おすすめ度 ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
友人の仇討のために立ち上がった二人の男の組織への復讐方法がギャンブルで負かす事、という(ゴッドギャンブラー)大ヒット直後の、バリー・ウォン監督らしさ全開のギャンブル系ごった煮アクション!!ジョイ・ウォンは主演ではありません!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介する作品は、バリー・ウォンが監督したギャンブル系ごった煮アクションコメディ作品です。
それでは、まずはあらすじから、
犯罪組織に潜入しボスであるウォンを逮捕したマクンは、その後ウォンの報復に合い、家族の命は奪われ、自身も拷問を受けてしまう。
そして同僚のチン刑事とマクンの親友のソフトは、ウォンへの復讐を誓い、ウォンの財産を全て奪ってしまおうと復讐計画を立てるのだった!?
邦題や日本版VHSからは想像できませんが、バリー・ウォン(ウォン・ジン)監督、ダニー・リー主演のギャンブル系アクションコメディ作品です。
1990年に製作された作品ですので、この時期のバリー・ウォンは前年にアンディ・ラウ、アランタム共演の(カジノレイダース)(詳しくはこちら)、
そしてチョウ・ユンファ主演の大ヒット作(ゴッドギャンブラー)と、
立て続けにギャンブルアクションで大ヒット作品を監督して、まさに香港映画にギャンブル映画ブームを巻き起こしていた時期の作品になります。
さらに、本作と同年にも(カジノシンジケート)や(ゴッドギャンブラー2)、その翌年にも(ゴッドギャンブラー3)という感じで、
バリー・ウォン作品=ギャンブルもの、というイメージの時期の作品で、恐らく潜入捜査官の復讐もので始まる作品が急にギャンブルコメディにシフトしていく流れは、
そんな需要に強引に合わせた結果ではないでしょうか。
主演の刑事役には、リンゴ・ラム監督の(聖戦)や、ラウ・カーリョン監督の(タイガー・オン・ザ・ビート2)の頃のダニー・リーで、
相変わらず一本気な刑事役を熱演しています。
で、日本版のVHSジャケットでは、まるで主演のように扱われながらも、実際は、事件に巻き込まれる側の
脇役として登場するのがジョイ・ウォンで、ジャッキー・チュンと共演した(銃弾に追われた街)や、アンディ・ラウと共演した(サンダーボルト)、
グロリア・イップと共演した(チェイス・フロム・ビヨンド)(詳しくはこちら)、そして大ヒットシリーズの第二弾(チャイニーズゴーストストーリー2)と同年の、
まさに人気絶頂期に出演した作品となっています。
で、主人公達が復讐計画を立てる原因ともなる悲劇的な潜入捜査官役を、アンディ・ラウ主演の(カジノシンジケート)や、(ダンシングブル)等のアンソニー・ウォンが演じ、
この時期に多かった悪人役ではなく、完全に善人の役柄で、ゲスト的ではありますが、印象を残しています。
で、主人公達が復讐すべき組織の大ボス役で、古くはイケメンカンフースターとして(至尊威龍)(詳しくはこちら)等で活躍し、
その後本作の前年に公開されたチョウ・ユンファ主演の(ゴッドギャンブラー)での強烈な悪党役でブレイクし、
その後も、ジョイ・ウォン主演の(復讐は薔薇の香り)等、同イメージの作品に立て続けに主演して波に乗っていた時期のロン・フォンで、
本作でも、誰が見てもはっきりと分かる悪党演技で、主人公達を追い詰めていきます。
そんな1990年のトップを走っていたスタッフ・キャストが結集した本作の物語は、黒社会組織がダニー・リー率いる警察組織の手入れを受けて、
組織の重要人物であるロン・フォンとアンソニー・ウォンが逃走するシーンから始まります。
この時期のアンソニー・ウォンはまだまだ悪役が多い時期で、ロン・フォンと一緒に逃げていると極悪コンビの逃避行の始まりか?
という感じですが、これが、割とあっさり目に、アンソニー・ウォンの方が潜入捜査官という身分を明かしてロン・フォンを逮捕する、
という意外な展開から(第一段階の)本題に入っていきます。
で、ロン・フォンはその後、部下の活躍で、犯罪の証拠となるディスクを破壊し、証拠不十分で無罪となってしまい、裏切り者のアンソニーへの報復を行います。
この報復行為が、なかなかの残虐さで、奥さんと幼い娘、2人とも命を奪われた挙句に、アンソニーは壮絶な拷問を受けた上に、今後も何十年と苦しませるためにだけ生かす、
という外道のようなネチネチ報復を開始します。
で、そんなアンソニーの同僚であるダニー・リー刑事が、上司と揉めて、割とあっさりと刑事を辞めてしまった(この時点であっさりと警察ものではなくなります、、)後に、アンソニーの病室を訪れると、
そこにアンソニーの友人であるイカ様師、バリー・ウォンが現れ、共通の友人の無念を晴らすために、ロン・フォンへの復讐計画が練られていきます。
この辺りまでは、潜入捜査ものからの組織の報復、そして、さらにその報復に対する報復、という感じで、
なかなかハードな黒社会ストーリーが展開されますが、このバリー・ウォンのお笑いキャラクターが登場するタイミングで、
それまでの像絶な暗いストーリーが、一転してコメディ調の能天気なギャンブルコメディへと急展開していきます。
バリー・ウォン監督の他の作品で例えると、ドニー・イェン、アンディ・ラウ主演の(追龍)(詳しくはこちら)が始まって30分後に、
ジャッキー・チェン主演の(シティーハンター)が始まる、という感じでしょうか。
しかも、物語を進める発端となり、強く組織への【報仇】を求めていたアンソニー・ウォンは、ギャンブルコメディ編が始まると、もう二度と画面には登場しませんし、
台詞で話題上がることさえありません、、、。
多分、病院でずっと待っていると思いますが、、、。
で、何故か復讐=ギャンブルで勝利して財産を頂く事、という独特の解釈で急にギャンブル編に突入していくのですが、
ギャンブル編が始まると、アメリカに婚約者がいる盲目の妹や、ダニー・リーが煙草を吸い過ぎて一日に4箱も吸っている、
等、物語が面白くなりそうな要素を特に物語に活かすことなく放ったらかしにして(妹は暗殺者の侵入に盲目を理由に気付かないふりをするけれども、結局気付かれるというシーンはありますが)、
ギャンブルテクニックを教わる、というフリはあっても、特に練習しているわけでもなく、ギャンブル要素はふわっとしたままなんとなく物語が進んで行きます。
ロン・フォンに近づくために、まずはロン・フォンが狙っている社長令嬢ジョイ・ウォンに近づいて、なんとかギャンブル対決に持ち込もうとする、
という非常に回りくどい【復讐計画】を進めていきます。
要するに、ギャンブルはとりあえずほ放ったらかしにして、ジョイ・ウォンへのアタック大作戦展開にまたしても寄り道していきます。
で、ジョイ・ウォンの気を引くために、ジョイ・ウォンが駆る高級車に街中でレース対決を挑んでみたり、
ジョイ・ウォンがロン・フォンと食事している高級料理店で、分かり易い位置でバリー・ウォンと一緒にご飯を食べてみたり、
という感じで、気を引いていき、まんまとお近づきになり、ついでにロン・フォンの嫉妬心を利用して急激にギャンブル対決の機会をゲットします。
で、この時、ジョイ・ウォンは父親が犯罪に加担してしまった証拠をロン・フォンが握って脅されているので、その証拠を取り返してもらう事を条件に、
その【復讐計画】にジョイ・ウォンも協力することになり、いよいよギャンブル締結に突入していきます。
で、結局なところ、このギャンブル対決が本作の、恐らくメインの見所となるのですが、この対決が(ゴッドギャンブラー)のような、観客がいる前での公的な大勝負という感じではなく、
友達を二人呼んでの麻雀対決や、その後の再戦で行われる少人数でのカード対決、という事で、非常にこじんまりとした対決となっています。
ギャンブルものの醍醐味としては、劣勢に立たされた主人公が、いかにして大逆転勝利を掴むのか?という展開が見せ場になりますが、
本作のこじんまり対決では、バリー・ウォンのイカ様テクと、ダニー・リーのハッタリでなんとなくしのぐ、
という感じの、はっきり言ってしまうとパッとしない展開で、(ゴッドギャンブラー)のような爽快感は薄めのクライマックスとなっています。
ただ、勝利は勝利で、最終的に主人公の二人は、大金を手にすることになり、ダニーは元刑事なので、一旦はお金を受け取る事を拒否しますが、
そこは香港映画なので、やっぱりお金を手にして『やったぜーーーー!』みたいなラストシーンで実に香港映画らしい終幕を迎えます。
いや、アンソニーの事忘れてるっ!!
作品情報
1990年製作 香港製作 アクション
監督・脚本 バリー・ウォン
出演 ダニー・リー、バリー・ウォン、ジョイ・ウォン、ロン・フォン、アンソニー・ウォン
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