カンフー映画としてのおすすめ度 ★★★★☆☆☆☆☆☆
台湾初の3D立体視映画として日本でも劇場公開されたグロ度高めのタン・トゥリャン主演の武侠カンフーアクション!!
作品紹介
1977年3月26日公開
今回ご紹介する作品は、日本でも公開された3D立体視の武侠カンフーアクション作品です。
それでは、まずはあらすじから、
明朝時代、絶大な権力を持っていた宦官のツァオは、宦官制度を廃止しようとしていた明王子の命を狙い、ついにホアンチュー寺に追い詰めるのだった。
その寺の弟子タンは、家族をツァオに殺され、復讐の機会を伺っていたが、タンの留守中に明王子がツァオの毒牙に掛かってしまう。
そして、全てを失ったタンは、ツァオを討ち取るための旅に出るのだった!?
1975年に製作された大手ショウブラザース社製作の(空飛ぶギロチン)の影響を色濃く受け、さらに台湾映画史上初の3D立体映像を撮り入れた必殺武器が飛び交う武侠カンフーアクション作品です。
監督は、本作と同年に、本作出演のパイ・インと再び組んだ武侠アクション(十三女尼)も監督しているチャン・メイチュンで、
そちらも3D立体映像の作品となっていて、カンヌ映画祭でも正式上映された作品となっています。
さらに後にチャン・メイチュン監督は、日本でも公開された大ヒット作、(カンフーキッド)(詳しくはこちら)もジュ・イェンピンと共同監督しています。
主演はタン・トゥリャン(ディロン・タン)で、本作出演時は、ジャッキー・チェン出演のジョン・ウー監督作(少林門)と(ドラゴン小林拳)(詳しくはこちら)の翌年、
(少林寺必殺舞扇拳)(詳しくはこちら)と同年、というまさに人気がうなぎ上りな時期の作品となっています。
宿敵ツァオ役は(残酷ドラゴン 決斗龍門の宿)や(アンジェラ・マオの鬼怒川)等の名作や(少林寺疾風黄金拳)(詳しくはこちら)等のカンフー作品で知られるパイ・インで、
本作でも得意のカリスマ的な悪役を魅力たっぷりに演じています。
で、パイ・インの部下でありながら、実は、、、、という役柄で登場するのは(少林寺炎上)(詳しくはこちら)や、(精霊兄弟)(詳しくはこちら)、
(大蛇大戦)(詳しくはこちら)等のタン・ウェイで、含みのあるキャラクターで物語を引っ張っていきます。
で、分かり易く勢いのあるパイ・インの部下役で、ジャッキー・チェンの(蛇鶴八拳)や(少林寺木人拳)、(醉拳女刀手)(詳しくはこちら)等のクム・コンが登場し、
結構悲惨な目に合いながらタン・トゥリャンと激闘を演じています。
で、さらにパイ・インの若手の部下役で、リン・タイシンが出演し、タン・トゥリャンと名勝負を繰り広げています。
リン・タイシンは、日本在住の武術家で、(日本ではリン・タイコウ)本作出演前には志穂美悦子主演の(女必殺拳 危機一発)や、
特撮ヒーローもの(忍者キャプター)に水忍キャプター2 / 四条左近役で出演し、大人気を博していました。
そんな当時人気絶頂のスタッフ・キャストが結集した本作の物語は、非常にシンプルで、暴君と化した宦官であるパイ・インが権力を独占するため、
宦官制度撤廃を進める王朝の正当後継者・明王子の命を狙い、追い詰めていく中で、王子を守る側であるタン・トゥリャンとパイ・イン一派が激闘を繰り広げていく、
という分かり易く善と悪が激突する物語となっています。
しかも、残念ながら王子VS宦官という構図がメインとなるわけではなく、割と序盤で、王子は命を落としてしまいますので、
物語は、さらにシンプルに、復讐(パイ・イン打倒)の使命を帯びたタン・トゥリャンが、パイ・インに少しづつ忍び寄り、
一人づつ部下を倒していく、という復讐要素が、物語のメインとなっていきます。
そのシンプルな復讐物語を、本作の一番の見所である3D立体視でアクションを表現する、というのが本作のメインの見せ場となっています。
で、この3D立体視ですが、他の3D立体視カンフーもの、ジャッキー・チェン主演の(飛龍神拳)や日本と中国合作の(侠女十三妹)(詳しくはこちら)等と同様に、
多少不自然ながらも、武器や拳の攻撃をカメラに向かって『びょんっ!』と繰り出す攻撃が合間で入ったりするのですが、
本作はその中でも、随一と言って良いぐらいにその手法が多様されますので、タン・トゥリャンやリン・タイシン等の本格派の武術アクションスターのアクションシーンでは、
立体視をアピールするごとに、素晴らしいアクションのリズムが狂ってしまう、という作品全体としてはマイナス効果を生み出す結果となってしまっています。
当時としては立体視が売りでしたので、しょうがないのですが、逆にそんなに切れ味が鋭いとは言えないキャストのアクションシーンでは、
合間に入る立体視表現が、逆にアクセントとなっていたりもしますので、慣れてしまうと意外に楽しめる表現となっています。
さらに、本作、何に影響されたのか、残虐方面を掘り下げる、という表現方法も取っていますので、クム・コンの両手首が一刀両断にされたまま、暫く戦ってみたり、
悪漢へのトドメの一撃は竹の尖った部分を頭部に直撃する、という表現だったり、僧侶を、、、、
という感じで、善が悪を倒す、というシンプルな物語ならがも、普通には倒さずに、倒し方の残虐度合いを掘り下げる、
という、立体視表現と合わせて見世物小屋的な興味心を煽るような内容となっています。
かなり独特な世界観です。
さらにその見世物小屋的表現は、(空飛ぶギロチン)の影響を色濃く受けたエグい武器の登場で、さらに加速していきます。
中盤に登場するクワガタのアゴのような形状の【空飛ぶクワガタギロチン】や、邦題にもなっている【空飛ぶ十字剣】の存在感は強烈で、
特に十字剣はタイトルになっていながらも、終盤まで登場しませんので、その登場時のハッタリ感(誉め言葉です)も含めて、かなりの見所となっています。
ただ、登場するなり、明らかにそれまで優勢だった戦いが、【空飛ぶ十字剣】を使う事で、逆に弱点丸出しで、
そのまま敗因となっていまう所が、外見の漫画のようなカッコ良さが光るだけに勿体ないラストバトルとなっています。
という事で、ストーリー的にはかなりのシンプルさですが、珍しい立体視表現作品に、いつもとはちょっと違うアクションシーンが楽しめる作品となっていますので、
カンフー映画ファンの方や、香港映画ファンの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
作品情報
1977年製作 台湾製作 武侠カンフーアクション
監督 チャン・メイチュン
出演 タン・トゥリャン(ディロン・タン)、パイイン、タン・ウェイ、クム・コン、リン・タイシン、ブラッキー・コー
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