おすすめ度 ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
引退したブルース・ウィリスが出演した殺人を目撃した女性と汚職警官たちのバトルを描いたサスペンスアクション!!


作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介するのは、ブルース・ウィリスが出演したサスペンスアクション作品です。
それでは、まずはあらすじから、
山中で汚職警官の麻薬取引のトラブルによる殺人を目撃してしまったシャノン(ジェイミー・キング)は、証拠隠滅のために命を狙われる事となってしまう。
そこへ、療養のためにやって来ていた元刑事ジャック(ブルース・ウィリス)と偶然遭遇し、共に協力して汚職警官たちに戦いを挑むのだった!?

引退したブルース・ウィリスの公開待機作だった作品の内の1作です。
引退を表明した時期に、本作の監督が、ブルース・ウィリスの様子がおかしいという事で、台詞と出演シーンを減らすために急遽脚本家に変更を依頼して、
スタントダブルを使ってなんとか完成させた、とインタビューに答えていた、あの作品となります。

確かにブルース・ウィリスが登場しそうで登場しない、というお預け状態が続き、画面に映ったかと思えば、遠くに小さく映っているか、
後ろ姿しか映らない、という苦肉の策の連続が、その撮影の困難さを物語ってはいます。

ただ、正直普段セガール主演、キオニ・ワックスマン監督作品などを見慣れていると、編集の誤魔化し整合性の付け方が、
非常に荒っぽくて、繋がりがまるで感じられないので、中盤は、フィルマーク社のニコイチ忍者映画(旧作の権利を安価で獲得し、その作品に独自に撮影した忍者アクションシーンを強引に編集して付け加えて、1本の別作品にしたてあげるトンデモ商法)を観ているような
トワイライトゾーンに迷い込んだような瞬間の多々ある作品となっています。

ただ、急遽変更した、という事で、作品の出来が、まるでブルース・ウィリスのせいともとれるような発言をしているマイク・バーンズ監督ですが、

マイク・バーンズはこれまで製作者としてブルース・ウィリス出演の(THE LAW刑事の掟)(詳しくはこちら)や、同じくブルース・ウィリスの(デスショット)、


シルベスター・スタローン出演の(バックトレース)、同じくスタローン主演の(大脱出2)、メルギブソン主演の(リーサルストーム)と、、


かつてのアクションスターを起用したB級作品の監督作を多く持つ熟練のB級作品監督かと思いきや、
それらの作品の音楽監修だけを担当している製作者で、ドキュメンタリー作品は2本ほど監督しているようですが、
劇映画は他に監督作もなく、おそらく本作が初監督作品となっているようですので、ブルース・ウィリスがどうこういうよりも、そもそもの物語上の設定や、他のキャストの描き方などに違和感が多数ありますので、
はっきりいってブルース・ウィリスが万全の状態だったとしても大して作品の面白さは変わらなかったのではないでしょうか。

それなら、急遽キオニ・ワックスマン監督を招集して監督を依頼した方がよっぽど上手くいったのではないかと思われます。

その設定上の違和感のある物語ですが、まず、主人公はブルース・ウィリスではありません。
これはブルース・ウィリスの最近の出演作品を観ればすぐわかることなので、恐らく当初から変更は無かったと思われます。
で、実際の主人公は(シンシティ)シリーズなどのジェイミー・キングが演じていて、舞台となる山奥に、亡くなった父親の遺灰を巻き、お別れをすするためにこの山にやってきます。
で、山奥を歩いて、途中父への手紙等をしたためつつ、でもやっぱりまだ気持ちの整理が付かずにお別れができない、
というなかなかに深みのある設定の主人公となっています。

因みに主人公は普通の女性なので、特に腕っぷしが強いとか、持久力が凄いとか父親にサバイバル術を習っていた、
とか物語に活きそうな要素はありませんので、前半のドラマはほとんど関係なくなり、ただ単に遺灰をリュックに入れて歩いているだけ、という設定になっていきます。
ただ、もしかすると少しだけブルース・ウィリスと父親についての会話を交わすシーンがありますので、当初は二人がもっと親子関係にも似た間柄になる予定だったのかもしれません。

そんなときに、偶然車を見かけて、その車内に若い女性警官と明らかに裏の世界の香りのする男の二人が何か話している現場を目撃します。

そこで、おもむろにカメラを取り出し二人を映し出します。

で、激写の連続の後、なんとなく二人の間でいざこざが起こり、男の方が逃走、しかし、女性警官が車から降りて、速攻でカッコつけながら射殺します。


で、びっくりしたので、自分がいることがバレてしまい、そのまま女性警官に追われ、山中を舞台に警察官(3人)との追いかけっこが始まる、
というのが前半の展開となっています。

で、そこにたまたま姪っ子の家を訪ねてきていた元警察官ブルース・ウィリスが通りかかって、主人公と共に協力して、
汚職警察官とバトルを繰り広げていく、というのが大筋となっています。

おそらく、当初はこの主人公とブルース・ウィリスが協力して戦うシーンがもっと豊富(と言っても恐らく最初からそれほど出演シーンは多くはない予定だったと思われますので、一緒に戦うアクションシーンが数シーン多い、ぐらいの程度だと思われます)だったのではないでしょうか。
一見すると汚職警察官と、か弱き女性のサスペンスアクションという感じで、良くありがちと言えばありがちな物語ですが、
その設定の最大の違和感はブルース・ウィリスが映らないとか、父親の話が全然活きてこない、とかアクション自体がぬるいとかいうよりも、
敵の一味が警察官である、という事です。
メインで登場する敵側の警察官はまずララ・ケント演ずる女性警官を筆頭に、幼馴染の男性警察官と、ボスっぽい上司と登場しますが、
全員全く警察官に見えません。

服装も話し方もなにからなにまで全く警察官に見えませんので、ララ・ケントは登場してから結構長い間、犯罪者が犯罪計画のために警察官の衣装を臨時で身に着けているのだと思っていました。

幼馴染の警察官もロン毛ですし、ボスは真っ黒な衣装に身を包んでマフィアのような恰好をしています。

汚職警官だから、という事もあるのかもしれませんが、それなら別にマフィアの取引現場を目撃してしまったという設定で良いと思われますので、
つくづく何故警察官設定にしたのか理解できません。

百歩譲って、警察官でいくなら、普段は市民には優しい警察官の姿を見せているとか、あのいつも法を守ってくれている警察官たちが、まさか、、、、
というサスペンス要素がなければ警察官である意味はないように思われます。

因みにこの警察官に全く見えないトップバッターのララ・ケント、(10ミニッツ)でもブルース・ウィリスと共演していますが、
ブルース・ウィリスが引退表明した時期に、撮影中のシーンで、『自分がしゃがんだタイミングで銃を撃つはずが、撃つタイミングではないところで銃を発射していた。』
と意気揚々とインタビューに答えていましたが、そんな暇があったら、汚職女性警官に見えるような何かの役作り等に時間を割いた方が良いのではないか、と個人的には感じました。


という事で、ブルース・ウィリスの雄姿が観れる作品も残り少なくなってきましたが、本作は一応か弱き女性が悪漢と戦う王道のアクションサスペンスとなっていますので、
ブルース・ウィリスファンの方などご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
それにしても、寂しいですね、、、。
(ダイハード6)が観たかったです、、。


作品情報
2021年製作 アメリカ製作 アクション
監督・脚本 マイク・バーンズ
出演 ジィミー・キング、ブルース・ウィリス、ララ・ケント、マイク・バーンズ、ケリー・グレイソン、マイケル・シロウ


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