【中国映画】戦華 バトル・オブ・ムーラン(花木蘭/花木兰Hua Mulan)77分

投稿者: | 2023年4月26日

おすすめ度 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆

ディズ二ー製作の実写版(ムーラン)によるブーム時に製作された、お馴染みの物語を将軍との友情を軸に描いた後味の良い戦記アクション!!

作品紹介

日本劇場未公開

今回ご紹介する作品は、一時期多数製作された(ムーラン)の実写映画化作品の1本です。

それでは、まずはあらすじから、

北魏の国では、敵国の残虐な侵攻に対し、兵士を補充するために、年齢に関わりなく各家庭から一人を徴兵する事になる。

華家も、体の不自由な父親が徴兵される事になるが、そんな父の代わりに娘のムーランが男装し、父に代わって従軍する事になる。

類まれなる武術の才能を活かし、自軍を次々に勝利に導いていくムーランだったが、その漢気に触れたリー将軍は、

ムーランとの信頼関係が芽生え、友情の絆を深めていく事になるが、ある出来事がきっかけで、事態は思わぬ方向へと進んでしまうのだった!?

ディズニー製作のハリウッド大作実際版(ムーラン)の製作時期に合わせて、同じ題材を何度も映画化する配信専用中国映画界でもこぞって映像化が進み、

西遊記)、(鬼吹灯)と並んで(ムーラン)ブーム到来と言っても良いぐらいに多数(ムーラン)映画が製作されました。

で、ブームが落ち着いた今の時期になって、何故今さら?という感じですが、本作が製作されたのは2020年という事で、既にリリース済の(ムーラン美しき英雄)、(ムーラン戦場の花)(詳しくはこちら)、

ムーラン最後の戦い)(詳しくはこちら)と同じ2020年に製作された作品ですので、

2020年は、日本でリリースされた作品も、これで本作を含めて4本も存在する、というムーランフィーバーの年となっています。

という事で、新作ではなく、3年程前に製作された作品になります。

それにしても、基本は当然同じ物語ですので、1年間に同じ物語を4回繰り返して観て、4作品目は、本当に初めて鑑賞するような気持で鑑賞できるのでしょうか?

通常はそんなペースで同じ物語の作品が公開される事は、まずありえませんので、そういった意味でも、

今現在の配信専用作品がメインになってしまった中国系作品の特異な状況が伺えます。

ただ、それでも最近では(西遊記)ものや、同じような内容の武侠作品だけではなく、

ちょっと変わった世界観の作品も増えてきたようには思えますが、日本のリリース元が単にセールスの結果を見て同じような内容の作品の買い付けを避けている、

とも考えられそうなので、なんとも言えませんね、、、。

という事で、3年前に製作された本作の内容は、勿論、タイトルを見て一目瞭然のように、他の作品のようにムーランを主人公にした物語が描かれます。

ムーラン)の物語は、中国で古くから語り継がれている詩【木蘭詩】を原作にした物語で、基本的なストーリーは、

徴兵された病気の父の身を案じて、娘であるムーランが男装して従軍し、

そのまま武術の腕を活かして武功をあげて、何度も自軍を勝利に導き、戦地を転々としながら12年間戦い抜き、

その栄誉を称えて司令官の地位を約束されるが、その申し出を断り、一頭のラクダだけを褒美に貰って故郷に帰り家族と再会し、

やがて、女性の姿に戻ったムーランと再会したかつての仲間たちは、そこで初めて仲間として戦地で共に戦ったムーランが、実は女性だったと気付いて驚きの声をあげる、

という、親孝行のために命をかけて男性顔負けの活躍を見せながらも、しっかりと親元に帰ってくる美しい娘を描いた、実に中国語圏で好まれそうな物語となっています。

で、そんな有名な物語ですので、基本のストーリーは全て同じで、本作でも、基本となっているストーリーを大きく外れることなくムーランストーリーが描かれます。

主人公のムーラン役を演じるのは、本作主演以降も(大内密探)等の武侠作品で重要な役柄を演じているリュウ・チューシュアンで、

可憐な雰囲気ながらも芯の強そうなムーランを演じています。

リュウ・チューシュアン
リュウ・チューシュアン

で、従軍後の自軍の将軍役で、香港の人気スター、サミー・チェンシュー・トントン、テレンス・イン等が出演している(合约男女)や、

格闘アクション(血拳之双龙劫)に出演しているリー・マオが登場し、深みのある将軍役を好演しています。

リー・マオ
リー・マオ

さらに、その同じ軍に参加する一番若手の兵士役を、ルイス・ファンも出演している(天马行空)にも出演しているぺマ・ジャドが演じ、後半にかけて大活躍していきます。

ぺマ・ジャド
ぺマ・ジャド

で、本作独自の特徴としては、基本に忠実ながらも、従軍後の訓練と戦いの日々をメインに描きつつ、その部隊を率いるリー・マオ演じるリー将軍との友情にスポットを当てた、

男同士の友情物語、という描き方が見所となっています。

勿論、実際は男同士ではなく、男女なのですが、リー将軍も他の仲間も、ほとんどがムーランが女性である事実を知らずに、

男として接し、熱い友情を交わしていきますが、特にリー将軍のキャラクターに深みがあり、部下の事は一切気にせず、

規則最優先で冷酷に命令だけを出す人間味のない将軍かと思いきや、実は誰よりも部下想いの熱い漢気のある軍人だった、

という、なかなかにグッとくるキャラクターで、この将軍の存在が、本作を他のムーラン作品とは違った魅力のある作品にしています。

ただ、ムーラン自身は、従軍に対する熱い想いがあるというわけでは無く、親の変わりという事もありますが、

本作では、それだけが理由ではなく、個人的にも他の女性のように、屋内でやることは全て上手くいかずに、

武術だけが物になったので、それを活かした事がしたかった、という理由が付け加えられています(というよりむしろ親の徴兵は自分にとっても都合が良かった、ともとれる描かれ方)が、

流石に軽過ぎるような気もしますので、父親のため、という理由だけで良かったような気がしますが、どうでしょうか、、、。

で、本作、というかほとんどのムーラン系作品で共通している事ですが、本来の物語は帰郷するまでムーランが女性だという事は仲間達には分かりませんが、

それでは、映画としての盛り上がりに欠けてしまいますので、本作でも例に漏れず戦いの最中に、女性だという事がバレてしまいます。

で、本作では、女性が従軍するのは重大なルール違反で、そのルールを破った者は死罪に値する大罪だという事が、繰り返し強調されます。

で、その部分をドラマのメインにしていますので、途中救出した領土の君主である女性に想いを寄せられたり、

リー将軍との友情も深まってきたりすると、色々とこっそり世話を焼いてくれたりします。

つまり、女性だとバレてしまうと死罪になってしまうにもかかわらず、活躍すればするほどに、女性だとバレてしまいそうな状況に陥っていく、

というサスペンスフルな状況が盛り上がっていきます。

将軍との友情も、深まれば深まる程に、逆に死の危険も迫ってしまう、という状況です。

で、地獄の戦場を共に戦い、信頼関係も芽生えた二人も、後半になってくると、いよいよその事実が明らかになる時が訪れます。

そこで、ルール最優先のリー将軍は、いったいどういう決断を下すのか?

というのが、本作の一番の盛り上がり所となります。

ジャンルや状況は少し違いますが、(友は風の彼方に)等の香港映画お得意の潜入捜査官ものに登場するような、

正体を隠したキャラクターと潜入先の仲間との友情関にも似た関係が描かれます。

正直、アクションに関しては、自軍を何度も勝利に導いている勇者というより、頑張っている女子にしか見えない、軟派系のアクションなのが残念ですが、

メイン二人のやり取りや、微妙な関係の進行が、丁寧に描かれていますので、しっかりと終わりまで鑑賞できる作品となっています。

しゃなりしゃなり

ただ、やはりアクションを期待して観ると正直物足りなさは残るとは思いますが、、。

しゃなりしゃなり

ラストもしっかりとムーランの物語に沿って非常に良い余韻を残した終わり方となっていますので、最後まで安心して鑑賞できる作品となっています。

という事で、何度となく同じ内容の作品がリリースされていますが、その中でも、男(と女)の友情を描いたドラマを重視した作品となっていますので、

香港映画好き、中国映画好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。

作品情報

2020年製作 中国製作 戦記アクション

監督 リー・ユーシー

出演 リュウ・チューシュアン、リー・マオ、ぺマ・ジャド、チャン・ヘンルイ、リャオ・フィジア、リウ・ヨン

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