お薦め度 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
ショウブラザース社伝説の女ドラゴン、クララ・ウェイ奇跡の復活!!平凡な主婦が実は、伝説の大強盗だった、というワイルドな作風のレディースアクション!!
作品紹介
大阪アジアン映画祭で上映
今回ご紹介するのは、70年代から80年代にかけて女ドラゴンとして大活躍していた伝説のスター、クララ・ウェイ(カラ・ワイ)主演のレディースアクション作品です。
それでは、まずはあらすじから、
マレーシアで幸せに暮らす主婦K(クララ・ウェイ)。
医者である夫と、中学生の娘を持つこの普通の専業主婦には、実は知られざる過去があった。
かつて、マカオで伝説の女強盗として恐れられ、裏の世界では今も、その名は恐れられていたのだった。
そんなKに、最後の仕事で仲たがいしたメンバーの一人が、復讐するためにやってきたのだった。
その魔の手は、ついに娘にまで及び、Kはかつての獣性を呼び覚ます!!
香港映画界の大手、ショウ・ブラザーズ社伝説の女性カンフースター、クララ・ウェイ(ベティ・ウェイ、カラ・ワイ)のアクション主演復帰作品です。
かつてラウ・カーリョン監督の(レディクンフー激闘拳)や、(ワンス・アポン・ア・タイム少林英雄拳武館激闘)(秘技十八武芸拳法)(詳しくはこちら)、などで
素晴らしい技を披露していた女ドラゴンで、その後もジャッキープロデュースの(クラッシュアンジェルス失われたダイヤモンド)や、(レディースクワッド)シリーズのような現代アクションもこなし、
近年では(インファナルアフェア無間序曲)の主人公のお母さん役や、(霊幻道士)のリブート作(キョンシー)などで大活躍しています。
さらに日本未公開ですが、(心魔)では香港アカデミー賞他、アジア圏の様々な賞を受賞するほどの名演技を披露しているので、日本で見られないのが残念です。
一応、(レディクンフー激闘拳)でも主演女優賞は受賞していますが、どちらかというと演技単独、というよりアクション込みの演技がその当時は評価されたといった感じだと思われますので、
演技面でも高評価を受けている今現在の状況で、普通の主婦に見えて、実は、、、という燃える設定で描くレディースアクション復帰という事で期待のあがる話題作となっています。
かつての大アクションスターの復活という事で、恐らく低予算だとは思われますが、ちょっと話題の顔合わせとなっています。
まずは、様々な香港映画作品で、色んな役をこなし、今では香港映画の顔ともいえる存在となっているサイモン・ヤムです。
90年代ぐらいはその濃すぎる佇まいのために、役柄のイメージがほとんど同じで、どの作品を観ても、濃すぎるので、なんとなくその時のイメージは残るが、
後ほど、思い返してみても、どの作品に出演していたのか思い出せない、といった感じでの出演が多かったように感じましたが、
近年になってその濃さが、調度良い感じに中和され、
ジョニー・トー作品など、どちらかというと暗黒街系の作品で、その調度良くなった濃さが、上手くハマり、結果的に多くの作品で注目を集めて、
現在の香港映画には欠かせない存在となっています。
多くの作品で助演していましたが、中でも、やはりジョニー・トー監督と組んだ傑作犯罪サスペンス(スリ)(詳しくはこちら)は、香港の街を縦横無尽に駆け回るスリチームのリーダーとして、
小者でありながらも、大物に挑んでいく、そのしがないスリっぷりがジョニー・トー監督の美しい映像美学とも伴って、とても渋く好演していました。
で、クララ・ウェイの訳ありな過去を受け入れて、マレーシアに一緒に移住してきた心優しき夫を演じているのは、台湾のトップシンガー、ウー・バイ。
映画ではツイ・ハーク監督の(ドリフト)や、ジャッキー・チェンの(香港国際警察)などの印象が強いですが、アジア圏ではライブ動員数の記録を塗り替え続けているトップアーティストですので、
本作のようにガッツリと映画作品に出演している事自体が結構貴重なのではないでしょうか。
で、クララ・ウェイの主演としてのアクション復活も凄い事ですが、本作ではもう一人、かつてのレジェンドカンフースターが復活しています。
(電光飛龍拳)の主演などで活躍していたトニー・リュウです。
流石に年齢的にアクションは無く、主人公を揺すりに来て、逆に追い返されたうえに、サイモン・ヤムの毒牙にかかる、
という良い所のない役柄ではありますが、がめついけれどもちょっと憎めない、人間味のある庶民的な役柄という事で、、
かつてのヒーローっぷりとはギャップはあるものの、レジェンドスターの元気な姿が見れるなかなか貴重な作品となっています。
で、さらに完全にゲストというか、特別出演的ではありますが、ジャッキー・チェンの(新ポリスストーリー)や、ハリウッド進出作であるマーク・ウォルバーグ主演(ビッグヒット)の監督カーク・ウォンや、
(メイド・イン・ホンコン)などでお馴染みのフルーツ・チャン監督が顔見世程度ですが、出演しています。
そんな色んな人の特別な計らいで製作された本作ですが、物語展開としては、舐めてた主婦が実は強かった系の作品を想像しがちですが、
本作は実は、その流れとはちょっと趣が違います。
出だしこそ、近所の悪だくみを働くワルガキを懲らしめる展開が、舐めてた相手が、、系の展開に収まりますが、
本作のメインの物語は、かつての強盗仲間、サイモン・ヤムの復讐劇です。
戦う相手は、常にミセスKが強い、という事も知っている者だけが敵となりますので、実は強かった、という展開には決してなりません。
ここが、恐らく本作の鑑賞前のイメージと実際の内容とのギャップがある部分で、観た人によっては、期待していた内容と違っていた、と感じる部分かと思われます。
舐めてた相手が、系の作品は、勿論、主人公の予想外の強さに、敵がくじかれていく、部分がその作品を一番楽しめる部分で、その舐める部分とやっつけられる部分の差異があればあるほど、
より作品として楽しめるようになっています。
そこで、本作ですが、本作は冒頭のワルガキシーンを除いて、ミセスKをヒーロー的な描き方をすることをあえて避けて、あくまでちょっと腕っぷしの強い主婦と夫が、
誘拐された娘を助け出すために、死に物狂いで立ち向かう物語となっています。
ですので、途中挿入されるアクションも武術的なヒロイックなアクションではなく、どちらかというと喧嘩アクションに近く、
後半にサイモン・ヤムが闇組織から助っ人を3人招集しますが、その助っ人とのバトルもリアルな喧嘩アクションとなっています。
その内の女性助っ人とのラストバトルは通常のカンフー作品ですと燃える設定ですが、リアル寄りですので、まさにキャットファイト、といった感じになっています。
オープニングとクロージングで、かなりヒロイックな西部劇風のテーマ曲が流れますので、ヒロイックなアクションを期待しがちですが、そのような展開になるようには意図していないようです。
個人的には、ラストバトルに入る前に、主人公が死にかけて意識を失っている状態で、
夢の中に現れたかつての仲間の幻に、言われる台詞、
『男は戦うプロだ』
『しかし、女は生きる事のプロだ』
『だから、お前は死んではいけない』
『早く、上の世界に戻るんだ』
と激励されて戻ってきた後のラストバトルぐらいはヒロイックなアクションでも良かったと思うのですが、どうでしょうか。
あと、リアルを演出するにしても、ちょっとカット割りを多用しすぎて、やたらと角度が変わってしまうので、終始どんなアクションのやり取りをしているのかが、分かりにくくなってしまっているのも、
ちょっと爽快感を阻害してしまっているようにも見受けられます。
という事で、見方は色々あると思いますが、女ドラゴンの記念的な奇跡の復活作品となっていますので、機会がありましたら、渋いお母さんの活躍ぶりをご鑑賞ください。
これからも、この勢いで、どんどん活躍して欲しいですね。
作品情報
2017年製作 香港・マレーシア製作 レディースアクション
監督・脚本 ホー・ユーハン アクション監督 アダム・チャン
出演 クララ・ウェイ、サイモン・ヤム、ウー・バイ、カーク・ウォン、ピーター・チャン
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