おすすめ度 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
遺伝子操作によって巨大化した蛇が台湾の街を襲う、日本から(里見八犬伝)の特撮チームを招いて製作された台湾製怪獣特撮作品!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介するのは、日本から(里見八犬伝)の特撮チームの強力も得て製作された特撮怪獣作品です。
それではまずはあらすじから、
食糧危機問題を緩和するため、生物の成長を急激に促進させ、巨大化する装置【バイオシステムR19】が開発された。
しかし、その完成を聞いた闇組織がその装置を使って世界市場を支配するために、研究所を襲撃する。
研究員たちは、必死の抵抗をするも、一人また一人と倒れていく。
しかし、そんな中、なんとか装置を持って逃げ出したリン博士は、逃げる途中の山林に装置を隠したが、
近所で遊んでいた蛇好きの少女ティンが、その装置を偶然発見してしまうのだった!?
日本から(里見八犬伝)の特撮チームを招いて台湾で製作された怪獣特撮作品です。
そう表現すると物凄く超大作という感じがしますが、実際は(里見八犬伝)で使用された着ぐるみを流用し、
後半の特撮シーンに使用した作品で、(日本の特撮チーム)も正直どこまで撮影に参加したのか、も、ちょっと怪しいような作品となっています。
大体が個人名を表記せずに【日本(新里見八犬傳)特技小組協力撮製】とザクっと表記するという扱い(当時の香港、台湾作品ではありがちといえば、ありがちではありますが、、、)を見ると、
流石に、それほどガッツリ共同制作という事では無かったのではないでしょうか。
ただ、後半の特撮シーン等は86年製作当時から観ても、懐かしさの香る特撮となっていて、今観返してみると、
そのチープ感が逆に味となって見えますので、なかなかに楽しめるシーンとなっています。
そんな本作の物語は、ある研究所で、世界の飢饉を回避するための物質の巨大化装置【バイオシステムR19】が完成するところから始まります。
最終実験は少し大きめのの蛙を装置に入れてみると、あっという間に巨大蛙に大変身、という事で、人類の命運を担う装置が完成します。
で、その研究責任者である博士は、それが政府によって兵器として使われる事を恐れ、研究の危険性も訴え始める、
というところで、絶好のタイミングで、テロリストが、その兵器を奪うために研究所を襲います。
地獄と化す研究所で、なんとか巨大化装置(少し大きめのウサギを飼う籠サイズ)を手に逃げ出した助手ですが、
追手の猛追はやまず、山林地帯まで逃げるものの、そこで力尽きて装置を放り出して気絶してしまいます。
で、放りっぱなしにされた人類の命運を握る装置を、その辺で遊んでいた中学生ぐらいの女子がゲットします。
で、中に入っていたはずの巨大蛙はいつの間にかいなくなっているので、そのまま箱(にしか見えませんが、人類の命運を担う装置)を持って帰り、
その辺の藪で捕まえて【モスラー】と名付けてペットにしている蛇を、その装置に入れてしまいます。
で、宿題などをやっていると、、、!!!!
既に自身の中学生ぐらいの身長をとっくに超えるぐらいのサイズになっています。
ヤバイ!!
という事で、自室に隠しきれないので、近くの倉庫みたいな建物に隠します。
でも、モスラーと中学生ぐらいの少女は心が通じているので、お友達同士です。
で、そんな日々でモスラーと中学生が遊んでいるとことろを、装置を狙っているテロリストの一味に偶然目撃されてしまいます。
で、いよいよテロリストの魔の手が中学生ぐらいの少女に及ぶが、その際のドタバタの電気ショックが原因で、モスラーは急速に成長し、高層ビルよりも大きくなっていった、
という感じで、メインの怪獣映画パートへと突入していきます。
全編ツッコミ所満載ですが、まずは主人公となる少女、
前半の蛇との出会いパートでは、無邪気に2人の男子と遊んでいるシーン等が繰り返されますが、とにかく、、、
デカい!
本作は、要するに、異なる種族のお友達を、大人から守るために幼い子供達が奮闘する、という(霊幻道士2)や台湾製キッズキョンシー映画のような、お約束の流れになるのですが、
この展開は幼い子供達が奮闘するから、グッとくるのであって、本作のように大人の階段を上りつつある中学生ぐらいの子供達では、
幼さによる危うさよりも、しっかりとした態度と舞台表現のような、身振りを交えた大きな演技(蛇との会話シーンは特に)に、
きっちりとしたお芝居感というか、下手するとコント感にも似た雰囲気が常に香る作品となっています。
あまりのきっちりお芝居とメイクで、少女がだんだんと熟練キャストのように見える事もしばしば、という感じです。
あと、蛇に【モスラー】というのもどうなのでしょうか。
字幕ではモスラーとーを付けていますが、恐らく台湾語ではモスラ、という意味で発音していると思われます。
勿論、当時既に日本の特撮怪獣キャラクターである【モスラ】は台湾でも知名度は高かったと思われますので、
その有名固有名詞をそのまま命名する、という大胆さ(しかも日本人の特撮チームを招いているような作品で)に、時代性というよりも国民性を感じてしまいます。
これが、怪獣映画ではなく、普通のサイズの蛇のペットにその固有名詞を付けるなら、それほど問題ないと思われますが、
流石に怪獣映画、しかも蛇型の怪獣にその名前を付ける、というセンス。
ついでに本家のモスラは、当然英語のmoth(蛾)をモチーフに命名していると思われますので、それをそのまま蛇に付けるセンス。
ただ、子供が考えて付けた、と言ってしまえは、それまでなのですが、、、。
あと、気になるのは、最初の実験で、ある程度巨大化(小学生低学年の身長ぐらい)している蛙の行方が気になります。
山林地帯で行方不明のままです、、、。
因みに作品とは関係ありませんが、日本版のVHSビデオジャケット(あばびでおバージョン)では、色々と適当な事が書かれている(情報量は極めて少ない)のですが、
その裏表紙の出演者の紹介で、
【愛と復讐の挽歌のダニー・リー役、リー・シュー・シェン出演】という間の抜けた記載がありますが、
正しくは、
【愛と復讐の挽歌に出演しているダニー・リー出演】です。
ダニー・リーは役名ではなく、本作の出演者の英語名で、リー・シュー・シェンはその出演者の中国語名です。
知らないにも程がありますが、流石にクレジットがトップのキャストの紹介ぐらいはちゃんとして欲しいですね。
因みに、香港映画あるあるで、キャストと役名が同じ場合が多い(ジャッキー・チェンの役名はジャッキーが多い等)ですが、
(愛と復讐の挽歌)のダニー・リーはダニー・リーという役名ではなくチョンという役名なので完全な間違いです。
それと、ついでに【香港映画界に炸裂するSFX!!】と書かれていますが、本作は台湾映画で、香港は一瞬たりとも登場しません。
それを言い出すと、この時期にリリースされるVHSソフトは台湾製作でも香港と表記されたりする事は多くの作品でありましたので、
台湾製作映画も、総じて香港映画とくくるのは良いのですが、本作の他社での最初のリリースタイトルが(大蛇王HONGKONG崩壊の序曲)という、全然違う都市での出来事になってしまっていましたので、
そのタイトルに習ってそのまままま香港と言い切ったのだと思われますが、再リリースで、邦題もわざわざ変更するのであれば、間違いも正して欲しかったところですね。
あと、少女が主演で大げさに頑張っていますが、脇を固めるのは博士役のダニー・リーを始めとして、
テロリストのボス役で(妖術大変化)(詳しくはこちら)や(水馬拳クレージーホース)等のカンフースター、チー・クワンチュンが登場しているのも、
後半の特撮シーンと合わせて見逃せないポイントとなっています。
因みに、本作、後ほど悪名高きフィルマーク社によって、なんとニコイチ映画に選ばれて別な作品(THUNDER OF GIGANTIC SERPENT)として生まれ変わってしまっていますので、
海外のデータベース等を覗いてみると、そちらのデータが出て来てしまう、という不遇の作品となっています。
という事で、メイン怪獣シーンに至るまでが、少し我慢が必要ですが、クライマックスは味のある特撮で結構楽しめる作品となっていますので、
特撮好きの方や、香港映画好きの方等ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
作品情報
1984年製作 台湾製作 モンスターパニック
監督 ヒュー・ユールン
出演 ダニー・リー、チー・クワンチュン、ポール・チャン
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