おすすめ度 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
例によって続く、(龍門客棧)の再映像化、、、と見せかけて、いつもの宿屋バトルは速攻で終わらせて、その先の龍門村内での、悪役の存在感が際立つドロドロ展開がメインの武侠作品!!でも、武術アクションはそれなりにあります!!
作品紹介
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今回ご紹介するのは、人気の題材(龍門客棧)の設定を、そのまま陰謀ものに発展させていく変化球な武侠作品です。
それでは、まずはあらすじから、
明朝中期、用心棒稼業の周不同は、任務中にかつての知り合いの経営する龍門宿に立ち寄るが、そこで、
自身が護衛している人物が、実は皇帝である事実を知る。
反対派の暗殺者の攻撃が苛烈になる中、元宦官の有力者の魔の手も迫るのだった!?
またしてもキン・フー監督作品(残酷ドラゴン決斗!竜門の宿)のリメイクであるツイ・ハーク製作の(ドラゴンイン)(詳しくはこちら)の雰囲気だけを継承した映像化作品です。
要するに、繰り返されるリメイクのリメイクのリメイクのリメ、、、、。
始まって早々に、砂漠の一軒宿、【龍門客棧】で、様々な身分の者同士が腹を探り合いながら、入り乱れてバトルを繰り広げる、
というお約束の展開になっていきます。
展開がかなり早いです。
あまりの展開の早さに、大丈夫?という感じですが、本作は、【龍門客棧】の設定だけを軽く拝借しつつ、
速攻で、バトルを終わらせて、その先に進んだ場所にある【龍門鎮】という村での攻防がメインとなっていきます。
という事ですので、メインの物語は、ほとんど【龍門客棧】と関係ありません。
しかも、結局のところは、村の責任者だった男が暴走して、暴君となり、非道の限りを尽くす、という、中国映画界が大好きな、
悪人が嫌みたっぷりに、悪逆の限りを尽くして、外道ぶりがメインとなっていく、という厭な流れに突入していきます。
ですので、(ドラゴンイン)にあった、砂漠の荒れ地で、武術の達人同士が宙を舞い、血しぶきを上げながら激闘を繰り広げる、
という浪漫の香り漂うような側面は、全く感じられない、じめっとした作品となっています。
一応、宿屋の女将の一癖も二癖もありそうながらも、実は情け深い、というキャラクターは、衣装も含めて(ドラゴンイン)でマギー・チャンが演じていたキャラクターそのままで、
色々ありそうな、その部下たちもそのまま、という感じですが、【龍門客棧】から、物語が先へ進んでしまうと、
速攻でその影も薄くなってしまいますので、【龍門客棧】感が極めて薄くなっていきます。
さらに主人公のキャラクターも全くどういう人間かが描かれないので、単純に言うと、強いのか?弱いのか?優しいのか?ズッコケなのか?なども曖昧で、
さらに、回想シーンに登場する主人公と現在の主人公が被っている鬘がゴッソリ違うので、同一人物とは判別できないぐらいにキャラクターが曖昧ではっきりしません。
さらに、一応現在は武術の腕が上がってるという設置のようですが、現在の時代で被っている鬘の前髪が、常に束で垂れ下がっているので、顔がずっと隠れてしまって、
主人公の顔がずっと見えません。
どういう性格の人なのか、はっきり分からない上に、どういう顔の人なのか、もはっきり分からないので、勿論感情移入できるわけもなく、
さらに物語が進めば進むほどに、どんどんと悪人の悪逆ぶりが目立っていきますので、主人公の存在感はさら薄くなっていきます。
さらに、脇役だったはずのキャラクターが中盤以降、急にしゃしゃり出てきて、まるで主人公のようになってしまいますので、
さらに存在感は薄くなってしまいます。
で、この主役になった脇役と外道全開の悪役、おまけの主役、という感じでラストバトルへと展開していきます。
目立ち度の比率は、悪役6に脇役3に主役1、ぐらいでしょうか。
この悪役がメインになっていく流れ、最近の中国武侠作品で目立ちますが、国民性か、中国映画界だけがズレているのか、は分かりませんが、
どうも、不快であればあるほど、盛り上がるという信念のようなものがあるのか、とにかく、この不快指数の高いキャラクターは、分かりやすく声色も変えていきます。
妙に甲高い鼻声のような声色で、不快さを盛り上げていきます。
で、そういう作品には、不快キャラ専門のキャストが決まって登場して、不快っぷりをアピールしていきます。
個人的には(ソード・オブ・ブラッド)(詳しくはこちら)や、(レジェンド・オブ・デスティニー王朝の密謀)(詳しくはこちら)等のリー・ヤンが、
嫌み専門キャストの一番手、と思っていますが、ほとんど同じぐらいに嫌みキャラクター専門で、嫌みっぷりを発揮しているのが、
本作でも鼻声キャラで後半暴走が止まらなくなる役柄を演じている、ヤン・ヨンです。
近年の嫌み全開作品としては(シン・ジョーズ最強生物の誕生)(詳しくはこちら)や、少しマシな感じだった(パンデミックエクスプレス感染無限列車)(詳しくはこちら)等で、
その嫌みっぷりを堪能できます。
いつもは、鼻声ではないですが、同じ需要のライバル、リー・ヤンを意識したのか、本作では滑稽なぐらいに鼻声で場の雰囲気を攫っていきます。
そんな悪役が大活躍する物語ですが、肝心のアクションはというと、これが意外にも吊られワイヤーのパペットアクションではなく、
ちゃんとしたスタントマンがアクションを振り付けて、他の人ではできないようなアクションをこなす、武術アクションとなっています。
まさか、という感じです。
しかも、極力ワイヤーを使用しない、と決めているようで、攻撃のダメージで吹っ飛ぶ時などの効果的に見せるようなシーンでは使用しているようですが、
通常のアクションで、何もしていないのにキャストが後ろにスーっと下がったり、不必要にくるくる回転する、くるくる拳などはほどんど登場しません。
本作のような人気の設定を拝借しつつも、さっさとその設定を捨て去り、主人公以外の悪役が活躍するような物語で、
それでも、アクションはちゃんと魅せようとする作品は逆に珍しいのではないでしょうか。
ただ、やはり、というか流行りというか、せっかくワイヤーを少なくした武術アクションになっているのに、
頻繁過ぎるカット割りのために、結局何をやっているのか良く分かりません。
合間にちらちら見えるスタントマンのアクションは結構カッコ良いのですが、結局何をやっているのか分からないので、
残念ながら、アクションシーンの度に飽きてしまいます。
ラストバトルなどは、鼻声と脇役と目立たない主役というカンフー映画にお馴染みの悪役一人VS善人二人、という人数構成でのバトルとなりますが、
ずっとフラッシュ映像を見ているようで、何をやっているのか良く分かりません。
ですので、基本的には物語に登場する人物は、ほとんど全てが武術の達人という設定のはずですが、結果的に本当に強そうな人物として印象に残るキャストは一人もいません。
鑑賞後の印象は、スタントマンのカッコ良い動きを部分的に見ているアクション作品、という感じでしょうか。
それでも、ワイヤーでぶらぶら吊られるだけの武侠作品に比べたら、数倍楽しめる作品となっていますので、
武侠作品好きの方や、中国作品好きの方等、ご鑑賞されてみては、いかがでしょうか。
少しは、違った雰囲気が楽しめますよ。
あと、映画本編とは関係ありませんが、本作、何故か上映始まってから作品タイトルも出なければ、終幕後のスタッフロールも流れずに突然終わります。
しかも、会話中に5.6回ほど、元の中国語の字幕が消し忘れたままそのまま、その中国語の上に日本語の字幕が表示されたりしてしまいます。
演出ではなく、会話の途中で突然そのような仕様になって、また元に戻りますので、どう考えてもただの消し忘れかと思われます。
未完成版でしょうか?
作品情報
2022年製作 中国製作 武侠アクション
監督 チー・ウェイウェイ
出演 ツイ・ビンリン、チェン・シアオハン、ゾン・チェン、シュー・シン、ヤン・ヨン
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