【カンフー映画】少林寺 怒りの鉄拳(三德和尚與舂米六THE IRON-FISTED MONK)93分

投稿者: | 2025年12月6日

カンフー映画としてのおすすめ度 ★★★★★★☆☆☆☆

(少林寺三十六房)にも登場したサンダ和尚と米屋のチュンの物語を、横暴な満州人との戦いの中で描いた、記念すべきサモ・ハンキンポー初監督作品!!、、、、でも18禁!!

作品紹介

日本劇場未公開

今回ご紹介する作品は、サモ・ハンキンポーが記念すべき初監督デビューを果たしたカンフーアクション作品です。

それでは、まずはあらすじから、

満州人の横暴によって叔父を失ったチュンは、少林寺で修行しカンフーの腕前を上げて街へと帰って来るが、街では官僚の弟であるパクが悪行の限りを尽くしていた。

街角で虐められていた子供を救ったためにパクの怒りを買ったチュンは、恩人であるサンダ和尚と行動を共にするが、そこにパクの魔の手が伸びる!!

監督・脚本、そして主人公となるチュン・マイロ役で主演もしているのは、(アンジェラ・マオ破戒)(詳しくはこちら)や

必殺!少林寺武芸帳)と同年のサモ・ハンキンポーで、本作でついに主演・初監督デビューを飾っています。

サモ・ハンキンポー

で、もう一人の主人公とも言えるサンダ和尚役で、(怒れるドラゴン不死身の四天王)や(醉八仙拳)(詳しくはこちら)等の

チン・シンが登場し、多くの作品で演じている悪役とは違う、まさかの僧侶役を好演しています。

チン・シン

で、カンフー要員ではないものの、ドラマ面のある意味主役の一人とも言えるサンダ和尚の弟子、ジンリョン役で、

後年(スリ)(詳しくはこちら)や(奪命金)等、ジョニー・トー監督の傑作群で重要なキャラクターを演じ存在感を発揮することになる

ロー・ホイパンが登場し、若い時も変わらぬ勢いのあるキャラクターで、本作の物語世界を掘り下げています。

本作のロー・ホイパン(1977年)
(スリ)のロー・ホイパン(2008年)

で、問題を起こしまくる満州人役で、(燃えよデブゴン7)(詳しくはこちら)や(燃えよデブゴン10友情拳)(詳しくはこちら)等、

サモ・ハン作品や他の多くのカンフー作品の、厭な感じの悪役でお馴染み、フォン・ハックオンが登場し、本作でも悪の限りを尽くします。

フォン・ハックオン

で、その参謀的な部下役で、(スネーキーモンキー蛇拳)や(ドランクモンキー酔拳)等のディーン・セキが登場し、いつものお調子者キャラでフォン・ハックオンをサポートしていきます。

ディーン・セキ

で、同じくフォン・ハックオンの部下役で、(クレージーモンキー笑拳)や(醒拳)(詳しくはこちら)等の

ヤム・サイクンが登場し、サモ・ハンたちに迫ります。

ヤム・サイクン

で、同じくフォン・ハックオンの部下役で、(霊幻師弟人嚇人)(詳しくはこちら)や(霊幻百鬼人嚇鬼)(詳しくはこちら)等の

チン・ユッサーンが登場し、悪行を働きます。

チン・ユッサーン

で、同じくフォン・ハックオンの部下役で、(ラストバイオレンス爆女)(詳しくはこちら)や(非情のハイキック)(詳しくはこちら)等の

ルー・チェンクーが登場し、その辺で遊んでいる子供をいきなり虐める、という外道っぷりを発揮しています。

ルー・チェンクー

で、前半の修行シーンでの兄弟子役で、(拳精)や(飛龍神拳)等のジェームズ・ティエンが登場し、主人公を温かく送り出します。

ジェームズ・ティエン

で、同じく冒頭の一瞬ですが、少林寺の兄弟弟子役で、(妖刀・斬首剣)(詳しくはこちら)や(ドラゴンカンフー龍虎八拳)(詳しくはこちら)等の

カサノバ・ウォンが登場し、素晴らしいハイキックを披露しています。

カサノバ・ウィン

で、後半突然登場するフォン・ハックオンの兄役で、(スカイホーク鷹拳)(詳しくはこちら)や(キングボクサー大逆転)等の

チャオ・シュンが登場し、主人公コンビに戦いを挑みます。

その他にも、ウー・マエリック・ツァン、ラム・チェンイン、チャン・ロン、マース、シャオ・ホウ、チョン・ファ、ビリー・チャン、マン・ホイ、ブランディ・ユエン等、

サモ・ハン作品お馴染みのメンバーが端役として大勢出演している作品となっています。

エリック・ツァン
ラム・チェンイン
チョン・ファ

そんなスタッフ・キャストが製作した本作の物語は、横暴な満州人によって叔父の命を奪われた主人公であるチュン(サモ・ハンキンポー)が、

少林寺で心根の優しい兄弟子(ジェームズ・ティエン)や兄弟弟子と共に、厳しい修行に耐え、メキメキとカンフーの腕を上げて行く日々の生活から始まります。

しかし、もう結構な腕前に成長したチュンは、どうしても、はやる気持ちを抑えられず、兄弟子の制止を振り切ってある日の明け方に、勝手に寺を出てしまいます。

そんなチュンの前に立ちはだかる師匠達と兄弟子ですが、罰を与えるていで実は最後の訓練をチュンの身体に刻みつけて

ついでに兄弟子からは選別まで持たしてくれて、見送られながら数年ぶりに街へと帰ることになります。

で、その頃街では満州人の横暴がさらにひどくなっていて、官僚である兄の権力を隠れ蓑に、弟のパイ(フォン・ハックオン)がやりたい放題に暴れていて、

街を歩いていて気に入った女性を見つけては、付き人達と共に追いかけ回して襲い掛かる、という野獣のような蛮行を白昼堂々と繰り返しています。

その犠牲者には、染め物工場で真面目に働くサンダ和尚(チン・シン)の弟子、ジンリョン(ロー・ホイパン)の妹もいて、暴行されたショックで自ら命を絶ってしまう、

というあまりに悲惨な結果を招いてしまったため、その日以来ジンリョンは満州人への復讐を誓います。

そんな状況の中で街へと帰って来たチュンは、着いて早々にパクの部下が街で遊ぶ子供達を虐めた上に、まさかのナイフを取り出して子供に振り上げる

という横暴を越えた行為を目撃したため、速攻で割って入って満州人をコテンパンに倒してしまいます。

しかも、調度そこで、怒りが沸点に達していたジンリョンも出くわしたため、締め上げているパクの部下の命を奪ってしまい、その後ジンリョンは姿を消したため、

まさかのチュンがパクの部下を殺害した犯人と勘違いされてしまいます。

で、その後サンダ和尚と合流したチュンとジンリョンは、街の名物料理(肉料理です、、、)で食欲を満たした後に、

速攻で娼館に向って今度は性欲を満たす、という僧侶と在家弟子とは思えない欲望の満たし方、、、というところで、

娼館でパクとその部下達とバッタリと再遭遇し、部下の仇とばかりにチュンは娼館で襲われることになります。

最初は、サンダ和尚に教わったように忍耐で我慢するチュンですが、

『そこまでされてまで我慢する必要はない』

という、サンダ和尚のゆるい教えに従って、

気持ちがスッキリするまで相手を叩きのめしてしまいます。

人の服を盗んで変装し娼館に入っていた和尚に、ゆるい教訓を教わる迷える在家弟子

で、またしてもコテンパンにやられてしまったパク達は、腕っぷしの強い助っ人を雇い、ジンリョンやチュンが作業員たちにカンフーを指導している染物工場に狙いを定めます。

で、助っ人カンフーと共に、ある卑怯な作戦を使って染め物工場を閉鎖に追い込もうと工場を訪れるが、、、、、、、、、、、、、、

、、、、、、、という流れが、大体の大筋となっています。

その後香港映画界の中心人物と言えるぐらいに大活躍して行く事になる、サモ・ハンキンポーの記念すべき初監督作品です。

しかも、チェン・シンはキャスティングされているものの、主演・脚本・武術指導と重要な役目を全て兼任しながらの堂々たる監督デビューで、

端役やスタントマンとして登場するのも、後のサモハンアクションチームや顔なじみのメンバーで固められていますので、

初監督作にしてかなりサモ・ハン印の濃い作品となっています。

1979年に公開されたジャッキー・チェン初監督・主演作品(クレージーモンキー笑拳)と比べられる事が多いようですが、

やはり独立して自身の製作会社を新しく立ち上げて制作した(笑拳)と、既に大作・話題作を次々と製作してきた会社で、武術指導、スタントマン、端役キャストとして

下積み生活を築き上げていたサモ・ハンとの差はあるようで、日本では本作は劇場未公開ではありますが、

キャストやセット、ロケ撮影の規模等、色んな面で(面白さは除外して)本作の方が大作感を感じる作風となっています。

ただ、本作製作の1977年から1979年の間には、カンフー映画自体の流行も、ジャッキー本人の登場によってかなり変化していて、

本作のサモ・ハン自身のキャラクターは割と明るめのキャラクターではありますが、作品の基本的な物語展開としては至ってシリアスで、

主人公二人のさっぱりした性格に反してドラマ面の主役であるロー・ホイパンは、家族含めてかなり悲惨な目に合い、

悪役フォン・ハックオンの描写も、言葉は汚いですが、【腐れ外道】という表現がぴったりハマるぐらいに真っ黒な悪党で、

その蛮行の表現も、

たっぷりと女性がモロ肌を脱がされるシーンが、見せ場のように描かれる

という、大作系のカンフー映画が、本来避けるようなシーンが堂々と登場する作風となっています。

厭な感じですね、、、

時代背景としてそういうシーンをプラスアルファ的に盛り込む、という程度ならまだわかるのですが、

本作のような大作で、しかもその部分以外にはそういう要素を売りにしているような物語ではない作品で、堂々とお色気シーンが映るカンフー作品は、

当時のライバル会社であるショウブラザーズ社作品でも、あまり見当たらず、あったとしても、そういうシーンが収録されている作品は、

完全にそういうエログロ要素を作品の売りとして組み込まれている作品にのみ収録されていたと思われます。

このサモ・ハンのお色気路線は、(燃えよデブゴン7)のような後の大作でも、本作と同じくフォン・ハックオンが、本作と同じような役柄とシチュエーションでまたしても女性に襲いかかるという、

モロ肌シーンが登場しますので、やはりサモ・ハン自身によるそういうシーンが必要だという判断があったのかもしれません。

ただ、そのせいで本作は本国で、真面目なカンフー映画なのに、【三級片】(18禁)映画として劇場公開されているようですので、

そこまで窓口を狭めてまでモロ肌シーンを挿入する必要があるのかどうかは疑問です、、、、。

ただ、このモロ肌要素をとりあえずスルーすると、やはりこれだけその後のカンフー映画に名を残すメンバーが参加している作品ですので面白くないはずがなく、

カンフーシーンは全て見所と言っても良いぐらいに手に汗握る興奮の大決戦が楽しめる内容となっています。

特に、素食では絶対に付かない筋肉を身に着けた僧侶には見えないチン・シンサンダ和尚と、サモ・ハンのバディが、

外道ハック・オンの屋敷に殴りこんで、ヤム・サイクン、チン・ユッサーン、シャオ・ホウ等と連続で激闘を展開するラストバトルは、

若干、一時のドニー作品ばりに早回しが過ぎるシーンもありますが、アクション自体はハイレベルで、

今まで他人の作品で武術指導としての腕を見せつけてきたサモ・ハンが、初めて自作で腕前を存分に披露できるという意気込みを感じる集大成的なアクションとなっていて、

巻き戻して何とも観返したくなる名勝負となっています。

という事で、ドラマ部分やモロ肌要素は多くの人が何度も楽しめるような内容ではありませんが、カンフーアクション要素に関しては、

素晴らしい監督としての実力を見せつけた、サモ・ハンを語る上で見逃せない作品となっていますので、

香港映画好きの方や、カンフー映画好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。

作品情報

1977年製作 香港製作 カンフーアクション

監督・脚本・武術指導 サモ・ハンキンポー 製作 レイモンド・チョウ

出演 サモ・ハンキンポー、チェン・シン、ロー・ホイパン、フォン・ハックオン、ヤム・サイクーン、チン・ユッサーン、ディーン・セキ、カサノバ・ウォン、ジェームス・ティエン、シャオ・ホウ、チョン・ファ、エリック・ツァン、ラム・チェンイン

↓ランキングに参加しています。もし、宜しければ下記をクリックお願い致します↓

映画評論・レビューランキング
映画評論・レビューランキング

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村

PVアクセスランキング にほんブログ村

コメントを残す