おすすめ度 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
漫画チックで娯楽要素に溢れた前半と、愛憎渦巻くダークなノワール調の後半の世界観が違いに戸惑う、格闘アクション満載のレディースアクションシリーズ第三弾!!前二作が未リリースなので世界観に成れるまで時間がかかりますが、成れると楽しめます!!



作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介する作品は、リー・メンメン(リー・モンモン)主演の格闘アクションシリーズの第三弾です。
それではまずはあらすじから、
天下一の称号を得た武術家アーシーは、戦いの日々に嫌気がさし、引退しようと98歳の師匠の誕生日を祝うために故郷に帰り、師匠と妹弟子ズォユーと再会するが、
そこにかつてのライバル門派龍堂派の刺客が現れ師匠の命を奪われた事で、2人の姉妹弟子は復讐を誓い、再び魔都上海の地を踏むのだった!!

監督は、本シリーズの前2作や、(デンジャラスレディ)(詳しくはこちら)、(古剑奇谭之厌火之乱)等を手掛けるリュウ・バインと、


(黄飞鸿之铁血十三姨)等のタン・ヤジエの共同監督で、結構豊富なアクションとドラマティックすぎる愛憎ドラマを演出しています。

主人公の女性拳士役は、本シリーズ2作や(デンジャラスレディ)、(レジェンド・オブ・ドラゴン 鉄仮面と龍の秘宝)や(辣妹特工)等の
リー・メンメン(リー・モンモン)で、激しいアクションをこなしながら、ドラマ面でも魅力を発揮しています。



で、その妹弟子役で、(トレマーズ砂の王国)(詳しくはこちら)や(李白之天火燎原)等のマー・ムーシュエンが登場し、
前半と後半で別人のような役柄を演じています。



で、主人公に想いを寄せる協力者役で、(魔界戦記 雪の精と闇のクリスタル)や(我说的都是真的)等のマー・ドンチェンが登場し、主人公をサポートしていきます。



そんなスタッフ・キャストが製作した本作の物語は、恐らく前二作までの戦いで、上海の格闘技界を制覇した女帝アーシー(リー・メンメン)が、
突然各門派の強豪たちの挑戦を受け、コメディチックに撃退するシーンから始まります。



その剛腕は凄まじいようで、赤子の手を捻るように軽くいなしたアーシーですが、既に天下一の称号に虚しさを感じ、武術界の引退を決意、
そのまま田舎の村に住む師匠の98歳の誕生日のお祝いに駆け付けます。


師匠には妹弟子のズォユー(マー・ムーシュエン)がズッコケコンビ的に付いていて、和気あいあいとしていましたが、
実はアーシーとは少女時代から師匠のもとで、ずっと一緒に暮らしてきた仲で、姉弟子の久々の訪問で、かつての思い出が蘇ります。



村も歓迎ムードという感じですが、そこへ、ライバル門派、龍堂派の刺客が現れて、愛嬌たっぷりの師匠の命がいきなり奪われてしまう事で雰囲気が一変してしまいます。


師匠が命を失う事になった原因は、全てアーシーにある、という事で、歓迎ムードから疫病神のように扱われてしまうようになったアーシーですが、
アーシーを姉のように慕うズォユーだけは味方となり、師匠の仇を討つために、一緒に上海に出ていく事になります。

しかし、上海に戻ってみると、龍堂派と上海の支配を目論む外国人ハンクスの計略によって、アーシーは、師匠の殺害犯人に仕立てあげられ、お尋ね者となってしまいます。


田舎村だけではなく、大都会上海でも追われる身となったアーシーですが、古くからの友人である警察官ジュジュ(マー・ドンチェン)の協力を得て、

上海を影で牛耳る龍堂派のボス金剛龍とライバル門派と外国人ハンクス相手に戦いを挑むが、そんな中龍堂派の闇討ちを受け、ズォユーが重症を負ってしまう、、、、、
、、、、、、、というのが、大体の大筋となっています。


2020年製作の(霍家拳之铁臂娇娃)、2021年製作の(霍家拳之铁臂娇娃2)に次ぐ2022年に製作されたシリーズ第三弾で、
恐らく前二作で語られてきた主人公の過去のエピソードに迫るエピソード0的な要素のある物語として製作された作品となっています。


(男たちの挽歌)シリーズで言うところのマークのルーツを描いた(アゲイン明日への誓い)という感じでしょうか。


ただ、一作目からそこまでを想定して製作されていたシリーズでもなさそうで、本作で当然の様に登場する妹弟子や師匠は、
前二作にはキャスティングされていないようですので、今回で初登場か、他のキャストが同役を演じているかのどちらかだと思われます。


ですので、開始早々に知らないキャラクター同士がいきなり激闘を繰り広げる、というピンとこないシーンから始まりますが、
恐らく、こういったキャラクターも、本作からの初登場の可能性が高いと思われます。

しかも、格闘アクションなどはしっかりこなすものの、根本が漫画チックな世界観なので、刀が何本も致命傷なぐらいに体に刺さっているのに痛がるだけで、
絶命までは描かれないという世界観(爆弾が爆発しても、身体が黒くなったまま生きている感じ)で、
リアルとコメディがアンバランスに共存する世界観
となっています。


この独特の世界観と前二作を飛ばしてからのシリーズ初リリース(物語の発端を観ずに、エピソード0的な変化球な物語から見始める)というあまりに不利な状況に、
前半は、かなり物語に入り込むまでに時間がかかりますが、中盤上海に戻るあたりから、なんとなく世界観にも慣れ始めますので、
その辺りからは、ドラマやアクションもしっかりと楽しめるようになっていきます。


ただ、、、、、
本作、やっと楽しめるようになってきた中盤から後半にかけて、ある事件が発生し、それを理由に、これまでの世界観にやっと慣れてきた観客を、
ドンッと突き放すような、ドラマチックと呼ぶには、あまりに方向が違い過ぎる、それまで描いてきた作品世界をぶち壊すような大転換が訪れます。

それを書いてしまうと、楽しみが減ってしまいますので、割愛させていただきますが、チョウ・ユンファ作品で例えると、
(大丈夫日記)を観ていたら、後半、いつのまにか(愛と復讐の挽歌)に変わっていた、ぐらいの別世界の物語のようなクライマックスとなっています。


シリーズも三作目となると変化球が必要なのは、わかるのですが、もし、前二作が本作の前半のように漫画チックな世界観で統一されてきたとすると、
トンデモナイ大暴投の変化球で、恐らく、シリーズを長く観続けているファンであればある程に、違和感を感じるような捻りとなっています。

終わってみると、漫画チック過ぎる前半と、シリアス過ぎる後半のアンバランスさが際立ちますが、もし、前二作でもこのアンバランスな展開こそが、
本シリーズのお約束という事でしたら、逆に統一感のあるシリーズという事になりそうなので、俄然前二作への興味が高まりますが、
本作自体が3年前に製作された作品を今になってからのリリースなので、前二作が今後リリースされる可能性も低そうなのが残念です、、、。

アクションに関しては、主演のリー・メンメンが、結構自身でアクションをこなすタイプのようで、
しかっりした動きとCGを融合したアクションが、割と豊富に描かれますので、他の同系列作品と比べても格闘アクション作品として十分楽しめる内容となっています。


ただ、パワーの源ぐらいに度々登場する酒がめをがぶがぶ飲んで繰り出す必殺拳は、醉拳という表現のようですが、どういうわけか、
多くの人が期待しているあの醉拳はほとんど披露しません。


あのおちょこを持ってふらふらとしながら、しゃなりしゃなりと敵の攻撃を受け流す様なアクションも登場しませんので、
恐らく、本作においては、お酒自体が、ポパイのほうれん草や、キン肉マンの牛丼のように、主人公の力の源という表現か、
根本的に醉拳の解釈が新(Z)時代に突入している
のかもしれません、、。

という事で、前二作を鑑賞せずにいきなり三作目から鑑賞する事になりますが、意外と楽しめる作品とはなっていますので、
カンフーアクション好きの方や、レディースアクション好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
でも、ちゃんと一作目から観たいですね、、、。





作品情報
2022年製作 中国製作 カンフーアクション
監督・脚本 リウ・バイン
出演 リー・メンメン(リー・モンモン)、マー・ドンチェン、シェ・ニン、マー・ムーシュエン、シュ・ハイイェン


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