おすすめ度 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
ショウブラザーズ社で異彩を放つカルトホラー監督、カイ・チーホンが監督し、カンフースター、フィリップ・コーが黒魔術師と魔術バトルを繰り広げる気色悪いグロホラー!!
作品紹介
2008年 香港カルトシネマフェスティバルにて特集上映
今回ご紹介する作品は、カルトホラー監督、カイ・チーホンによるグロ系ホラー作品です。
それでは、まずはあらすじから、
弟がキックボクシングの試合で、汚い手を使って一生残る傷を負わされたチャン・ホンは、対戦相手に挑戦するためにタイを訪れるが、
そこで、ある大師の予言によって、自身に呪いがかけられている事を知る。
身の回りに不可解な出来事が多発し始めたチャン・ホンは、高僧に弟子入りし、呪いに対抗できるための修行を開始する!?
キックボクサーと黒魔術師が対決するオカルトグロホラー作品です。
監督は(邪 ゴーストオーメン)や(蠱BEWICHED)等、ショウブラザース社作品の中でも、かなりのグロ系ホラージャンルを一手に引き受けていたカイ・チーホン監督で、
その独特過ぎる、やり過ぎグロ演出で、本作でも気色悪いシーンを連発させながら、唯一無二の世界観を構築しています。
因みに、一応本作は(蠱BEWICHED)のシリーズ第二弾になりますが、物語などは無関係の内容となっています。
主演のボクサー役は、(プロジェクトD)(詳しくはこちら)や、(タイガー&タイガー)(詳しくはこちら)等の高速カンフー、フィリップ・コーで、
あの、いつもの荒々しい雰囲気で、黒魔術師と勢いよく激突していきます。
で、主人公を導く大師役で、(ユン・ピョウin妖刀秘伝)(詳しくはこちら)や、(夢翔ける人/色情男女)等のチョイ・カムコンが登場し、
その生真面目そうな外見で、主人公を神秘の世界に導いていきます。
で、ゲスト出演的ではありますが、弟役で、(燃えよデブゴン!お助け拳)(詳しくはこちら)や、(五毒拳)(詳しくはこちら)等のワン・ロンウェイが登場し、
前半の少しだけですが、アクションも披露しています。
で、その主人公の弟を痛めつけるライバルボクサー役で、(燃えよドラゴン)や(クローン人間ブルースリー)(詳しくはこちら)等のヤン・スエが登場し、
例によって、分かりやすい悪役ボクサー役を憎々しく演じています。
というカルトホラー監督とカンフー映画が始まりそうなキャストが結集した本作の物語は、非常にシンプルで、
香港で行われたキックボクシングの試合で、ワン・ロンウェイがヤン・スエに卑怯な技の応酬で重症を負わされ、
その仇討ちを託された兄のフィリップ・コーが復讐を誓うシーンから始まります。
まるで、カンフー映画や格闘技映画の導入のようなシーンから始まりますが、本作はそこから必殺技を習得するためのユニークな山籠もり訓練に入るわけではなく、
フィリップ・コーがヤン・スエにリベンジの試合を申し込むためにタイに行く事で、予想外の方向に物語が向かって行きます。
ある時突然、チョイ・カムコン演じるタイの高僧の幻が堂々と現れて、
高僧『私とお前は、前世で双子の兄弟で、このままだと私と同じようにお前も死ぬ!!』
という無茶苦茶ぶりで、初めはフィリップも、ほとんど気にしていませんでしたが、あまりにも連続で幻を見るために、
夢の通りにある場所に行ってみると、古びた寺院があり、そこの僧侶に話しかけると、
高僧『お前を待っていた!!』
という事で、幻に現れた高僧は実在していて、寺院側も、フィリップが現れる事をチョイ・カムコンから予言されていて、
何年も姿を現すのを待っていた、という事実が分かります。
で、前世で双子の兄弟(とされている)だったチョイ・カムコンは、怪しい黒魔術師の呪いによって呪い殺されたので、
その煽りを食って、フィリップにも呪いがかかっている、という、もらい事故のような状況に陥ってしまっている事が分かります。
で、そこから、自身に掛けられた呪いを解く、というより、呪いをかけた黒魔術師と対決して打ち勝つために、
その寺院の僧の弟子となって、修行に励む、というのが本筋となっていきます。
という事で、その物語展開で、はっきりと分かりますが、キックボクシングの試合や、ワン・ロンウェイとヤン・スエの因縁等、
冒頭で描かれた物語の本筋と、見せ場である黒魔術対決は、全く関係ありません。
本来なら試合に勝利するために、ヤン・スエが黒魔術師を雇って、ワン・ロンウェイに呪いをかけていた、とか、
フィリップ・コーを含めた兄弟とは因縁があって、黒魔術で兄弟揃って呪いを掛けたので、弟と自分自身の命を救うためにタイで修業する、
もしくは、チョイ・カムコンとフィリップ・コーが双子だった前世が描かれて、その時に対決して破れた黒魔術師が、
現世で、再びフィリップ・コーの前に現れて黒魔術リターンマッチが繰り広げられる、というような冒頭の発端のシーンと必ず繋がるはずですが、
本作ではまったくシンクロせずに、キックボクシングの物語に、黒魔術の物語が、強引に割り込み、そのまま本筋へと方向修正されてしまいます。
で、そこから丸坊主にして弟子になった修行僧のフィリップは、精神を鍛え上げ、襲い来る黒魔術師とマジックバトルを繰り広げる事に成ります。
で、武術系の香りの全くしない呪術合戦が繰り広げられ、修行の成果を見せたフィリップは、悪党黒魔術師を打ち破る事に成功します。
で、そこから、また物語は軌道修正され、香港に帰国したフィリップは、ヤン・スエとの試合にも間に合ったようで、試合に挑みこちらも勝利する、
というキックボクシング編でも、堂々の勝利で、関係の無かった二つの物語はクライマックスを迎える、、、、、
、、、、のではなく、試合中に、急に、ほとんど視力が奪われる、という突然のアクシデントに見舞われます。
で、これが、あの憎き黒魔術師の仲間の黒魔術師の新たな呪いで、その魔術で視力をほとんど奪われたフィリップは、結局あっさり目にヤン・スエを撃破し、
速攻で再びタイへと向かいます。
で、あの寺院に戻ってきたフィリップが師匠の下を訪ねると、
高僧『わかっておる、それは別の黒魔術師の呪いじゃ。』
という事で、再び新たな黒魔術師とのグロバトル展開へと突入していく、というのが大筋となっています。
とにかく物語が、行ったり来たりでブレにブレ、フィリップ・コーのキャラクターも善人になったり、悪人になったり、
という感じで、ブレブレにブレます。
後半になって、さっきまで尊敬の念を抱いて師匠として接していた高僧に、突然キレだして横暴すぎる言動を取る、
という主人公の無茶苦茶ぶりも、物語のブレブレぶりも、違和感やツッコミどころ満載ですが、本作はそういう普通の作品では気になるマイナスな要素を、
全て吹き飛ばして、非常に些細な事に思えてしまうような強烈な要素が存在します。
それが、本作の一番の売りとなっているグログロ描写です。
1回目の魔術対決の時は、まだそうでもないレベルなのですが、2回目の魔術対決の時の描写が凄まじく、
三人の黒魔術師が、ぐちゃっとした何かを口に含み、それを咀嚼し吐き出す、で吐き出したブツを他の魔術師が、、、、
という感じで、グロというより気色悪い、オェッとなるような描写が、これでもかと言わんばかりに繰り返されます。
恐らく不快を極めたかったようで、文字にするのも憚られるようなイヤーなシーンが連続して登場します。
かなりのしつこさです。
カンフー映画で言い換えると、ウォン・チェンリーの二段蹴りがスローで別角度で何度も繰り返される感じでしょうか。
そのきしょいシーンにカイ・チーホン独特のサイケデリックな照明やセット等による演出が重なって、非常にトリップ感のあるシーンとなっています。
という事で、ストーリー展開やキャラクター設定等、ブレにブレますが、そんな事はどうでも良い事のように思えてしまうぐらいに
きしょグロ作品となっていますので、グロ系のホラー作品が好きな方等ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
ただ、そういう作品が苦手な方は、興味本位でもご鑑賞されない方が良いかもしれせん、、。
作品情報
1983年製作 香港製作 オカルトホラー
監督 カイ・チーホン 武術指導 鹿村泰祥
出演 フィリップ・コー、チョイ・カムコン、ワン・ロンウェイ、ヤン・スエ
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