カンフー映画としてのおすすめ度 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
子役出身アクションスター、シェー・ミャオが、人気キャラクター少林英雄、方世玉を演じたワイヤー多めのカンフーアクション!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介する作品は、子役出身のカンフーアクションスター、シェー・ミャオ主演のカンフーアクション作品です。
それでは、まずはあらすじから、
反清復明を掲げる紅花会の党首が殺害された。
その罪を着せられた、党首の義理の息子であるフォン・サイヨは、事件の黒幕である白眉の追手を振り切りながら、
自身の汚名をそそぐため、復讐のために戦いを挑むのだった!?
少林英雄、フォン・サイヨを主人公としたカンフーアクション作品です。
フォン・サイヨは、実在はしていない(色んな実在の武術家をモデルにはしているそうです)ながらも、
多くの小説やカンフー映画で登場する英雄キャラクターで、これまでも(少林寺必殺舞扇拳)(詳しくはこちら)や、(少林ブラザース)でメン・フェイが、
(嵐を呼ぶドラゴン)、(続嵐を呼ぶドラゴン)でアレクサンダー・フーシェンが、
(レジェンド・オブ・フラシュファイター格闘飛龍)やその続編で、ジェット・リーが、
(最後の少林寺)とその続編で、ツイ・ポーワが、
(レジェンド・オブ・フォース激闘飛龍)(詳しくはこちら)で、ウェイ・ティンサンが、
近年では(少林寺 木人列伝)(詳しくはこちら)でワン・チャオが、(と言ってもこちらは、本作より後に製作された作品ですが)
それぞれフォン・サイヨ役を演じていましたが、
総じて、同じイメージで、古めの作品は白い衣装に、白い扇子、清潔感があってハンサム、少林寺出身の英雄で、革命に参加するカンフーヒーロー、
ジェット・リー以降の作品は、同じく清潔感のある白い衣装中心で弁髪、少林寺出身で、若干マザコンの甘えん坊的な弟キャラ、
というイメージで統一されていて、それぞれの作品で、その共通のイメージを主演のスターに合わせて描いていく、というのが1970年代以降に製作されてきたフォン・サイヨ映画の流れでした。
そこで、2018年に製作された本作の主演は、子役として活躍し、青年になってから、再びアクションスターとして中国映画界でブレイクしているシェー・ミャオで、
同じくフォン・サイヨを演じていたジェット・リーとは(D&D完全黙秘)や(新少林寺伝説)等の親子役で共演し、
その後、本作と同じ少林寺の邦題タイトルを冠した(少林寺 十八の羅漢)(詳しくはこちら)や(少林寺 阿羅漢VS鬼神羅刹)(くわしくはこちら)等の
少林寺系作品や他の多くのアクション作品で、大活躍している中での人気キャラクター、フォン・サイヨ役を演じる、という話題性のある作品となっています。
共演は、ヒロイン役に、テレビシリーズ(儿孙幸福计划)等に出演しているワン・インインで、フォン・サイヨに誘拐されながらも、
やがて恋心が芽生えていく、という分かり易いズッコケ気味のヒロインを好演しています。
で、途中、賞金稼ぎとしてフォン・サイヨの命を狙いながらも、こちらもやがて友情が芽生えて、一緒に行動を共にする事になる二丁拳銃使いに、
アンディ・ラウ主演の(未来警察)やジェット・リー主演の(白蛇伝説)等に出演しているワン・シェンリが扮し、
味のある佇まいで、作品世界を盛り上げていきます。
でもう一人のヒロインとも言える、フォン・サイヨの幼馴染で許嫁(でもフォン・サイヨは忘れていた)役を、
(デスアイランド殺人蜂侵入)(詳しくはこちら)や、(レイダース・オブ・ムージン失われた財宝)(詳しくはこちら)等のユー・シンイェンが演じ、
出番は少な目ながらも、切なげなキャラクターを好演しています。
さらに、このユー・シンイェンに密かに恋心を抱く部下役で、ジャッキー・チェンの(フー・アム・アイ?)のリメイク(我是谁2015)にも出演しているヨン・ジョンが登場し、
出番は少な目ですが、物語を展開させていきます。
で、一応特別出演という枠のようですが、香港映画では90年代から(ジョイ・ウォンの時空伝説)(詳しくはこちら)や、
(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ外伝天地笑覇)(詳しくはこちら)等の作品でコメディリリーフとして活躍し、
近年の中国映画では、(妖魔大戦争シークレットマジック)(詳しくはこちら)等で活躍しているウォン・ヤッサンが、
本作でも、変わらぬコメディアンぶりで、愛嬌のあるヒロインの父親を演じています。
そんな話題のキャストが集結したシェー・ミャオ版のフォン・サイヨ物語である本作は、これが、それまでのフォン・サイヨのイメージを覆すようなキャラクター像になっています。
まずは、近年の中国作品に共通の、既にフォン・サイヨの養父が殺害される、という事件が既に起こっていて、
その罪を養父が党首を務めていた(反清復明)を唱える紅花会の副党首、白眉によってフォン・サイヨ自身が着せられて、
さらにその紅花会の実験を握る事ができる令稗をフォン・サイヨから奪うために、白眉一派が刺客を送る、という、いつものように既に物語が始まって数分経過したような状況から始まります。
で、逃げながらも、白眉の謀略にはまり、成り行きで人質に取った権力者の娘であるワン・インインと一緒に逃避行に入る事になり、
さらに道中で、賞金稼ぎのワン・シェンリも成り行きで仲間になり、さらになんだかんだとやっているうちに成り行きで幼馴染のユー・シンイェンと再会し、
最終的に増えた仲間で、白眉に最後の戦いを挑む、という大筋となっていきます。
まず、本作でのシェー・ミャオ版のフォン・サイヨの特徴としては、弁髪ではなく、白い衣装でもなく、マザコンどころか母親も登場せず、
父親は既に殺害されていて、無口で、仏頂面、という、イメージを覆すどころか、
それは、もうフォン・サイヨではないのでは?
と思えるぐらいに、それまでのフォン・サイヨのイメージを全く継承しないキャラクター像となっています。
ですので、邦題は(少林寺 復讐の飛龍拳)とカンフー映画の王道的なタイトルが付けられていますが、
実際はフォン・サイヨ映画の雰囲気も、少林寺映画の雰囲気も、もっと言うと、ワイヤーでぶるんぶるんと吊り下げる事をメインに構成されているアクションなので、
武術カンフーアクション映画としての雰囲気も極めて薄い作品となっています。
シェー・ミャオ、再ブレイクで主演作品がどんどん増えて行くのは良いのですが、そのほとんどの作品が、
本作のようにシェー・ミャオの素晴らしいアクションスキルを十分に引き出せていないような作品が多く、アクションの合間に断片的にキレのある動きは見れるものの、
残念ながら全体的には、宙に浮いている(吊られている)時間の長いアクションがメインとなっています。
さらに、アクション面だけではなく、ドラマ部分でも、シェー・ミャオの台詞が極端に少なく、最初から最後まで、仏頂面ですので、
全然積極的に物語を展開させる役目にはならずに、成り行き任せ、その代わりに旅で出会ったヒロインのワン・インインと、
途中で仲間に加わるワン・シェンリの二人が10倍ぐらい話してくれるので、2人(といってもほとんどがワン・インインが担っています)が、
色々な出来事にリアクションして対応し、物語を進めていく、という感じで、下手すると物語の主役感さえ薄めのフォン・サイヨ像となっています。
ずっと真ん中にはいるのですが、、、。
という事で、シェー・ミャオがフォン・サイヨを演じたカンフーアクション、という事で、期待値は上がりますが、
アクションの素晴らしさは薄味で、大活躍感も薄め、なのに、ずっと真ん中で眉間にしわを寄せているので、
とりあえず存在感だけはずっしりと感じる事ができる、本当のシェー・ミャオファンの方にとっては必見の作品となっていますので、
香港映画ファンの方や、中国映画ファン、そしてシェー・ミャオファンの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
それにしても、シェー・ミャオ主演のワイヤーに頼らない、ちゃんとしたカンフー映画が観たいですね、、。
作品情報
2018年製作 中国製作 カンフーアクション
監督・脚本 リー・リーミン
出演 シェー・ミャオ、ワン・シェンリ、ワン・インイン、ウォン・ヤッサン、ユー・シンイェン
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