おすすめ度 ★★★★★★★☆☆☆
天涯孤独となり、大猿に育てられ野生化した男が、同じ境遇の少女と出会う事で、人間性を取り戻していく、近年稀に見る後味の良さが残るアクションドラマ!!意外に泣けます!!
作品紹介
インターネット配信専用
今回ご紹介するのは、野生化した男が少女との出会いで人間性を取り戻していく、アクションドラマです。
それでは、まずはあらすじから、
山賊に妹を殺され天涯孤独となった少年は、命を助けられた大猿と共に山奥で暮らしていた。
15年の歳月が過ぎ、また同じように山賊に両親を殺され、追われる身となっている少女を助けたことで、
山賊との本格的な戦いが始まるのだった!?
近年の中国作品では珍しく、有名原作の繰り返しの映画化ではなく、オリジナルのアクションドラマ作品です。
しかも、一応武侠映画のジャンル作品にはなりますが、基本は人間ドラマが見せ場となるしっかりとした物語のある作品となっています。
物語は、山間部の村で暮らす、ある幼い兄妹の家族が、山賊一味に襲われる展開から始まります。
悪逆非道を尽くすその山賊一味は、兄妹の家族を含めた村人を虐殺し、金品を強奪、非道の限りを尽くします。
たまたまお使いに出ていた兄妹の兄は、襲われている妹を助けるために果敢に戦いを挑みますが、無論大人と子供の力の差で、
返り討ちにあい、自身も命を奪われる寸前、、、
山から現れた大猿が悪漢に体当たりをくらわし、少年は寸前で命を救われます。
で、月日は流れて15年、、。
その地域では山深い地域に入ると、大猿の化身ともいえる山魁と呼ばれる獣のような人間に襲われる、という噂がたち、誰も山には入らない、という暗黙の了解が浸透しています。
要するに、大猿に命を救われたあの少年が大猿に育てられながら成長し、山魁と名乗って君臨しているというわけです。
で、それでも悪党一味はまだその辺で悪さをしていますので、山魁のように家族を虐殺されている人々も存在しています。
そんなある日、ある活発で元気な少女が、かつての山魁のように父親を殺され、天涯孤独となった状態で、山賊に追われて山に逃げ込んできます。
で、そこに偶然現れた山魁。
少女に、今は亡き妹の面影をダブらせます。
人間とは縁を切って野生化したはずの山魁ですが、妹の影を見てしまうと、やはり見過ごすことはできずに成り行きで助けてしまいます。
少女の方も、初めは恐れていますが、外見上は野生化している山魁の、その瞳の奥に宿る心優しい一面に次第に信頼関係を築いていく、というのが前半の物語となっています。
本作の物語のメインは、この活発で元気な少女と野生化している男の心の交流が見せ場となっています。
シンプルな物語ではありますが、これが非常にツボを押さえていて、そうなるだろうなぁ、と分かってはいてもしっかりと感動でき、
男が人間性を次第に取り戻していく過程も感動的で、少女が父親の復讐のために頑張ろうとしながら山魁と次第に信頼関係を気付いてくごとに、さらにしっかりと感動できる展開となっていきます。
しっかりと世界観を作りながらも、ちゃんと物語を描き、しかもそれぞれのキャラクターが活き活きとし、しっかり感情移入できる、
という最近の中国作品の中では珍しく、ちゃんと楽しめる娯楽作品となっています。
その一番の魅力は他の作品では孫悟空役などで好評を得ている主役、山魁役のリャン・ジエリー、、、、
ではなく、完全に少女、コウジ役のリュー・チェンユエです。
山魁は野生化していてほとんど片言しか話せない、という役柄ですので、実際に物語を引っ張るのはリュー・チェンユエの方で、
その達者な演技力と愛らしさで、本作の魅力をかなり盛り上げています。
家族を虐殺された二人の復讐物語、という通常かなり暗くなるはずの作品をリュー・チェンユエの雰囲気一発で、非常にソフトな優しい雰囲気の作品となっています。
特に、山魁と出会ってからのエピソードは、簡単に言ってしまうと獣と少女の心のふれあい、という難しい状況ですので、
リュー・チェンユエの明るいキャラクターがそのまま物語全体を包み込む感じで、それ以降、登場するキャラクター達も吊られるようにソフトな感じのズッコケ気味のキャラクターに様変わりしていきます。
山魁を討伐する目的で山賊側に雇われた女性侠客が登場しますが、登場時はキリリとしていますが、次第にギャグ全開になっていき、
物語に別な味わいを加えていきます。
演じるのはジャッキー・チェン製作のサスペンスアクション(リセット決死のカウントダウン)(詳しくはこちら)にも出演していた注目株ワン・リーダンで、
本作では、意外に達者なコメディ演技で新たな魅力を発揮しています。
その後助っ人として登場した女性侠客の兄も登場時はキリリとしていますが、意外にズッコケキャラになってきますし、
なんなら、人相の悪い山賊のボスも、まさかのズッコケ気味になっていきます。
気付いてみると、観ていて本当に不快に思うようなキャラクターは一人もいなくなっています。
結構なハードな展開を予想させる出だしとはえらい違いです。
それをブレている、と言えばブレていることになるのかもしれませんが、個人的には好ましい方向にブレていると感じましたので、
中盤以降は結構夢中になって鑑賞できてしまいました。
心の触れ合いを描いた作品ですので、結構涙腺の緩む展開もあったり、で後半は泣かせムードの後の悲しい展開と思いきや、
まさかの近年稀に見る物凄く後味の良いラストシーンとなっています。
終わってみると、このキャラクター達のその後の活躍がまた観たくなるような、良い雰囲気の終わり方となっています。
という事で、同じような物語展開ばかりの最近の中国作品にちょっと食傷気味、という方でも本作は結構楽しめる作品となっていますので、
機会がありましたら是非ご鑑賞ください。
それにしても、こういう作品こそDVDソフト化してもらいたいですね。
作品情報
2020年製作 中国製作 アクションドラマ
監督 ホウ・グオタオ、ジョン・ジョン
出演 リャン・ジエリー、リュー・チェンユエ、ドウ・イークン、ワン・リーダン、リウ・シンジエ
↓ランキングに参加しています。宜しければ下記をクリックお願い致します。↓