おすすめ度 ★★★★★☆☆☆☆☆
1970年代香港、警察の汚職捜査専用の独立機関(内務調査局)ICACの誕生を描いた(男たちの挽歌)のティ・ロン、(ポリスストーリー)のマギー・チャン共演の香港版(アンタッチャブル)!!
作品紹介
1994年11月11日公開
今回ご紹介する作品は、汚職専門捜査機関(ICAC)の誕生と活躍を描いたサスペンスアクション作品です。
それでは、まずはあらすじから、
1970年代香港、警察と黒社会の癒着は深刻化し、社会全体に暗い影を落としていた。
そんな中でも正義感の強いチョン巡査部長のように賄賂を断固として受け取ろうとしない警察官も存在したが、やがて辞職に追い込まれていった。
事態を重く見た香港新総督は、警察内部の汚職を浄化するため、税務局内に汚職金の流れを捜査する機関をチョンをリーダーとして新設し、捜査を開始する!?
汚職専門捜査機関(ICAC)の活躍を描いたサスペンスアクション作品です。
監督はマギー・チャン主演の(コールガール)やサイモン・ヤムがブレイクするきっかけにもなった(香港舞男)、
そして本作以降、2014年から開始される(Z風暴)(L風暴)(P風暴)(G風暴)シリーズ等、現在でも大活躍中のデビッド・ラム監督で、
本作でもドラマティックな要素と娯楽要素溢れるアクションを上手く融合させた物語を演出しています。
主演は古くは(カンフーエンペラー)(詳しくはこちら)等のカンフー作品から、(男たちの挽歌)や(英雄正伝)等の香港ノワール作品まで、
多くの香港映画で活躍しているティ・ロンで、その正義一直線なイメージが、本作の主人公役にもピッタリとハマっています。
で、そんなティ・ロンをスカウトし、チーム結成後は、チームメンバー且つ後援者的な立場で犯罪に立ち向かっていくのは、
オールター映画(大英雄)やアーロン・クォック主演(裸足のクンフーファイター)、チャウ・シンチー主演の(マッドモンク魔界ドラゴンファイター)(詳しくはこちら)等、
色んなジャンルの作品に出演していた時期のマギー・チャンで、チームをバックアップする重要な役柄で作品を盛り上げています。
で、そんなチームに敵側として接しながらも、改心し、重要な仲間の一人となっていく役柄で、(黒豹天下ブラックパンサー)(詳しくはこちら)や、
トンデモ映画(超級学校覇王)や(武侠七公主)等、人気ブレイク中のサイモン・ヤムで、デビッド・ラム監督とは、
ブレイクのきっかけにもなった(香港舞男)以来のコンビ作となっています。
で、チーム発足当初からのメンバーで警察学校からスカウトされた銃の達人役で、(幽霊刑事)(詳しくはこちら)や、
(チェイス・フロム・ビヨンド)(詳しくはこちら)等のアンディ・ホイが登場し、ドラマを盛り上げていきます。
で、同じく警察学校でスカウトされる、一応カンフーの達人的な役柄で登場するのは、(バイオレンスポリス九龍の獅子2)や、(少林キッズ)等のアクション作品で知られる
ラウ・シェーミンで、ちょっとした格闘アクションシーンで作品を盛り上げていきます。
で、そんな汚職捜査チームに真っ向から挑んでいく悪党側の悪事を一手に受け持つ大ボス役で、(男たちの挽歌)でもティ・ロンと火花を散らし、
ブレイク後は(シティー・オブ・フューリー)や、(大丈夫日記)(チャイニーズゴーストストーリー2)と数々の話題作に出演しているレイ・チーホンで、
中盤以降のティ・ロンとのいがみ合いは、(男たちの挽歌)のリターンマッチとばかりに盛り上がる大激突を繰り広げます。
その他にも(燃えよデブゴン7)(詳しくはこちら)等の数々のカンフー作品の名悪役として知られるリー・ホイサンや、
(精霊師団)(詳しくはこちら)や(精霊師団2)(詳しくはこちら)、(ポリスストーリー)等のカム・ヒンイン等がゲスト的に登場します。
そんな、有名キャストが多数出演する本作の物語は、1970年代、まだ警察で汚職が横行していた時期の香港から始まります。
腐敗した中で孤軍奮闘していた正義漢の強いティ・ロン演じるチョン刑事が、麻薬の取引現場を押さえようとするも、
部下たちの裏切りに合い、ついに身内の銃弾に倒れる、という衝撃の展開から本題に入っていきます。
で、時を同じくして香港の新総督が香港警察の汚職問題解決のために、税務局所属の汚職や賄賂を捜査する機関を新設し、
総督の秘書であるマギー・チャン演じるアニーが先導し、奇蹟的に復活したティ・ロンをリーダーに招いて捜査チームが編成されていきます。
その中に、警察学校で銃の腕前が優れている超お調子者であるアンディ・ホイや、ブルース・リーの物まねアクションが大好きで普段から黄色いトラックスーツを着てしまっているラウ・シェーミン、
そして、最後にあの、ティ・ロン銃撃事件で、背後から首を撃つ、という殺害する気満々だった過去を持つサイモン・ヤムが、
敵として登場しながらも、やがて善意に目覚めてチームの一員となっていきます。
それでティ・ロンは良いのか?という感じですが、大歓迎なようで、心地よく仲間に迎え入れ、最初から仲間だったような感じで違和感なく溶け込んでしまいます。
で、捜査が進むうちに、警察などの大々的な妨害や、裏の世界を取り仕切る大ボス、レイ・チーホン演じる、水龍頭のチュウが登場し、
本格的に、全面対決となっていき、ここへきて政府は、ついに警察等の権力とは別の独立した捜査や、逮捕する権利を持つ汚職捜査専用の内務調査部(ICAC)を設立する、
という感じで、いよいよ全面対決へと突入する、というのがメイン展開となっていきます。
物語の流れ的には香港のそれまでの文化もありますので、勿論オリジナルストーリーですが、物語展開やキャラクター設定等、
劇場公開当時から【香港版アンタッチャブル】という宣伝文句の通り、ケビン・コスナー主演の(アンタッチャブル)とそっくりな物語展開で、善と悪の対決を描いています。
簡単に言ってしまうと(星の王子ニューヨークへ行く)とほとんど同じ展開のチョウ・ユンファ主演の(ゴールデンガイ)等のように、
設定や物語展開をそっくり頂いて香港版に作り替えてしまう、という当時の香港映画らしい内容となっています。
ただ、本作の場合、ICAC誕生秘話というしっかりとしたベースの物語があって、その物語を進めるために(アンタッチャブル)設定を真似たという感じですので、
意外と物語の大筋と頂き設定部分が上手く噛み合っていますので、コレはコレでありな、なかなかに見ごたえのある内容となっています。
また、登場人物が複数登場するような物語ですが、それぞれのキャラクターもしっかりと描かれ、そのキャラクター設定が、しっかりと物語にも絡んでいきますので、
非常に感情移入しやすい内容となっています。
ただ、個人的には流石に善人の首を背後から銃で撃っておきながら、中盤以降まんまと仲間に入ってしまうサイモン・ヤムはだけは、どうかと思ってしまいますが、、、。
たまたま奇蹟的にティ・ロンが復活しただけで、ほとんど殺人犯と変わらない事をしてしまっているので、もう少し軽度な犯罪だったら違和感もなかったと思うのですが、どうでしょうか。
あと、見せ場としては、やはり(男たちの挽歌)で大激突を繰り広げたティ・ロンとレイ・チーホンの再対決がクライマックスを盛り上げていきます。
(男たちの挽歌)から7年ほどが経過し、レイ・チーホンも他の多くの作品で活躍するようになり、本作では堂々の貫禄で(アンタッチャブル)でいう所のアル・カポネ、つまりロバート・デ・ニーロを
思わせる(というか、かなり意識した)ようなラスボス役を演じているのですが、同時にティ・ロンもさらに貫禄がついていますので、
貫禄が付いた男たちが、歳月を経て再び啖呵を切って大激突し、クラマックスでは、船上でちょっとした格闘シーンも繰り広げる、
という、物語の堂々のクライマックス且つ、その後引き継がれていく事になる(Z風暴)シリーズの始まりとしても見ごたえのある終幕となっています。
2014年から再開される新しいICACの物語は、現代の物語ですので、本作の直接的な物語を継承しているわけではありませんが、
新シリーズでも大活躍するICACのエピソード0的な物語として本作を鑑賞してから新シリーズを鑑賞するとまたグッときたりもしますので、
新知シリーズ鑑賞のお供に本作もご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
ティ・ロン達の活躍があってこそ、その後のルイス・クーの活躍がある、と思いながら鑑賞するとまた味が出てきますよ。結構楽しめますよ。
作品情報
1993年製作 香港製作 ポリィカルアクション
監督・製作 デビッド・ラム アクション指導 ユエン・タク、トニー・リャン
出演 ティ・ロン、マギー・チャン、レイ・チーホン、サイモン・ヤム、アンディ・ホイ、ラウ・シェーミン、リー・ホイサン、カム・ヒンイン
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