カンフー映画としてのお薦め度 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
カンフー映画の巨匠ラウ・カーリョン監督が、キョンシーホラーとカンフーアクションをいち早く融合させたコメディ作品!!実弟ラウ・カーウィンとリュー・チャーフィーも登場する娯楽作!!


作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介するのは、ラウ・カーリョン監督がキョンシーホラーとカンフーアクションを融合させたコメディアクション作品です。
それでは、まずはあらすじから、
高名な道士の弟子ユエン(ワン・ユー)は、脚を怪我して動けなくなった師匠の代わりにキョンシーをそれぞれの故郷まで送り届ける仕事を受ける。
家出中の女友達と共に旅に出発した二人だったが、キョンシーの中に指名手配犯が紛れ込んでいた事で、大騒動に巻き込まれていく!?

(少林寺三十六房)や(マッドカンフー猿拳)などのカンフー映画の大家、ラウ・カーリョンが監督したカンフー作品です。
1985年に登場した本格的なキョンシー映画(霊幻道士)(詳しくはこちら)よりも早く、キョンシーを映画作品に取り入れ、
さらにカンフー映画と融合させる、という独創的な内容の作品となっています。
ただ、キョンシーが登場する作品ではありますが、(霊幻道士)のようにキョンシー退治をするような物語ではなく、亡くなった遺体を法術によってキョンシーとして動かし、
そのまま故郷へと運ぶ事を生業としている道士の活躍をメインに描いた作品となっています。
ですので、あくまでキョンシーは移送するべき対象物としてのみ登場します。
そのキョンシーも、ぴょんぴょん飛びながら移動はしますが、まだまだ細かい設定ができていませんので、それほど大活躍という感じにはなっていません。
それでも、キョンシーの動きを真似た【キョンシー拳】なんて楽しい技も登場しますので、娯楽要素の強い作品となっています。
出演は主人公に(マジッククンフー神打拳)や(少林皇帝拳)などのキレのあるカンフーが好評のワン・ユー、

師匠役に監督のラウ・カーリョンの実弟であり、(燃えよデブゴンカエル拳対カニ拳)(詳しくはこちら)などのサモ・ハン作品や、
(ドラゴン修行房)などのジミー・ウォング作品など幅広く活躍するラウ・カーウィン、

そして、(少林寺三十六房)シリーズや、(ガッツフィスト魔宮拳)(詳しくはこちら)など多くの兄たちの監督作品や、
日本・香港合作映画(孔雀王)などで少林寺映画スターとして活躍していたリュー・チャーフィー、

(中華道士)などのカンフー作品や、チョウ・ユンファ主演の(非情の街)(詳しくはこちら)などの香港ノワール作品などで活躍していたチョイ・シウキョン、

(ガッツフィスト魔宮拳)(詳しくはこちら)等、多くのカンフー作品に武術指導、監督、出演者として関わっているトン・ワイセン、

(少林寺三十六房)や(燃えよデブゴン7鉄の復讐拳)(詳しくはこちら)等、多くのカンフー作品で悪役として活躍しているリー・ホイサン、

そして、紅一点のヒロインとして(燃えよデブゴン9)(詳しくはこちら)などで活躍していたセシリア・ウォン、

というラウ・カーリョン監督らしいいつもの実力派が集結した作品となっています。
内容としては、酒癖が悪く、賭場通いの師匠ラウ・カーウィンに替わって亡くなった遺体をキョンシーとして操って故郷まで送り届ける任務に就いた見習い道士ワン・ユーが、
良心に無理矢理結婚させられそうになって家出してきた女友達セシリア・ウォンと共に、ズッコケ珍道中を繰り広げる、
という大筋で、その送り届けるべきキョンシーの中に指名手配中のリュー・チャーフィーが成りすまして紛れ込んでいた、という物語になっています。

ですので、リュー・チャーフィー、前半は台詞もなく、殆どジャンプしているだけで、さらにお札が顔に張り付けられているので、
実際そのジャンプもリュー・チャーフィー自身が演じているかどうかも分かりません。

後半になって当然生きている事が発覚して、実は濡れ衣を着せられていただけで、悪人ではなかった、という展開になっていき、
濡れ衣を着せたのがリー・ホイサン一味だった、という分かり易い流れになっていきます。
ただ、大筋だけですと、キョンシーを連れて旅をしながら、ドタバタを繰り広げるテンポの良さそうなキョンシーアクション作品っぽいですが、
肝心のキョンシーを連れて旅に出るまでが非常に長く、上映時間の半分以上が過ぎたころにようやく、旅に出発します。

要するに、前半のラウ・カーウィンが出演しているパートがかなり長いのですが、カンフーアクション自体は素晴らしいので楽しめるのですが、
基本的に実力派あるけれども飲んだくれで、どうしようもない、という感じの役柄で、結局脚に怪我をして旅にも出れなくなって、
弟子たちが旅に出た後は、一切登場しなくなりますので、そのキャラクターを描くのに全体の半分の上映時間を費やすのは流石に勿体ないような気がします。

後を引き継ぐ、ワン・ユーとセシリア・ウォンのコンビがかなり良い感じでバディを組んでいますので、できればこの二人の活躍がもっと観たかったところです。
恐らく、この二人の活躍だけでは、任せきれなかったのか、ラウ・カーウィンが退場して、ほどなくしてリュー・チャーフィーの方にスポットが当たりだしますので、
今度はリュー・チャーフィーが主役のようになって、メインでカンフーアクションを披露していきます。
結局セシリア・ウォンの結婚話も最後まで描かれていませんので、ちょっと物語的には全体的に行き当たりバッタリ感は感じてしまう作品となっています。

ただ、それでも、カンフー映画の巨匠ラウ・カーリョン監督の作品ですので、アクションに関しては素晴らしいシーンの連続となっています。
ワン・ユーが見せる【キョンシー拳】は、ご愛敬といった感じですが、後半にリュー・チャーフィーが人間と分かってからのワン・ユー、リュー・チャーフィー、リー・ホイサン、トン・ワイセンの
混合バトルが特に素晴らしく、今までほとんど動いていなかったリュー・チャーフィーが、ここぞとばかりに鷹爪拳でリー・ホイサンに挑んでいくバトルが、
非常に素晴らしく、本作の間違いなく一番の見せ所となっています。


この二人は(少林寺三十六房)や(少林寺武者房)、(ガッツフィスト魔宮拳)(詳しくはこちら)など、名勝負が多く、
その作品もその作品の見せ場となるようなアクションシーンを演じています。


そのアクションに割り込むようにワン・ユーのキョンシー拳が出張ってきますが、その技で何故この強敵たちを圧倒出来ているのか不思議です。
まぁ、そういう作品なのでしょうがないのですが、、。

という事で、(霊幻道士)登場の6年前に既に登場していた、史上初の本格的キョンシーアクション作品となっていて、
カンフーアクションも盛りだくさんですので、香港映画好きの方など、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
そういえば、同じラウ・カーリョン監督、ワン・ユー主演で同じような題材を扱った(マジッククンフー神打拳)という作品もありますので、
機会がありましたら、合わせてご鑑賞ください。



作品情報
1979年製作 香港製作 カンフーアクション
監督 ラウ・カーリョン 武術指導 ラウ・カーリョン、トン・ワイセン
出演 ワン・ユー、ラウ・カーウィン、リュー・チャーフィー、セシリア・ウォン、リー・ホイサン、チョイ・シウキョン、トン・ワイセン


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