【推薦!カンフー映画】ワンス・アポン・ア・タイム 英雄少林拳 武館激闘(武館 MARTIAL CLUB)103分

投稿者: | 2024年4月26日

カンフー映画としてのおすすめ度 ★★★★★★★☆☆☆

ラウ・カーリョン監督・武術指導、リュー・チャーフィー主演による、迫力の獅子舞合戦と、名悪役ワン・ロンウェイとのカンフー映画史に残る名勝負が繰り広げられる、爽快な後味の傑作カンフーアクション!!

作品紹介

日本劇場未公開

今回ご紹介する作品は、カンフー映画の巨匠、ラウ・カーリョン監督による傑作カンフーアクションです。

それでは、まずはあらすじから、

清朝末期、広東では天壽武館と正甫武館の間で深刻な揉め事が続いていた。

天壽武館の弟子、王隠林は、遊び仲間の黄飛鴻と技を競いあっていたが、ある日、勝負を挑んだ男が、正甫武館の客人だったために、

さらに揉め事は大きく膨らみ、両武館の争いはさらに深刻化していくのだった!?

監督・武術指導は、(少林寺VS忍者)や(醉拳3)(詳しくはこちら)等、多くの名作カンフー映画を演出しているラウ・カーリョンで、

本作でも武館同士の獅子舞での決め事等、一般人では知りえないような本物の世界観を、カンフーアクションたっぷりに娯楽カンフー作品の中で描いています。

また、本作冒頭では、獅子舞のルールを説明する解説者として少しだけ出演もしています。

本作冒頭のラウ・カーリョン
ラウ・カーリョン

主人公のウォン・フェイホン役は、ラウ・カーリョンの義弟で、(少林寺三十房)や(秘技・十八武芸拳法)等、

義兄の監督作品に多く出演している少林寺映画スター、リュー・チャーフィーで、いつものように清潔感のあるキャラクターで、颯爽と主人公を演じています。

本作のリュー・チャーフィー
リュー・チャーフィー

で、フェイホンの親友のトラブルメーカー役で、(少林寺秘棍房)や(誘拐同盟スクランブル5)(詳しくはこちら)等の、

ロバート・マックが登場し、華麗な技を披露しながら、全ての揉め事の原因を作って行きます。

本作のロバート・マック
ロバート・マック

で、そのロバートの妹役で、(レディクンフー激闘拳)や(レディスクワッド)(詳しくはこちら)等の

ベティ・ウェイ(カラ・ワイ)が登場し、話し合うよりも先に手が出るタイプの血気盛んなお転婆カンフーレディを演じています。

本作のベティ・ウェイ(カラ・ワイ)
ベティ・ウェイ(カラ・ワイ)

で、ライバル武館に武術交流のためにやって来た北派カンフーの使い手役で、(少林寺武者房)(詳しくはこちら)や、

燃えよデブゴン お助け拳)(詳しくはこちら)等の、多くのカンフー作品で悪役を演じているワン・ロンウェイが登場し、本作では珍しく悪人ではない強敵を演じています。

本作のワン・ロンウェイ
ワン・ロンウェイ

で、そのワン・ロンウェイを招いた道場主役で、(醉馬拳クレージーホース)(詳しくはこちら)や(老鼠街)(詳しくはこちら)等の

チュー・ティエホーが登場し、例によって分かり易い悪人師匠を演じています。

本作のチュー・ティエホー
チュー・ティエホー

で、あくどいその息子役で、(燃えよデブゴン)(詳しくはこちら)や(ポリスストーリー)等のリー・キンチューが登場し、

何をするにしても、問題事を広げる性悪キャラクターを演じています。

本作のリー・キンチュー
リー・キンチュー

で、フェイホンの父親、ウォン・ケイイン役で、(空とぶギロチン)や(五毒拳)(詳しくはこちら)等の、

ショウブラザース社系作品に多く出演している名優クー・フェンが登場し、物語を掘り下げています。

本作のクー・フェン
クー・フェン

で、ロバート・マックが弟子となっている武館の師匠役で、(斗え!デブゴン)(詳しくはこちら)や(蛇形醉歩)(詳しくはこちら)等の

トン・ワイセンが登場し、アクションは少な目ですが、ドラマ性を掘り下げていきます。

本作のトン・ワイセン
トン・ワイセン

で、本作の武術指導であり、フェイホンの兄弟弟子役として出演もしているのは、(マッドクンフー猿拳)や

カンフートレジャー龍虎少林拳)(詳しくはこちら)等のシャオ・ホウで、超人的な身軽さで、アクションシーンで見せ場を作っています。

本作のシャオ・ホウ
シャオ・ホウ

そんなスタッフ・キャストが製作した本作の物語は、祭りを祝う獅子舞(ロマート・マックが獅子頭)が、街の広場でおめでたい舞いを舞いながら、

例年通りに青野菜をゲットして、めでたしめでたし、となるところを、突然現れた黒獅子舞に青野菜を横摂りされてしまい、

それをきっかけに、大獅子舞バトルが巻き起こり、そこから大乱闘に発展していくシーンから始まります。

冒頭で、ラウ・カーリョン監督自ら解説がありますが、獅子舞合戦において、やってはいけないルールがいくつかあり、

獅子の尻を嗅ぐ仕草や、獅子に向かって瞬きする仕草、片足を上げながら近づく仕草等は、相手の獅子を挑発する仕草のようで、

一般的にはやってはいけない仕草となっていますが、その黒獅子を操るのは、チュー・ティエホーとその息子リー・キンチューが率いる悪の武館の獅子舞なので、

当然ながらやってはいけない仕草を一通り全部やります。

で、血気盛んなロバート・マックは速攻でキレて、あっという間に大乱闘になってしまいます。

その後、なんとか事を収めた両陣営は、広東五虎の一人ウォン・ケイインが仲を取り持つ形で、悪党チューと、ロバートの師匠であるトン・ワイセンが、同じテーブルに着き、

争いの中心人物であるロバートリーそして、何故か関係ないロバートの親友であるウォン・フェイホン(リュー・チャーフィー)も呼ばれて、

仲直りをさせようとするものの、血気盛んなトラブルメーカー二人に、ウォン・フェイホンもなんとなく火に油を注ぎ、

仲直りのような、物別れのような、微妙な状況のまま、そのミーティングは終了します。

で、そんな大乱闘を起こしたロバートですが、血気だけではなく、とにかく色々と盛んで、暇を見つけては遊郭に通い、

得意のカンフーを使って力自慢をレディ達に見せびらかし、人気者になって無料で遊びまくる、という調子ノリぶりに、親友のフェイホンもあきれるばかり、という毎日を送っています。

さらに、自慢のクンフーをフェイホンに見せびらかすために、妹に頼んで、それほど強くなさそうな武術家を金で買収して、

フェイホンの前でその人物と腕比べをして、(勿論買収済みなので)勝利する、というコスい自慢もかかさない、という血気盛んぶり(これに関してはフェイホンも同じことをやりますが)で、

調子ノリが祟って、弱いと思って挑んだ相手が、まさかのワン・ロンウェイだった、という事で、手痛いしつぺ返しを喰らう事になります。

で、まさかの達人レベルの強敵に勝負を挑んでしまったロバートは、勿論速攻でダメージを喰らい、喉を攻撃されて身動きできなくなってしまいます。

で、ビックリしているフェイホンとぶっ倒れているロバートの前に、調度ロバートの妹のベティ・ウェイが現れて、

フェイホンが襲ったと勘違いし、速攻でフェイホンに殴りかかります。

しかし、ロバートは喉にダメージを受けて話す事が出来ずに、勘違いしたベティは、そのままフェイホンが修行する武館に殴り込みを掛けます。

ただ、その後喉が回復してきたロバートによって、なんとか両武館の争いも収まり、ロバートも順調に回復してきますが、

生粋の調子乗りロバートが、そんな事で反省するはずもなく、速攻でまた遊郭通いを再開させます。

ですが、今度は、いつものように調子に乗っていると、隣の部屋で遊んでいたリーが、浮かれるロバートを発見し、

以前の恨みと、無料で調子に乗っているロバートが物凄く羨ましかったため、罠にかけて手足を縛り、門弟(部下のように扱っています)に命じて殴る蹴るの暴行を加え、

ついに片足の骨を折ってしまうまでにダメージを与えます。

で、またキレたベティは、今度はフェイホンを伴ってチュー・ティエホーリーの道場に出向いて行きます。

しかし、当然リーは迎え撃つ気満々ですので、弟子達全員で襲い掛かりますが、ここで、その道場に客人として招待されているワン・ロンウェイが登場し、騒動に割って入り争いを止めます。

で、いざこざが続き、そのお詫びとしてまずは、チューリー達がトン・ワイセンの武館を訪れた後、その返礼としてウォン・フェイホンベティがお詫びに行くが、

その訪問は、勿論予想されていたもので、チューリーの親子、そしてワン・ロンウェイが、難題を用意して待ち構えている、、、、、

、、、、というのが大体の大筋となっています。

本作、はっきり言ってしまうと、物語展開自体は、親の仇や、積年の恨み、流派の最後の生き残りが、、、

、、、というような、カンフー映画にありがちなシリアスな太いストーリーがあるわけでもなければ、

コメディカンフー映画の様に無鉄砲な若者の成長を笑いを織り交ぜて描いていく、というような一本筋の通ったストーリーがある作品ではありません。

主人公のように奔放に調子ノリを何度も繰り広げるロバートは、過ちは何度も犯しますが、その尻ぬぐいは、妹か親友が担ってしまっていますので、成長がほとんど描かれません。

ロバートが足を怪我してから準主役に昇格されるベティも、散々勘違いで暴走し、事実が発覚しても反省の言葉一つ発しませんし、

前半はそれほど目立たず、中盤以降やっと主人公らしくなるウォン・フェイホンも、前半は未熟者的キャラクターながらも、

なんのきっかけもなく、ラストでは、達人級のワン・ロンウェイと何故か互角に渡り合う達人キャラクターへと昇格していますので、

カンフー映画で重要な、登場人物の成長が、主役級が三人も登場する割にはほとんど描かれません。

物語の本筋に関しても、基本的には、やられたらやり返す、の繰り返しで、後半になってくると、どの要件のやり返しか混乱するぐらいに同じ状況を繰り返します。

そんな登場人物と物語展開では、本来面白い作品ができるはずがない、というのが普通だと思われますが、

そこがラウ・カーリョン監督の凄い所で、物語や、人物描写が多少弱くても、それを補って余りあるほどのカンフーアクションの素晴らしさが、突出しているために、

そのアクションシーンの躍動感だけで、興味を持って観続ける事ができるぐらいの、吸引力を持った内容となっています。

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この時期のラウ・カーリョン監督作品に登場するキャストの動きは、全てが素晴らしく、

どの登場人物も、身体が動いて動いてしょうがない

ぐらいの躍動感で、まるで普通に立ち上がるような軽さで、頭上高くジャンプします。

ですので、例え弱めの物語でも、何かの動きが入るたびに超人的な動きで表現されますので、画面から目が離せない状態がずっと続く事になります。

ただ、逆に言うと、カンフー映画に興味の薄い方が鑑賞すると、同じ事の繰り返しで、何をするにも大げさに動いて、

どこが、どう面白いのか理解できない、という事になるかもしれません。(それを言い出すとカンフー映画自体が、特別な見せ場を強調したジャンルなので全ての作品に共通する要素ですが、、、)

しかし、そんな方でも、恐らくクライマックスの敵地での腕試しチャレンジや、ワン・ロンウェイのベストアクトとも言える北派カンフーの使い手との、

狭い路地裏での、お互いの技を尊重し合いながらの激闘は、恐らく(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ天地大乱)の

(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ天地大乱より)

ジェット・リードニー・イエンの激闘にも受け継がれているようにも感じられる名勝負となっていますので、

多くの方に刺さる本作随一の名シーンとなっています。

という事で、物語展開等は少し弱めですが、素晴らしいカンフーアクションシーンの数々が見所となっている傑作ですので、

香港映画好きの方や、カンフー映画好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。

作品情報

1981年製作 香港製作 カンフーアクション

監督・武術指導 ラウ・カーリョン

出演 リュー・チャーフィー、ロバート・マック、ベティ・ウェイ(カラ・ワイ)、ワン・ロンウェイ、クー・フェン、チュー・ティエホー、リー・キンチュー、シャオ・ホウ、トン・ワイセン、ラウ・カーリョン

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