バッドチェイサー(BIG SKY)90分

投稿者: | 2021年3月16日

お薦め度 ★★★★★★☆☆☆☆

広場恐怖症の少女が砂漠の真ん中で、母親の命を救うために必死に助けを呼びにく、短くて遠い旅を描いたサスペンスアクション!!

作品紹介

日本劇場未公開

今回ご紹介するのは、若手注目株ベラ・ソーンが広場恐怖症なうえに強盗団と戦うことになるサスペンス作品です。

それでは、まずはあらすじから、

別れた夫の援助で生活していたディー(キーラ・セジウィック)には広場恐怖症の娘ヘイゼル(ベラ・ソーン)がいた。

援助打ち切りをさけるため、遠方の療養施設に行く事を決意した親子二人は、施設の車に乗って砂漠地帯の果てにある施設を目指す。

しかし、その途中で、二人組の強盗団に襲われ、母が重傷を負ってしまう。

砂漠の真ん中で携帯も繋がらず、助けを呼ぶには実際に歩いて広大な砂漠を移動しなければならない。

ヘイゼルは決意を固め、広大な砂漠を歩き始める。

容姿端麗なベラ・ソーン。キーラ・ナイトレイにそっくりですね。

ハリウッド版(ミッドナイトサン タイヨウのうた)が好評のベラ・ソーンと(スカイライン奪還)(パージ)などのフランク・グリロが共演したサスペンス作品です。

本作は、物語の設定と展開が少し変わっていて、主人公は広場恐怖症で、日常生活も自室から出る事もできないぐらいに重症な女子高生となっています。

その広場恐怖症の女子高生が、療養に向かう最中の砂漠地帯で、強盗団に襲われ、同乗していた母親は瀕死の重傷、自身は乗っていたワゴンの広さでさえ、耐え難いので車両後部の仕切り箱に入っていて、強盗団に見つからずに難を逃れます。

重傷を負った母親の命を救うために助けを呼ばなければならない。

しかし、携帯は繋がらないため、実際に助けを呼びに行かなければならない。

地図で確認したら10キロ先に居住区がある。

母の命を助ける方法は一つ、自分自身が歩いて10キロ先の居住区まで行って、助けを呼ぶこと。

で、広場恐怖症にとってはかなり遠距離な、広大な砂漠の10キロの旅が始まる、、。

一方、現場から立ち去った強盗団は車の中にもう一人女性がいたはずだ、という事実に気づく。

かくして、広場恐怖症の短くて長い旅と、強盗団のチェイスが始まる!?

というちょっと変わった設定がサスペンスフルな作品です。

この広場恐怖症の描写が非常に丁寧で、自室から階段を下りて下の階に降りるだけでも、『大丈夫、大丈夫。』と自分に言い聞かせながら降りて行かないと降りれないぐらいの重傷です。

服用している薬も毎回3錠を四角いプレートの上に丁寧に並べて確認してから服用します。

この薬服用のシーンは砂漠が舞台となっても効いていて、砂に指で四角いプレートがあるように枠を書いて、そこに薬を並べて確認しながら一粒づつ服用する、

という観ていてかわいそうになってくるシーンが続出します。

恐らく、そうしないと薬も飲めないぐらいの重症です。

そんな状態の主人公が途中、崖から滑り落ちて、足を引きずりながらも、母の命を救うために前に進んでいきます

高校生の10キロはそうでもないですが、広場恐怖症の高校生にとっては、まさに数十キロに及ぶ旅になるのではないでしょうか。

そんな主人公に対して強盗団側は二人の兄弟で、その兄をフランク・グリロが演じています。

さらに弟の方が、幼少期に父親に虐待され、頭部を強打し、そのために他の人に比べて判断力が鈍く、終始行動が危なっかしい、という設定がプラスされています。

その危なっかしい弟を常に気遣う兄の姿も、また健気で、強盗団という悪人でありながらも、どこか感情移入してしまうキャラクターとなっています。

まさにフランク・グリロが普段演じているタイプの役柄にピッタリです。

後半はこの二人の兄弟と広場恐怖症の女子高校生のチェイスとなります。

確実に近づいてくる強盗団に対し、主人公の足取りは極めて遅く、どちらが先に目的地に着くのか?という非常にサスペンスフルな展開となっていきます。

主人公を演じるベラ・ソーンの演技は素晴らしく、非常に繊細で、精神的に追い込まれている女子高校生を見事に演じていました。

対するフランク・グリロも悪人なのに、ヒーロー的な性格で、本来感情移入できない側のキャラクターの人間性を見事に掘り下げていました。

フランク・グリロ今回は温かみのある悪人役

そして、母親役のキーラ・セジウィックも、まだまだ女性としての色んな楽しみを謳歌したい、という性格ながらも、娘の事は実は何よりも大事に思っている、

という母親としての深さを説得力のある演技で表現していました。

というように本作は、変わった設定と、主要キャストそれぞれの名演技によって、B級作品ながらも飽きのこない展開で、最後まで見せ切る秀作になっています。

ただ、個人的にはベラ・ソーンの容姿が整いすぎて、悲壮感が伝わりにくいのと、上映時間が短すぎるので、もう少し細部の設定を丁寧に説明されていれば、もっと多くの人に受け入れられる傑作になったのではないかと感じました。

という事で、ちょっと変わった設定のサスペンスをお探しの方など、安易な邦題ですが、結構楽しめる作品となっていますので、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。

観終わってから、原題の(BIG SKY)の意味が深く染み入ってくる、そんな作品ですよ。

車外にでるだけでも一苦労な広場恐怖症。キーラ・ナイトレイに似てます。

作品情報

2015年製作 アメリカ製作 サスペンス

監督 ホルヘ・ミッチェル・グラウ

出演 ベラ・ソーン、フランク・グリロ、キーラ・セジウィック、アーロン・トヴェイト

道中には怪しい奴ばかり出会います

その他の変わった設定の作品

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ホラー版(ホームアローン)と思いきや、中盤で大展開が待っている(ベターウォッチアウト)はこちら

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