おすすめ度 ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
巨額の製作費がかけられながらも、羽陽曲折を経て(スターウォーズ)公開後にお披露目となったため、そのSF映画としての完成度の違いに観客全員の度肝を抜いた、、、でも、登場する装甲車のド迫力だけは印象に残る近未来サバイバルロードムービー!!
作品紹介
1977年9月10日公開
今回ご紹介する作品は、ジャン・マイケル・ビンセントとジョージ・ぺパードが共演した近未来サバイバル作品です。
それでは、まずはあらすじから、
アリゾナの空軍基地のレーダーが、核ミサイルの発射を検知した。
アメリカ軍は迎撃ミサイルを発射するが、40%しか撃破できずにミサイルは主要都市を破壊、人類も大半が死滅してしまう。
それから数年後、オールバニから生存者の信号を受信した軍人デントンは、元部下のタナー、キーガン、ペリーと装甲車ランドマスターに乗り込み、砂漠の縦断を開始する!?
監督は、(ミッド・ウェイ)や(動く標的)等のジャック・スマイトで、荒廃した地球を舞台にしたアクションを演出しています。
主人公の青年役は、(メカニック)や(摩天楼ブルース)等のジャン・マイケル・ビンセントで、若々しい魅力で、危機に対応していきます。
で、ジャンと相性が良くないと言いながら一緒に旅に出る軍人役で、(ティファニーで朝食を)や(宇宙の七人)等の
ジョージ・ぺパードが登場し、なんだかんだと皆を引っ張っていきます。
で、旅の途中で仲間になる女性役で、(クリムゾンリバー)や(暗殺の森)等のドミニク・サンダが登場し、可憐な魅力で男ばかりのメンバーに華を添えていきます。
で、同じく旅の途中で仲間になる少年役で、(ウォッチメン)や(エルム街の悪夢)等のジャッキー・アール・ヘイリーが登場し、
一筋縄ではいかない、しっかりとした少年役を好演しています。
で、ジャンの親友役で、(クリフハンガー)や(ターミネーター)等のポール・ウィンフィールドが登場し、ジャンと名コンビぶりを発揮していきます。
そんなスタッフ・キャストで製作された本作の物語は、アリゾナにある空軍基地に務めるデントン(ジョージ・ぺパード)とタナー(ジャン・マイケル・ビンセント)が、
どこかの国から核ミサイルが発射されたのを確認し、迎撃ミサイルを発射するが、残念ながら40%しか撃破できずに、
ほとんどのミサイルがアメリカの主要都市を襲い都市が破壊されてしまうシーンから始まります。
この冒頭のシーンが何故か非常に詳細に描かれていて、メイン舞台となる荒廃した砂漠となるまでに91分の作品で、13分もかかります。
にも関わらず、災害シーンや、ミサイル発射シーンは、そのほとんどが他の作品等からの流用シーンばかりで、
暫く、本作とは無関係の、他の誰かが記録した映像を観る事になります。
で、14分目からは、お待ちかねの砂漠シーンに代わり、ほとんど死滅してしまった人類の生き残りである空軍基地に務める数名の軍人が、
それでも、生き残っていくために何かのミッションをこなしている、、、、のかどうかよくわかりませんが、
とりあえず一応、規律を守って勤務はしている様子が描かれます。
ただ、当然、この状況で規律をきっちりと守る事自体が、なんとなくクレイジーですので、夜勤のスッコケ軍人が、ダラダラとしているうちに、煙草を吸いながら寝てしまい、、、
まさかの、、、
寝たばこが原因で、核ミサイルにも耐えた空軍基地が大爆発を起こしてしまいます。
で、大爆発したくせに奥行きがあったのか、車両倉庫等のある建物前面(カメラから見て)は無事だったようで、
車庫に隠していた超機動装甲車ランドマスターにデントンとタナー、そしてタナーの相棒キーガン(ポール・ウィンフィールド)と他一名が乗り込んで、
救援メッセージを受信した地域を目指して、地獄のハイウェイを激走する、というのが大体の大筋となっています。
基本は荒廃した近未来の砂漠を舞台にしたサバイバルロードムービーなのですが、製作者にSF作品をどのように撮影して良いのか理解しているスタッフがいなかったために、
撮影が遅れに遅れて、さらにモタモタしている内に(スターウォーズ)が先に公開されてしまった事で、
一応完成していた作品を、テコ入れで編集することになり、テンポを上げるために重要と思われるシーンのカットに次ぐカットを繰り返して、
大作級の予算を掛けていながら91分というあまりに短くあっさりした完成版となったそうです。
ですので、完成版では大して重要ではない冒頭の13分間の映像も、本来は主演2人のその後の確執を匂わせる重要なきっかけとして意味のあるシーンとなっていたと思われますが、
結局、カットにカットを重ねた結果、確執を匂わせながらも、最後まで仲良く親子のような関係のままで終わってしまう結果となってしまっています。
旅の途中で出会う美女ドミニク・サンダも、公開版では、ジャン・マイケル・ビンセントと恋人関係のようになっているように見えますが、
本来ドミニク・サンダが想いを寄せていたのは、ジョージ・ぺパードの方という設定だったようで、恐らくドミニクは、ジャンに身を寄せているような態度を見せて、ジョージ・ぺパードの気を引き、
一人の女性をめぐる三角関係が過熱し、それが、もともとの二人の確執と相まって、緊迫した雰囲気を維持しながら進むという、本来はドラマチックなロードムービーだったようです。
そういう物語を面白くするような重要な要素をごっそりカットしてしまったがために、ジャッキー・アール・ヘイリーを含めた
疑似家族による、困難もサクッと乗り越えるロードムービーと様変わりしてしまったようです。
しかも、予算があったはずなのに、コストのつぎ込み所を間違えたのか、クライマックスの映像も含めて、災害シーンはほとんど他の作品の流用、
冒頭で登場する、核兵器の汚染によって突然変異して巨大化し、ジャンの乗るバイクとバトルを繰り広げる特撮サソリは、本物のサソリの接写映像、
中盤登場する少し大きめの殺人ゴキブリの大群は、実際に撮影してみると全然数が足りずに、
ゴム製のゴキブリをマットに貼り付けて引っ張る、
という苦肉の策が、はっきりと映像として判別できてしまう、というズッコケ気味の仕上がりとなったようです。
という感じで、内容は特に大きな展開もなく、特撮も手作り感満載、クライマックスもいつの間にか訪れている、という感じの盛り上がりの薄さですが、
本作は、当時話題を集めた装甲車ランドマスターの何とも言えないカッコ良さがあるために、映画好きだった多くの人に印象を残す作品になっています。
恐らく、映画の内容や、キャスト等はほとんど覚えていなくても、この装甲車だけはしっかりと覚えている、という方は多いのではないでしょうか。
見方を変えるとランドマスターは出ずっぱりですので、主役とも考えられますので、これだけ主役の印象が残る作品という事で、
そういう意味では、興行的には惨敗でも、それなりの結果(車の印象は残した)の作品と言えるかもしれません。
という事で、本作DVDが既に廃盤で、非常に高額な値が付いてしまっているために、なかなか鑑賞しずらいとは思われますが、
封入のライナーノーツ等、本作に関する資料や、情報がぎっしりつまっている価値のあるパッケージソフト(下手すると映画本編の内容をライナーノーツが越えています)となっていますので、
どこかの販売店で見つけて、お手頃価格でしたら、すぐにご購入する事をお勧めします。
作品内容はさておき、、、。
という事で、本作、いわゆるズコッケ作品の部類に入る作品ですが、映像表現の発達した今現在、改めて鑑賞し直してみて、本作を表現してみると、、、
味の無いチープ特撮と、抑揚の無いドラマ、サイバル感の薄さ、絶望的な設定の世界観にそぐわない主人公達の無邪気さ等、
製作者の意図しない全体的なゆるさが、逆に独特の味とはなっているけれども、でも決して良い意味とは言い切れない微妙なズッコケ超大作
という感じですので、機会がありましたら、ご鑑賞してみて下さい。
作品情報
1977年製作 アメリカ製作 アクション
監督 ジャック・スマイト
出演 ジャン・マイケル・ビンセント、ジョージ・ぺパード、ドミニク・サンダ、ジャッキー・アール・ヘイリー、ポール・ウィンフィールド
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でた~! 世界が燃えつきる日!!
この映画は独特でしたねえ・・・(いろんな意味で)
なんでしょうね、どこか「味」があるんですよね。
いや、面白くないですよ?(笑) 面白くないんですけど、妙に惹かれるというか。
でもですね、あのランドマスター(だけ)は良いと思うんですよ。デザインは「バトルトラック」と双璧だと思いますね。
確か日本で劇場公開したときに、ランドマスターのレプリカ(実物?)を劇場前で飾ったという記事をどこかで読んだような(勘違いかも)。。。
子どもの頃に観たので、ゴキブリのシーンは怖かった記憶があります。そうですか、マットを引っ張ってましたか(苦笑)
後は、この映画はラストがね(微笑)
そして、なんとランドマスターを3Dプリンターで作った人が!
たぶん、われわれと同じスタンドを持っていると思いますね。
https://ameblo.jp/ncc1701refit/entry-12639622461.html
以上、「あなたの知らないワゴンセールの世界」のS原でした~!
S原さんいつもコメントありがとうございます!
確かに独特の映画でしたね!ツッコミどころは満載ながらも、やっぱりあのランドマスターのハッタリ感の効いた迫力だけは揺るがないですよね!バトルトラックと良い勝負していますね!
ゴキブリのシーンは、恐らく当時の地上波のテレビ放映とかだと暗がりに蠢く大群が結構怖かったと思います!
ただ、今の時代にDVDで見直してしまうと結構ズルズル音が聞こえてきそうな黒い絨毯が見えてしまいます。それでも、そういうツッコミ所も踏まえて本作独特の魅力という感じですね!
幼少期にランドマスターを観てしまうと作ってしまう程に憧れるのもわかるような気がします!