おすすめ度 ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
富豪を父に持つ敏腕女性検事が父から引き継いだ遺産の中に謎の地下室の鍵があり、その部屋に正体不明の男が幽閉されていた事で巻き起こる悪夢を描いたサイモン・ペッグ、リリー・コリンズ共演のスリラー作品!!
作品紹介
2021年6月11日公開
今回ご紹介するのは、サイモン・ペッグが怪しい男を、リリー・コリンズが敏腕検事を演じたスリラー作品です。
それでは、まずはあらすじから、
富豪の父から『真実は掘り起こすな』という遺言と共に一本の地下室の鍵を相続した敏腕検事ローレン(リリー・コリンズ)は、
手がかりを探し、その地下室を発見する。
しかし、その地下室を訪れてみると、そこには鎖につながれた謎の男モーガン(サイモン・ペッグ)が幽閉されており、
父のある秘密を握っている、というのだった!?
サイモン・ペッグとリリー・コリンズが豪華共演したサスペンス作品です。
リリー・コリンズは資産家の娘で敏腕女性検事として既に世間に認められていて、サイモン・ペッグは30年間も幽閉されている謎の男を演じています。
このキャスティグと後半捻られる物語展開が本作の魅力となっています。
人気、実力共に申し分ない実力派の二人が本格的に共演している作品ではありますが、これがなかなかに突っ込みどころ満載の作品となっています。
まずは本作の大きな魅力となっているキャストですが、リリー・コリンズが主人公の敏腕女性検事を演じていますが、
これが、どうしても世間やマスコミに絶大な影響力を持っている既に実績のある敏腕検事に見えません。
新人検事ならわかるのですが、自分より年上の人たちにバンバン指示を出している姿の違和感がどうしても終始気になってしまいました。
で、キャスティング的には最大の魅力であるサイモン・ペッグ演じる長年幽閉されている謎の男ですが、こちらがリリー・コリンズ以上に違和感を感じてしまうキャスティングとなっています。
コメディキャストが、ある時期から陰性のキャラクターを演じる、というのは(ケーブルガイ)(ダーククライム)のジム・キャリーや、(ストーカー)のロビン・ウィリアムズ等流れとしてありますが、
その違うジャンルの作品では、それまでの自分たちのイメージを完全に捨てて、作品世界にあった役柄で新しい一面を見せるような登場の仕方となっていました。
ですが、あまりにそれまでのイメージとは違うので、逆に言うと良さがなくなっているとも取れてしまいますので、作品自体が他の作品に比べて成功しているとは言えそうにありませんが、
それでも完全に違うイメージを演じていました。
で、本作のサイモン・ペッグですが、本作では、怪しくも卑賎な目に合った可哀そうな人物だけども、、、という謎を常に秘めた人物となています。
謎がありながらも30年間監禁されるという悲惨な目に合っているので野獣性も秘めていて、後半ではかなりワイルドな展開にもなっていきます。
主人公からすれば、出会いからラストまで、近寄りがたいけれども、なんとかせずにはおれない、感情が揺さぶられてしょうがないぐらいの存在なのですが、
これが、どうしてもそんな存在に見えない、というかどうしても終始軽い存在に見えてしょうがないような演出になっています。
ポスタービジュアルはパッと見てあの愉快なサイモン・ペッグに見えないぐらいの雰囲気ですが、実際本編に登場すると髪が長い以外いつもとほとんど変わらないサイモン・ペッグが登場します。
主人公とやり取りをしている間も、終始『なーんちゃって!』と言いそうなぐらいにいつもの雰囲気と変わりません。
会話の合間にやたらと、何かのお菓子の作り方のレシピ的な事をぶつぶつと独り言を言うシーンが挿入されたりして異常性を強調していますが、
そんなレシピは結局物語には全く関係ありませんでした。
そんな全然怖くもなんともない、いつものサイモン・ペッグは主人公の父親の秘密を少しづつ小出しにて話していきますが、
その秘密(自体はネタバレになりますので割愛させていただきます)の事実を確かめるために、リリー・コリンズがサイモン・ペッグと共に、実際にある場所に行って証拠を提示する、
という監禁スリラーにはタブーな外の世界に一旦でてしまう、という展開になります。
しかも、タブー第二弾として、証拠を見せた後に、サイモン・ペッグがまるで自分の部屋に帰っていくように、地下室の監禁部屋に大人しく戻っていく、
という監禁サスペンスでは一度も見たこともないような展開になっていきます。
銃を持っているとはいえ、ヒールを履いた華奢な体型の女性検事を相手に中肉中背のサイモン・ペッグがまるで逃げようとしません。
30年監禁されてきてやっと、外の世界に出れたのに、その状況で、涼しい顔で素直に監禁生活に戻る、というちょっと普通の感覚では考えられないような展開になっていきます。
あまりに素直なので、30年間の監禁生活は実は真っ赤な嘘で、実は壮大な捻りの展開がまっている、と期待しつつ鑑賞したのですが、、、
確かに後半ひねりのある物語ではありますが、その捻りがあっても本作を通して感じる違和感をぬぐえるような展開ではなく、
また別の種類のびっくり展開でした。
あと、違和感ついでに、サイモン・ペッグが監禁されている地下室は、富豪の大邸宅の大きな庭の森林部分の地面を掘り起こして、
恰好な費用をかけて広めの間取りで建築(しかも部屋に繋がるちょっと長めの廊下まであります)されていますが、ごく一部の家族以外その監禁の事実を知らない、
という設定になっていますが、その豪華な地下室の建築は誰が行ったんでしょうか。
まさか父親が一人で?
あと、30年間サイモン・ペッグの食事の世話などをしていたのは誰なんでしょうか?
そうなってくると、30年間誰も知らないはずの地下室、という設定自体にも違和感が、、、
ついでにいうと、冒頭で主人公の父親が地下室の鍵を主人公に託しますが、事実は追いかけるな、というメッセージを残して鍵を委ねます。
で、行ってみたら、知らないおじさんが監禁されていた、って何をどうして欲しいのかさっぱりわかりません。
知らないおじさんを、知らないままにずっと世話しろ、という事なのでしょうか、、、。
という感じで、基本的な設定から、物語展開、キャスティングなど違和感が多すぎてすべての違和感をラストで捻りに持っていくのかと少しの期待を持って観ていたら、
そのまま違和感満載のままで終わる、という逆の意味で捻りのある作品となっていますので、物語展開そのものよりも、豪華な二人の競演を楽しむ感じでご鑑賞されれば良いかと思います。
ただ、サイモン・ペッグが後半発する一言だけは、『おお!』と思いました。
作品情報
2020年製作 アメリカ製作 サスペンス
監督 ヴォーン・スタイン
出演 リリー・コリンズ、サイモン・ペッグ、コニー・ニールセン、チェイス・クロフォード、パトリック・ウぉ^バートン
その他のサイコサスペンス作品
思春期のトラウマを抱えた中年女性の若者への執着を描いた(MAマー サイコパスの狂気の地下室)はこちら
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