【推薦!】ナイトライド 時間は嗤う (NIGHT RIDE)97分

投稿者: | 2023年4月14日

おすすめ度 ★★★★★★★☆☆☆

裏の世界から足を洗うため、最後の大きな取引に挑んだドラッグディーラーの一夜の奮闘を、94分間ワンカットでリアルに描く、意欲満点のサスペンススリラー!!

作品紹介

2022年11月18日公開

今回ご紹介する作品は、裏社会から足を洗うために奔走する主人公を94分間ワンカットで描いたサスペンスアクション作品です。

それでは、まずはあらすじから、

闇の世界で生きるバッジは、恋人との新しい生活を始めるため、最後の大取引で裏社会から足を洗う事を決意する。

しかし、その取引に出かけたバッジに、ある不審な車が近づいてきた事で、事態は思わぬ方向へと進んでいく事になるのだった!?

ベルファストを舞台に、裏の世界で生きる男が、恋人と堅気の世界で再出発を図るため、最後の大取引に挑むサスペンスアクション作品です。

本作の一番のアピールポイントは、このありがちでシンプルなストーリーを94分間のワンカットで表現する、

という大変意欲的な内容の作品となっています。

勿論、94分間で起きる出来事のみが描かれますので、物語上大きな展開があったり、実は、、、というようなドラマチックな捻りなどもありませんが、

夜の街を駆けずり回る緊張感はひしひしと伝わって来る内容となっています。

物語の出だしは、モーダン・フォード演じる裏の世界に生きる主人公が、恋人と共に堅気の世界で再出発するべく、

大きな額のドラッグ取引を行うために、出発するところから始まります。

で、恋人との会話を交わして、自宅を出て、駐車場に停めてある車に乗り込み、取引に出かけます。

勿論ワンカットで、基本的に主人公に寄り添ってカメラも動きますので、完全な主人公目線のPOVではありませんが、

比較的主人公目線には近い風景がずっと映し出されます。

車に乗り込む主人公をカメラで映しながら、そのまま、車の外側、ボンネットの斜め前ぐらいにカメラを固定し、

そのまま主人公がエンジンを掛けて、夜の街を運転しながら、ハンズフリーで仲間や取引関係者に電話するシーンが描かれていきます。

この、車を運転しながら電話をする主人公をリアルタイムでカメラに映しながら、ハンズフリーでその会話も聞こえるようになっている事で、

画面に映っている主人公が遭遇する出来事と、電話の会話相手に巻き起こっている出来事も、同時に表現できるようになっています。

非常に上手い設定です。

何が起こるかという事を細かく書いてしまうと、出来事そのものが作品の面白味に直結している作品ですので、

詳細は割愛しますが、運転中に出くわしたある出来事が原因で、自身が取引現場に行けなくなってしまうので、

頼り無い部下を急遽代理で活かせると、さらにトラブルを巻き起こしてしまい、取り引き続行が不可能になる中、

なんとか打開策を見つけて対応していくものの、、、、

という感じで、電話の向こう側の出来事と、電話のこちら側(主人公側)の出来事が上手く作用しあって、

タイムリミットが近づく中、事態はどんどんと悪い方向に向かっていく、という感じで、恋人と新しいスタートを切る、どころではなくなっていきます。

ストーリーだけ見ると、かなりありがちなクライムサスペンス、という感じですが、これをワンカットで描くとなると、

途方もない準備と、リハーサル、練りに練られた構成等が必要な事は見て取れますし、膨大な台詞量とアクションを、

94分間ずっと間違わずに演じ続ける、という凄まじい集中力と緊張感が主人公に寄り添うカメラから直に伝わってくるので、

単純なストーリーながらも、同様のジャンルの作品とは全く異なる間隔を味わえる作品となっています。

長回しの撮影を自分のNGのせいでふいにすることは絶対にできない、という撮影に対する緊張感も加わって、本当に追い込まれているがけっぷちの人たちを描く出す事ができているのではないでしょうか。

ただ、本作、騒動が起こる前の段階で、主人公のおじさん、モーダン・フォードが電話で会話をしながら、夜の街を運転しているだけの動きを、

結構長い時間見続ける(開始から30分ほど)、というシーンが存在してしまいますので、恐らく多くの人は(自分も含めて)、そこで一旦ワンカットの意義を考えさせられる、

という我慢の時が構成上、どうしても訪れてしまいますが、そこを前振りとして我慢してしまえば、後半以降はテンポ良く、

主人公同様に緊迫感を直に感じて作品世界に入り込めるようになっています。

で、中盤では、リアルタイムのワンカット撮影ならではの、撮影中のハプニングをも、本編の一つの要素として乗り越えていく、

という素晴らしい対応力も垣間見る事ができ、そういう面でも、主人公と同じ時間を同じ場所で体験しているような臨場感を感じる事ができるようになっています。

散々な目に合いながら、追い詰められた主人公が、タイムリミットギリギリで、辿り着く結末は、観ている観客側も、

他の作品では感じられないような、主人公と一緒に94分間を走り抜けたような共感を感じる事ができるような結末となっています。

という事で、長回し系の作品も増えてきましたが、本作は非常に練られたワンカット撮影の意欲的な秀作となていますので、

サスペンスアクション好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。

あと、製作者は結構なマイケル・マン監督ファンのようで、作品名が何度となく登場したり、映画版(マイアミバイス)でコン・リーが言う台詞『time is luck』(時間は恵)が、

本作の重要なシーンで引用されているのも、本作のマイケル・マン監督作品のような男臭い物語の雰囲気を盛り上げています。

作品情報

2021年製作 イギリス製作 サスペンス

監督 スティーヴン・フィングルトン 製作総指揮 モーダン・フォード

出演 モーダン・フォード、ジョアナ・リべイロ、ジェラルド・ジョーダン、キアラン・フリン、スティーブン・レイ

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