おすすめ度 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
リトルサモ・ハン、リトルジャッキー、リトルユン・ピョウ、リトルブルース、リトルブリジット・リンからなる小五福星が、キョンシーと戦う、、、のではなく、キョンシーのコスプレおじさん達と戦うキッズアクション!!
作品紹介
1988年4月23日公開
今回ご紹介する作品は、ちびっこ4人衆が悪党相手に戦いを挑むキッズカンフー作品です。
それでは、まずはあらすじから、
レンとシアの姉妹は、雑誌社に渡すフィルムを持って待ち合わせ場所まで急いでいた。
しかし、その道中、シアの持つカバンと極秘情報を取引中のマフィアのカバンが入れ替わってしまい、マフィアに追われる身となってしまうのだった。
しかし、襲い掛かるマフィア相手に、偶然通りかかった4人のカンフーキッズが、立ちはだかり、マフィア相手に戦いを挑むのだった!?
台湾製のキッズアクション作品です。
邦題から当然キョンシー映画を連想しますが、キョンシー映画ではありません。
登場するのは、死体が復活したキョンシーではなく、大人の悪党が子供達を驚かせるためにキョンシーに化ける、
という形でのキョンシー要素ですので、完全に人間のコスプレです。
なかなかのフェイクな邦題ですので、実際の内容をそのまま邦題にしてしまうと(おっさんコスプレイヤーVS五福星)という感じでしょうか。
流石に劇場公開どころか、VHS化、DVD化も無理そうですね、、。
監督は(妈妈再爱我一次)や (我的儿子彬彬)等の至って真面目なドラマ映画を製作していながらも、
何故か急に本作のようなキッズアクション映画(子供が重要な要素で登場するという共通点はありますが)を
製作しているチェン・チューファンで、本作製作以降は、(プロジェクトA2)等、悪役の多いラム・ウェイと、
(ゴッドギャンブラー)等で、こちらも悪役の多いロン・フォンが共演し、黒社会の世界を描いたノワール作品(黑道追緝令)等を監督しています。
内容的には非常にシンプルで、ライバル視する二組の師匠と弟子が、隣同士で、食堂を経営し、反目し合いながらも稽古を積む毎日(カンフーシェフ、という感じでしょうか)で、
ある日キッズたちが出会った女の子が、悪人の取引物が入ったカバンと自分のカバンを間違われて、騒動に巻き込まれたところを、
ランニング中の四福星が目撃し救出、さらに新しいお友達のために悪党組織相手に戦いを挑む、という感じで、
はっきり言ってしまうと、勢い最優先で、ストーリーや設定はオマケ、という感じの作品となっています。
冒頭で、長めに描かれる二人の師匠を中心としたライバル対決展開も、女の子が登場する段階(こちらが本編です)で、
師匠は登場しなくなり、クライマックスで、思い出したように再登場するまで、ライバル設定さえ消えてしまいます。
で、本編に入ると今度は、暫く女の子とお姉さんが悪党にカバンを間違われて、お姉さんが出版社に提出する予定のハレー彗星の写真(時代ですね、、、)のフィルムが
出てこなくて、編集長も困り果てる、というズッコケ展開を、何度も繰り返します。
そんなドタバタ劇を横から『もう、しょうがない大人ねっ。』という感じで、見つめる妹、という女子ドラマが暫くあり、
ついに、悪党たちに実力行使で姉妹が襲われる、という段階でやっと4福星が散歩中に偶然出くわします。
で、お姉さんが攫われてしまったので、女子を加えた小五福星が、いよいよ救出作戦を開始する、という感じで、キッズアクション展開へと突入していきます。
メンバーはリトルサモハンことチャイ・ユエンイーと、リトルジャッキーことフン・クオファ、リトルユンピョウことチャオ・チーチェン、
リトルブルースことヤン・ウーロンで、そこに5番目の紅一点としてリトルブリジット・リンことチャイ・チンイーが参加する、
という感じでファイブハッピーラッキースターズを結成します。
ここまで、展開すると後は結構な長時間を懸けて救出作戦を描いていくだけ、というシンプル展開に入っていくのですが、
勿論ここからが見せ場となっています。
本作は、誰がどう見ても香港映画のあやかりに満ちた台湾作品なのは間違いないのですが、その度合いがかなりのレベルで、
まず驚くのは、主人公達が、冒頭の初登場時に、出演者の紹介がてら、【小洪金寶】,【小成龍】、【小元彪】、【小林青霞】と堂々と本編で表記されてしまいます。
登場早々に、そういう感じでやっています、という事では無く、そうだ、と言い切ってしまいます。
で、その後本格的な救出展開に入ってくると、あやかり度合いはさらに暴走し、完全な(プロジェクトA)のアイデアに溢れた自転車チェイスシーンを、そのままそっくりに、真似ていきます。
住居の扉をノックして、追いかけてきている敵が通ったタイミングで住民が扉を開けて、敵が激突したり、
自転車を動かしたはずみでサドルが取れて、むき出しの鉄の棒に尻が刺さる、という誰が見ても面白いアイデアギャグシーンまで真似ていきます。
さらに、(上海エクスプレス)で、サモ・ハンが敵兵に囲まれてピンチの時に裸踊りで、笑いを取って油断した隙に逆襲する、
というお笑いシーンまで、勿論リトルサモハンが真似ていきます。
ついでに(スパルタンX)での城壁を昇るシーンを、(新ミスターブーアヒルの警備保障)でマイケル・ホイがやっていた壁面をトイレのスッポンを使って昇るという要素を取り入れて真似ていく、
という感じで、かなり貪欲に有名香港作品で見た事のあるシーンが登場します。
で、後半は、悪党とのバトルにキョンシー要素を強引に押し込んでいきますが、何故かリュックサックに入れていたお札や、桃木剣等を取り出し、
キョンシーバトル展開が繰り広げられていきますが、このバトル中にリトルブリジット・リンが連れ去られてしまいます。
で、ちょっとデジャブですが、連れ去られたお姉さんの時と同じように、
『助けに行くぞっ!』とキョンシーバトルを終えたばかりの夜間に、最後の戦いのために敵陣に向かう、という展開になります。
で、ここから敵陣まで向かうシーンに監督の思い入れが物凄く込められているのか、、、
【インディジョーンズ】のBGMを勝手に流しながら5人の子供達が野山を走っているだけのシーンが延々と続き、
2分間流れ続けた挙句に、走っているうちに夜が明ける、
という、夜通し走り続けた結果、
結局、夜間にこっそり忍び込むのではなく、
白昼堂々と、悪党の見張り番がキャッチボールをしている隙に忍び込む
という子供らしいといえば子供らしい大作戦となっています。
すべてがツッコミどころ、という感じの作品ですが、これがもし、本家の(カンフーキッド)(詳しくはこちら)のような、
本当に動けるキッズが超絶アクションを見せながらそれぞれの真似っこパートも見せていく、という作品だったら、
それはそれでアクションとお笑い+可愛げも加わって、別な印象を残す作品になったかもしれませんが、
残念ながら、本作に出演しているキッズには、そこまで超絶アクションを披露してくれるわけでもありません(特にリトルサモ・ハンは、難しいアクションになる度に痩せます)ので、
正直全てのあやかりシーンにごっこ感が拭えないのが、本作の一番残念なポイントかもしれません。
ウルトラマンごっこ、仮面ライダーごっこ、ジャッキーごっこ、サモハンごっこ、キョンシーごっこ、という感じで、
それだけ、オリジナルが偉大だと言えそうです。
というわけで、キョンシーがそもそも登場しないのに邦題に入ってしまっている正真正銘、偽キョンシー映画ではありますが、
ここまで堂々とあやかり要素を入れている作品も少なく、しかもキョンシーブームの端っこに乗っかって、日本で劇場公開までされてしまう
という、奇蹟のような作品ですので、香港映画好きの方や、台湾映画好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
作品情報
1987年製作 台湾製作 アクション
監督 チェン・チューファン
出演 チャイ・ユエンイー、フン・クオファ、チャオ・チーチェン、ヤン・ウーロン、チャイ・チンイー、チェン・アーリェン、リー・クン、ウェイ・ピンアオ、リン・クワンユン
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