【推薦!カンフー映画】ユン・ピョウin ドラ息子カンフー(敗家仔THE PRODIGAL SON)104分

投稿者: | 2020年7月6日

カンフー映画としてのお薦め度 ★★★★★★★★★★

後のイップマンにつながる詠春拳で有名な実在の英雄リョン・チャン若き日々を、ユン・ピョウ主演で描いたサモ・ハン・キンポー監督の傑作カンフーアクション!!!

作品情報

テレビ放映題 師弟カンフー熱血拳 

1981年製作 香港製作 カンフーアクション

第2回香港アカデミー賞 最優秀アクション指導賞受賞

監督・脚本・武術指導 サモ・ハン・キンポー 製作 レイモンド・チョウ

助監督・撮影 リッキー・ラウ 武術指導 ユン・ピョウ、ラム・チェンイン、ビリー・チャン

詠春拳顧問 ガイ・ライ

ユン・ピョウ主演3作目、若いです
詠春拳お馴染みの訓練シーン
詠春拳は狭い範囲で威力を発揮する拳法なので机の上で稽古します

スタッフ・キャスト

監督のサモ・ハン・キンポーは、スタントマンとして多くの作品に携わり、ブルース・リー主演(燃えよドラゴン)の端役などで注目される。その後1977年(少林寺怒りの鉄拳)で監督・主演デビュー。その翌年以降、(燃えよデブゴン)、(燃えよデブゴン3)、(燃えよデブゴン7)と主演作品が立て続けにヒットする。80年代以降は(五福星)、(プロジェクトA)、(スパルタンX)などジャッキー・チェン、ユンピョウとともにゴールデントリオとして人気を博す。1998年以降からはテレビシリーズ(LA大走査線マーシャル・ロー)でハリウッド進出を成し遂げた。尚、本作で、第2回香港アカデミー賞最優秀アクション指導賞を受賞している。

主演のユン・ピョウは、多くの作品でスタントマンを経験した後に、兄弟子である本作監督サモ・ハン・キンポーの助力で1979年製作(モンキーフィスト猿拳)で主演デビュー。その後酔拳のユエン・ウーピン監督作(ツーフィンガー鷹)、本作、ツイ・ハーク監督のSFX活劇(蜀山奇傳天空の剣)と主演作が軒並み大ヒット。その翌年のユエン・ウーピン監督(製作として参加)と再び組んだ(チャンピオン鷹)で人気を決定づける。その後は兄弟子ジャッキーチェン、サモ・ハンキンポーとのゴールデントリオで(プレジエクトA)、(ファーストミッション)、(大福星)、(サイクロンZ)と大ヒット作品を連発する。

師匠ルン・イータイ役のラム・チェンインは、サモ・ハン・キンポー率いるスタントマンチーム洪家班で活躍していたが、その実力が認められ、本作にて準主役として抜擢される。その後本作の撮影監督リッキー・ラウの監督作品(霊幻道士)シリーズの道士役に抜擢され大ブレイク。その後は多くの映画作品やテレビシリーズで道士役を演じる事になる。当たり役の道士役は長く人気を博したが97年、肝臓癌のために亡くなった。

師匠は女形の劇団員なので眉毛を剃っています。ちょっと怖いです
詠春拳は南派拳法で手技中心なので派手な蹴り技などはほとんどありません
途中参加で一気に場をさらっていくサモ・ハン

あらすじ

広東省佛山の富豪の息子リョン・チャン(ユン・ピョウ)は有名な『暴れん坊』として通っていた。

しかしそれは、息子を心配した父親が裏で隠れて対戦相手を買収していた偽りの通り名だった。

ある日、劇団の女形で詠春拳の達人でもあるルン・イータイ(ラム・チェンイン)に大敗を喫し、自身の弱さを痛感したチャンはルンに弟子入りしようと試みるのだった。

詠春拳といえばこの構え
詠春拳といえばこの構え
この構え、ドニーもイップマンでやっていました

感想

ユン・ピョウ主演第3作です。

(モンキー・フィスト猿拳)、(ツーフィンガー鷹)と好評で本作で初めて実在の詠春拳の達人、リョン・チャンの若き日を若々しい明るいキャラクターで好演しました。

因みに原題の敗家仔とは放蕩息子という意味です。

本作はその敗家仔である金持ちのドラ息子が詠春拳の達人に出会う事で自身の未熟さに気づき、詠春拳を学ぶことで人間として成長していく物語です。

見どころはやはり、当時動ける絶頂期だったユンピョウとラム・チェンインのカンフーアクションでしょうか。

まさに目にも止まらぬ凄まじい軽やかな神業アクションは、おそらく今後も他のスタッフ・キャストでは再現できないような名シーンの連続となっています。

しかもその誰も真似できないような電光石火の神業を軽々とやっているように見せる凄さに唸らされます。

本作の素晴らしさは香港アカデミー賞である金像賞で最優秀アクション指導賞受賞という形で結実しています。

また、本作で主人公が習得するカンフーは近年ドニー・イェン主演作(イップマン)シリーズで脚光を浴びた詠春拳です。

(イップマン)シリーズでも繰り返し語られる詠春拳の基本精神(勝負が始まればどんな方法を使ってでも勝利を勝ち取る)、(相手の弱点は繰り返し徹底的に攻める)などは、すでに本作でも描かれており、女性や体格の小さい者が、体格の大きい者に対して最小限の力で最大限の威力を発揮できるような武術を細かく描いています。

また、本作で悪役として登場するフランキー・チャンは他の作品では音楽家として知られ、多くの作品でその実力を発揮していますが本作では類まれなる身体能力を柔らかくて素早いアクションで披露しています。

このフランキー・チャンも朝廷の公人でありながら武術に明け暮れ、達人を訪ね歩いては勝負を挑む、という現代の言葉で表すと格闘オタクといった感じで、主人公リョン・チャンとはまた違った意味で敗家仔ぶりを発揮しています。

色々あったうえでのラストのユン・ピョウとフランキー・チャンのバトルは敗家仔同士の名勝負となっており、この勝負の果てにこの二人の血気盛んな若者が成長していくという清々しいラストとなっています。

また、本作の主人公リョン・チャンが習得した詠春拳は、その息子リョン・ペック、弟子のチャン・ワー・ソンへと受け継がれ、チャン・ワー・ソンの詠春拳はその弟子、イップマンへと受け継がれました。

そのイップマン詠春拳が弟子であるブルース・リーに受け継がれ、ブルース・リーはアメリカにおいて多くの弟子に自身の技を継承していきました。

このように代々受け継がれていった中国伝統の武術である詠春拳、(イップマン)シリーズを鑑賞して興味を持たれた方はそのルーツの追求として本作の素晴らしい生身のアクションを堪能してみるのも良いのではないでしょうか。

お薦めです!

宿敵フランキー・チャン、華奢ですが凄まじい技を繰り出します
始めは敵に完全に舐められてます
しかし、詠春拳の神髄を理解したチャンとの凄まじい技の応酬へと発展します

リョン・チャンの孫弟子イップマンが活躍するシリーズはこちら

イップマンの最新作(イップマン完結)はこちら

(イップマン継承)登場したチョン・ティン・チーを主役にしたスピンオフ(イップマン外伝マスターZ)はこちら

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