おすすめ度 ★★★★★★★★☆☆
(ゴッドギャンブラー)の直前にアンディ・ラウ、アラン・タム主演で製作された賭博の世界で生きる幼馴染のコンビの活躍を描いた男泣き香港ノワール!!
作品紹介
1991年8月10日公開
今回ご紹介する作品は、バリー・ウォンが監督し、アラン・タム、アンディ・ラウを主演に迎えて製作した香港ノワール作品です。
それでは、まずはあらすじから、
服役を終えて出所したクラブと幼馴染のサムは、友人がアメリカで経営するカジノを荒らしている日本人のイカサマトリックを摘発する。
しかし、恨みを持った日本人宮木によってサムは命を狙われるが、駆け付けたクラブが自身の手を犠牲にして救ってくれたために事なきを得る。
その事が原因で賭博の世界で活躍できなくなったクラブは、最後の大勝負として日本人に高額のギャンブル勝負を挑んだことで、事態は思わぬ方向へと進んでいく!?
バリー・ウォンが(ゴッドギャンブラー)と同年に監督した賭博の世界を舞台にした香港ノワール作品です。
時期的にはアンディ・ラウ主演で日本でも衛星放送で放映された(ワニハンター)や、近年配信された
マギー・チャン、ドゥドゥ・チェン共演のコメディ(危ない女たち)(詳しくはこちら)、
そしてギャンブル映画の金字塔(ゴッドギャンブラー)を監督した年と同じ1989年の作品で、バリー・ウォン人気が急激に高まっていた時期の作品になります。
で、本作にはもう一人、監督としてジミー・ヒョンがクレジットされています。
ジミー・ヒョンは監督作品は少な目ですが、製作としてバリー・ウォン作品に頻繁に登場する、言わばパートナーのような存在で、
(ゴッドギャンブラー)シリーズやアンディ・ラウ主演の(大いなる野望)シリーズ、チャウ・シンチー主演の(ロイヤルトランプ)シリーズ等、
全盛期のバリー・ウォン作品のほとんどをプロデュースしています。
恐らく、本作での監督は、バリー・ウォンが多忙なために代打的に監督も兼任した、という感じではないでしょうか。
主演のクラブ役には、この1989年には本作を含めた3本のバリー・ウォン作品と、ワン・ロンウェイが監督した(餓狼列伝)、
チェリー・チェンと共演した(野獣戦線)、衛星放送で放映された(男たちのバッカ野郎3 狼の一族)等、
色んなジャンルの作品に出演していた時期のアンディ・ラウで、まさに大ブレイク中に出演した作品となっています。
で、もう一人の主演であるサム役のアラン・タムは、歌手が本業ですので、1989年のこの時期、アンディ・ラウほど出演作品は多くありませんが、
アンディも一緒に出演しているエリック・ツァン監督・主演作品(小小小警察)等に出演しています。
で、そんな人気のスター二人組の物語に、ヒロインとして登場するのは、リュー・チャーフィーとアダム・チェンが激突するカンフーアクション(少林寺武者房)のヒロイン役や、
ユン・ピョウ主演の傑作ハードアクション(オン・ザ・ラン)、アニタ・ムイ、アンディ・ラウ主演の(川島芳子)等のアイディ・チェン(アイダ・チェン)で、
完全にお人形さんのような前半のヒロインから、後半まさかの大活躍の末に、香港映画史上に残る切ないシーンで終幕を迎える、
という最終的に主人公のように様変わりする重要なキャラクターを演じています。
で、もう一人のヒロインであるアンディの恋人役で、(七福星)や(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ)シリーズのヒロインでお馴染みのロザムンド・クワンが登場し、
本作では儚い魅力を放つヒロインを好演しています。
で、本作、時期的には恐らく(ゴッドギャンブラー)の撮影とも被っている、もしくは連続している時期の作品ですので、
(ゴッドギャンブラー)でお馴染みのキャストが脇役で登場します。
まずは、本作と(ゴッドギャンブラー)で、連続で同じような外道系の悪役でブレイクしていく事になる、
(至尊威龍)(詳しくはこちら)等、若い時はイケメンカンフースターとして活躍していたロン・フォンで、本作は登場シーンこそ少な目ですが、
それでも、強烈な外道っぷりを発揮し、悪人イメージを全て一人で請け負っています。
もう一人、(ゴッドギャンブラー)でチョウ・ユンファのボディガード、ドラゴン役を演じていたチャールズ・ヒョンがアメリカでカジノを経営するボス役で登場します。
チャールズ・ヒョンは監督のジミー・ヒョンと兄弟で、1970年代前半からカンフースターとして活躍し、(老虎煞星)等の作品で活躍しています。
さらに、ほんの少しの登場ですが、(ゴッドギャンブラー)の冒頭に登場していた(飛龍神拳)等の鹿村泰祥が登場し、作品を盛り上げます。
で、ロン・フォンが日本人役という事で説得力を持たせるため、その父親役でジャッキーの(シティーハンター)や
(ゴジラVSビオランテ)から始まるゴジラシリーズの陸上幕僚長役で活躍していた日本人俳優萩原賢二が登場し、日本人のヤクザのボス役を独特の存在感で演じています。
因みに、ロン・フォンはその息子である日本人役なので、役名は太郎、恐らく日本人の名前の呼び方を良く分かっていなかったのか、
太郎という下の名前で、敵であるアンディやアランとやり取りします。親し気ですね、、。
さらに端役として刑事役で、(ビッグヒット)の監督カーク・ウォンや、
殺し屋のボス役で(ミラクルファイター)(詳しくはこちら)等のエディ・コーが登場し、作品を盛り上げています。
そんな、人気のスタッフ・キャストが結集した本作は、賭場の世界で生きるアンディ演じるクラブが、刑期を終えて出所するシーンから始まります。
で、早速美女(ロザムンド・クワン)にお出迎えされたアンディは、そのままあるバーに連れて行かれます。
そこで待っていたのがアラン演じる幼馴染の親友サムで、再開するなり早速かつてのコンビぶりを発揮していきます。
で、行くあてのないクラブを誘ってアメリカで友人のロンが経営するカジノを荒らす日本人の、イカサマトリックを見破って欲しいという依頼を受ける事になります。
で、アメリカに行ってみると、その賭場を荒らしているのがロン・フォン演じる太郎(苗字は宮木)で、
アランとアンディは早速、トリックを見抜き、太郎を撃退してしまいます。
で、その後、仕事を終えたアランはカジノで余暇を楽しんでいる前に、アイディ・チェン演じる香港の富豪の娘キャサリンが颯爽と登場し、あっという間にアランとアンディは一目ぼれ、
でも、2人は親友同士なので、アンディは一歩引いて、アランがアタックし、2人は親密な関係になっていきます。
で、色々順調に進んだところで香港に帰国してみると、イカサマを見抜かれた事に恨みを持った太郎が、殺し屋を雇ってアランの命を狙う、という極端な報復に出ていきます。
その動きをいち早く察知したアンディは、親友アランの下に駆け付け、殺し屋を撃退していきますが、その時の瑕が原因で、左手の神経を切られてしまい、
手術はしたものの、以前に比べて50%としか力が回復しない、という賭場の世界に生きる者としては致命的なダメージを受けてしまいます。
これを機に、アランは賭場の世界から足を洗い、結婚することになったキャサリンの父親が経営する会社の重役として堅気の世界で生きていく事になります。
ただ、そんなアランを祝福しつつも、賭場の世界でしか生きられないアンディは、最後の大勝負として、一人で太郎にギャンブル勝負を挑んで行く事になります。
しかし、左手はかつての様には動かない、という事で、アンディは一計を案じて、、、、
という事で、中盤からはそれまでの流れを覆すような展開を迎え、クライマックスにかけて怒涛のギャンブル対決へと突入していきます。
ただ、本作はギャンブル対決展開にはなりますが、ギャンブルそのものが見せ場となっている(ゴッドギャンブラー)とは違い、
男同士のドラマとしての見せ場を優先しているため、最後の最後に迎える大博打も、物語的には非常に盛り上がりますが、
男のドラマとしては、若干意表を突く捻りの効いたクライマックスとなっています。
ただ、その予想外の展開がある事で、香港映画史に残る切ないラストシーンで終幕を迎える事になりますので、
裏の世界でしか生きられない男たちのドラマとしては、非常に秀逸な展開の作品となっています。
この展開の後に続くシーンとしては、これ以上ないぐらいに素晴らしいシーンで、同時に、アランの主人公らしからぬ行動が、
どんな手段を使ってでも絶対に勝負に勝つ、という執念を表しつつ、だからこそ、アランもアンディ同様に裏の世界でしか生きられない性を的確に表した名シーンとなっています。
アイディ・チェンの切ない表情と涙が胸に刺さります。
という事で、物語中盤で大きな展開を迎える作品ですので、あまり詳しく書けないのが歯がゆいですが、
間違いなく1980年代後半の香港映画史に残る名作の1本となっていますので、香港映画好きの方や、香港ノワール好きの方等ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
アンディもアランも男泣きですよ。
作品情報
1989年製作 香港製作 香港ノワール
監督 バリー・ウォン、ジミー・ヒョン アクション監督 チン・ユッサーン
出演 アラン・タム、アンディ・ラウ、ロザムンド・クワン、アイディ・チェン、ロン・フォン、
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