おすすめ度 ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ケント・チェン、ワン・ロンウェイが出演する黒社会のボスが争う香港ノワールに、新規撮影忍者シーンを付け加えたフィルマーク社製作のニコイチ忍者アクション!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介する作品は、フィルマーク社のニコイチ忍者アクション作品です。
それではまずはあらすじから、
香港の闇社会で武器の売買等で暗躍する退役軍人のモリスを捕らえるため、同じ部隊にいた囚人フォードが派遣された。
フォードは助手のクリスチナと共に、モリスが陰で関わっている香港の黒社会組織に目をつける。
壮絶な内部抗争が繰り広げられる中、フォードは確実にモリスを追い詰めていくのだった!?
既に公開済みの他社製作作品の権利を買い取り、そこに自社で撮影した新規忍者アクションシーンを付け加えて、
1本の新しい作品として強引に公開してしまう、悪名高きフィルマーク社のニコイチ忍者アクション作品です。
今回は1983年に香港で製作された(第一把交椅)という、香港を舞台に黒社会の仲間内だった3人が、意見の行き違いから、
やがて血で血を洗う抗争へと発展していく様子を、豪華なキャストで描いた香港ノワール作品が基になっています。
で、その物語を、その三大組織を疎ましく思う悪徳アメリカン忍者が、組織にダメージを与えつつ武器の密輸をしている所を、
正義の忍者に見つかって激闘を繰り広げる、といういつもの強引な忍者アクションへと改変されています。
オリジナルの方の監督は、(必殺のダブルドラゴン)(詳しくはこちら)等のリー・チウで、黒社会ものにガンアクションやカーアクション等も持ち込んで、
娯楽性の高い、香港映画らしい井アクション活劇を演出しています。
で、オリジナルの方の主演は、千葉真一と共演した(ゴルゴ13九竜の首)や、チェン・カンタイ主演の(上海大亨)等のガ・ルンで、
実直そうな容姿で、黒社会で激闘を繰り広げていきます。
で、そのガ・ルンが世話になっている黒社会のボスの一人に(妖獣大戦)(詳しくはこちら)や、(プロジェクトA)等のクワン・ホイサンが登場し、
流石の貫禄で、ガ・ルンを導いていきます。
で、ガ・ルン含めた黒社会組織を一網打尽にしようと捜査を進める刑事役で、(吸血奇伝)(詳しくはこちら)や、
(殺しのストッキング)(詳しくはこちら)等のケント・チェンが登場し、いつものユニークな佇まいで、ガ・ルンたちを追い詰めていきます。
で、黒社会組織に雇われた殺し屋役で、(魔 デビルズオーメン)(詳しくはこちら)や(カンフートレジャー)(詳しくはこちら)等のワン・ロンウェイが登場し、
カーアクションからカンフーアクションまで披露しています。
で、ニコイチ忍者パートの監督は、(ギャンブルキョンシー霊幻襲撃)(詳しくはこちら)等のブルース・ランバートとなっていますが、
米国のデータベースによるとゴッド・フリーホーとなっていますので、恐らくゴッド・フリーホーの沢山ある別名義の中の一人だと思われます。
ただ、フィルマーク社作品ですので、実際の所は製作のトーマス・タンや、全くの別人がついでに監督した、という事も十分にあり得そうです、、、。
ニコイチパートの一応の主演は、(地獄のニンジャ戦線 アマゾニア)(詳しくはこちら)等のグレン・カーソンで、
あまり表情が表に出ませんが、(アマゾニア)(詳しくはこちら)同様に宿敵と激闘を繰り広げます。
ニコイチパートの敵役は(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ天地黎明)や(ナイスガイ)等、香港映画の外国人枠で活躍しているジョナサン・イスガーで、
アクションは頼りな気ですが、存在感はありますので、主人公を圧倒していきます。
で、ベトナム人兵士役で、(死霊のニンジャ)(詳しくはこちら)や(クローン人間ブルース・リー)(詳しくはこちら)等、フィルマーク社作品お馴染みのチャン・タオも登場します。
そして、オリジナルパートとニコイチパート両方でキャスティングされ、二つの作品を強引に繋いでいるのは、
(燃えよデブゴン7)(詳しくはこちら)や(酔馬拳クレージーホース)(詳しくはこちら)等、多くの香港映画で脇役として活躍しているホー・パックォンで、
珍しくしっかりとした役目をこなしていきます。
という、オリジナルパートをずっと観ていたくなる豪華キャストの作品をニコイチ忍者映画に改変した本作の物語は、
ある場所で囚人として労働させられている(一応の)主人公グレンが、香港で武器密輸で暗躍してやりたい放題の元戦友で、
忍者でもあるジョナサン・イスガーを捕らえるために、派遣される所から始まります。
で、香港現地に就いたグレンは、助手である米国人女性から、イスガーは、煙たい存在である黒社会の三大勢力を壊滅させるために、同士討ちを目論んでいる情報を得て、
その同士討ちを目論むイスガーをグレンが見続ける、という本編に絡んでいるようで、全く絡んでいない位置で、本編の流れを見続ける事になります。
この忍者パートとオリジナルパートの関わり方が、他の作品よりも特殊で、通常は、イスガーが、陰で牛耳っている、という設定が多いですが、
本作の場合は本編の三大勢力のうちの二大勢力が揉めている様子を、イスガーが部下から聞いているだけ、という感じで、
オリジナルパート、新規撮影パート、両方にキャスティングされている組織の部下役、ホー・パックォンが、
二大勢力の片方の組織と忍者イスガー組織の両方で、二足の草鞋を踏んでいるという設定を強引に入れて、別々の物語を繋げています。
どちらの組織でも、そんなに目立たない部下、という位置ですので、勿論登場するシーンも少なく、結果的にイスガーは、その報告を聞いてリアクションするだけ、
という感じで、なんとなく物語に絡んでいそうで、そうでもない、という位置で、合間に登場した時だけ目立ちます。
イスガー自身が、そういう関わり方ですので、勿論、そのイスガーを追うグレンは、それ以上に存在感が薄く、
こちらも、ほとんど報告を聞いてリアクションするだけのシーンが続きます。
で、オリジナルの方の内部抗争は苛烈さを増し、間を取り持つような位置にいたクワン・ホイサンとガ・ルンも争いに巻き込まれて行き、
中盤以降は、ガ・ルンの友人である殺し屋、ワン・ロンウェイが韓国から呼び寄せられ、一度は依頼を受けたものの、
当日ターゲットを確認すると、まさかの親友ガ・ルンだったので、やっぱり辞める、と言い出した事で、さらに抗争は激化し、
一応、意外な人物(そこまでオリジナル部分が残っていないのでバレバレですが、、)が、黒幕として後半暗躍し、
キレたガ・ルンはチョウ・ユンファ並みの殴り込みをかける、という本編の方は割と盛り上がるクライマックスとなっています。
ただ、忍者パートの方は、いつものちょっとしたズレたアクションや、中盤で繰り広げられる主演二人の忍者ではない普通の格闘等、
それなりに見所もあるものの、ちょいちょいフィルマーク社作品で見かける太め忍者の
それなりには動けるのに、なんとなくどん臭そうなアクション
がメインですので、イマイチパッとせず、ユニークな忍術も、空飛ぶギロチンのようなハッタリ武器(勿論投げるだけです)や、
傘から花火が飛び出す武器、等一瞬目を引く要素はありますが、それ以外は、大人し目のアクションとなっています。
恐らく、忍者パート主演二人の、戦友時代のミリタリーアクション(極小規模)や、
珍しく香港の人通りの少ない街中で、忍者以外の恰好での格闘(ごっこ感強め)シーン等に手間が割かれているために、
結果的に忍者要素があっさり目になったと思われます。
さらに何を意識したのか分かりませんが、悪忍者を倒して【THE END】でバッサリ終わるのが通例ですが、
本作のエンディングでは、勝敗ははっきりしているものの、事件解決以降にエピローグ的なエピソードがあり、
実は正義側の上司の方が、悪忍者より、もっとドス黒かった、というブラックなオチが付いていたりして、
散々ニコイチ映画を製作してきたゴッド・フリーホーが、ちょっと気分転換をしたかったようなクライマックスとなっています。
という事で、いつものように、オリジナル部分を普通に鑑賞した方が、絶対に楽しめる内容だとは思われますが、
それなりにちゃんと香港で撮影した新規撮影部分も存在する香港を感じられる作品となっていますので、
香港映画好きの方や、香港の街を舞台にした映画が観たい、という方等ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
作品情報
1987年製作 香港製作 忍者アクション
監督 ブルース・ランバート(ゴッドフリーホー)
出演 ジョナサン・イスガー、グレン・カーソン、ダニー・ライズべック(ジョフ・ヒューストン)、ガ・ルン、ケント・チェン、ワン・ロンウェイ、クワン・ホイサン、チャン・タオ、ホー・パックォン、ソフィア・クロフォード、ソン・カムロイ
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