品内容とは関係ありませんが、原題は(大台風)というシンプルなタイトルで、中国で発生した台風災害を描いた作品ですので、
中国では(ハリケーン)とは呼びませんので、正しく言い換えると(メガ台風)です。
ハリケーンという響きのインパクトから付けた邦題だと思われますが、あきらかに2年連続で台風時期を狙ってリリースしているので、
どうせなら(台風)と付けた方が逆にインパクトがありそうですが、もしそんなタイトルを付けてその後、日本でとんでもない台風の大災害等が発生した、
となると、速攻で自粛の対象になってしまうので、配慮して少し遠ざけたのかもしれません。
で、次のツッコミどころですが、これがまた作品の内容とは関係ありませんが、本国版の作品ポスターのデザインについてですが、
これが、流石に、、、というぐらいに、内容との相違があります。
まずデザインからイメージする内容は、、、
台風によって津波も発生し、街は海水で満たされ、巨大な船までも波に飲まれて街に押し寄せ、建物も波に飲まれて漂流し、
行き場を失った主人公達は、波の上に反対向けになって浮いている車とその隣に梯子が立っているという謎の、これ以上ないぐらいの緊張感マックスの状況で、
6人の個性的な登場人物が、頼り無い懐中電灯と非常灯を持ちながら、救助を待っている!!!!
もしくは、、、
既に凄まじい台風によって、両親と生き別れてしまった幼い少女が、逃げ場を失い、大洪水の中、何故かポカンと浮いている車の上で、途方に暮れている!!!!
というイメージで、そこからの物語も大体想像できそうですが、、、、
実際の内容は、
津波や洪水などの大規模な水害の描写もほとんどなく(一瞬堤防観測所での凄い大津波の映像が挿入されますが、
そこからの被害は全く描かれません。確かにポスターイメージのような大きな船が津波と共にかなり高い位置に迫る、という描写までありますが、、、治まったのでしょうか、、)、
6人の登場人物が全員顔を揃えて災害に対処するという展開にもなりません、、。
そう考えると、日本版のお馴染みのハッタリ感満載のDVDジャケットイラストの方が、
勿論、ビルをなぎ倒すようなシーンは一切ありませんが、車で逃げる、というシーンはありますので、それなりには、実際の内容に近いデザインとなっています。
でも、よく見ると、竜巻みたいな脅威に飛行機が何機も巻き込まれているように見えますので、車で逃げる、という表現とラストシーンで一瞬飛ぶヘリコプター以外は、
やはり日本版も実際の内容とは全然違うイラストとなっています。
そもそも台風は目に見えないですし、イラストの竜巻規模だと、台風にしては規模が小さいので、どちらにしても(メガハリケーン)とは言いにくいですね、、。
で、そんなディザスター作品の監督は、エリック・ツァンも出演している地球規模のディザスターパニック(全域風暴)や、怪獣大パニック(异兽战场)、
メガ蛇パニック(深渊异兽)、そして日本でもリリースされた(シンランペイジ)等のシュー・シーシン監督で、
お得意のパニック描写で、災害ドラマを演出しています。
で、主演の元災害救助隊員で、その後挫折を味わう事になる父親役を演じているのは、フランシス・ン主演の(ラヴァーズ&ドラゴン)(詳しくはこちら)等に出演していたリウ・グワンチェンで、
猪突猛進系の父親を演じてします。
で、その父親と過去の出来事が原因で上手くいかなくなってしまった娘役を演じているのは、中国で人気のサスペンスドラマ(执行利剑)でデビューを飾ったニー・メイシーで、
登場するなり水上バイクを乗り回す分かり易く活発な娘役を好演しています。
で、娘と同じく過去の出来事が原因で、主人公と距離を置く事になる激しい性格の妻役で、ルイス・ファン主演の(エッジ・オブ・トゥモロー)(詳しくはこちら)や、
チン・シュウホウ主演の(呪術大戦)(詳しくはこちら)の第二弾(大幻术师2)にも出演しているソン・ジーチャオで、
とにかく夫である主人公を言葉で責めまくります。
で、主人公が経営している(多分)自動車修理工場の同僚であり、親友役で、(福星)シリーズのメンバー、ミウ・キウワイとキャンディ・ユエンが共演している犯罪サスペンス(谜证)等に出演しているソン・チンが登場し、
頼りないながらも、主人公のサポート役として活躍していきます。
で、控えめな娘のボーイフレンド役で、(造梦游戏)等に出演しているフレッシュなスン・イーレンが出演し、
勢いのあるガールフレンドを密かにサポートしていきます。
で、ディザスターパニック作品やモンスターパニック作品でありがちな、暴走する悪徳社長役で(忍者传说之高校争霸)等のウェン・ジュンシェンが登場し、
暴走しまくる事で、二次災害を巻き起こしていきます。
そんな話題のスタッフ・キャストが揃った本作の物語は、いきなり最初のシーンから、台風時に車に乗って海岸沿い(崖の上)を走っている主人公家族の会話から始まります。
※↓物語展開を部分的に説明してしまっていますので、真っ新な状態で鑑賞したい方はご注意下さい↓※
主人公である父親は救助隊員で、日頃から災害には備えておきなさい、と教育しているようで、幼い子供(兄と妹)のお兄ちゃんの方に、
ロープを丈夫に結ぶ方法を教えながら運転している、という、あからさまな【ザ・伏線】シーンから始まります。
で、嵐の道を車で急いでいると、携帯で話しながら運転し、さらに強引に追い越してきた若者の車が、スリップし、
崖から投げ出される、という物凄い事故に発展してしまいます。
で、主人公は救助隊員で、制服を脱ぐ暇もなく車に乗っていましたので、速攻で車を止めて、崖下を除いてみると、、、
車と若者が崖の途中で引っ掛かっているので、勿論助けに行く事になります。
デジャブ!!!
同じ展開、一年前にも見たっ!!
(ハリケーンマックス)の冒頭でも、崖にバスが引っ掛かってぶら下がる、というシーンから始まりましたが、
本作も規模は小さいですが、またしても崖にぶら下がるという同じシチュエーションで、始まりますので、
また同じように、ディザスターものなのに重力無視で、空中を飛ぶ、という状況での助かり方で、、、
しかし、その時メガ大風が!!!
『ゴゴゴゴゴゴゴ』
!!!!!!!
『ゴゴゴゴゴゴゴ』
!!!!!!!
『ゴゴゴゴゴゴ』
!!!!!!!
父『うわああああああ』
、、、、、、、、
と、そこから10年の年月が流れて本題に入ります、、。
幼かった娘は18歳になり、水上バイクに乗って活発な少女に成長していますが、あの事故以来、父親と母親は喧嘩を繰り返し、
両親は離婚寸前、主人公は救助隊を退職し、友人と共に自動車修理工場を経営(多分)しています。
ただ、災害に対する危機管理は異常なぐらいに神経質なので、友人と共に危険な台風の発生を常に監視しています。
10年間、、、。台風だけを、、。
冬場は?とか、何故自動車修理工が台風の観測を?等考え出すとキリがありませんが、何せ例によって70分台の短い作品なので、
必要な説明は全て省いて、盛り上がる要素だけを描いていきます。
で、妻は何か環境汚染の調査機関のような所か、化学工場の汚染の調査をする部門のような部署で働いているよう(勿論説明がないのではっきり何をしている人なのか良く分かりません、、)で、
有毒なガスを発生させる化学工場のワン社長に、工場の稼働を止めさせるような評価を今、まさにしようとしている状況となっています。
で、そんな状況で、あの十年前の台風を上回るような規模の大台風がいきなり現れます。
大きな台風が来る恐れがある、というより、急に現れて、この台風は大きいので気を付けろ!という感じです。
で、本格的な大台風が訪れる前に、主人公はGPS信号を発生させるブレスレットを娘渡す、という【ザ・伏線】を貼りつつ、
いよいよ本格的な大台風が襲来すると、妻とも連絡が取れなくなり、娘とも連絡が取れなくなる、という状況になってしまいますので、
友人がかねてから改造を加えていた四駆に乗って、妻と娘を探しに行く事になります。
一方、その頃妻は、悪徳社長に捕まり、評価を変えろ、と詰め寄られ、しかも、その脅しの材料として、
悪党丸出しの部下に娘を拉致して閉じ込め、人質として利用する、という外道ぶりを発揮する、という中国映画お得意の外道暴走展開に突入していきます。
このタイミングで。
しかも、この監禁されている場所(部屋)が水で溢れ出して、早く助け出さないと溺れてしまう、というタイムリミットサスペンス要素も加わってきます。
で、改造四駆で嵐の中を激走しつつ、なんとか妻は救う事ができますが、娘が危ないので、監禁されている場所を目指します。
嵐の中を再び四駆で激走する3人、急がなければ娘が危ない!
しかし、、、、、
!!!!!!!
『バチン!』
『ギィィィィィ!!!』
『ガコンッ!!!』
『ガガガガガ』
主人公、友人、妻『えぇっ!!』
観覧車っ!!
暴風雨で観覧車がっ!!
主人公『やばいっ!!!急げ!!』
妻『もっと、スピードを出してっ!!』
主人公『もう、だめだ!!』
友人『いや、まだだ!秘密兵器があるんだっ!!』
パチン!!
ヒィィィィィン!!
主人公、妻、友人『おぉっ!!』
プスん、、、
一同『うわぁぁぁぁぁ!!止まったぁぁぁぁ!!もう駄目だぁぁぁぁ!!』
ゴゴゴゴゴゴゴ
ゴゴゴゴゴゴゴ
ゴゴゴゴゴゴゴ
スルり、、、
一同『せーふ!!!』
という感じで、物凄いピンチをくぐりぬけ、果たして無事、娘を救出できるのか!?
というのが、本作のメインの見せ場となっていきます。
ですので、街を覆いつくすような津波や大洪水、という展開にはならずに、普通に車で移動するシーンがメインになっていきます。
で、さらに本作は、主人公達が常に街を走り回っているのに、他の市民は、ほとんど描写されすに、放置された車さえ描かれませんので、
ゴーストタウンのような、言い換えるとオープンワールドのゲームのような世界が広がっていて、他のディザスターパニックもののような緊迫感や災害に合っているという臨場感も薄めになっています。
【ザ・伏線】等も放りっぱなしか、そんなに効いていない場合が多く、災害での危機よりも、外道社長の悪事によってほとんどの危機が発生していますので、
それをディザスターパニック映画と位置付けるのも怪しくなってくるような内容となっています。
因みに、クライマックス近辺で、監禁されていた娘とボーイフレンドが、一番の生命の危機を迎えるのは、溢れてきた洪水よりも、
自分達を監禁していた悪漢との殴り合いのガチンコバトル、というディザスターものとは思えない盛り上げ方も、ある意味本作の特徴となっています。
最後には、今度は大量の毒ガスから車で逃げる、というこれまた台風とは関係ない(勿論、外道社長の所業です)流れに成りますが、逃げながら結構ガスを吸ってしまっているのに、
最後の最後に、
『風が強いからこれぐらいなら大丈夫だ』
と、身も蓋もない台詞で終幕を迎えるのも、また、他の作品では無い、本作のみの特徴となっています。
という事で、ツッコミ切れないぐらいに『んっ?』というシーンの存在する作品ではありますが、昨年の(ハリケーンマックス)のように、
罵り合いで鑑賞し続けるのも嫌になってくるような作品ではありません(外道社長とヒステリックな奥さんのみ)ので、
梅雨の晴れ間にでもご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
こうなってくると、来年が楽しみですね、(ハリケーンメガマックス)ぐらいでしょうか。
作品情報
2022年製作 中国製作 ディザスターパニック
監督 シュー・シーシン
出演 リウ・グワンチェン、ニー・メイシー、ソン・ジーチャオ、ソン・チン、スン・イーレン、
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まぁく様
拝啓。いつもブログを読ませていただいています。
今回はあまりのことに、丁寧な文面のほうが真意が伝わると思い、いつもとは違うアプローチで筆をとる次第です。
思い起こせば、あれは昨年のちょうど今頃でした・・・(遠い目)
2022年7月1日に、まぁくさんは「ハリケーンマックス」を紹介されておられましたね。わたしは、それを読みました。そして、くの字になって笑いました。私生活で辛いことがあると、今でもたまに読み返すと言えば、その衝撃がわかっていただけますでしょうか。
そのあまりの「ハリケーンマックスぶり」に衝撃を受けた自分としては、「おいおい、ヤバイって!それは、ハリケーンマックスだろ!」とか「これは、ハリケーンマックスみたいにヒドイことになってるよなあ……」と私生活でマメに使用しましたが、ツイッターはもちろん、ぼくの周辺でも全く流行せず、今に至っています。しいていうなら、この広い世界でわれわれ2人だけが、細々と使用している現状です。これは、大変残念な状況です。
そして、今回の「メガ・ハリケーン」・・・
満を持して登場した(?)1年ぶりのこの作品は、期待を裏切らないかなりのハリケーンマックスぶりを発揮していると知り安心しております。
この作品は、日本では(とくに台風で被害がでた後は)、たしかに非難されるでしょう。「災害をこんな風に描いて不謹慎だろ!」「ありえないだろ!」「いいかげんすぎる!」と。とくに昨今のSNSではなんでも叩く傾向があるのはご存じの通りです。
しかし、いったん立ち止まって考えてみる必要があるのではないでしょうか。
そのように、「不謹慎」「ありえない」「いいかげん」と批判する偏った考えは、日本と言う小さな島国ならではの発想ではないでしょうか。舞台は、あの広大な中国大陸です。あそこにハリケーンマックス、じゃなかったメガ・ハリケーンが来たら、それはそれは大変なことになりますよ。遊園地の観覧車も外れるでしょうし、崖に車はひっかかるでしょうし、監禁された部屋に水があふれるでしょうし、大量の毒ガスも風で薄まりますよ。おそらく、台風がやってきた日に、わざわざ毒ガスをまくというのも、我々が知らない中国の伝統なのかもしれませんよ。
我々は、たくさん映画を観ている方だと思うのですが、もしかすると知らず知らずのうちに、島国にいる小さな目線で映画を観ているのかもしれません。なんといっても、ハリケーンマックス、じゃなかったメガ・ハリケーンですからね。このくらいの出来事は、もしかすると中国では「普通」のことかもしれない、、、と認識をあらためた次第です。これは習近平国家主席に感謝しないといけません。(しないけど)
ではまた。興奮のあまり長文になっていましました。
くれぐれもご自愛ください。草々。
「あなたの知らないワゴンセールの世界」のS原拝
追伸:
死ぬほど笑いました~~~~!!!
DVD、メチャクチャ欲しい~~~~!!!
拝復、S原様、いつもコメントありがとうございます!
(ハリケーンマックス)から1年、ついにその第二弾とも呼べる(メガハリケーン)がやってきました(でも、2022年製作の作品なので1年遅れで)!
今回もツッコミどころ満載で、実際に起きる出来事は、自然災害よりも、悪徳社長の悪の所業の方が大きい、という暴走ぶりですので、日本と中国の文化の違いかと思いきや、本国のレビューサイトを覗いてみると、ほとんどの人が5段階評価の星一つ、という文化の違いというより、製作者と観客のビジョンの違いを見せつけられるような作品となっています!
今年も台風時期直前のリリースですが、この作品が自粛の対象にならない事を祈ります。
ただ、結構荒唐無稽で、CGでの合成等も多く、リアル感は極めて薄い世界観で、実際の災害とは結び付きにくいので、そもそも(作品自体が)スルーされるような気もしますが、、、。
それにしても、中国配信作品の、同じジャンルの似た様な内容の作品を大量生産する製作体制が凄いですね!
恐らく、もう、作品の評価とか完成度よりも、一本でも多くの作品を製作する事が第一条件になっているような気さえします!
ただ、7本に1本ぐらいの割合で、楽しめる作品も登場するので、やめられないんですよね!
B級映画のお宝作品発掘の旅は、お互いに、まだまだ続きそうですね!