カンフー映画としてのお薦め度 ★★★★★★★★★★
(ブルース・リー怒りの鉄拳)で描かれた精武門を創設した実在の英雄フォ・ユエンジャの若き日々をユエン・ウーピン監督が描く傑作カンフーアクション!!
作品紹介
日本劇場未公開
テレビ放映題 拳王伝説 燃えよファイター
今回ご紹介するのは、ユエン・ウーピン監督、リョン・カーヤン主演、敵役と師匠役を好演している和製ドラゴン倉田保昭の好演も光る傑作カンフーアクションです。
それでは、まずはあらすじから、
武術の名門フォン家に生まれたユン・ガップ(サイモンユエン・ジュニア、レオン・カーヤン)は、幼少期より、病弱を理由にカンフーの稽古には参加させてもらえず、周りにも疎まれていた。
そんなある日、新しい家庭教師としてやってきた先生(倉田保昭)に秘密裏にカンフーの手ほどきを受ける。
先生との間にやがて生まれる信頼関係の中、ユン・ガップの腕は上がっていき、やがて別れのときがやってくる。
それから10年以上の年月がたち、立派に成長したユン・ガップは傍若無人に道場破りをしてきた日本人武道家を撃退する。
しかし、それを理由に日本側から新たな刺客が放たれる。
その刺客とは、かつての恩師その人だった、、!?
本作で描かれている精武門を創設したフォ・ユエンジャはジェット・リー主演作(スピリット)でも主人公として描かれていた人物で実在の英雄です。
フォ・ユエンジャが色々あった流派をまとめたおかげで、皆が分け隔てなく色々な流派の武術を学ぶ事ができるようになり、そのおかげで中国武術は発展していきました。
それぐらいの中国武術史に残る偉人です。
本作は、その精武門を設立するまでの少年時代と青年時代を描いた傑作カンフー作品です。
何よりも一番の魅力は和製ドラゴン倉田保昭師匠の爽快感のあるアクションと、ドラマチックな背景を背負ったキャラクターではないでしょうか。
正直、主人公も霞んでしまうぐらいの存在感を発揮しています。
アクション面では、とにかく、力強く、キレがあって、めちゃくちゃ爽快感のあるアクションが素晴らしく、
多数の香港映画での倉田アクション作品中、屈指の名作ではないかと思われます。
一応、物語的にはラスボスとして登場しますが、これは(帰ってきたドラゴン)で演じていたような分かりやすい悪党が登場する物語ではなく、
少年から青年へと成長する時期に師弟として出会った二人が、運命のいたずらで、最終的にお互いの国を背負って戦わなければならなくなる、
という二人の師弟の悲しい物語となっています。
ラストは男泣きの展開でその後の武術界を背負うことになるフォ・ユエンジャの成長物語として、その後のカンフー作品に与えた影響はかなり大きいのではないでしょうか。
アクション面では、倉田保昭師匠のアクションは全て痛快で素晴らしい、の一言に尽きますが、
主演のリョン・カーヤンのブルース・リーの(ドラゴン怒りの鉄拳)に通じるようなちょっとブルース・リーっぽい演技やアクションも観ていて楽しいです。
フォ・ユエンジャは、後にブルース・リーが演じた(ドラゴン怒りの鉄拳)の主人公、陳真の師匠になる人物ですので、
本作は考え様によっては、(ドラゴン怒りの鉄拳)の前日譚と考えられなくもない、という感じですが、どうでしょうか。
キャストがまた素晴らしく、少年時代の主人公をサイモン・ユエンジュニアが好演しており、まだ、カンフーができない状態から徐々に強くなっていく過程を好演しています。
個人的にはもっと、サイモン・ユエンジュニアが活躍しているシーンが観たかったのですが、そうすると物語が進まないのでしょうがないですね。
その後の青年時代の主人公を演じるのは、サモ・ハン作品でお馴染み、髭のカンフースター、リョン・カーヤンです。
本作は、役作りのためか、髭は綺麗に剃って清潔感のある容姿で、英雄を演じています。
厳格な父親役を演じているのは、フィリップ・コーで、いつものキレの良い、型をバシバシ決めるアクションも非常にカッコ良く決まっています。
それと、中盤突如登場する、フォンハック・オンとユエン・チュンヤンのあまり物語には無関係なアクションも無意味に凄くて楽しめます。
フォン・ハックオンは、いつも通りの嫌味でありながら、珍しく愛嬌のあるキャラクターを楽しそうに演じており、
ユエン・チュンヤンは蘇化子のようなお約束の恰好で、ひょうきんな演技を披露しています。
アクション面ではお馴染みのユエン・ウーピンの武術指導チームの作品なので、どのシーンをとってもハイレベルで常に名シーンの連続となっています。
その後の(スピリット)や(イップマン)(詳しいくはこちら)等でも見かけるような展開のアクションシーンが多く、
本作が、その後のカンフー作品に与えた影響力の大きさを感じることができます。
という事で、何故日本では、未だにDVD化されていないのか、不思議でしょうがないぐらいの傑作カンフー作品となっていますので、
機会がありましたら、是非ご鑑賞してみて下さい。
それにしても、和製ドラゴンのアクションの凄まじさは、何度観ても爽快感がMAXですね。
作品情報
1982年製作 香港製作 カンフーアクション
監督 ユエン・ウーピン 製作 ウー・シーユエン
出演 レオン・カーヤン、倉田保昭、サイモン・ユエンジュニア、フィリップ・コー、ブランデイ・ユエン、ユエン・チュンヤン、フォン・ハックオン
その他のユエン・ウーピン監督作品
ドニー・イェン颯爽のデビュー作!(ドラゴン酔太極拳)はこちら
詠春拳の創始者をミッシェル・ヨーが演じたドニー・イェン共演作(レディファイター詠春拳伝説)はこちら
(イップマン継承)に登場したチョン・ティンチーを主役にしたスピンオフ(イップマン外伝マスターZ)はこちら
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