カンフー映画としてのおすすめ度 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
(武道大連合復讐のドラゴン)等のフォン・サイヨ映画で有名なメン・フェイが酔拳を駆使して悪漢達と激闘を繰り広げるウー・マ監督、出演のちょっと暗めなコメディカンフーアクション!!
作品紹介
今回ご紹介する作品は、イケメンカンフーアクションスター、メン・フェイが主演した酔拳アクション作品です。
それでは、まずはあらすじから、
カンフー好きの青年チュエンフォンは、醉拳の達人ウーシンからカンフーを習っていたが、ある日街で揉め事になった際に、
禁止されていたカンフーを人前で披露してしまった。
その光景を見たウーシンを付け狙う一派である象拳の達人カオは、その場で勝負を挑むが、寸前のところで逃げられてしまう。
しかし、騒動はそれでは収まらず、ウーシンの存在を確信したカオ達は、チュエンフォンの叔父が経営する食堂を閉鎖に追い込み、揺さぶりをかけてくるのだった。
そこで、意を決したチュエンフォンは、本格的な醉拳を学び、戦いに備えるのだった!?
(妖術大変化)(詳しくはこちら)等のイケメンカンフースター、メン・フェイが主演したコメディカンフー作品です。
1972年の(武道大連合 復讐のドラゴン)でブレイクし、同じ方世玉を演じたシリーズや、他にも多くのカンフーアクション作品で、
同じイメージの爽やか系カンフーヒーロー役で人気も絶好調だった1980年に主演した作品となっています。
この年に6本の作品に出演していますが、本作ともう1本、ジョセフ・クオ監督の(武當二十八奇)のみがカンフーアクションで、
残りは全てイケメン武侠ヒーローものですので、出演していた作品のこの時期の流れの中では、異色の作品となっています。
勿論、1978年に香港で公開され大ヒットしていたジャッキー・チェン主演の(ドランクモンキー酔拳)の影響で、
雨後の筍のように相次いで製作されたコメディカンフーブームの流れに乗る、というか直球でジャッキーの醉拳人気にあやかっしまう、というオリジナルの影響の大きさが垣間見える作品となっています。
監督は香港映画には無くてはならない名監督で名脇役でもあるウー・マで、数々の名作を製作していますが、
時期的には、同年にサモ・ハンキンポーの(燃えよデブゴン 正義への招待拳)(詳しくはこちら)を監督し、出演もしていますので、
そちらの作品では、引退したかつての大剣士、本作ではお調子者のコメディリリーフ兼監督として、大活躍していた時期の作品となります。
ヒロイン役には、ジョセフ・クオ監督の(少林十八銅女)等に出演しているツィーマ・ユーチャオで、途中参加という感じですが、
主人公と交流を深めて、クライマックスでは結構などんでん返しの果てに、急転回を迎える美女拳士を華麗に演じています。
蛇拳を常に使用する役柄ですが、なかなかキレの良いアクションを披露しています。
さらに、敵役には、(怒れるドラゴン不死身の四天王)等でお馴染みの香港のチャールズ・ブロンソンことチン・シンや、
多くのジミー・ウォング作品や、(女少林寺)(詳しくはこちら)等の悪役としてお馴染みのルン・フェイ、
そして(至尊威龍)(詳しくはこちら)やジャッキーの(クレージーモンキー笑拳)等での愛嬌のある悪役でお馴染みのチェン・フーホン、
(悪漢笑撃隊)やジュディ・リー主演の(女煞星大鬧烏龍院)等の多くのカンフー作品で知られるルー・イールンと、
カンフー映画ではお馴染みのスター達が結集した作品となっています。
物語は、叔父の経営する食堂で働きながら、店先で出会った酔拳の達人に、こっそりとカンフーを教わっていたメン・フェイが、
街でコソ殿のお調子者ウー・マと知り合い、なんだかんだとしているうちに、武術大会に流れで出場する事になり、
そこで酔拳を披露してしまったので、その技を教えたのは誰だ?と、酔拳撲滅を目論む4兄弟の一派に詰め寄られ、
なんとか撃退はするものの、他の兄弟の捧腹によって世話になっている叔父の店が営業停止に追い込まれ、さらに叔父や従妹も襲われ、避けられない戦いに身を投じていく、
というどこかで見た事のある設定を良い所取りでアレンジしたような物語となっています。
ただ、本作、他の醉拳系コメディカンフー作品とは少し趣が異なっています。
まずは、開始早々、まさかの主人公の修行シーンから始まります。
ですので、カンフーを習うまでのドラマも何もなく、既に酔いどれ師匠に、酔拳や蛇拳で見た事のあるような楽しそうな修行を既に実施中、というシーンから始まります。
しかも、既にそれなりに体得しているようで、いきなり街で酔拳を見せびらかしてしまう、という他の作品では中盤以降に、話を展開させるために登場するような流れにいきなりなってしまいます。
で、勿論、あいつを締め上げれば、教えた師匠の居所が分かるので、にっくき酔拳派を駆逐できる、という事で、ライバル門派である悪党兄弟が暗躍していきます。
で、その悪党が4兄弟で、それぞれ虎、豹、獅子、象拳の使い手で、その悪党たちとの戦いと、合間にウー・マのお気楽、お調子者生活が挿入されていきます。
実際のところ、ウー・マの物語とメン・フェイの物語、そんなには関係ないのですが、何故かメン・フェイと意気投合したようで、やたらとメン・フェイを手助けしてくれます。
このウー・マの存在がまた本作では少し異色で、悪党に店を破壊され、商売ができなくなったメン・フェイ家族に対して、
無関係のウー・マが、賭場で荒稼ぎして資金を援助してくれたり、悪党兄弟の一人によって、店のある土地の地主に圧力をかけられ、
立ち退きを迫られたときも、今度はメン・フェイを伴って賭場に繰り出して、逆に有り金全部スッてしまう、
というような本来は主人公がやるべき役割を、全部ウー・マが明るいお調子者キャラで、全部担っていきます。
基本的にメン・フェイは非常に受動的で、誘われるがままに戸惑いながら、やっと動く、という感じです。
カンフーを披露してしまって、敵に襲われ、結局師匠の居場所を突き止められるのも、自分からカンフーを披露したわけではなく、
ウー・マに卵を奪われて、奪い返すために戦っていたら、武術大会の参加者を偶然やっつけてしまう、という非常に受け身の展開です。
この初登場で、既に醉拳を習っている最中(既に結構体得済み)というシーンから始まり、物事に対して常に受動的で、
見せ場は他のキャラクターが全部持って行ってしまう、という主人公とは思えない描かれ方が、異色で、
残念ながら、それが理由で、コメディカンフー映画なのに何故かコメディ色が薄い、という消化不良感の残る作品となっています。
これが、メン・フェイももっと明るい痛快なキャラクターだったら良かったのですが、基本的にはシリアス気味のキャラクターですので、
酔拳系のコメディチックなカンフー映画、という作品イメージと実際の暗めの物語のギャップが存在する作品となっています。
さらに、本作ヒロインを巻き込んだ大どんでん返しの果てにコメディカンフー映画では、ちょっと避けたいような展開になりますので、
色んな要素が、本作のコメディ色を薄めています。
言い換えると、ウー・マの存在以外は至ってシリアスなカンフー作品です。
もう少し、ウー・マの活躍場面をメン・フェイが演じていれば、作品イメージも変わったと思われますが、どうでしょうか。
アクションに関しても、メン・フェイの醉拳は、あのジャッキー版のおちょこを持つ構えに関しては、はっきりと真似ているものの、
くねくねと酔っ払いのように身体をくねらせて、敵の攻撃をのらりくらりとかわす、という醉拳の基本アクションは一切再現されませんので、
正直なところ、通常イメージする醉拳アクションとはちょっと違った戦い方となっています。
硬い醉拳、という感じでしょうか。
という事で、ジャッキー作品のような痛快酔拳コメディカンフーアクションを期待して観ると、実は思っていた内容とは違う結構なシリアスものだった、
という異色作品ではありますが、この時期のカンフー映画お馴染みのスターが多数出演している貴重な作品ではありますので、
カンフー映画好きの方や、香港映画好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
因みに、本作の武術指導は(真説モンキーカンフー)(詳しくはこちら)で主人公を演じていたチェン・ムーチュアンが担当しています。
作品情報
1980年製作 香港製作 カンフーアクション
監督 ウー・マ 武術指導 チェン・ムーチュアン
出演 メン・フェイ、チン・シン、ウー・マ、ツィーマ・ユーチャオ、ルン・フェイ、チェン・フーホン、ルーチンルン
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