【中国映画】クラウディマウンテン(峰爆 CLOUDY MOUNTAIN)114分

投稿者: | 2022年11月13日

おすすめ度 ★★★★☆☆☆☆☆☆

中国映画の人気ジャンル、ディザスターパニックに、登山もの要素を融合した、配信作品ではない、劇場公開もされたしっかりしたアクション作品!!

作品紹介

2022年6月10日公開

今回ご紹介するのは、中国映画界人気のジャンル、ディザスターパニックに山岳ものを融合させた作品です。

それでは、まずはあらすじから、

政府が10年越しで進めていた高速鉄道を通すためのトンネル工事中のトンネル内で、突然、湧水が大量に流れだす事故が発生する。

地殻変動により2時間以内に大量の土砂が、街へ溢れ出す事が判明する中、作業員たちは苦渋の決断を迫られる!?

中国映画界の人気ジャンルの一つディザスターパニック作品です。

最近連続でDVDリリースされているような配信専用目的の規模の小さいほとんどテレビドラマに近いようなこじんまりとした作品ではなく、

しっかりと予算を懸けて、手間暇かけて製作され、中国、香港、日本でも劇場公開された作品になります。

DVDジャケット(劇場ポスター)だけを見ていると、なかなか判断が付きにくいですね、、。

出演は、主人公に中国の人気ドラマ「鎮魂」が人気の映画初出演、チュー・イーロン

正義感の強い英雄主人公、チュー・イーロン
チュー・イーロン

主人公の父親役で、(インビジブルスパイ)や(インファナルアフェア2)等の香港映画でもお馴染みのホアン・チーチョン

頑固な元鉄道兵で英雄的なホアン・チーチョン
ホアン・チーチョン

トンネル工事の責任者で、後半苦渋の決断を迫られる役柄にアンドリュー・ラウ監督の(フライトキャプテン)(詳しくはこちら)等のチェン・シュー

利益優先に走るのかと思いきや、後半英雄的になるチェン・シュー
チェン・シュー

主人公の彼女役で、主人公達とは別行動で、子供を助ける役柄で、レオン・カーファイ主演の日本の(深夜食堂)のリメイクに出演しているジャオ・ジュンヤン

ジャオ・ジュンヤン
ジャオ・ジュンヤン

とキャスト面でも配信専用作品ではない、劇場映画レベルの豪華なキャストが揃っています。

簡単に言うと全員英雄役ですが、、。

全員、、
英、、
雄!!

その作品規模の大きさは、おそらく誰が見ても、始まって10分ほどで、配信専用作品が1本製作できるのでは?と思うほどの豪華な映像に、実感できるかと思われます。

ただ、豪華すぎる、というか予算が確保できたので、隙があればアクションを入れたくてしょうがない、といった感じで、アクションに次ぐアクション、

CGに次ぐCG、という感じで、ドラマ(それなりにはありますが)よりも、とめどなくアクションを優先的に入れまくった結果、

どんどんと物語を進めるために、どんどんとご都合主義的に困難を解決していく、という感情移入の隙間もないぐらいのアクションの連続となっています。

それでも、他の始まった途端に終わる、ような印象の70分台の配信専用作品に比べたら、上映時間114分としっかりした尺がありますので、

洞窟に閉じ込められたパート等に登場する個性的な登場人物のそれぞれのキャラクターも描かれたりしますが、

後半に入る前に洞窟遭難パニックは解決してしまって、その後主人公と父親が移動して他の問題に対処するために山に登る、というクライマックスを描くために、

それまでの登場人物が、助かっているのに、全く登場しなくなる、という流れを完全にリセットしてしまうような構成になっています。

さらに、主人公の父親も自身が災害の渦中にいてパニック状態に陥っているわけではなく、

自分は助かっているのに、他の人を助けるために現役の救助隊の静止を振り切って、どんどんと危険地帯に自ら向かう、

という災害パニックものの基本中の基本である、災害から助かるために必死で逃げる一般市民、という大前提が崩れていってしまっていますので、

英雄目線最優先の結果、主人公クラスの登場人物が、どんな災難に合おうと当然の結果、という他の国で製作される災害ものとは、異質の流れの作品となっています。

救助隊の静止を振り切って勝手な行動を取る父親(描き方は英雄)

要するに、ディザスターパニックジャンルで、お金をかけて描いた英雄物語、という感じでしょうか。

この基本的な英雄目線が根底にあるために、トラウマを抱えた息子と父親の心の交流と復活を描く、という非常にドラマティックな要素が入っているにも関わらず、

素直に感動できない流れとなっています。

助かって眠る父親。普通はエンディングですが、英雄なのでこれから、まだまだ災害に向かいます。

この英雄的な父親は、かつて鉄道兵として活躍していたようで、やたらと英雄的、プロパガンダ的な匂いがプンプンするのも、配信専用ではない最近の中国映画の一つの特徴かと思われます。

製作者が純粋に、そういう要素を入れたい、というよりも、そういう要素が入っていないと劇場で公開されるような映画自体の製作の許可が下りないのではないでしょうか。

そう考えると、ジャンルは違いますが、大ヒットプロパガンダ映画(戦狼)シリーズ等にも通じる、同じ匂いがしてくるような気もします。

物語の大筋としては、地殻変動によって湧水が噴出した新設工事中のトンネル内で、大量の湧水があふれ出し、

そのままだと山から流れた土砂が、多くの市民が住む街を飲み込んで多くの死者が出てしまうので、トンネルを塞ぐか、どうするか?

という緊迫した状況のパニック展開で、10年かけてトンネルを掘り続けた人々の葛藤を、責任者の感動スピーチによって英雄的に見せつける、という非常にドラマティックに描かれています。

※↓ここからは、物語のクライマックスの展開に少し触れていますので、ご注意ください↓※

ただ、文化の違いからか、英雄目線ではない一般市民目線で見ているからなのか、どう考えても人命最優先なのに、ずっとトンネルを埋める決断を悩み続ける、

というドラマの果てに、他の解決策として、隣の山を丸ごとダイナマイトで爆破して吹っ飛ばし、その崩れた山の土によって、一応トンネルを残したまま街も救う、

という自然破壊丸出しの仰天の作戦に、文化の違いを感じます。

普通で考えると、トンネルを開通させるために、自然を切り開いて10年かけて地中を堀ったツケが、地殻変動と相まって土砂崩れを巻き起こした、

と考えるべきで、解決方法は当然トンネルを埋める、しかないはずですが、お偉い政府が進めているトンネルの工事は確保しておいて、隣の山の方を吹っ飛ばす、

という自然破壊に、さらに自然破壊を重ねる作戦を、英雄的に描いてしまうのが、お国柄という感じでしょうか、、。

英雄
英雄

ただ、プロパガンダ要素と英雄要素をスルーすれば、潤沢な予算に、やたらとハリウッド作品の影響を大きく受けたようなアクション描写の数々に、

決して楽しめない作品ではなく、良質のアクション作品を鑑賞している、という充実感は得られますので、

アクション映画好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。

色んな意味で、今の中国映画の現状を感じられる作品です。

あと、原題が、クライマックスの展開をそのままネタバレしてしまっているのも、お国柄でしょうか、、。

作品情報

2021年製作 中国製作 ディザスターアクション

監督 リー・ジュン

出演 チュー・イーロン、ホアン・チーチョン、チェン・シュー、ジャオ・ジュンヤン

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