お薦め度 ★★★★★★★☆☆☆
黒人ギャング団が牛耳る危険地域で、汚職警官の殺人の証拠を握った新米女性制服警官の命を懸けた逃避行!!

作品紹介
2020年7月24日公開
今回ご紹介するのは、(パイレーツ・オブ・カリビアン)シリーズのディア・ダルマ役や(007)シリーズのイヴ・マネーペニー役でお馴染みナオミ・ハリス主演のサスペンスアクションです。
まずは、あらすじから、
退役軍人のアリシア・ウエスト(ナオミ・ハリス)はニューオーリンズで制服警察官として勤務していた。
ある日、相棒の替わりに夜勤のシフトについた際、その時一緒にパトロールにあたっていた先輩警察官の携帯に連絡が入り、自分は席をはずすが、パトカーからは絶対に出ないように言われる。
訝しく感じたアリシアだったが、銃声を耳にし、現場に急行する。
そこで見たものは警察官の犯罪の決定的瞬間であり、同時に自分が犯罪を証明する目撃者となっていた。
警察への不満が募る、黒人ギャング団が牛耳る危険地域で、身内からも追われる身となったアリシアの命がけの逃避行が始まる!

作品的には全米公開初登場6位を記録した話題作ですが、コロナの影響があるのか、あまり宣伝も行き届かないまま急遽公開されたような感じが非常に残念な作品です。
見過ごすにはもったいない、なかなか緊迫感のある秀作サスペンスアクションでした。
ナオミ・ハリス主演ですが、個人的には(パイレーツ・オブ・カリビアン)と(007)の役が印象的すぎて、なんとなく近寄りがたい雰囲気のイメージを持っていました。
で、本作ですが、それまでのイメージ(個人的にですが)を覆すような人間味にあふれ、孤立無援になろうと自分の信念は貫く、芯の通った役柄を熱演していました。
もう、イメージと違い過ぎて、初めて見た人の主演作を観ているようでした。
昔でいえば、(スピード)でブレイクしたときのキアヌー・リーズスのような感じですね。
それほどナオミ・ハリスの新しい魅力に満ちた作品となっています。
内容的には、黒人ギャングが牛耳る危険地帯で、警察内部の人間の犯罪を目撃してしまい、口封じのために殺されそうになりながら、証拠の映像を持って逃げつつ反撃を伺う、という流れとなります。
ストーリー的には特に新鮮味があるわけではありませんが、
本作の特色としては、主人公が男性警官ではなく女性の制服警官であり、しかもそれを演技力のあるナオミ・ハリスが演じる事で、非常に緊迫感のあるサスペンスとなっている点が一番大きな魅力となっています。
ナオミ・ハリスは演技力もさることながら、元軍人でタフな精神と肉体を持っている役柄を見事に演じているけれども、ナオミ・ハリス自身の外見的には絶妙に華奢で、襲い来る無骨な悪徳警官や黒人ギャング団には到底かないそうにない、というまさにこの役柄にぴったりのキャスティングで、その苦境に折れそうになりながらも、決して負けない不屈の精神力を持ったキャラクターをみごとに体現しています。
感情を込めて台詞を喋っているときなどは、よく裏声になったりもするので、そんなところも苦境に陥っている主人公への感情移入度が上がってしまいます。(地声が裏声っぽい感じはありますが、、。)
まさにナオミ・ハリスは絶妙のキャスティングです。
こういった内容の作品は割とありましたが、本作のナオミ・ハリスのようなタイプの俳優が主人公を演じている作品は珍しいと思います。
そのナオミ・ハリス演じるアリシアが、タイリース・ギブソン(貫禄ついてます、、)演じるマイロの助けを借りながら、やがて黒人ギャング団(ブラック)と(アンド)悪徳警官(ブルー)の対立に発展していく、という流れが大筋となっています。
タイトルの意味はこのラストの展開の大激突からきています。
ブラック側も全員が悪人というわけではなく、ブルー側も全員が悪徳警官というわけではないところが、またドラマとなっています。
その一触即発のブラックとブルーの合間で揺れる食料品店の店員として、(ワイルドスピード)で有名なタイリース・ギブソンが出演しています。
初登場時は非協力的だったタイリース・ギブソンも、主人公ナオミ・ハリスの一本気な性格に絆されて、やがて命がけで手助けしてくれるようになります。
タイリース・ギブソン、本作では製作も兼任するほどですが、(ワイルドスピード)のスマートなお調子者的雰囲気は完全に封印して寡黙で臆病者な役柄を演じています。
前半、悪徳警官の一人に人権をやや侵害するような職務質問を受けますが、あまりにビビッてしまい、涙を流す、という繊細で臆病な性格のキャラクターです。
そういう臆病な人間が正義のために勇気を振り絞って協力してくれる、というドラマ的にも盛り上がる重要な役柄なのですが、あまりの貫禄ぶりに、個人的には涙が汗に見えてしまうぐらいでした。
もうちょっと草食系の人、誰かいなかったのか、とは思いますが、タイリース・ギブソンが製作も兼任している、という事で、どうしても自分で演じたかったのかもしれません、、。
と、正直タイリース・ギブソンはどうなのかと思いますが、それ以外は悪役のフランク・グリロ(この人はヒーロー役も良いですが、本作のような悪役はまさにハマり役だと思います)の好演も含めて、非常に緊迫感のある魅力的な作品となっています。
なかなか骨太な作品で見応えありますので、機会がありましたら是非ご鑑賞ください。

作品情報
2019年製作 アメリカ製作 サスペンスアクション
監督 デオン・テイラー 製作 タイリース・ギブソン
出演 ナオミ・ハリス、タイリース・ギブソン、フランク・グリロ、マイク・コルター

スタッフ・キャスト紹介
主演のナオミ・ハリスは2006年製作の(パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト)のディア・ダルマ役で注目される。その後、2008年製作(フェイクシティある男のルール)、2009年製作(ニンジャアサシン)と出演し、2012年製作の(007スカイフォール)でイヴ・マネーペニー役を演じ、007シリーズ最新作の(007ノータイム・トゥ・ダイ)でも同役を演じている。
主人公を助けるマイロ役のタイリース・ギブソンは2003年製作の(ワイルドスピードX2)のローマン・ピアース役で注目を浴びる。その後2007年製作の(トランスフォーマー)のロバート・エッブス役も当たり役となりその後のシリーズでも演じ続ける。
悪徳警官役のフランク・グリロは1992年より俳優活動を開始し、様々な作品の端役として出演した後、2014年製作(キャプテンアメリカ/ウィンターソルジャー)のブラック・ラムロウ役と(パージアナーキー)でのレオ・バーンズ役で注目を浴びる。その後も2017年製作(スカイライン奪還)などで活躍する。

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