お薦め度 ★★★★★★★☆☆☆
無限ループに陥った男が、何度も何度も殺されながら、次第に攻略法を見つけていく、ジョー・カーナハン監督とフランク・グリロの黄金コンビによるゲーム感覚SFアクション!!メル・ギブソン、ナオミ・ワッツ共演!!
作品紹介
2021年6月4日公開
今回ご紹介するのは、ジョー・カーナハン監督、フランク・グリロ主演の黄金コンビによるSF設定アクション作品です。
それでは、まずはあらすじから、
元デルタフォース隊員のロイ(フランク・グリロ)は、朝目覚めると、突然殺し屋に襲われ、戦闘の挙句に何らかの方法で殺される、
という毎日を何故か繰り返していた。
なんとか窮地を切り抜けようと努力しても、結局殺される事実は変わらない、という同じ日々の繰り返しを100回以上も続けていた。
しかし、ある事がきっかけで、この繰り返しの世界の原因が、科学者である元妻ジェマ(ナオミ・ワッツ)の研究に何かの関りがある事実を掴んでいくのだった!?
繰り返しの謎を解くため、元妻の命を救うため、ロイは、研究の裏に潜む、大きな陰謀に立ち向かって行く!!
ジョー・カーナハン監督とフランク・グリロが共同で設立した映画製作会社、ウォーパーティピクチャーズ製作のSFアクション作品です。
ウォーパーティピクチャーズ製作作品には、フランク・グリロが製作・主演もこなした配信専用作品(ホイールマン逃亡者)(詳しくはこちら)などもあり、
年間3~5本、娯楽ジャンルの作品を中心に作品を製作しているようで、今後も良質の娯楽作品を多く製作してくれそうです。
そんなウォーパーティピクチャーズの中心人物がガッツリ組んで製作したのが、本作です。
同じ毎日を何度も繰り返す男の物語、という事で、大筋的には近年ホラージャンルで大ヒットした(ハッピーデスデイ)シリーズや、
本作と同時期に製作されたラブコメディジャンルの(パームスプリングス)などが思い出されますが、
そのタイムループ要素に、さらに(ジュマンジウェルカム・トウ・ジャングル)や(ジュマンジネクストレベル)(詳しくはこちら)のような、
テレビゲーム感覚を取り込んだ設定をブレンドし、そこに格闘アクションやSFサスペンス要素も盛り込む、というなかなか挑戦的な作品になっています。
タイムリープものは結構ありましたが、本作はそこにゲーム感覚を取り入れる事で、在りそうでなかった展開になっています。
要するに、同じ出来事を繰り返しはしますが、基本的に主人公には、以前死ぬ前の記憶はしっかりと残っていますので、
一応、前回の失敗を踏まえて、次の機会には殺されないように色々と違う対処を試みる事ができるようになっています。
でも、そんな事を100回以上試してみても、結局何か違う方法で、自身が殺される、という事実は変わらない。
そんな繰り返しに、ある出来事がきっかけで、いつもより、少しだけ長く生きる事ができるようになります。
という事は、そうやって少しづつ長く生きれるようにしていけば、いつか、この死のループの世界から抜け出せるかも!?
という事になっていくわけです。
これはまさに、何度も何度も死にながら、敵キャラクターのパターンを覚えていって攻略していく、というゲームで言うところの死にゲーの展開そのものですね。
しかも、繰り返しのコンティニューの回数制限はありません。無限コンティニューです。
この設定がなかなかありそうで無かった設定であり、本作を面白くさせている部分ではないでしょうか。
(ジュマンジ)シリーズもコンティニューはありましたが、3回という回数制限がありました。
そちらは、3回までは死ねる、けど、それ以上は本当に死んでしまう、とう部分にサスペンスがあったのですが、本作は死ぬことさえできない男が、
死ぬことを繰り返しながら、少しづつ攻略法を見つけていって、ついにラスボスまでたどり着く、という物語となっています。
その過程で、ボスの居場所を割り出したり、腕利きの部下とのバトルに勝利するために、剣術を身につけたり、というRPGのような要素もこなしていくようになっています。
その剣術バトルも、師匠役にミシェル・ヨーを配役する、という豪華さで、アクション自体も格闘経験のあるフランク・グリロのアクションですので、
しっかりと見せ場としてレディドラゴン、セリーナ・ローとの対決を魅せていく展開となっています。
メル・ギブソンとの対決が年齢差のために激しくできないため、むしろ、この剣術対決が事実上のクライマックス、ぐらいの勢いで描かれています。
冷静に考えると剣で戦う必要もないシーンではありますが、そこは娯楽作の見せ場として、やはり剣と剣で戦うという、ちょっと荒唐無稽ともいえる展開になっているのも、
SF設定にアジアの味付け、というちょっとカルトな名作(ブレードランナー)などの影響も少しはあるのかと思われます。
さらに本作の主人公ロイ、というキャラクターは元デルタフォース所属の特殊部隊員で、元奥さんであるナオミ・ワッツとの間に息子が一人いるけれども、
息子は自身が父親であることさえ知らない、という悲しい設定にもなっています。
ロイは、過去の過ちから、離婚してしまう事になり、息子と一緒に生活する事が出来なくなってしまいましたが、息子とは一応面識はあり、
息子からは、お母さんの知り合いのロイ、として付き合っているようです。
で、少しづつ死のループまでの時間が長くなるにつれて、街中で息子に偶然出会えるようになっていきます。
次の死までの時間が長くなるに連れて、新しい出来事に遭遇するようになるんです。
こうして、ロイにとって、死のループの攻略は、大切な息子との時間を取り戻していくための戦いにもなっていきます。
物語開始当初は、ただ自分が生き残るためだけの戦いでしたが、いつの間にか、その戦いは、息子を守り、さらに元奥さんを救うための戦いへとシフトしていきます。
戦うためのはっきりとした目的ができた、という事ですね。
そんな男泣き展開も踏まえつつ、後半、物語はナオミ・ワッツが発明した物凄いシステムとそれを悪用しようとしたメル・ギブソンの謀略へと進んでいきます。
そして、その戦いの果てにロイはある重大な決断を迫られます。
結末は、観た人によって解釈の仕方は色々ありそうな終わり方となっていますので、賛否ありそうではありますが、そう言った結末も含めて、
大作映画での降板騒動の多いジョー・カーナハン監督の独自性が存分にでている作品となっているのではないでしょうか。
という事で、S級過ぎず、B級過ぎず、良質の内容の作品に出演し続ける男フランク・グリロと、ある意味ハリウッドの反逆児、ジョー・カーナハン監督による娯楽エンターテイメントの決定版的な作品となっていますので、
機会がありましたら、是非ご鑑賞ください。
やっぱり、フランク・グリロのチョイ悪おやじ感は調度良い感じですよ。
作品情報
2021年製作 アメリカ製作 SFアクション
監督・製作・脚本 ジョー・カーナハン 制作 フランク・グリロ
出演 フランク・グリロ、メル・ギブソン、ナオミ・ワッツ、ミシェル・ヨー、ケン・チョン、アナベル・ウォーリス、セリーナ・ロー
その他のフランク・グリロ出演作品
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